前回「2026年夏トレードまとめ①」としてヒートとバックスのヤニスを含むトレードについて語りました。
今回はビックリトレード第2弾となったミネソタ・ティンバーウルブズとシャーロット・ホーネッツ間のトレードについて評価をしていきたいと思います。
今シーズン大きく飛躍したホーネッツが、フランチャイズビルダーといえるラメロ・ボール放出に踏みきった今回のトレード。
ヤニスのトレードが昨年から噂になっていたのに比べ、ラメロの場合は突然だったので、本当に衝撃的でしたね。
ラメロとの交換でウルブズは、3ポイントシュートを武器とするビッグマン、ナズ・リードを放出。
ウルブズはパワーフォワードのジュリアス・ランドルもネッツに放出していますから、フロントコートが一気にスカスカになっています。
ある種異例ともいえる今回のトレードについて、評価していきましょう。
ウルブズ ホーネッツ トレード内容
この夏ヤニスのヒート行きに次ぐビッグトレード第2弾は、NBAを代表するファンタジスタ、ラメロ・ボールのウルブズ行きでした。
まずはこのビッグトレードの内容をみてみましょう。
ミネソタ・ティンバーウルブズ獲得
ラメロ・ボール
ジョシュ・グリーン
シャーロット・ホーネッツ獲得
ナズ・リード
1巡目指名権×1(2033)
指名権交換権×3(2028 29 30)
2巡目指名権×3 (2029 32 33)
ミネソタ・ティンバーウルブズは、NBAきってのショーマンであり司令塔のラメロ・ボールと、ディフェンス力が高いシューティングガード、ジョシュ・グリーンを獲得。
シャーロット・ホーネッツは3ポイントを得意とし、2023-24シーズンには6thマン・オブ・ザ・イヤーも獲得しているビッグマン、ナズ・リードとノンプロテクトの1巡目指名権を1つ、指名権交換権を3つ、そして2巡目指名権を3つ獲得しています。
ヤニスのトレードは予想できていましたが、このラメロのトレードはまったく予想していませんでしたね。
まさに「青天の霹靂」でした。
ここからは両チームの視点にたって、トレードの評価を行っていきましょう。
最高評価の「S」から、最低評価の「D」まで、独断と偏見バリバリで評価していきます。
ウルブズ側 トレード評価「Cー」
昨シーズンのウルブズはレギュラーシーズンでは49勝33敗、ウエスタンカンファレンス第6シードを獲得したものの、エースのアンソニー・エドワーズがケガで61試合の出場にとどまったこともあり、当初の期待にはとどかない成績に終わりました。
プレーオフでは1stラウンドで優勝候補にあげる人も多かったデンバー・ナゲッツに4勝2敗で勝利し、カンファレンスセミファイナルに進んだものの、ウェンバンヤマ擁するサンアントニオ・スパーズに2勝4敗で敗れ、シーズンを終えています。
まずまずの結果を残しましたが、ややインパクト不足であったことも事実。
そこでこの夏、ウルブズのフロントは大きく動きました。
まずはチームのセカンドスコアラー、ジュリアス・ランドルを今年のドラフト33位と交換で放出し、サラリーダンプに動きます。
パワーフォワードのランドルを放出したことで「そうか、ナズ・リードを先発で使うんだな。これは面白いかも・・・」と思ったところで飛び込んできたのが、このラメロ獲得のトレードでした。
確かにウルブズの補強すべきポイントは、チームをコントロールできる司令塔と言われていましたが、対価としてここまでフロントコートがスカスカになってしまうとは・・・。
てっきりナズ・リードをパワーフォワードのスターターで使うために、ジュリアス・ランドルの放出に踏みきったと思っていたんですが、まさか2人とも放出するとは・・・。
これまでウルブズの強みだったフロントコートは、一気に弱体化してしまいました。
現状ではウルブズのスターターは、PGラメロ・ボール、SGアヨ・ドスンム、SFアンソニー・エドワーズ、PFジェイデン・マクダニエルズ、Cルディ・ゴベアとなるでしょう。
マクダニエルズは身長は206㎝あるものの、体重は83㎏しかありません。
同じ206㎝ながらランドルは113㎏、リードは119㎏ありますからねえ。
ディフェンス力に定評のあるマクダニエルズですが、ビッグマン相手にフィジカル負けしないか心配です。
ただラメロほどのスター選手を獲得するためには、それなりの対価を出さなければならないので、リード放出は仕方がないのかもしれません。
放出した指名権も1巡目が1つで済んだのは、まずまずなのではないでしょうか?
獲得したラメロ・ボールの司令塔としての能力は、リーグトップクラスです。
昨シーズンのラメロのスタッツは・・・
ラメロ・ボール2025-26スタッツ
72試合 28.0分出場
20.1P 4.8R 7.1A 1.2S
FG40.7% 3P36.8% FT89.9%
得点力が高く、アシスト数も多い司令塔です。
唐突に放つ3ポイントシュートも、その難易度を考えるとまずまずの確率で決めています。
ちなみに昨シーズンの3ポイントシュート成功数は、ホーネッツの新人コン・カニップル(273本)に次ぐリーグ2位(272本)。
司令塔でタイプでありながら、得点力も高いラメロは、その派手なプレースタイルもあって、ウルブズでも間違いなく人気選手になるでしょう。
ただ、懸念もあります。
ホーネッツのフランチャイズビルダーとして6シーズンをプレーしてきたラメロですが、このうち65試合以上プレーしたのは2年目の2021-22シーズン(75試合)と、2025-26シーズン(72試合)のみです。
ラメロ・ボールシーズン欠場試合数
2020-21 21試合欠場
2021-22 7試合欠場
2022-23 46試合欠場
2023-24 60試合欠場
2024-25 35試合欠場
2025-26 10試合欠場
ポイントガードとしての資質はすばらしいものがありますが、そもそも試合に出ることができなければ、戦力として計算できません。
ホーネッツとしては、ラメロの健康状態に疑念があったのでしょう。
珍しくシーズンを通じてプレーを続け、評価をあげた昨シーズン終了後に、今回のビッグトレードをまとめたのですから。
ウルブズがインサイドの強みをすててまで獲得したスターポイントガードが、シーズンの半分くらいしかプレーできないのであれば、いくら能力が高くても今回のトレードは大失敗に終わってしまいます。
ウルブズのチームにフィットするかという問題の前に「試合に出ることができるのか?」という大問題が、ラメロにはついて回っていますね。
ただ、ラメロが健康体を維持し、プレーできるとすれば、ウルブズはかなりエキサイティングで面白いチームになるでしょう。
なんといっても2020年のNBAドラフト1巡目全体1位のアンソニー・エドワーズと、全体3位のラメロ・ボールがともにプレーするのですから。
ちなみにルーキー・オブ・ザ・イヤーはラメロ・ボールが受賞していますが、今でもこの受賞には賛否がわかれています。
ルーキーだった2019-20シーズンの2人のスタッツをみてみましょう。
アンソニー・エドワーズ
72試合 32.1分出場
19.3P 4.7R 2.9A 1.1S
FG41.7% 3P32.9% FT77.6%
ラメロ・ボール
51試合 28.8分出場
15.7P 5.9R 6.1A 1.6S
FG43.6% 3P35.2% FT75.8%
この2020-21シーズンはコロナの影響で72試合の短縮シーズンでした。
アントは全試合に出場、ラメロは21試合を欠場しています。
正直出場試合数を考慮すると、平均得点も高いアントをルーキー・オブ・ザ・イヤーに選ぶべきだったと私は思います。
アントが根に持ってなければいいんですが(笑)。
とにかくファンには話題のコンビとなるでしょう。
今回のトレード、ウルブズの評価は「C-」とします。
正直ラメロが健康体を維持して欠場なくプレーできるとは思えませんし、プレースタイル的に、優勝を目指すチームに合うとも思えません。
ラメロは大好きなプレイヤーなんですが・・・。
そしてラメロ獲得のために放出したのがナズ・リードであることも、問題だと思います。
このトレードの前に、サラリーダンプ目的でジュリアス・ランドルを放出していたこともあり、来シーズンのウルブズにおけるナズ・リードの役割は大きくなると思っていました。
3ポイントシュートのイメージが強いナズ・リードですが、スキルも高く自らボールを運ぶことができる、多彩なビッグマンです。
ネームバリュー的にはラメロ・ボールの方がかなり高いものの、アントという絶対的エースが存在するウルブズにとっては、ナズ・リードの方がフィットがよいと思うのですが・・・。
ラメロほどのスター選手を獲得するにしては、ナズ・リードにくわえ1巡目指名権が1つで済んだのは、よかったと思いますが、個人的に来シーズンのナズ・リードの飛躍に期待していたこともあり、評価を低くしてしまいました。
僕の心配が杞憂に終わればいいのですが・・・。
ホーネッツ側 トレード評価「B+」
昨シーズンホーネッツは大躍進をとげました。
2024-25シーズン19勝63敗だったチームは、昨シーズン44勝38敗と勝ち越し、イースタンカンファレンス第9シードでプレーイントーナメントへ。
プレーイン初戦でオーバータイムの末にマイアミ・ヒートを倒したものの、プレーオフをかけた最終決戦でオーランド・マジックに敗れシーズンを終えています。
ホーネッツはシーズン最後の25試合で18勝をあげるスパートをみせ、世界を驚かせました。
残念ながら10年ぶりのプレーオフ出場はかないませんでしたが、大きな可能性を感じさせるシーズンでしたね。
ルーキーのコン・カニップルが3ポイントシュートリーグナンバー1の成功本数、273本を記録し、ラメロ・ボールがリーグ2位の272本を記録。
得点力の高いマイルズ・ブリッジズとブランドン・ミラーに、ハッスル全開のセンター、ムサ・ディアバテを加えたスターティング5は強力で、大変魅力的なチームでした。
来シーズンはさらに楽しみなチームになると思っていたのですが・・・。
ホーネッツのフロントは、フランチャイズプレイヤーであるラメロ・ボール放出という大胆な動きに出ました。
得点力も高く、プレーメイクも上手い司令塔ラメロ・ボールは、華やかなプレーでも知られるファンタジスタ。
唐突に放つ片足3ポイントシュートやノールックパスが、何度もNBAハイライトに登場する人気者です。
スター要素抜群なラメロですが、問題は前述したケガの多さとサラリーの高さ。
2023年の夏に5年最大2億6000万ドル(約374億4000万円)のマックス契約をむすんだラメロには、残り3年の莫大な契約が残っています。
もちろん健康体であれば適正なサラリーともいえますが、ケガでプレーできなければ、ラメロの莫大なサラリーはチーム強化への大きな足かせとなるでしょう。
ただ今回のトレードは、ホーネッツ側が積極的に動いたものではなかったという報道もあります。
積極的にラメロの放出先を探したのではなく、ウルブズ側のオファーが魅力的だったため、ラメロのトレードを決心したのではないでしょうか?
ケガがちのラメロ・ボールと昨シーズン平均4.3得点のジョシュ・グリーンとの交換で3ポイントシュートが得意でスキルフルなビッグマン、ナズ・リードとドラフト1巡目指名権+2巡目指名権(×3)+指名権交換権(×3)を獲得。
できれば1巡目指名権をもう少し欲しいところでしたが、個人的にナズ・リードはまだ大化けするかもと思っているプレイヤーですので、悪くないトレードだと思います。
ビッグマンながら3ポイントが得意なナズ・リードは、昨シーズンブレイクした古典的センター、ムサ・ディアバテとの相性もバッチリです。
ナズ・リードを獲得したことで、アンダーサイズだったパワーフォワード、マイルズ・ブリッジズもトレードで放出されています。
シャーロット・ホーネッツ獲得
グレイソン・アレン
ロイス・オニール
1巡目指名権×1(2033)
フェニックス・サンズ獲得
マイルズ・ブリッジズ
1巡目指名権×1(2029)
2巡目指名権×1(2027)
契約が残り1年だったマイルズ・ブリッジズを、ベテランシューターのグレイソン・アレン&ロイス・オニールと交換しています。
肝心なのは、サンズとホーネッツそれぞれの1巡目指名権の価値の違い。
今回ホーネッツが手放した2029年の1巡目指名権は「ジャズ、キャブス、ティンバーウルブズの3チームのうち、もっとも指名順位の低いもの」という縛りがありました。
反対にホーネッツが獲得した2033年の1巡目指名権は制限がないノンプロテクトのもの。
2つの指名権には大きな価値の違いがあります。
実績のあるシューター2人に加え、貴重なノンプロテクトの1巡目指名権を獲得できたのは、大きな動きでした。
この2つのトレードをみると、昨シーズン大活躍したコン・カニップルと、ブランドン・ミラー中心のチームづくりを進めていくことをホーネッツのフロントは決断したんだといえます。
正直フランチャイズプレイヤーといえるラメロがホーネッツを去るのは、寂しい気持ちもあります。
ただケガがちなラメロが昨シーズン72試合に出場し、トレード価値が大きく上がっているこの夏、ホーネッツがトレードに踏みきったのは理解もできますね。
今年の2月にシカゴ・ブルズとのトレードで獲得したポイントガード、コビー・ホワイトの活躍も、ラメロ放出に踏みきる要因になったと思います。
今回のトレード、ホーネッツの評価は「B+」とします。
ラメロのプレーが大好きなわたくしリトルですが、ケガのリスクとサラリー、そしてチームバランスを考えると、今回のトレードはメリットの方が大きいと考えます。
ドラフト指名権をアップグレードできたことも大きいですし、3ポイントシュートが得意でセンター・パワーフォワードどちらでもプレーできるナズ・リードを獲得したことで、ホーネッツは戦術の幅を大きく広げることができました。
その後のトレードでグレイソン・アレン、ロイス・オニールを獲得したこともあわせて、ホーネッツのトレードは理にかなっているといえるでしょう。
昨シーズンの終盤リーグ最強ともいえたチームの解体には、賛否両論が飛び交っています。
それでもケガのリスクが大きく、莫大なサラリーが残っているラメロに代えて、20歳(8月3日で21歳)のコン・カニップルと23歳(11月で24歳)のブランドン・ミラーを軸に、チームを再編することは正しい道なのかもしれません。
今のところ来季のスターターは、PG:コビー・ホワイト SG:コン・カニップル SF:ブランドン・ミラー PF:ナズ・リード C:ムサ・ディアバテとなるでしょう。
これにグレイソン・アレンやロイス・オニールらのベテランが控えることを考えると、バランスがすごくいいチームにみえます。
圧倒的なスター性をほこるラメロが移籍したのは寂しいですが、ホーネッツのフロントはすばらしい仕事をしたのではないでしょうか?
まとめ
今回はミネソタ・ティンバーウルブズとシャーロット・ホーネッツの間で起こったラメロ・ボールを中心としたトレードについて語ってきました。
NBAを37年間観つづけてきたわたくしリトルの判定は、ウルブズ「C-」、ホーネッツ「B」としました。
ウルブズは、‶健康体であれば″リーグトップクラスの司令塔をゲットした代わりに、貴重なストレッチビッグマンを失ってしまいました。
ラメロが健康を維持してプレーを続けることができれば、アントとの強力なバックコートコンビは大きな武器となるんでしょうが・・・ラメロがシーズンを通じてプレーを続けるのは厳しいんじゃないですかねえ?
ラメロの契約は残り3年で1億3000万ドル(約200億円)。
ウルブズは今シーズン優勝争いができなければ、チーム崩壊に突き進んでしまうかもしれません。
ホーネッツはラメロ・ボールというフランチャイズプレイヤーを失う代わりに、貴重なストレッチビッグマンを獲得。
ホーネッツのフロントがケガとサラリーがネックだったラメロに見切りをつけたのは、理解できる判断です。
まあこの判断が正解だったのか失敗だったのかは、来シーズンのラメロの活躍をみてみるまでわかりませんが・・・。
ただホーネッツはウルブズに比べると、バランスがいい布陣となっています。
若手を中心に、今後数年で優勝を争えるチームに育てあげるべく、着々と戦力を整えている印象です。
はたして、わたくしリトルの採点は、1年後にどのように評価されるようになるのでしょうか?
願わくばラメロの活躍でウルブズが優勝争いをし、ホーネッツもプレーオフストレートインをはたし、ウィンウィンのトレードだったと言われることを期待しています。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

