1992年夏、バルセロナオリンピック。
全世界に衝撃をあたえたバスケットボール男子アメリカ代表、通称「ドリームチーム」。
マジック・ジョンソン、ラリー・バード、そしてマイケル・ジョーダンらスーパースターがそろった夢のチームは、平均44点差をつけ、次元のちがう強さをみせつけ、当然のように金メダルを獲得しました。
ドリームチームはバスケットボールの頂点がNBAであることを、全世界の子どもたちに知らしめたのです。
ドリームチームの出現によって、世界各地で生まれたバスケットボールの天才たちがNBAを目指し、最強アメリカ代表を倒すため努力をかさねるようになりました。
こうしてアメリカがバスケの世界大会で優勝することがあたりまえだった時代は終わりました。
「ドリームチーム」と呼ばれることはなくなり、バスケワールドカップにおいては、アメリカ代表は2大会連続で表彰台にのぼることすらできなくなりました。
2024年夏、パリオリンピック。
ひさしぶりに、アメリカが本気を出してきました。
初代ドリームチームに次ぐスーパースター軍団といっても過言ではない、豪華な布陣となったパリオリンピックアメリカ代表。
今回は史上最強メンバーがそろった〝パリオリンピックバスケ男子アメリカ代表″の選手たちを、徹底的に紹介します。
この夏、最高のエンターテイメントを、みんなで体感しましょう!
パリオリンピック アメリカ代表選手メンバー
2024パリオリンピック アメリカ代表
4 ステフィン・カリー(PG 188cm ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
5 アンソニー・エドワーズ(SG 193cm ミネソタ・ティンバーウルブズ)
6 レブロン・ジェームズ(SF 206cm ロサンゼルス・レイカーズ)
7 ケビン・デュラント(SF 208cm フェニックス・サンズ)
8 デリック・ホワイト(SG 198cm ボストン・セルティックス)
9 タイリース・ハリバートン(PG 196cm インディアナ・ペイサーズ)
10 ジェイソン・テイタム(SF 203cm ボストン・セルティックス)
11 ジョエル・エンビード(C 213cm フィラデルフィア・76ers)
12 ドリュー・ホリデー(PG 196cm ボストン・セルティックス)
13 バム・アデバヨ(C 206cm マイアミ・ヒート)
14 アンソニー・デイビス(F/C 208cm ロサンゼルス・レイカーズ)
15 デビン・ブッカー(SG 196cm フェニックス・サンズ)
HC スティーブ・カー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
現在のNBAを代表するスーパースターたちに加え、ドリュー・ホリデ―、バム・アデバヨといった、ディフェンス力の高い選手もそろう、隙のない布陣です。
アメリカの本気を感じます。
ドリュー・ホリデーとデリック・ホワイト以外の10人は、今年のオールスターに出場しているバリバリのスター選手ばかりです。
ヘッドコーチはゴールデンステイト・ウォリアーズのスティーブ・カー。
スモールボールで一時代を築いた名将が、ジョエル・エンビードやアンソニー・デイビスら優秀なビッグマンを使いこなすことができるのかにも注目です。
歴代トップクラスの強力なメンバーがそろったアメリカ代表ですが、平均44点差をつけて優勝した初代ドリームチームのような、圧倒的な強さをみせつけることは難しいでしょう。
なんといっても世界のレベルがとんでもなく上がっていますから。
開催国フランスには、ルディ・ゴベアやビクター・ウェンバンヤマ、バスケワールドカップ2023優勝のドイツには、デニス・シュル―ダ―やモリッツ&フランツのバグナー兄弟、セルビア代表には今年3度目のシーズンMVPを受賞した二コラ・ヨキッチなど、世界各国にNBAのスター選手がちらばっています。
アメリカ代表のスーパースター軍団が、世界の強豪国相手にどんなプレーをみせてくれるのか・・・
今から楽しみでたまりません。
それでは出場選手を紹介していきます。
年齢は、オリンピック開幕時のものです。
2024パリオリンピック アメリカ代表 ポイントガード
背番号4 ステフィン・カリー
ステフィン・カリー
ゴールデンステイト・ウォリアーズ 背番号30
1988年3月14日生まれ(36歳)
188㎝ 84㎏
2023-24シーズン スタッツ
74試合出場 26.4得点 4.5リバウンド 5.1アシスト FG45.0% 3P40.8%
NBA通算
956試合出場 24.8得点 4.7リバウンド 6.4アシスト FG47.3% 3P42.6%
2009年のNBAドラフト1巡目全体7位でゴールデンステイト・ウォリアーズに指名されNBA入りしたステフィン・カリー。
NBAの歴史上最高のシューターが、ステフィン・カリーであることに異論をとなえるNBAファンはいないでしょう。
圧倒的なシュート力に加え、自らシュートをクリエイトする能力も、歴代トップだといえます。
「レイアップおじさん」と言われるほど、ドライブからのフィニッシュ能力も高く、調子がいい時のカリーはアンストッパブルなスコアラーです。
そんなカリーも、現在36歳。
39歳でウソみたいな活躍を続けているレブロン・ジェームズという例外はいるものの、一般的には体力的な衰えが進む時期に差し掛かってきました。
NBAチャンピオン4回、ファイナルMVP1回、シーズンMVP2回、オールスターMVP1回・・・。
NBAで数々の栄光を勝ちとってきたカリーですが、国際大会では2010年(トルコ)、2014年(スペイン)の世界選手権(現バスケワールドカップ)で優勝しただけで、オリンピックへの出場はありません。
おそらくカリーにとって、金メダル獲得のラストチャンスとなる今回のパリオリンピック。
とんでもなく力強い仲間たちが集まりました。
カリーがいつもどおり信じられないディープ3を決めまくるのが、本当に楽しみです。
ただ・・・NBAと国際大会でボールの大きさが違うからなあ(NBAのボールはやや小さい)・・・。
正直、国際大会になると、タッチが全然変わって調子を落とすNBA選手もいるので、やや心配です。
それでもカリーが笑顔で金メダルを手にする姿をぜひみたいですね!
背番号9 タイリース・ハリバートン
タイリース・ハリバートン
インディアナ・ペイサーズ 背番号0
2000年2月29日生まれ(24歳)
196㎝ 84㎏
2023-24シーズン スタッツ
69試合出場 20.1得点 3.9リバウンド 10.1アシスト FG47.7% 3P36.4%
NBA通算
260試合出場 17.2得点 3.7リバウンド 8.7アシスト FG47.8% 3P39.3%
2020年のNBAドラフト1巡目全体12位でサクラメントキングスに指名され、NBA入りしたタイリース・ハリバートン。
インディアナ・ペイサーズの若き司令塔として、2023-24シーズン飛躍をとげました。
今シーズンは2位に平均1.1本の大差をつけて、アシスト王に輝いています。
変わったシュートフォームから放たれる3ポイントシュートも、相手の脅威となっていますね。
ポイントガードとしては背が高い(196㎝)のも強みです。
2年連続オールスターにも選ばれ、これからのNBAを背負っていく選手として注目されています。
ケガによる欠場がやや多いのが気になりますが・・・。
ベテラン選手の多い今回のアメリカ代表チームの中で、数少ない若手の一人ハリバートン。
昨年のバスケワールドカップでもアメリカ代表に選出されましたが、残念ながらメダルには届かず、悔しい思いをしています。
思いを新たにした2023-24シーズン、ハリバートンはペイサーズのエースとして躍動。
司令塔として、ペイサーズをリーグナンバー1のオフェンスチームに変えてしまいました。
プレーオフではチームをイースタンカンファレンスまで牽引したものの、最後はケガで離脱。
ボストン・セルティックスにスウィープで敗れましたが、ペイサーズ、そしてハリバートンにとって飛躍のシーズンとなりました。
同じくバスケワールドカップにアメリカ代表として出場したアンソニー・エドワーズとともに、これからのNBAを代表するであろう若手選手に成長しています。
オリンピック代表でも、能力の高いスーパースターたちの力を引き出す、司令塔としての働きを期待したいですね。
背番号12 ドリュー・ホリデー
ドリュー・ホリデー
ボストン・セルティックス 背番号4
1990年6月12日生まれ(34歳)
196㎝ 93㎏
2023-24シーズン スタッツ
69試合出場 12.5得点 5.4リバウンド 4.8アシスト FG48.0% 3P42.9%
NBA通算
975試合出場 16.1得点 4.2リバウンド 6.4アシスト FG46.3% 3P37.1%
2009年のNBAドラフト1巡目全体17位でフィラデルフィア・76ersに指名されNBA入りしたドリュー・ホリデー。
今回パリオリンピックのアメリカ代表に「ドリュー・ホリデーが内定」というニュースをみたときに「アメリカ本気やな」と感じました。
他のスター選手たちに比べると地味なプレイヤーですが、注目すべきは圧倒的な守備力。
多くのNBA選手が、最強のペリメーターディフェンダーとして、ホリデーの名前をあげています。
2023-24シーズン、ボストン・セルティックスが優勝できた大きな要因がドリュー・ホリデーの守備力であることは間違いありません。
カンファレンスファイナル、ペイサーズとの第4戦ではクラッチスティールで勝利を決定づけ、ファイナルではルカ・ドンチッチ&カイリー・アービングの強力ガードコンビに、思うように仕事をさせませんでした。
ホリデーが加入したセルティックスが圧倒的な強さで優勝したのに対し、ホリデーが抜けたミルウォーキー・バックスがシーズンを通して苦しんだのも、勝利にはディフェンスが重要なのだと再認識させてくれましたね。
国際大会では、ポイントガードがエースとなり、得点を量産してくるチームが多いですし、カナダのシェイ・ギルジャス・アレキサンダーやドイツのデニス・シュル―ダ―など、NBAで活躍しているスター選手が多いポジションでもあります。
エースストッパーとして、スピードもサイズもあるホリデーのディフェンスは、アメリカの大きな強みとなるでしょう。
ホリデーは2021年の東京オリンピックでもアメリカ代表としてプレーし、金メダル獲得に貢献しています。
国際大会の経験もあり、圧倒的なディフェンス力と3ポイントシュートを武器とする2ウェイガードは、必ずアメリカの窮地を救う活躍をみせてくれるでしょう。
2024パリオリンピック アメリカ代表 シューティングガード
背番号5 アンソニー・エドワーズ
アンソニー・エドワーズ
ミネソタ・ティンバーウルブズ 背番号5
2001年8月5日生まれ(23歳)
193㎝ 102㎏
2023-24シーズン スタッツ
79試合出場 25.9得点 5.4リバウンド 5.1アシスト FG46.1% 3P35.7%
NBA通算
302試合出場 22.9得点 5.2リバウンド 4.1アシスト FG44.6% 3P35.3%
2020年のNBAドラフト1巡目全体1位でミネソタ・ティンバーウルブズに指名されNBA入りしたアンソニー・エドワーズ(アント)。
2023-24 シーズン、大躍進をみせたミネソタ・ティンバーウルブズの若きエースとして、大きく成長しています。
圧倒的な跳躍力からのスーパープレイを連発する、これからのNBAの顔となっていくであろう選手です。
最高級のスコアラーというだけではなく、ディフェンス力も高く、最近はあのマイケル・ジョーダンと能力を比較されるまでになっていますね。
ハリバートンと共に出場した昨年のバスケワールドカップでは、アメリカ代表の不動のエースとして孤軍奮闘したものの、世界の壁の高さを思い知りました。
今回のパリオリンピック代表チームでは、百戦錬磨のスーパースターたちの中で、のびのびとプレーできると思います。
シュート力も高いアントですが、驚くべきはなんといってもその跳躍力。
豪快なダンクで、まちがいなく世界中の人々を驚愕させるでしょう。
今年3月7日ペイサーズ戦の最終盤、逆転を狙ったアーロン・ネスミスの速攻からのレイアップを、リングで頭を打ちながら止めたブロックは、2023-24シーズンのNBAを代表するスーパープレーだったと思います。
攻守に躍動するアントは、金メダル獲得に貢献するだけでなく、スーパースターの大先輩たちから多くを学び、歴史に名を残す選手に成長していってほしいですね。
もっともっとできる子ですから(笑)。
ちなみにアントはインタビューで今回のアメリカ代表について聞かれると「自分がナンバー1オプション」「ただ自分らしくプレーするだけ。シュートを打って、ディフェンスをする。彼らは僕にフィットしなきゃ。」と語っています。
チーム最年少の22歳で、レブロン、カリー、デュラントらスーパースターがそろうチームメイトに、なかなかこのセリフは言えませんね。
もちろん、アントらしいジョークだとは思いますが、間違いなく本音もまじっていると思います。
本当にナンバー1オプションになってしまうかもしれないアント。
もしからしたらパリオリンピックで、スーパースターへの階段をいっきに駆けあがるのかもしれません。
背番号15 デビン・ブッカー
デビン・ブッカー
フェニックス・サンズ 背番号1
1996年10月30日生まれ(27歳)
196㎝ 93㎏
2023-24シーズン スタッツ
68試合出場 27.1得点 4.5リバウンド 6.9アシスト FG49.2% 3P36.4%
NBA通算
598試合出場 24.3得点 4.0リバウンド 5.0アシスト FG46.4% 3P35.7%
2015年のNBAドラフト1巡目全体13位でフェニックス・サンズに指名され、9シーズンを過ごしてきたブッカー。
弱小チームだったフェニックス・サンズを、優勝を狙える強豪に変えてきました。
フロントがケビン・デュラントやブラッドリー・ビールの獲得に踏みきったのも、ブッカーの存在あってのものだと思います。
ブッカーといえば、なんといっても得点スキルの多才さ。
あらゆるテクニックを使い、得点を量産していきます。
今年の1月26日に行われたインディアナ・ペイサーズ戦では、62得点の大爆発!
残念ながら131-133でサンズは敗れてしまいましたが、ブッカーの得点力の高さを、まざまざと見せつけられました。
2021年の東京オリンピックにもアメリカ代表として出場し、金メダルを獲得しているブッカーは、国際大会の厳しさも十分に理解していると思います。
長年サンズのエースとして活躍しているため、ベテランのように感じますが、まだ27歳。
これから全盛期を迎えるであろう、最上級のスコアラーは、世界の舞台でどんなプレーをみせてくれるのか?
できることなら、ルカ・ドンチッチとのトラッシュトーク対決を、オリンピックの舞台でも見たかったのですが・・・
残念ながらドンチッチのスロベニアは、世界最終予選でヤニス・アデトクンボ擁するギリシャに敗れ、パリオリンピックの出場権をのがしてしまいました。
ドンチッチのスロベニアがオリンピックに出場できないんですから、本当に狭き門です。
日本はワールドカップでアジア1位になり、出場を決めておいて本当によかったですね。
背番号8 デリック・ホワイト
デリック・ホワイト
ボストン・セルティックス 背番号9
1994年7月2日生まれ(30歳)
193㎝ 86㎏
2023-24シーズン スタッツ
73試合出場 15.2得点 4.2リバウンド 5.2アシスト FG46.1% 3P39.6%
NBA通算
418試合出場 12.3得点 3.5リバウンド 4.1アシスト FG45.0% 3P36.3%
今回アメリカ代表に選出されていたカワイ・レナードに、所属するロサンゼルス・クリッパーズからストップがかかり代表から急遽離脱することになりました(アメリカ代表側からストップをかけたとの話もありますが)。
代わりに選ばれたのが先日行われたNBAファイナルで、ドリュ・ホリデーとともに鉄壁のガードコンビを組んでいたデリック・ホワイト。
正直やや地味な選手ですし「今回のスター揃いのアメリカ代表の中では、ちょっと物足りないだろ」という意見も目にします。
「カワイの代役なら、ポール・ジョージだろ」「ガードでもいいのならカイリー・アービングこそふさわしい」「ボストンから選ぶなら、ファイナルMVPのジェイレン・ブラウンだろ」など、多くの意見が飛びかっていますね。
ジェイレン・ブラウン本人もなぜ自分じゃないのか・・・というようなつぶやきをしていたようですし。
名前があがった選手誰が加入していても、アメリカ代表はやはり最強といえるでしょう。
ただ、今回アメリカ代表が指名したのは、デリック・ホワイトでした。
NBAでもトップクラスのディフェンス力を誇り、3ポイントシュートも高確率で決め続ける能力をもっています。
今年NBAファイナルを制し、きびしい戦いの経験も豊富。
国際大会でも、2019年のバスケワールドカップにアメリカ代表として出場しています。
ポイントガードもシューティングガードも難なくこなすコンボガードは、貴重なバックアップになるでしょう。
我の強いスーパースター軍団の中で、周囲をたてながら縁の下の力持ちに徹することができるマインドも貴重です。
相棒のドリュー・ホリデー、そしてエースのジェイソン・テイタム、ボストン・セルティックスの仲間が二人もいるのも、ホワイトにとっては大きいですね。
すでに最強のケミストリーが構築されていますから。
あれ、MVPのブラウンさん・・・
どこのチームからも欲しがられる、最強のディフェンス力と高確率な3ポイントシュートを武器とする地味なチームプレイヤー、デリック・ホワイト。
きらびやかなスター選手がそろう今回のアメリカ代表において、優勝をめざすうえで最高の人選なのかもしれません。
やっぱりアメリカ、層が厚いですね。
2024パリオリンピック アメリカ代表 スモールフォワード
背番号6 レブロン・ジェームズ
レブロン・ジェームズ
ロサンゼルス・レイカーズ 背番号23
1984年12月30日生まれ(39歳)
206㎝ 113㎏
2023-24シーズン スタッツ
71試合出場 25.7得点 7.3リバウンド 8.3アシスト FG54.0% 3P41.0%
NBA通算
1492試合出場 27.1得点 7.5リバウンド 7.4アシスト FG50.6% 3P34.8%
2003年のNBAドラフト1巡目全体1位でクリーブランド・キャバリアーズに指名されてNBA入りしたレブロン。
新人の時から大きな注目を集めていましたが、21シーズンもの間NBAのキングとして君臨するとは、当時夢にも思っていませんでした。
NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルでも、39歳でチェイスダウンブロックを炸裂させ、速攻からモンスターダンクを決める選手なんてみたことありませんから(笑)。
今シーズンついに前人未踏の4万得点を記録したレブロンは、マジック・ジョンソン、ラリー・バード、マイケル・ジョーダンらとともに、NBAの人気を爆発させたスーパースターです。
レブロンのすごいところは、39歳となった今でも進化を続けているところ。
今シーズン(2023-24)記録した3ポイント成功率41.0%は、自己最高の記録です。
トレーニングと身体のケアを欠かさず、今できることに全力で取り組む姿勢には、感動すら覚えます。
バスケアメリカ代表では、ここ最近のワールドカップやオリンピックは、超一流選手の出場がかなわないことが続いていました。
オリンピックに3回連続出場しているケビン・デュラントは例外として・・・。
今回、パリオリンピックに多くのスーパースターが出場を決めたのは、レブロン・ジェームズの影響が大きいですね。
歴史に残るスーパースター〝キング″レブロン・ジェームズも39歳。
間違いなく今回が最後のオリンピックになるでしょう。
レブロンとともにアメリカ代表のユニフォームを着て戦うラストチャンスです。
しかもバスケワールドカップでは、アメリカ代表がメダルもとれない状況が続いている・・・
「レブロンとともに、アメリカの威信をとりもどす!」と言ったかどうかは知りませんが、多くのスター選手が心を動かされたのは間違いないと思います。
レブロンの国際大会最後の雄姿を、金メダルを胸に喜ぶ姿を、目に焼き付けましょう。
背番号7 ケビン・デュラント
ケビン・デュラント
フェニックス・サンズ 背番号35
1988年9月29日生まれ(35歳)
208㎝ 109㎏
2023-24シーズン スタッツ
75試合出場 27.1得点 6.6リバウンド 5.0アシスト FG52.3% 3P41.3%
NBA通算
1061試合出場 27.3得点 7.0リバウンド 4.4アシスト FG50.1% 3P38.7%
2007年のNBAドラフト1巡目全体2位でシアトル・スーパーソニックス(現オクラホマシティ・サンダー)に指名されたケビン・デュラント(KD)。
208㎝(実際は210㎝以上と言われている)と、ビッグマン級の身長ながら、ガードのようなドリブルテクニック、スピード、シュート力をもつ、現代バスケ最高のスコアラーです。
オクラホマシティ・サンダー⇨ゴールデンステイト・ウォリアーズ⇨ブルックリン・ネッツ⇨フェニックス・サンズと移籍を繰り返してきたKDには「バスライダー(優勝しそうなチームをバスに例えて、そこに乗り込む選手)」というありがたくないニック・ネームもついてますねえ・・・。
実力のわりにネガティブなイメージもついているKDですが、国際大会にはアメリカ代表として積極的に参加し、素晴らしい成績を残しています。
2010年トルコで行われた世界選手権(現バスケワールドカップ)でアメリカを優勝に導き大会MVPを受賞すると、2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロ、そして2021年東京と、オリンピックに3大会連続出場し、エースとしてアメリカ代表の金メダル獲得に大きく貢献してきました。
国際大会でこれほど信頼できる選手は、いないかもしれません。
世界中からバスケのエリートが集まっている現在のNBA。
ヨーロッパを中心に、世界各国のレベルが高くなり、アメリカも国際大会で敗退する機会が増えています。
しかし、KDが出場した大会のアメリカ代表は、すべて優勝を勝ちとっているのです。
オリンピック代表でKDが積み上げた435得点は、男子バスケットボールアメリカ代表の個人史上最多得点。
はたしてKDはどこまでこの記録を伸ばすのか?
レブロンとKDがスターティング5に並ぶ姿を想像するだけでワクワクしますね。
す。
背番号10 ジェイソン・テイタム
ジェイソン・テイタム
ボストン・セルティックス 背番号0
1998年3月3日生まれ(26歳)
203㎝ 95㎏
2023-24シーズン スタッツ
74試合出場 26.9得点 8.1リバウンド 4.9アシスト FG47.1% 3P37.6%
NBA通算
513試合出場 23.1得点 7.2リバウンド 3.5アシスト FG46.0% 3P37.5%
2017年のNBAドラフト1巡目全体3位でボストン・セルティックスに指名され、NBAで7シーズンを過ごしてきたジェイソン・テイタム。
今シーズンは名門セルティックスのエースとして、チームを見事に優勝に導きました。
オフェンススキルが豊富で運動能力も高く、シュート力も高いテイタム。
最近はディフェンス力も評価されています。
テイタムは東京オリンピックにも出場し、金メダル獲得に貢献。
国際大会の厳しさは十分理解していると思います。
テイタムといえば、プレーオフになると大事な場面で調子を落としてしまう「タツム化」が話題になることが多いですが、これだけ周りが頼りがいのある選手だらけだと、緊張せずにプレーできるんじゃないでしょうか。
名門セルティックスの不動のエースとして活躍を続けているテイタムですが、26歳とまだまだこれからの選手。
大先輩のスーパースターたちと共に戦うパリオリンピックは、テイタムを大きく成長させてくれる貴重な経験となるでしょう。
今回のアメリカ代表では、スモールフォワードの選手が4人も選ばれていますが、今シーズンは4人ともチーム事情によりパワーフォワードでの出場が多くなっています。
なんでもこなせる4人ですから、ヘッドコーチもさまざまな組み合わせを試すことができますね。
あまりにも優秀な選手が揃いすぎていて、逆にヘッドコーチは大変でしょうが。
2024パリオリンピック アメリカ代表 パワーフォワード
背番号14 アンソニー・デイビス
アンソニー・デイビス
ロサンゼルス・レイカーズ 背番号3
1993年3月11日生まれ(31歳)
208㎝ 115㎏
2023-24シーズン スタッツ
76試合出場 24.7得点 12.6リバウンド 3.5アシスト FG55.6% 3P27.1%
NBA通算
736試合出場 24.1得点 10.6リバウンド 2.5アシスト FG52.3% 3P29.7%
2012年のNBAドラフト1巡目全体1位でニューオーリンズ・ホーネッツ(現ニューオーリンズペリカンズ)に指名されNBA入りしたアンソニー・デイビス(AD)。
208㎝ 115kgの肉体を誇りながら、ドリブルやアウトサイドシュートなど、ガードのようなテクニックを持っている器用なビッグマンです。
高校入学時は183㎝でポイントガードだったADは、卒業時には208㎝まで成長し、センターでプレーしていたそうですから、器用なのも納得がいきます。
スコッティ・ピッペンのパターンですね。
さぞかし膝の成長痛が激しかったでしょう。
ADはペリカンズ(1年目だけ名前がホーネッツ)で7シーズンを過ごしたあと、ロサンゼルス・レイカーズに移籍し、レブロン・ジェームズの相棒として、インサイドで奮闘しています。
30得点を楽にとれる得点力に加え、ディフェンダーとしても超優秀。
過去3度ブロック王に輝いており(2013-14、14-15、 17-18 )、ビッグマンはもちろんガードの選手にもマッチアップできるスピードも持ち合わせています。
オリンピックには、2012年のロンドンオリンピックに出場していますが、当時ADはNBAデビュー前。
スター選手の中で、オリンピックでは8試合のうち7試合に出場し、1試合平均7.6分間の出場と、初代ドリームチームにおけるクリスチャン・レイトナー枠での選出でした。
しかし2年後の2014年の世界選手権では、ステフィン・カリー、ジェームズ・ハーデン、カイリー・アービングらとともに、主力として優勝に大きく貢献。
アメリカ代表のインサイドの要として存在感を発揮しました。
今回ひさしぶりの国際大会ですが、ADの攻守における能力の高さは、相手国の脅威になるでしょう。
問題はケガだけですね。
NBAで過ごした12シーズン(1シーズン82試合)のうち、70試合以上出場したシーズンは、たったの3シーズンです。
しかし、2023-24シーズンは自己最高の76試合出場をはたしています。
万全の状態で挑む国際大会、ADはどんな活躍をみせてくれるのか、本当に楽しみですね。
ちなみに、レイカーズではセンターをつとめているADですが、本来のポジションはパワーフォワード。
本人もシーズン前から「僕はパワーフォワードでプレーしたい」と公言していましたから、今回はパワーフォワード枠としています。
エンビードやアデバヨがいるチームであれば、ADが希望するパワーフォワードでの出場も、問題ないでしょうから。
2024パリオリンピック アメリカ代表 センター
背番号11 ジョエル・エンビード
ジョエル・エンビード
フィラデルフィア・76ers 背番号21
1994年3月16日生まれ(30歳)
213㎝ 127㎏
2023-24シーズン スタッツ
39試合出場 34.7得点 11.0リバウンド 5.6アシスト FG52.9% 3P38.8%
NBA通算
433試合出場 27.9得点 11.2リバウンド 3.6アシスト FG50.4% 3P34.1%
2014年のNBAドラフト1巡目全体1位3位でフィラデルフィア・76ersに指名されNBA入りしたジョエル・エンビード。
ドラフト前に右足の疲労骨折が発覚し手術を行い、1年目のプレーができないとわかった上での76ersの指名に、驚いたのを覚えています。
2年目も状態が改善せず、再手術でふたたびシーズン全休と発表されたときは「シクサーズやっちゃったな」と思ったもんですが、その後の活躍はご存じのとおり。
213㎝ 127㎏と、圧倒的なサイズをもちながら、アウトサイドシュートも楽々と決めきる得点力をもち、ディフェンスでも相手の脅威となる、歴代屈指のセンタープレイヤーです。
今シーズンはシーズン序盤MVP間違いなしの活躍(平均35.3得点 11.3リバウンド 5.7アシスト)を続けていましたが、1月30日に行われたゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で左膝を負傷し長期離脱。
手術を経て4月2日のサンダー戦で復帰したものの、オリンピックに出場できるか心配されていました。
しかし現在セレクトチームとのスクリメージを行っている姿をみると、問題なくプレーをしているようですね。
無事オリンピックには出場できそうで安心しています。
ここ最近、国際大会においてアメリカ代表の弱点はセンターでした。
NBAで優秀なセンタープレイヤーをみると、セルビアの二コラ・ヨキッチをはじめ、フランスのルディ・ゴベア、リトアニアのドマンタス・サボニスなど、アメリカ以外の選手が多い状態です。
当初エンビードもフランス代表でのオリンピック出場を希望し、フランスのマクロン大統領に手紙を送っていました。
フランスに帰化し、フランス代表でプレーしたいとの思いをつづった手紙を大統領に送り、フランス国籍を取得していたのです。
フランスではは、ビクター・ウェンバンヤマ(224㎝)、ルディ・ゴベア(216㎝)、そしてジョエル・エンビード(213㎝)のトリプルタワーがみれると大騒ぎになっていましたが、最終的にエンビードが選んだのはアメリカ代表でした。
やはりレブロンやカリーらスーパースターがそろうアメリカ代表に魅力を感じたのでしょうね。
NBAファンとしては、エンビードの選択は喜ばしいものですが、フランスの国民にとってはたまったものではないでしょう。
オリンピックの舞台パリでは、エンビードに対する激しいブーイングが巻き起こるかもしれません。
アメリカ代表のラストピースとして、力を発揮することができるのか?
それともフランス国民からのブーイングで調子を崩してしまうのか?
今回のアメリカ代表でも、特に注目が集まる選手です。
オリンピックでは、初戦で二コラ・ヨキッチ擁するセルビアと戦うアメリカ代表。
二コラ・ヨキッチ対ジョエル・エンビードの世界ナンバー1センター対決が1試合目から観れるなんて、今からワクワクしちゃいますね。
背番号13 バム・アデバヨ
バム・アデバヨ
マイアミ・ヒート 背番号13
1997年7月18日生まれ(27歳)
206㎝ 116㎏
2023-24シーズン スタッツ
71試合出場 19.3得点 10.4リバウンド 3.9アシスト FG52.1% 3P35.7%
NBA通算
489試合出場 15.4得点 8.7リバウンド 3.5アシスト FG54.7% 3P22.1%
2017年のNBAドラフト1巡目全体14位でマイアミ・ヒートに指名され、7シーズンを過ごしてきたバム・アデバヨ。
センターとしては206㎝と高さはないものの、攻守両面でチームの勝利に貢献できるプレイヤーです。
アデバヨの強みはなんといっても抜群の身体能力を生かしたディフェンス。
ゴール下で待ち受けるリムプロテクターとしてだけでなく、ペリメーターまで守れるアデバヨは、新しいタイプのディフェンシブセンターですね。
チームの勝利のためには、自らを犠牲にして汚れ仕事も全力でこなすアデバヨ。
スーパースターがそろうアメリカ代表の中では、貴重な潤滑油になれる選手です。
常に勝利をストイックに追求する〝ヒートカルチャー″を体現するアデバヨは、東京オリンピックにも出場し金メダル獲得に貢献しています。
現代のドリームチームで挑む今回のパリオリンピックでも、勝利のために全力で戦ってくれることでしょう。
決して派手な選手ではありませんが、優勝のためには欠かせないプレイヤーだと思います。
残念ながら欠場となった選手
残念ながら欠場となってしまったカワイ・レナード。
書いていた記事を消すのもしのびないので、「残念ながら欠場となった選手」の欄にまとめました。
この項目に、選手が増えないことを祈ります。
エンビード、大丈夫かなあ・・・
背番号8 カワイ・レナード
カワイ・レナード
ロサンゼルス・クリッパーズ 背番号2
1991年6月29日生まれ(33歳)
201㎝ 102㎏
2023-24シーズン スタッツ
68試合出場 23.7得点 6.1リバウンド 3.6アシスト FG52.5% 3P41.7%
NBA通算
696試合出場 20.0得点 6.4リバウンド 3.0アシスト FG49.9% 3P39.1%
2011年のNBAドラフト1巡目全体15位でインディアナ・ペイサーズに指名され、直後にサンアントニオ・スパーズにトレードされデビューしたカワイ・レナード。
今回のバスケアメリカ代表発表で、わたくしリトルが1番驚いた選手ですね。
静かなる男レナードが、アメリカの国旗を背負って戦う姿は想像できませんでしたから。
当初パリオリンピック代表として11人が発表され、残る一人は後日発表とされていましたが、SNS上ではレナードの名前が多くあがっていました。
ただ、「膝のケガで欠場を続けているレナードが出るわけないじゃーん」と思っていたわたくしリトルは、ユニフォームを渡されてはにかむレナードの動画をみて、椅子から転げおちそうになりましたね(笑)。
健康体のレナードであれば、国際大会に挑むチームにとって、もっとも信頼できる選手になるでしょう。
得点力が高く、アウトサイドシュートも正確。
相手国のエースをシャットアウトできる、最強のディフェンス。
そして大事なクラッチタイムで活躍できるハートの強さ。
勝利のために必要なすべての要素を持ち合わせている、ヘッドコーチからみれば理想的な選手です。
問題は膝のケガだけですね。
オリンピックの舞台で躍動し、金メダルを胸にはにかむレナードの姿を、ぜひ観たいと思います。
日本時間7月11日「カワイ・レナード離脱」の記事を読んだときは「またケガしちゃったの?」と心配な気持ちが強かったのですが、どうやらスクリメージ(練習試合)のプレーをみて、所属するロサンゼルス・クリッパーズからストップがかかった様子。
大きなケガをしたわけではないと知って、安心しました。
これまでのカワイを知っているファンからしたら「そりゃまあ、そうだろなあ・・・」というところです。
NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルの中でも「ケガのイメージが強いスター選手と言えば」という問いに、まず名前が出てくる選手ですからね。
アメリカ代表に選出された瞬間からこうなるだろうなと、わかっていた気がします。
カワイには、しっかり休んで新アリーナ「インテュイットドーム」で迎える2024-25シーズンにそなえてほしいと思います。
できれば全力でアメリカ代表を応援してほしいですね。
まとめ
今回はパリオリンピック男子バスケアメリカ代表に出場する、12名の選手について語ってきました。
しばらく封印されていた「ドリームチーム」という呼び名を、復活させてもいいのではと思わせる豪華な顔ぶれですね。
なんといっても〝キング″レブロン・ジェームズの参戦が、他のスター選手たちに火をつけたと思います。
ステフィン・カリーが、35歳にして初めてのオリンピックに挑むことも、今回のアメリカ代表を特別なものにしていますね。
あまりにも豪華な布陣で、ヘッドコーチのスティーブ・カーがどういうスタメンを組んでくるのか楽しみです。
カーHCはおおいに頭を悩ませるでしょうが(笑)。
わたくしリトルとしては、スターティング5を固定するのではなく、相手に合わせて毎回違う5人がスターターとなる方が、良い結果が生まれるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?
初代ドリームチームの時は、マイケル・ジョーダンのみ全試合先発出場しましたが、大学生のクリスチャン・レイトナーと、ケガで8試合中4試合しか出場できなかったジョン・ストックトンを除く9選手は、スターターを分け合っていました。
もちろん、当時はアメリカと他の国との力の差が大きかったため、誰が出ても圧勝だった事実はあります。
世界との差が縮まってきてからは、アメリカ代表も基本的にスターティング5とベンチメンバーを、明確に分けて起用することが多くなっていました。
ただ、今回は実力も実績もある、スーパースターたちが多く参戦しています。
チームの潤滑油になれるディフェンスのスペシャリスト、ドリュー・ホリデ―とバム・アデバヨ、そしてデリック・ホワイトも、強豪国との戦いにはきっと必要になるでしょう。
相手チームの強みを消すための選手起用が、コーチ陣には求められます。
高齢な選手が多いことも、毎試合スターターを入れ替える必要性を大きくしています。
以前のオリンピックに比べ試合数は少なくなっていますが、フィジカルの強い国際大会は、身体的にも精神的にも負担は大きいはずです。
選手のモチベーションを高めるためにも、試合ごとのスターター決定を、カーHCにはお願いしたいですね。
選手たちが世界最高であることは間違いないので、スター選手たちを最大限に生かす、世界最高の戦術をみせてほしいと思います。
コロナの影響で東京オリンピックが1年延期となったため、「もうオリンピック?」と正直ピンときてなかった今年のパリオリンピックですが、バスケアメリカ代表のメンバー発表から、ワクワクが止まらなくなりました。
世界中のスター選手との戦いが今から楽しみです。
もちろん日本代表にも大いに期待しています。
「バスケがしたい」と日本に帰ってくる渡邊雄太選手が本気で臨むオリンピックですからね。
今年の夏は、オリンピックを、バスケットボールを、存分に楽しみましょう!