久しぶりにドリームチームを形成したアメリカ代表。
レブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、ケビン・デュラント・・・・
NBAのスーパースターたちが、アメリカの金メダル獲得のために集結しました。
ただ今回のパリオリンピック、世界中から最も注目をあつめる選手はアメリカ代表ではなく、フランスの代表にいるこの選手でしょう。
ビクター・ウェンバンヤマ。
224㎝(オリンピック登録は219㎝ですが)、95㎏のオールラウンダー。
NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルも、こんな選手みたことありません。
今回のオリンピックの開催地フランスチームはビクター・ウェンバンヤマとルディ・ゴベア(216㎝)のツインタワーで、初の金メダルを狙っています。
今回はわれらがホーバスジャパンと2戦目でたたかうフランス代表について、ウェンバンヤマほかNBA選手を中心に語ります。
日本がフランスを倒すことはできるのかも考察してみましょう。
それではレッツラゴー!
2024 フランス代表の現在
開催国枠でオリンピックの出場権を早々に獲得していたフランス。
ただ現在の世界ランキングは9位と順位を落としています。
昨年のバスケワールドカップでは、1stラウンド初戦でカナダに30点差で完敗すると、2戦目ではラトビアに残り37秒で逆転負け。
優勝候補にもあげられていたフランスは1stラウンドを勝ち上がれず、屈辱の順位決定戦にまわり、最終順位は日本より1つ上の18位となっています。
前回の東京オリンピックで銀メダルを獲得したフランスでしたが、主力の高齢化もあり、やや勢いを失いつつある状態でした。
そこに現れたのが、エイリアンの異名をもつ、ビクター・ウェンバンヤマ。
今回のパリオリンピックで金メダルを獲得するため、満を持してフランス代表に加わると、親善試合では異次元の活躍をつづけています。
2023-24シーズン最優秀守備選手賞を獲得したルディ・ゴベアと、得票数2位だったウェンバンヤマの強力ツインタワーは、ディフェンス3秒ルールのない国際試合では強力な武器となるでしょう。
フランスは東京オリンピックの銀メダルをこえる、初の金メダルを目指しています。
パリオリンピックフランス代表 メンバー一覧
パリオリンピックに出場するフランス代表の12人のメンバーをまとめます。
所属チームは昨シーズンプレーしたチームです。
2024パリオリンピック フランス代表
1 フランク・ニリキナ(シャーロット・ホーネッツ※)PG 193㎝
5 二コラ・バトゥーム(フィラデルフィア・76ers)SF/PF 203㎝
6 アンドリュー・アルビシ(グラン・カナリア)PG 178㎝
7 ガーション・ヤブセレ(レアル・マドリード)PF 203㎝
8 イサイア・コルディニエ(ヴィルトゥス・ボローニャ)SG 197㎝
10 エバン・フォーニエ(デトロイト・ピストンズ)SG/SF 198㎝
12 ナント・デ・コロ(LDLCアスヴェル)PG/SG 196㎝
99 ビラル・クリバリー(ワシントン・ウィザーズ)SF 198㎝
26 マティアス・ルソー(パナシナイコス)C 206㎝
27 ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)C 216㎝
32 ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)C 224㎝
85 マシュー・ストラゼル(ASモナコ)PG 182㎝
※ニリキナはシーズン中にホーネッツを解雇され、来シーズンにむけてKKパルチザン(セルビア)と契約を結んでいます。
NBA選手6人に加え、ナント・デ・コロ、ガーション・ヤブセレのNBA経験者もいるフランス代表。
ガード陣がやや弱いものの、インサイドのディフェンス力は出場チーム中ナンバー1かもしれませんね。
正直優勝するにはウェンバンヤマの異次元の活躍が必要になるかとは思いますが、国際大会で実績を残してきたベテラン選手も多く、あなどれないチームです。
パリオリンピック フランス代表主力選手
背番号32 ビクター・ウェンバンヤマ
まずはフランス代表のみならず、世界中から注目されるビクター・ウェンバンヤマについて語ります。
ビクター・ウェンバンヤマ(サンアントニオ・スパーズ)
センター
224㎝ 95㎏
2004年1月4日生(20歳)
2023-24 71試合出場(先発71試合)
21.4得点 10.6リバウンド 3.9アシスト FG46.5% 3P32.5%
2023-24シーズン、NBAを席巻したビクター・ウェンバンヤマ。
身長224㎝、95㎏の細身な身体に、244㎝のウイングスパン(両腕を広げた長さ)をもつウェンバンヤマは、攻守に大活躍し、満票で新人王に輝きました。
NBAデビューを控えていたため昨年のバスケワールドカップは不参加だったウェンバンヤマですが、地元で開催されるパリオリンピックで待望のフランス代表デビューをかざります。
ウェンバンヤマ NBAデビューまで
コンゴ出身で走り高跳び、走り幅跳び、三段跳びを専門とした陸上選手の父、元プロバスケットボール選手で指導者として活躍する母をもつウェンバンヤマは、フランスのル・シェネで生まれました。
ちなみに父が身長198㎝、母は身長191㎝だそうです。
姉と弟もプロバスケットボール選手とスポーツ一家に生まれたウェンバンヤマは、母がコーチをつとめる地元のユースチームでプレー。
9歳の時になんと身長が180㎝もあったことから、地元のプロチームナンテール92から声がかかり、10歳の時にユース契約をむすびます。
15歳でフランストップリーグでプロデビューすると、16歳の時にリトアニアで行われたアディダス・ネクストジェネレーションズ・トーナメントにナンテールのU-18チームで出場。
大会平均15.8得点 12リバウンド 2.8スティール 6ブロックを記録し、一躍注目を浴びます。
その後ナンテール92を退団し、アスヴェル・バスケット、メトロポリタンズ92とチームを渡り歩きながら活躍を続けたウェンバンヤマ。
ドラフト資格を満たす19歳となった2023年、満を持してNBAドラフトにエントリーしたのです。
ウェンバンヤマ スパーズへ
レブロン・ジェームズ以来の逸材と言われるウェンバンヤマの指名権を獲得したのは、サンアントニオ・スパーズ。
名将グレッグ・ポポビッチヘッドコーチ率いるスパーズは、1998-99シーズンにデビッド・ロビンソン&ティム・ダンカンのツインタワーで初めてのNBAファイナル制覇を果たし、その後4度の優勝をかざった名門チームです。
2018-19シーズンを最後にプレーオフ出場がなかったスパーズは、ここ数年若手の育成に力を入れていましたが、明らかに戦力不足の状態でした。
大物FAを獲得することなくドラフト指名した若手をきたえていったのは、今考えるとウェンバンヤマが挑む2023年のNBAドラフトに照準を合わせている動きだったんですね。
スパーズは見事にドラフト1位指名権を引き当て、怪物ルーキーを中心にチームを再構築することとなりました。
スーパースターは、行くべきチームに行くんですねえ。
ジョーダンが大都市シカゴに行き、レブロンが地元のクリーブランドに行ったように。
ドラフトの上位指名権を持っているチームの中で、チームビジョンがしっかりしていて、ヘッドコーチが素晴らしく、ウェンバンヤマの成長をもっとも期待できるのは、間違いなくサンアントニオ・スパーズだったと思います。
ウェンバンヤマ 2023-24シーズンの活躍
224㎝ 95㎏とヒョロヒョロに見えるウェンバンヤマ。
フランスリーグの時もケガでの離脱をくり返していたため、ポポビッチHCはルーキーシーズンのウェンバンヤマを休ませながら使うんだろうな・・・と思っていました。
しかし終わってみるとレギュラーシーズン82試合のうち71試合に先発出場。
1試合平均29.7分の出場で、21.4得点 10.6リバウンド 3.9アシスト 1.2スティールに、リーグトップとなる3.6ブロックを記録する、圧巻のスタッツを残しました。
10年に1人の逸材といわれ、NBAデビュー前から期待値が爆あがりしていたウェンバンヤマですが、あっさりと期待をこえる結果を残し、満票で新人王に輝いています。
正直ルーキーシーズンから、ここまでやってくれるとは思ってもいませんでした。
以前「リトル史上最高のルーキーは誰だ!シャック?ダンカン?ウェンバンヤマ?」という記事を書いたのですが、NBAを35年間観つづけているわたくしリトルにとって、最も衝撃を受けたルーキー、シャキール・オニールと同じくらいのインパクトを受けましたね。
ウェンバンヤマの凄さは身長224㎝、ウイングスパン244㎝という圧倒的なサイズを感じさせない、スキルの高さです。
スピードがありシュート力も高い上に、ステップバックの3ポイントシュートや、超絶ドリブルテクニックなど、ガードのようなスキルをもっています。
一瞬のすきをみつけて繰り出すノールックパスでも、何度も会場をわかせました。
もちろん高さを生かしたアリウープなど、インサイドでも支配的な活躍をみせています。
ただウェンバンヤマの真骨頂は、圧倒的な高さとスピード、相手の動きを読むセンスを駆使したディフェンスです。
インサイドでは高さで相手を圧倒。
スイッチでガードの選手とマッチアップしてもスピードで穴になることはなく、ドライブされてもフィニッシュでは後ろからチェイスダウンブロックを何度もかましていました。
最優秀守備選手賞のゴベアとウェンバンヤマがならぶフランス代表のインサイドは、対戦相手にとって悪夢ですね。
なんといっても、国際大会ではディフェンス3秒ルールがありませんから。
特に日本のように身長の低いチームにとっては、圧倒的な高さをほこるフランスは厳しい相手になるでしょう。
ウェンバンヤマの弱点
圧倒的な実力をほこるウェンバンヤマですが、まったくつけ入る隙がないかといえば、そんなことはありません。
日本がつくべきウェンバンヤマの弱点とは・・・
ずばり「アウトサイドシュートに固執しがち」というところです。
レイザーラモンRGみたいになっちゃいましたが(笑)。
ウェンバンヤマはスキルが高いため、ステップバックの3ポイントシュートなど、楽々と打つことができます。
ただルーキーシーズンの3ポイントシュート成功率は32.5%と決して高くありません。
それでも時々アウトサイドからのシュートに固執し、入らないシュートを連発することがあるのです。
日本はウェンバンヤマがインサイドでボールをもらった時はすかさずダブルチームでプレッシャーをかけ、アウトサイドでボールを持った時には絶対に平面で抜かれないようプレッシャーをかける必要があります。
ウェンバンヤマが「しつこいなあ、もうシュート打っとけ」と思ったらこっちのもんなんですが・・・。
ダブルチームにいったら空いてる味方にすごいパスだすしなあ。
平面でも抜いてくるしなあ。
もうひとつ、あえて弱点をあげるとすれば、フィジカルがまだ弱いというところですね。
シーズン中に八村塁選手がマッチアップしたときは、ウェンバンヤマを押しこむ場面が多かったです。
まだ身体の線がかなり細いですから。
ウェンバンヤマの弱点はそれくらいですかねえ・・・。
とにかくアウトサイドのウェンバンヤマはそんなに怖くないぞ、と思っておきましょう。
自分でもわかっているとは思いますが。
とにかくパリオリンピックの男子バスケットボールで主役になるであろうビクター・ウェンバンヤマ。
バスケを知らない多くの日本の人たちにも、ぜひ観てほしい選手です。
背番号27 ルディ・ゴベア
ルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
センター
216㎝ 117㎏
1992年6月26日生(32歳)
2023-24 76試合出場(先発76試合)
14.0得点 12.9リバウンド 1.3アシスト FG66.1% 3P0.0%
NBA通算 757試合出場(先発665試合)
12.7得点 11.8リバウンド 1.3アシスト FG65.5% 3P0.0%
今シーズン(2023-24シーズン)、ミネソタ・ティンバーウルブズの快進撃に大きく貢献し、4回目となる最優秀守備選手賞を受賞したルディ・ゴベア。
216㎝ 117㎏の巨体ながら、軽やかなステップでブロックショットをくり出すゴベアは、NBA最強のディフェンシブビッグマンと呼ばれています。
ゴベアといえば相手のピック&ロールに対してのドロップディフェンスに定評がありますが、プレーオフ1回戦のサンズとの戦いでは、スイッチディフェンスにも対応し、評価を高めました。
すばらしいシーズンを終えオリンピックに挑むゴベアですが、1年前の今頃は、かなり厳しい状況にいました。
ゴベア ユタ・ジャズ時代
2013年のNBAドラフト1巡目全体27位でデンバー・ナゲッツに指名され、トレードされたユタ・ジャズでNBAデビューをはたしたゴベアは、2年目の後半から先発センターに定着。
2016-17シーズンにはブロック王に輝き、オールNBA2ndチームに選出されるなどディフェンダーとして頭角を現すと、2017-18シーズンには最優秀守備選手賞を受賞、NBA最強のディフェンダ―として確固たる地位をきずきます。
2017年のドラフト1巡目全体13位で加入したドノバン・ミッチェルとのコンビは、ユタ・ジャズ躍進の原動力となりました。
ゴベアは2018-19シーズン、2020-21シーズンも最優秀守備選手賞を受賞。
2017年から2022年まで毎年オールディフェンシブ1stチームに選出され、NBAで最強のデイフェンシブセンターとして誰もが認知する存在となります。
個人として評価を高めていったゴベアですが、チームはなかなか優勝争いには加われず。
毎年50勝前後を記録し、プレーオフに進むジャズでしたが、カンファレンスセミファイナルの壁を破れませんでした。
ゴベア トレードでウルブズへ
2021-22シーズン、49勝33敗でプレーオフに進みますが、1stラウンドでダラス・マーベリックスに2勝4敗で敗れると、ジャズのフロントはチームの解体を決意します。
ルディ・ゴベアをミネソタ・ティンバーウルブズへ、その後エースのドノバン・ミッチェルもクリーブランド・キャバリアーズへ放出。
この時のトレードで、ゴベアはアメリカ中からきびしい目を向けられるはめになったのです。
ジャズとウルブズのトレード内容は・・・。
ウルブズ獲得
ルディ・ゴベア
ジャズ獲得
パトリック・ベバリー
マリーク・ビーズリー
ジャレッド・バンダービルト
レアンドロ・ボルマロ
ウォーカー・ケスラー交渉権
ドラフト1巡目指名権×4(2023 25 27 29)
ドラフト指名権交換権(2026)
圧倒的なディフェンス力を誇るものの得点力のないゴベアを獲得するため、多くの代償をはらったウルブズに、ファンやマスコミは批判をくり返しました。
「史上最悪のトレード」とまで呼ばれたこのトレード(ジャズにとっては最高のトレードでしょうが)によって、ファンのゴベアに対する評価はシビアなものになっていきます。
そんな中でむかえた2022-23シーズン、ゴベアは前年よりスタッツを落としてしまいました。
ルディ・ゴベア スタッツ
2021-22 15.6得点 14.7リバウンド 2.1ブロック
⇩
2022-23 13.4得点 11.6リバウンド 1.4ブロック
4選手に加え、ドラフトで指名したセンターのウォーカー・ケスラー、そして1巡目指名権4つ+指名権交換権まで出して獲得したゴベアが、ウルブズにあたえたインパクトは、わずかなものでした。
それどころかチームのケミストリーを崩壊させるかのような事件までおこしてしまいます。
シーズン終盤の4月9日、対ニューオーリンズ・ペリカンズ戦で、ゴベアはチームメイトのカイル・アンダーソンと口論の上、アンダーソンの胸をなぐる暴挙に出たのです。
球団社長までもがゴベアをはげしく非難する事態となり、ゴベアに対する批判はますます大きくなっていきました。
ウルブズはレギュラーシーズンを42勝40敗とギリギリ勝ち越すと、ウエスタンカンファレンス8位でプレーイン・トーナメントに進出。
なんとかプレーオフに進んだものの、1stラウンドでデンバー・ナゲッツに1勝4敗で敗れ、シーズンを終えました。
ちょうど1年前、ルディ・ゴベアに対するバッシングはかわいそうなほどでした。
ゴベア ウルブズでの活躍
むかえた2023-24シーズン、ミネソタ・ティンバーウルブズでの2年目は、ゴベアにとって名誉挽回のシーズンになりました。
ウルブズは開幕からの10試合を8勝2敗と大きく勝ち越すと、その後も勢いはおとろえず。
56勝26敗と前年より14勝を上積みし、強豪チームがそろうウエスタンカンファレンス3位でプレーオフに進みました。
プレーオフでは1stラウンドでフェニックスサンズを4勝0敗でスウィープ。
カンファレンスセミファイナルでは前年のチャンピオン、デンバー・ナゲッツに最終第7戦で勝利し、4勝3敗でカンファレンスファイナルに進みます。
残念ながらカンファレンスファイナルでは、ドンチッチ&カイリーのコンビを止められず、1勝4敗で敗れてしまいましたが、ウルブズにとって大躍進のシーズンとなりました。
ウルブズが勝利を重ねた原因は、アンソニー・エドワーズの覚醒、絶好調だったカール・アンソニー・タウンズ、ナズ・リードの進化など、たくさんのポイントがあげられますが、もっとも大きかったのがルディ・ゴベア中心のディフェンスが構築されたことでしょう。
ウルブズ1年目は思うようにフィットせず、フラストレーションをためていたゴベアでしたが、2年目になるとチームディフェンスの要として躍動。
4年目のフォワード、ジェイデン・マクダニエルズの成長もあり、ウルブズはリーグナンバー1のディフェンス力をもつチームとなりました。
ウルブズの平均失点はリーグぶっちぎり1位の106.5点。
前年の平均失点がリーグ13位の115.8だったことからも、チームディフェンスが飛躍的に向上したことがおわかりいただけるかと思います。
ちなみにゴベアのスタッツは・・・
ルディ・ゴベア スタッツ
2022-23 13.4得点 11.6リバウンド 1.4ブロック
⇩
2023-24 14.0得点 12.9リバウンド 2.1ブロック
76試合に出場、平均出場時間は34.1分と、前年の30.7分から大きくのばしています。
クリス・フィンチHCからの信頼を勝ちとった証ですね。
ゴベアは個の力だけではなく、チーム全体のディフェンスシステムを変えてしまうほどの力をもっていました。
ウルブズフロントが、莫大な代償をはらってでもゴベアを獲得した理由がそこにあります。
「史上最悪のトレード」が「よいトレードだった」と言われるまでには、まだあと何年も優勝争いを繰り広げないといけないでしょう。
いや、優勝しないことには、まだまだ叩かれつづけるかもしれません。
フランス代表においても、ディフェンスシステムはゴベアが中心となります。
NBAとちがいディフェンス3秒ルールのない国際大会では、ゴベアがゴール下で待ち構えることで相手のドライブをふせぐことができます。
日本の場合、マッチアップするジョシュ・ホーキンソンが高確率で3ポイントシュートを決められるため、できるだけ外にゴベアを引きずりだしたいところですね。
インサイドでは最強のディフェンダーゴベアも、アウトサイドに引きだされると、グッドディフェンダーになっちゃいますから。
正直インサイドでは逆立ちしても勝てないと思います。
ゴベア相手に河村選手のドライブが通用するのか、みてみたい気もしますが。
背番号99 ビラル・クリバリー
ビラル・クリバリー(ワシントン・ウィザーズ)
スモールフォワード
198㎝ 88㎏
2004年7月26日生(20歳)
2023-24 63試合出場(先発15試合)
8.4得点 4.1リバウンド 1.7アシスト FG43.5% 3P34.6%
2023年のNBAドラフト1巡目全体7位でインディアナ・ペイサーズに指名され、トレードでワシントン・ウィザーズに移籍しNBAデビューしたビラル・クリバリー。
NBA入りする前は、フランスのメトロポリタンズ92でビクター・ウェンバンヤマのチームメイトでした。
身体能力が高く、ハンドラーとしても優秀なクリバリー。
高いディフェンス力も大きな武器となっています。
ルーキーシーズンは主にベンチからの出場ながら、平均27.2分の出場時間をあたえられ、8.4得点 4.1リバウンド 1.7アシストと、まずまずのスタッツを残しました。
数字以上に目立ったのが、身体能力を生かしたディフェンス。
平均0.9スティール 0.8ブロックの記録以上に、アグレッシブなディフェンスが光っていました。
正直ドラフト1巡目全体7位指名と考えるとものたりないところもありますが、まだ19歳(今年の7月26日で20歳)であることを考えると、伸びしろは無限大だと思います。
所属するワシントン・ウィザーズがリーグ最下位を争う状態のため、注目はされませんでしたが、パリオリンピックで活躍することがあれば、一気に能力が開花してもおかしくない選手です。
フランスは未来のスター選手が次々に出てきています。
今年のドラフトではドラフト1巡目全体1位(ザカリー・リザシェイ :ホークス)、2位(アレックス・サー :ウィザーズ)、6位(ティジャン・サローン :ホーネッツ)と、10位指名までに3人もフランス人が入っていますから、数年後の国際大会はフランスが世界中を席巻しているかもしれませんね。
背番号5 二コラ・バトゥーム
二コラ・バトゥーム(フィラデルフィア・76ers)
スモールフォワード/パワーフォワード
203㎝ 104㎏
1988年12月14日生(35歳)
2023-24 60試合出場(先発38試合)
5.3得点 4.1リバウンド 2.1アシスト FG45.3% 3P39.5%
NBA通算 1053試合出場(先発863試合)
10.4得点 5.0リバウンド 3.3アシスト FG43.7% 3P36.6%
NBA16シーズン目を戦い終えたバトゥーム。
チームの潤滑油として、オフェンス・ディフェンスでハイレベルなプレーをみせてきました
決して派手な選手ではないですが、大事な場面で正しいプレーができる、いぶし銀のオールラウンドプレイヤーです。
今シーズンは3ポイント成功率が39.5%と、高確率でゴールを射抜いています。
攻守に地味な正しいプレーを続けるバトゥームはまさに「チームの接着剤」といえる存在ですね。
ただ数字に現れないチームへの貢献をつづけてきたバトゥームですが、35歳となり衰えがみえてきたのも事実です。
昨シーズン、開幕直後にジェームズ・ハーデンのトレードにまきこまれ、ロサンゼルス・クリッパーズからフィラデルフィア・76ersに移籍。
エースのジョエル・エンビードがケガで長期離脱する中、チームに必要なプレーを泥くさく積み重ね、76ersのイースタンカンファレンス7位に貢献しました。
フランス代表でも長年活躍をつづけてきたバトゥームですが、この夏のパリオリンピックを最後に代表でのプレーを引退することを公表しています。
最後に優勝という大輪の花を咲かせてほしいですね。
ウェンバンヤマやクリバリーに、これまでの経験のすべてを伝えてほしいと思います。
NBAの引退もほのめかしていますが、まだやれると思うんですがねえ・・・。
背番号10 エバン・フォーニエ
エバン・フォーニエ(フィラデルフィア・76ers)
198㎝ 93㎏
1992年10月29日生(31歳)
2023-24 32試合出場(先発0試合)
6.9得点 1.8リバウンド 1.5アシスト FG35.7% 3P25.4%
NBA通算 704試合出場(先発504試合)
13.6得点 2.7リバウンド 2.5アシスト FG44.1% 3P37.4%
長年フランス代表のエースとしてチームを牽引してきたエバン・フォーニエ。
制度の高い3ポイントシュートを武器に、優秀なスコアラーとしてNBAの世界でも活躍をつづけてきました。
しかしここ数シーズンは、非情に厳しい状況におかれ、苦しんでいます。
2012年のNBAドラフト1巡目全体20位でデンバー・ナゲッツに指名されNBAデビューを果たすと、3年目の2014-15シーズン開幕前にオーランド・マジックに移籍し、才能が開花。
弱小マジックをスコアラーとして牽引し、2018-19、2019-20シーズンには、チームをプレーオフに導いています。
しかし2020-21シーズン途中にボストンセルティックスへ移籍、シーズン後にニューヨーク・ニックスへ移籍すると、ディフェンスの弱さが際立つようになり、徐々に出場時間が減らされ、干されてしまう状況になりました。
2022-23シーズンは出場わずか27試合、平均17.0分の出場にとどまります。
プレーできるチームへの移籍を希望しましたが、思いは叶わず。
やっとニックスを脱出できたのは、2024年トレードデッドライン。
新しいチームは、リーグ最低勝率のデトロイト・ピストンズでした。
ピストンズは若手を中心にチームを再建中。
ここでもフォーニエの出番はあたえられず、平均18.7分しかプレーさせてもらえませんでした。
NBAの中でエバン・フォーニエは苦しい立場においこまれています。
今回のオリンピックで活躍をみせ、FAで契約してくれるチームが現れるのか。
フォーニエは今、岐路に立っています。
日本がフランスに勝利するには
日本がパリオリンピック2戦目で戦うフランス代表。
正直、日本が勝利する確率はかなり低いと言わざるをえません。
昨年のバスケワールドカップ開幕前に強化試合で対戦したときには、70-88で敗れた日本。
今回のオリンピックフランス代表には、昨年バスケワールドカップに出場していなかった20歳の若手、ビクター・ウェンバンヤマとビラル・クリバリーが加わりますから、さらに戦力差は大きくなっているでしょう。
ジャイアントキリングが起きにくいバスケットボールという競技の性質上、かなり厳しい戦いになると思います。
ただ、今の日本代表は、なにかやってくれそうな雰囲気をビシビシ感じるんですよね。
昨年バスケワールドカップで日本中を興奮の渦に巻きこんだメンバーに、レイカーズで主力の八村塁選手が加わったチームが、どんな化学反応を起こすのか、本当に楽しみです。
八村選手がウェンバンヤマをフィジカルで圧倒し、アウトサイドに追い出し、ホーキンソンが3ポイントシュートを決めつづけゴベアを外につり出す。
クリバリーのドライブにしっかり平面でついていき、キックアウトのパスに反応する。
リバウンドは基本に忠実に全員でブロックアウト。
高さで奪われる分は仕方ない。
攻撃は速攻とキックアウトからの3ポイントを確実に決める。
とにかく3ポイントを奇跡的に決めきる。
1点を争う中、八村選手がドライブからブロックに飛んだウェンバンヤマを吹っ飛ばしてバスケットカウント・・・
なんてドラマのようなことが起これば、号泣する自信があります。
とにかく日本国民全員で祈りましょう。
あきらめたら、そこで試合終了ですから。
まとめ
今回は、地元でのオリンピックに最強チームを送りこんできたフランス代表についてかたりました。
本当はここにジョエル・エンビードが加わっているかもしれなかったんですがね。
ギリギリでアメリカ代表入りを選択したエンビードには、パリでの大ブーイングが待っているでしょう。
エンビード、ゴベア、ウェンバンヤマのトリプルタワーを観てみたかったですねえ。
日本代表対フランス代表は、7月31日 (水)0時15分からNHK総合で放送されます。
全身全霊で、日本代表を応援しましょう!
NBAファンとしては、ウェンバンヤマのプレーもちょっとだけ楽しみましょう(笑)。