いやあ驚きましたね。
最初にSNSでニュースが流れてきたときは、完全にフェイクニュースだと思っていました。
現地時間2026年3月10日、ワシントン・ウィザーズ vs マイアミ・ヒートの一戦で、バム・アデバヨがNBA歴代2位となる、1試合83得点を記録しました。
最強格のディフェンダーであり、身体能力には定評があるものの、スコアラーのイメージはあまりなかったアデバヨ。
まさか彼が得点でNBAの歴史に残るとは思いませんでしたね。
NBAの長い歴史の中で、1試合最多得点記録は1962年3月2日、フィラデルフィア76ers vs ニューヨーク・ニックス戦で、76ersの怪物ウィルト・チェンバレンが記録した1試合100得点です。
伝説のセンターチェンバレンは数々の信じられないような個人記録を残していますし、わたくしリトルも生まれる前の記録なので、ちょっと別物として、ファンの多くは歴代2位の記録に思い入れがあったと思います。
今回歴代2位から3位となったのは、2006年1月22日、トロント・ラプターズ戦でコービー・ブライアントが記録した1試合81得点。
今は亡きカリスマ、コービー・ブライアントへの思いが強いファンからは、アデバヨに対するバッシングまで起こる大騒動になっています。
今回は話題の人となったバム・アデバヨについて、そしてコービーの81得点ゲームとアデバヨの83得点ゲームについても語っていきたいと思います。
それでは、レッツラゴー!
バム・アデバヨ 基本情報
基本情報
本名:イドリス・フェミ・アデバヨ
サイズ:206㎝ 116㎏
ポジション:センター
所属:マイアミ・ヒート
ドラフト:2017年1巡目14位
出身校:ケンタッキー大学
生年月日:1997年7月18日(28歳)
出身地:ニュージャージー州ニューアーク
受賞歴
NBAオールディフェンシブ1stチーム(2024)
NBAオールディフェンシブ2ndチーム×4(2020-23)
NBAオールスター×3(2020 23 24)
オリンピック金メダル×2(2021東京 2024パリ)
現在NBA9シーズン目を戦っているバム・アデバヨ。
受賞歴をみてもわかるように、NBAトップクラスのディフェンダーです。
センターとしては206㎝と高さはないものの、強靭な肉体と圧倒的な身体能力で、ゴール下を支配しています。
ディフェンス力が評価され、2021年の東京オリンピック、2024年のパリオリンピックと、2度のオリンピックで金メダルも獲得しているエリートプレイヤーですね。
ベテランの風格があるアデバヨですが、まだ28歳。
まだまだ成長の余地があるアスリートです。
バム・アデバヨ スタッツ
バム・アデバヨ 通算スタッツ
627試合(うち523試合先発) 30.7分出場
16.1得点 8.9リバウンド 3.5アシスト 1.1スティール 0.8ブロック
FG52.5% 3P31.8% FT75.8%
アデバヨの通算スタッツをみると、飛びぬけた数字はありません。
平均得点も特別なものではありませんし、守護神としてはスティールやブロックの数字も並みです。
ただ試合を観てみると、アデバヨの影響力が大きいことは明らかです。
ビッグマンとしてはトップクラスのスピードと身体能力で、常にディフェンスで相手にプレッシャーをかけ、イージーショットを許しません。
相手がスイッチをくり返しても、ミスマッチを作らせないアデバヨは、マイアミ・ヒートにとってまさに守備の要といえるでしょう。
得点面ではこれまでやや物足りない印象はあるものの、スターター定着後は平均18点~20点をコンスタントに記録。
主にインサイドで得点を重ねていましたが、昨シーズンからはそれまでほとんど打たなかった3ポイントシュートを武器に取り入れ、攻撃の幅を増やしています。
昨シーズンは3ポイントシュートを1試合平均2.8本放ち、1.0本成功(35.7%)していますが、今シーズンは平均5.3本の試投とほぼ倍増。
ただ成功率は32.3%(1.7本成功)と決して高くはありません。
ディフェンス力はトップクラスですが、オフェンス力は並。
今までのアデバヨは、そんなイメージでした。
バム・アデバヨの83得点ゲーム
現地時間3月10日に行われたワシントン・ウィザーズ戦で、マイアミ・ヒートは150-129で勝利しましたが、ヒートの150点のうち83点は、アデバヨがあげたものでした。
この試合のスタッツは・・・
42分出場 83得点 9リバウンド 3アシスト 2スティール 2ブロック
FG46.5%(20/43) 3P31.8%(7/22)FT83.7%(36/43)
正直歴代2位の得点記録をつくった割には、シュート成功率が低いことがおわかりいただけるかと思います。
フィールドゴール成功率は、自身の平均よりも低く、3ポイントシュートも決して高いとはいえません。
ただ確率の低さを補ったのがフリースロー。
フリースロー試投数の43本は、これまでドワイト・ハワードが持っていた1試合最多フリースロー試投数のNBA記録39本を大きく超える新記録。
フリースロー成功数の36本は、ウィルト・チェンバレンとエイドリアン・ダントリーが持っていた1試合最多フリースロー成功数のNBA記録28本を、こちらも大きく更新しています。
今回のアデバヨの大記録について、コービーファンたちが文句を言っているのは、フィールドゴール成功率の低さ
と、フリースローの異常な多さによるところが大きいのでしょう。
ただこの日のアデバヨはアンストッパブルでした。
ウィザーズの選手たちは、とにかくファールでないと、アデバヨを止めることができなかったのです。
スタッツだけを見ると「フリースローもらいすぎだろ」と考えてしまうかもしれませんが、試合をみるとこの日のアデバヨが圧倒的だったことがおわかりいただけるでしょう。
決してレフェリーが忖度してファールコールしたわけではありませんし、ウィザーズの選手たちがディフェンスで手を抜いていたわけでもありません。
むしろなんとしてもアデバヨを止めようと、全力でディフェンスをしていた結果が大量のファールになったのです。
コービー・ブライアントの81得点ゲーム
ちなみに、81得点を記録した現地時間2006年1月22日に行われたトロント・ラプターズ戦でのコービーのスタッツは・・・
41分56秒出場 81得点 6リバウンド 2アシスト 3スティール 1ブロック
FG60.9%(28/46) 3P53.8%(7/13)FT90.0%(18/20)
たしかにシュート成功率はコービーが圧倒的ですね。
コービーのプレースタイルで、フィールドゴール成功率60.9%は驚異的です。
あの試合のコービーはまさにゾーンに入っていました。
ドライブもミドルも面白いように決まり、2006-07シーズン平均34.7%だった3ポイントシュートも、53.8%と高確率で沈めています。
フリースロー試投数はアデバヨの半分以下でありながら、81得点をあげ、レイカーズを勝利に導きました。
このコービーの81得点ゲームが特別なものとなったのは、その試合展開とチームが置かれた状況にあります。
2000年、2001年、2002年と3連覇を果たしたレイカーズから、3年連続ファイナルMVPのシャキール・オニールが去ったのが2004年の夏。
2004-05シーズン、レイカーズは34勝48敗と大きく負け越し、コービーにとっては屈辱ともいえるシーズンとなっていました。
そうしてむかえた2005-06シーズンにコービーは意地の大爆発。
シーズンを通して1試合平均35.4得点をあげ、初の得点王のタイトルを獲得しています。
孤軍奮闘をつづけたコービーでしたが、チームは優勝争いできる状況ではなく、シーズン41試合目のラプターズ戦の前までで21勝19敗。
なんとかチームに勢いをつけたいゲームでした。
第1クオーターからコービーは14得点をあげたものの、ラプターズの猛攻を止めることができず、29-36と劣勢にたったレイカーズ。
第2クオーターもラプターズの勢いは止まらず、前半を終わって49-63と大きくリードを許します。
コービーは第2クオーターで12得点を記録し、前半で26得点。
絶好調なコービーでしたが、チームは大量リードを許し、明らかにイラだっていました。
第3クオーター残り9分23秒には、点差がこの試合最大の18点にまで広がります。
ここからコービーの歴史に残るパフォーマンスが始まるのです。
ジョーダンがゾーンに入ったときは「神」にたとえられましたが、コービーはまさに「鬼」。
敵を喰らいつくす勢いで、次々とゴールを奪い続けます。
第3クオーターだけで15本中11本のシュートを決め切り27得点。
うち3ポイントシュートは5本中4本を成功させました。
第3クオーターを44-22と圧倒したレイカーズは、91-85と6点のリードを奪い最終クオーターに挑みますが、ここでもコービーの勢いは止まらず。
なんとかコービーを止めようとラプターズはファールを重ねますが、コービーは第4クオーターだけでフリースローを13本放ち12本を成功。
勝負どころの第4クオーターだけでラプターズに引導をわたす28得点を記録したコービーは、1試合81得点の記録的な夜を122-104の勝利でかざったのです。
ドライブからのリバースレイアップで始まったコービー・ブライアントのショータイムは、華麗なフェイダウェイ、強烈なダンク、3ポイントシュートと、ありとあらゆるプレーで観客を熱狂させました。
コービーは勝負どころの後半だけで55得点を奪う活躍。
チームを一人で逆転勝利に導いたことで、コービーの81得点ゲームは人々の心に深く印象づけられたのです。
アデバヨの83得点ゲームとコービーの81得点ゲームの関係
ここまでアデバヨの83得点ゲームとコービーの81得点ゲームについて語ってきましたが、みなさんはこの2試合をどのように位置づけていますか?
多くの方がコービーの81得点ゲームを支持していると思います。
シュート成功率、劣勢からの大逆転、そしてコービーのカリスマ性・・・。
確かにあのラプターズ戦でのコービーは、その後の悲劇もあり、いまや伝説となっています。
熱狂的ファンが多いため、コービーの記録を超えられたくなかった人々が、アデバヨにいちゃもんをつけている印象がありますよね。
ただアデバヨが83得点を記録したのは、コービーの81得点があったからこそだと思います。
「81得点」という目標があったからこそ、点差がついてもアデバヨは貪欲にゴールを狙い、エリック・スポールストラHCもベンチに下げることはなかったのです。
NBAのご意見番シャキール・オニールは、アデバヨの83得点ゲームについて「バムは素晴らしかった。うれしく思う」「記録を狙いにいったという人がいるけど、記録は狙うべきだ。子供たちに伝えたい。高校の記録とかそういった類のもので、もし君に‶記録を破るチャンス″が訪れたら、必ず挑戦しろ。歴史を作るチャンスがあるなら、挑むべきだ。バムは挑んだ。それが嬉しいし、その結果83得点を達成したことも本当に喜ばしい」と語っています。
コービーの盟友、シャックのこの言葉がすべてだと思います。
目の前に記録があるから、人はそこを目指すのです。
まあ本当の記録はチェンバレンの1試合100得点ですが・・・。
相手がウィザーズだったことに文句を言っている人もいますが、全チームウィザーズとは当たりますからね。
弱小チームと対戦しても、これまでコービーを超える選手は現れなかったわけで、アデバヨが文句を言われる筋合いはないですよね。
今回のアデバヨに、NBAレジェンドや現役のスーパースターたちは祝福のコメントを贈っています。
実際には試合をみておらず、スタッツやSNSでのコメントを見ただけの人や、たいした実績のない元NBA選手たちがアデバヨをディスっている印象があります。
オルデン・ポリニス、だまっとれ!
とにかく81得点を記録したコービーはもちろん、その記録を20年ぶりに更新したアデバヨも、おおいに祝福されるべきだと思います!
まとめ
今回はバム・アデバヨの83得点ゲームと、コービー・ブライアントの81得点ゲームについて語ってきました。
NBAを37年間観つづけてきたわたくしリトルは、アデバヨの歴史的な活躍に胸を熱くしたのですが、予想どおりアンチも沸いている状況に胸を痛めています。
アデバヨが83得点を決めた現地時間3月10日は、アデバヨの亡き祖母の誕生日。
その祖母は83歳で亡くなったそうです。
もしやアデバヨが狙ったのは、コービーの81得点超えではなく、祖母の年齢だったのかもしれませんね。
数々のドラマが紡がれ生まれた今回の大記録。
間違いなくコービーもアデバヨを賞賛しているでしょう。
‶守護神″アデバヨが自分の記録を抜いたことに、驚いて満面の笑みをうかべるコービーを想像しちゃいますね。

