2025-26シーズンも最終盤に差し掛かり、MVPをはじめ各種アワードの発表が近づいています。
そんな中、注目を集めているのが、2023-24シーズンから導入された「65試合ルール」です。
MVPやオールNBAチームなどの主要個人賞を受賞するためには、レギュラーシーズン全82試合のうち、65試合以上に出場しなければならないというこのルールが、議論の的となっています。
今シーズンは特に、MVP候補となるスーパースターたちの欠場が目立っていますからね。
今回はNBAのアワード受賞要件である「65試合ルール」の是非を考えていきたいと思います。
それでは、レッツラゴー!
NBAの65試合ルールとは
NBAの「65試合ルール」とは、シーズンMVPやオールNBAチームなどの主要な個人賞を受賞する条件として、レギュラーシーズン82試合のうち、最低65試合以上出場しなければならないというルールです。
1試合20分以上出場しないとカウントされません。
そのためケガをしている選手を試合開始の時だけ出場させ、65試合をクリアするといった姑息な手はつかえないのです。
この「65試合ルール」は、2023-24シーズンから導入された新しい制度です。
近年スター選手の行きすぎたロードマネジメント(ケガの予防や疲労軽減のための計画的な欠場)が問題となり、試合の質とファン離れを防ぐためにNBAが制定したのが「65試合ルール」でした。
自分たちのサラリーに直結する個人賞の受賞資格を失うとなれば、選手たちも休んではいられませんから。
当初この「65試合ルール」はファンからはおおむね好評だったように思います。
せっかく観に行った試合で、お目当てのスター選手が私服でベンチに座っていたらガッカリしますもんね。
ケガでもないのにスター選手がロードマネジメントのために試合を休み、ベンチで大騒ぎしていたら腹立たしくもなるでしょう。
特にオールNBAチームやNBAオールディフェンシブチームに選出されるような選手たちは、当然ファンからの注目度も高いスター選手ばかりです。
もしあなたが高いお金を払って、思い切って一生に一回のアメリカ旅行に出かけ、奮発してNBAのチケットをとった試合でお目当ての選手がロードマネジメントのために休んでいたら、どんな気持ちになるでしょうか?
行きすぎたロードマネジメントを防ぐための「65試合ルール」は、ファン目線では、素晴らしいルールであると当初は思っていました。
65試合ルールの問題点
ファン目線では好評だった「65試合ルール」でしたが、今その評価は大きく変わっています。
今シーズン大活躍しているスター選手たちの、ケガによる欠場が増えているためです。
まずはオールスター前にレブロン・ジェームズが18試合目の欠場が決まり、21年連続で選ばれていたオールNBAチームの資格を失いました。
レブロンに続き、スーパースターのステフィン・カリーも膝のケガでアワードの資格を喪失。
その後イースタンカンファレンス首位を走るデトロイト・ピストンズの司令塔で、シーズンMVPの有力候補だったケイド・カニングハムが気胸のために65試合に届かなくなり、ミネソタ・ティンバーウルブズの絶対的エース、アンソニー・エドワーズもアワードの資格を失っています。
今シーズン素晴らしい活躍をみせ、NBAをおおいに盛り上げた選手たちが、65試合に満たないからといった理由だけですべてのアワードの権利を失うのは、あまりにも厳しいという声が高まっているのです。
MVP候補にあげられるほどの圧倒的な活躍をみせながら64試合の出場にとどまった選手がオールNBAから除外され、まずまずの活躍をみせ65試合の出場をはたした選手が、その代わりにオールNBAに選ばれることもありうるのです。
65試合という画一的な線引きが、大きな問題となっています。
問題の極めつけは絶好調レイカーズで大暴れしていたルカ・ドンチッチのケガによる離脱です。
現地時間4月2日のオクラホマシティ・サンダー戦でハムストリングの肉離れを起こし、シーズン残り試合を全休することが決まった時点で、出場試合数はなんと64。
リーグ1位の1試合平均33.5得点を記録し、7.7リバウンド 8.3アシストとオールラウンドな活躍で好調レイカーズを牽引しているドンチッチが、たった1試合の差でアワードの資格を失う危機に瀕しています。
64試合で圧倒的なスタッツを残し、チームの勝利に大きく貢献している選手がオールNBAの資格を失い、その代わりに65試合に出場したまずまずの活躍の選手がオールNBA3rdチームに滑り込むことも現実に起こりうるのです。
「65試合出場」で明確に線を引くことは、あまりにも乱暴だという意見も大きくなっています。
65試合ルール 救済措置 ドンチッチの事例
ただドンチッチの代理人はNBAに対し「特別事情申請」を行う声明を出しています。
ドンチッチは今シーズン中に、スロベニアで第2子の誕生に立ち会うため、2試合を欠場しました。
これがNBAの定めた「特別な事情」にあたると維持申し立てを行ったのです。
65試合ルールはCBAによりルールが決まっています。
CBA(団体交渉協約)とは、NBA(チームオーナー側)とNBPA(選手組合)の間で締結される、リーグ運営のルールを定めた労使協定です。
CBAではサラリーキャップやドラフト、選手契約、トレード制限など、細かく規定されており、65試合ルールについての救済措置も規定されています。
65試合ルール救済措置
1.選手が少なくとも62試合に出場しており、そのうえでシーズン終了となるケガを負い、ケガを負った時点で チームの85%以上の試合に出場している場合。
2. チームが意図的に選手を試合に出さず、受賞資格を失わせたと証明した場合。
3. シーズンの特定の欠場について「特別な状況」により出場不可能であったと選手自身が証明をする場合。
ドンチッチの代理人は、出産に立ち会うために欠場した2試合を、救済措置3の「特別な状況」にあたると申し立てを行ったのです。
個人的な意見を言わせてもらうなら、このドンチッチの出産による2試合の欠場は「特別な状況」に十分当たると思います。
このご時世、出産の立ち合いを「特別な状況」に認めないことは、NBAのイメージ低下にもつながりかねないですからね。
まあドンチッチの場合3月28日のブルックリン・ネッツ戦、今シーズン16回目のテクニカルファウルを宣告されたことによる1試合の出場停止さえなければ、65試合をすでにクリアしているので、自業自得でもあるんですが・・・。
2025-26シーズンのMVPレース
2025-26シーズンのMVPレースは、例年以上のデッドヒートとなっています。
NBAが現地時間4月3日に発表したMVPレースの順位を見てみましょう。
2025-26 MVP予想(4月3日)
1位 ビクター・ウェンバンヤマ(スパーズ)
2位 シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(サンダー)
3位 二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
4位 ルカ・ドンチッチ(レイカーズ)
5位 ジェイレン・ブラウン(セルティックス)
6位 カワイ・レナード(クリッパーズ)
7位 ジェイレン・ジョンソン(ホークス)
8位 ドノバン・ミッチェル(キャブス)
9位 ジェイレン・ブランソン(ニックス)
10位 ケビン・デュラント(ロケッツ)
今シーズン最後のMVP予想が発表された前日、ドンチッチは左ハムストリングを痛めていましたが、その後MRIの結果「グレード2の肉離れ」と発表され、レギュラーシーズンの残りを全休することが発表されました。
残り試合を全休した場合、ドンチッチの今期の出場試合数は64。
前述したように得点王はほぼ確定、レイカーズを好成績に導いたドンチッチですが「65試合ルール」によって、各種アワードの対象からは外れています(特例を申請していはいますが)。
また今年デトロイト・ピストンズの大躍進を牽引したケイド・カニングハムは、つい先日までMVPの有力候補と言われていました。
しかし気胸の診断を受け、すでに18試合を欠場したケイドにはMVPどころかオールNBAチームの資格すらありません。
2シーズン前にNBAの連敗記録を更新する弱さだったピストンズを、超人的活躍でイースト最強チームに引き上げたケイドが、わずか1~2試合足りないだけでMVPはおろかオールNBAチーム入りの資格まで失うのは、どうなんでしょうか?
プレーオフ前にケイドが復帰できたのは朗報ですが、NBA最弱チームをわずか2年でイースタンカンファレンス首位に導いた歴史的な活躍を、アワードという結果でたたえることができなかったのは、あまりにも残念です。
アワードをとれなかったことで、今後のサラリーにも大きく影響がありますからね。
前述したように、今シーズンリーグ3位の平均28.8得点を記録しているアンソニー・エドワーズもアワードの資格を失っています。
本来MVPレースに名前があがるべき選手が、65試合に数試合届かないだけでオールNBAにも選ばれないのは、やはり厳しすぎるのかもしれません。
65試合ルールの改正案
選手の間からも65試合ルールに関してはさまざま意見が出ています。
65試合ルールが制定された原因となった「ロードマネジメント」の代名詞、カワイ・レナードは「リーグにとって、良いことだとは思う。健康な選手がただ休む、ということを防ごうとしているわけだからね。でも、本当にケガをしている選手まで無理にプレーさせるようなルールにしてはいけない。慢性的な痛みを抱えている状態で、無理に1試合のために出場しようとするのは合理的じゃない。結局は、健康な選手がプレーするものだ。そうあるべきだよ」と、意外にも冷静なコメントを出しました。
59試合しか出場できなかったレブロンが、65試合ルールをクリアしたウェンバンヤマよりも総出場時間が長いという事実もあり、出場試合数でくぎることが正しいのかという議論もあります。
ということで、65試合ルールの改正案も出ています。
1. 「総出場時間(2,000分ルール)」の導入
現在の「試合数」ベースだけではなく、シーズンを通じた「総出場時間」も基準にする案です。
- 具体案: 「65試合」または「2,000分(1試合平均30分強×65試合相当)」のどちらかを満たせば資格を付与するという併用案が有力です。
2. 「負傷欠場」と「ロードマネジメント(休養)」の区別
すべての欠場を一律に扱うのではなく、怪我の種類や状況に応じて柔軟に対応する案です。
- 重傷者への救済: シーズン絶望となるような大きな怪我を負った場合、現在の「62試合出場済み」という厳しい免除規定をさらに緩和し、一定の基準を満たせば審査対象とする。
- 第三者委員会による裁定: リーグ、チーム医師、選手会が認める「不可抗力な怪我」による欠場であれば、65試合に届かなくても投票対象に含めるべきだという議論があります。
3.必要な出場試合数の引き下げ(60〜62試合)
そもそも「65試合」という数字が現代のハイペースなゲーム展開に対して高すぎるという意見です。
- 背景: 現代のNBAは運動量が増え、怪我のリスクが高まっています。「60試合(シーズンの約73%)」程度が、真の貢献度を測る上で現実的なラインではないかという提案がなされています。
4. アピール(不服申し立て)期間の設置
規定試合数にわずかに届かない(例:63〜64試合)選手に対し、個別に「正当な理由」を説明できるアピール枠を設ける案です。
- 内容: 家族の事情や不慮の事故など、本人の意思やコンディショニングとは無関係な欠場を考慮に入れ、パネル(コーチやメディア代表者)がそのシーズンの価値を審議する仕組みです。
批判の声が高まっている65試合ルールですが、ケガでもないのにロードマネジメントのために欠場することを防ぐ、一定の効果もみられていることも事実です。
線引きが難しいところですね。
今シーズン終了後、コミッショナーのアダム・シルバーは、どのような判断を下すのでしょうか?
まとめ
今回は、NBAで今注目を集めている65試合ルールについて語ってきました。
今シーズンはレギュラーシーズンで歴史的な活躍をしても、出場試合数が足りずにアワードの資格を逃す選手が続出しています。
選手のいきすぎた休養を防ぎ、かつ実際の活躍度を適正に評価しアワードの対象とできる線引きを、来シーズンからどうするのか、アダム・シルバーの腕のみせどころですね。
ドンチッチの救済措置が認められるのかも、要注目です。
みなさんは、この「65試合ルール問題」について、どう思いますか?
最後までご覧いただきありがとうございました。

