日本時間12月17日、NBAカップ2025決勝戦が行われ、124-113でニューヨーク・ニックスがサンアントニオ・スパーズを下し、NBAカップ3代目王者に輝きました。
第3クオーターを終えて5点ビハインドを背負ったニックスでしたが、最終クオーターに15-3のランで一気に逆転すると、勢いをたもったままスパーズを下し、喜びを爆発させていましたね。
ニックスの選手たちが歓喜の輪をつくる中、一人冷静にスパーズベンチに挨拶に行くジェイレン・ブランソンの姿にしびれました。
すばらしい試合でしたが、ウェンバンヤマが万全な状態のスパーズを観たかったですねえ。
左ふくらはぎの炎症で12試合を欠場したのち、NBAカップ準優勝のサンダー戦で復帰したウェンバンヤマは、圧倒的なインパクトを残し王者サンダーを下したものの、出場制限がある状況。
NBAカップのファイナルでも、ウェンバンヤマはベンチ出場から24分54秒の出場にとどまっています。
全力のウェンバンヤマに立ち向かうニックス戦士たち、という戦いを観たかったのですが・・・。
まあとにかく、すばらしい試合でしたね。
今回はみごとにNBAカップを制したニューヨーク・ニックスについて語っていきたいと思います。
レッツラゴー!
2025-26シーズンのニューヨーク・ニックス
昨シーズンプレーオフカンファレンスファイナルでインディアナ・ペイサーズに敗れたニックスは、主力に頼り切っていたトム・シボドーHCを解雇。
新ヘッドコーチにキャブス、レイカーズ、キングスでヘッドコーチを務めてきたマイク・ブラウンを招聘しました。
ベンチプレイヤーとして実績のあるジョーダン・クラークソンや、インサイドで身体をはれるガーション・ヤブセレらを加え、層が厚くなったニックスは12月21日現在17勝7敗、イースタンカンファレンス2位につけています。
今シーズンのニックスのチームスタッツをまとめると・・・
ニューヨーク・ニックス シーズンスタッツ
17勝 7敗 イースト2位
120.5得点(5位) 111.9失点(5位)
46.1リバウンド(4位) 26.9アシスト(10位)
4.4 ブロック(21位) 8.3スティール(16位)
FG47.6%(12位) 3P37.8%(6位) FT79.8%(10位)
平均得点はリーグ5位、平均失点もリーグ5位、攻守ともにリーグ上位のスタッツを残していることがおわかりいただけるでしょう。
シーズン開幕当初はヒート、バックス、ブルズに3連敗をきっするなどやや不安定な戦いぶりでしたが、その後は勝利をかさね、12月21日現在デトロイト・ピストンズ(勝敗)に次ぐイースタンカンファレンス2位となっています。
トム・シボドーが解雇され、マイク・ブラウンHCとなったことで、主力のプレータイムはやや減少。
今はマイルズ・マクブライドやランドリー・シャメットなどケガをしている選手もいますが、マイク・ブラウンならうまく選手を休ませながらプレーオフに照準を合わせていくでしょう。
シーズン当初はジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズ、OG・アヌノビー、カール・アンソニー・タウンズの不動の4人にくわえ、センターのアリエル・フクポルティ、ミッチエル・ロビンソン、シューティングガードのマイルズ・マクブライド、ランドリー・シャメットらを日替わりでスターターに使っていましたが、やや不安定な戦いぶりでした。
チームに変化が起きたのが11月24日のブルックリン・ネッツ戦。
OG・アヌノビーとランドリー・シャメットがケガで離脱していた試合で、マイク・ブラウンHCは今シーズン初めてジョシュ・ハートをスターターで起用します。
昨シーズンシボドーHCから全幅の信頼をよせられ、出場した77試合すべてでスターターをつとめていたハートは、このネッツ戦で7得点 12リバウンド 7アシスト 2スティール 2ブロックと持ち味のオールラウンダーぶりを発揮し、チームを勝利に導きました。
ネッツ戦以降ハートはスターターに定着し、ニックスは連勝街道を突っ走っています。
ハートがチームの潤滑油となっていますね。
シーズン当初はやや不安定な戦いぶりでしたが、ジョシュ・ハートをスターターに固定したことで、各段に安定感が増しています。
NBAカップ優勝をはたした今、ニックスはノリにのっていますね。
NBAを37年間観つづけているわたくしリトルは、シーズン開幕前の予想で、ニックスをイースタンカンファレンス1位にあげました。
このままシーズンを突っ走って、わたくしリトルの予想が的中することを願います。
ニックス 主力選手紹介
それでは現在ニューヨーク・ニックスの主力として活躍している選手たちを紹介しましょう。
主力の充実度は、リーグトップクラスです。
11 ジェイレン・ブランソン
ジェイレン・ブランソン
188㎝ 86㎏ PG
1996年8月31日生(29歳)
オールスター×2
オールNBA2ndチーム×2
NBA最優秀クラッチ賞(2025)
2025-26スタッツ
23試合 35.1分出場
28.8得点 3.1リバウンド 6.4アシスト
FG48.7% 3P37.6% FT83.8%
いまや誰もが認めるニューヨーク・ニックスの大エース、ジェイレン・ブランソン。
ベンチからの起爆剤としてマブスでプレーしていた頃がなつかしいですね。
2022年のシーズンオフに、FAでマブスからニックスに移籍が決まった時、賛否両論が飛びかっていたことを思い出します。
ニックスが4年総額1億400万ドル(約150億円)の契約を提示したことに驚く声がほとんどでした。
「小柄なスコアリングポイントガードであるブランソンにそんな大金を出すなんて、ニックスのフロントは終わってんなあ」という声が大きかったように思います。
マブス最終年となった2021-22シーズン、自己最高のスタッツを残したブランソンでしたが、それでも16.3得点 3.9リバウンド 4.8アシストと、平凡なスタッツでしたから。
実の父親がニックスのアシスタントコーチだったこともあり、当初ニューヨークでも批判が大きかったそうですが、結果でブーイングを大歓声に変えたブランソン。
ニューヨークでの4シーズン目となる今シーズンも、圧倒的な得点力と勝負強さをみせつけています。
12月21日現在、ブランソンは25試合に平均35.1分出場し、28.4得点 3.4リバウンド 6.5アシストを記録。
勝負所での強さも圧倒的で、NBAカップでもMVPを受賞しました。
つねに冷静沈着なエースは、小柄ながら強靭な肉体を駆使し、圧倒的なドライブとシュート力でチームを牽引しています。
32 カール・アンソニー・タウンズ
カール・アンソニー・タウンズ
213㎝ 112㎏ C
1995年11月15日生(30歳)
オールスター×5
オールNBA3rdチーム×3
新人王(2016)
2025-26スタッツ
24試合 33.2分出場
22.4得点 11.9リバウンド 3.2アシスト
FG47.4% 3P36.0% FT88.2%
リーグトップクラスのシューティングビッグマン、カール・アンソニー・タウンズ。
213㎝ 112㎏の巨体をもちながら、スピードとシュート力を武器とするオフェンシブセンターです。
昨シーズン開幕前にジュリアス・ランドルらとの三角トレードでニックスに移籍したタウンズは、期待どおりの攻撃力の高さを見せつけ、予想どおりの守備力の低さを露呈しました。
あれだけスピードもあり、リバウンド力も高いタウンズですから、もう少し守備でも貢献できそうなものなんですが。
今シーズン好調なチームの中で、タウンズはシューティングスランプに苦しんでいます。
フィールドゴール成功率は自己最低ペースの47.4%。
これは身長188㎝のジェイレン・ブランソンよりも低い数字です。
3ポイントシュート成功率も昨シーズンの42.0%から、今シーズンは35.4%と大きく落としています。
リーグトップクラスのファウルの多さも問題です。
ネガティブなことを並べましたが、タウンズはわたくしリトルが大好きなプレイヤーですので応援していますし、これから調子は上がってくるとみています。
ただ大事な場面で本領を発揮できないのがタウンズの厳しいところ。
これまでウルブズ時代に4度とニックスに移籍した昨シーズン、あわせて5度プレーオフに出場しているタウンズですが、そのすべてでレギュラーシーズンより得点スタッツを落としています。
プレーオフになると得点力がさらに上がるブランソンとは、対照的ですね。
はたしてブランソンとタウンズでNBA制覇は可能なのか?
そのカギはタウンズが握っているのかもしれません。
8 OG・アヌノビー
OG・アヌノビー
201㎝ 109㎏ SF・PF
1997年7月17日生(28歳)
NBAチャンピオン(2019 ラプターズ)
NBAオールディフェンシブ2ndチーム(2023)
NBAスティール王(2023)
2025-26スタッツ
18試合 31.4分出場
15.4得点 4.4リバウンド 1.7アシスト
FG46.5% 3P38.5% FT76.1%
スタッツ以上に攻守でニックスを支えるOG・アヌノビー。
今シーズンはハムストリングのケガがあり9試合を欠場していますが、出場した試合では献身的な働きでチームの勝利に貢献しています。
特にディフェンス力の高さはリーグトップクラス。
1on1、カバーリングともに優れたディフェンダーであり、クラッチにも強いアヌノビーは、スターがそろうニックスの中でもキーマンとなっていますね。
ただアヌノビーも今シーズンはややシュート効率が悪くなっています。
フィールドゴール成功率は自己最低ペースの46.5%。
3ポイントシュート成功率は38.5%とまずまずですが、平均得点は昨シーズンより2.6点のマイナスとなっています。
まあ前半はケガもありましたし、まだシーズンは3分の1も終わっていない状態なので、これからスタッツもアップしてくる可能性は高いと思いますが・・・。
2023年にトロント・ラプターズで優勝を経験しているアヌノビーの活躍は、ニューヨークがチャンピオンになるためにはかかせないポイントになるでしょう。
25 ミケル・ブリッジズ
ミケル・ブリッジズ
198㎝ 95㎏ SG・SF
1996年8月30日生(29歳)
NBAオールディフェンシブ1stチーム(2022)
2025-26スタッツ
27試合 34.9分出場
16.8得点 4.8リバウンド 4.3アシスト
FG52.5% 3P41.1% FT79.5%
リーグを代表する鉄人ミケル・ブリッジズ。
2018年のNBAドラフト1巡目全体10位でフェニックス・サンズに指名されNBAデビューしてから、8シーズン目の現在まで全試合に出場を続けています。
現地時間11月30日のラプターズ戦に出場した時点で、デビューから575試合連続出場となり、歴代単独3位に浮上しました。
身体的負担の大きい現代NBAで、1シーズン休みなく出場することすら珍しくなっている中、7シーズン以上すべての試合に出場しているブリッジズは本当の鉄人ですね。
昨シーズンからニックスで戦うブリッジズは、ディフェンスと高いシュート効率でインパクトを与えています。
身長198㎝に対してウイングスパンは215㎝と恐ろしいほどの長さを生かし、何度もクラッチな場面で相手のボールをもぎ取ってきたブリッジズ。
今シーズンは1試合平均1.8スティール 1.0ブロックと、どちらも昨シーズンの2倍のスタッツを記録しています。
オフェンスでは今シーズン、フィールドゴール成功率52.5%、3ポイントシュート成功率41.1%と高確率を維持。
平均得点は16.8得点と昨シーズン(17.6得点)よりも低下していますが、得点力の高い選手がそろうニックスにおいて、キャッチ&シュートを高確率で沈めることができるブリッジズは、貴重な存在です。
相手のエースをシャットアウトし、高確率で得点することもできる鉄人ブリッジズは、ニックスが優勝するために欠かせない存在だといえるでしょう。
3 ジョシュ・ハート
ジョシュ・ハート
193㎝ 98㎏ SG・SF
1995年3月6日生(30歳)
2025-26スタッツ
25試合 29.9分出場
12.1得点 7.8リバウンド 5.0アシスト
現代ニックスのハート&ソウル、ジョシュ・ハート。
ジェイレン・ブランソン、ミケル・ブリッジズとともにビラノバ大学時代に全米制覇を経験しているハートは、まさに縁の下の力持ち。
チームに必要な汚れ仕事を、全力でやりきってくれる貴重なオールラウンドプレイヤーです。
昨シーズンは主力選手を酷使することで有名だったトム・シボドーHCのもと、リーグトップとなる1試合平均37.6分出場し、13.6得点 9.6リバウンド 5.9アシストと大活躍したハート。
今シーズンは新ヘッドコーチマイク・ブラウンのもと、平均29.9分出場にとどまっています。
オフに背中を痛め開幕戦を欠場したハートを、ブラウンHCは2戦目から14試合連続でベンチプレイヤーとして起用しました。
優勝候補として2025-26シーズンを迎えたニックスでしたが、この間の15試合を9勝6敗とイマイチ乗り切れず。
しかしスターターのOG・アヌノビーと、6試合に先発出場していたランドリー・シャメットが怪我で離脱したタイミングで、今シーズンはじめてハートを先発起用すると、その後の12試合で10勝を記録しています(うち1試合欠場)。
スターターとして出場した11試合(12月20日現在)では平均34.8分出場し、15.0得点 9.3リバウンド 5.7アシスト 2.0スティールを記録するなど、昨シーズンと変わらぬ活躍を続けているハート。
どんだけリバウンド強いんでしょうか?
シューティングガードのはずなんですが・・・。
マイク・ブラウンHCも「(ハートを)スターターから外したのは私のミス」と認めています。
最強のつなぎ役ジョシュ・ハートは、ニューヨーク・ニックス22年ぶりの優勝にはかかせない選手です。
ハートをスターターにしていなければ、NBAカップで優勝することもなかったのかもしれません。
ニックスは優勝することができるのか?
昨シーズンのチャンピオン、オクラホマシティ・サンダーが圧倒的な強さをみせている2025-26シーズン。
イースタンカンファレンスでは長い間ドアマットチームだったデトロイト・ピストンズが首位を走っています。
ただ12月21日現在、1位のピストンズと2位のニックスはわずか2ゲーム差。
地力のあるニックスが、イースタンカンファレンスを制する可能性はかなり高いと思います。
エースのブランソンの勝負強さ、タウンズの得点力、アヌノビー、ブリッジズ、ハート、ミッチェル・ロビンソンらのディフェンス力がさらに高まっていけば、プレーオフでの快進撃も十分ありえるでしょう。
今シーズンのサンダーの強さは尋常ではありませんが、NBAファイナルでニックスが4勝する力はあると断言できます。
心配なのは選手よりもマイク・ブラウンHCですね。
スパーズ、キャブス、ウォリアーズでのアシスタントコーチ時代に優勝を経験したことはありますが、ヘッドコーチとしては優勝経験のないブラウン。
キャブスのヘッドコーチをつとめていた2007年にNBAファイナルを経験しているものの、最後の最後に勝ちきれていないイメージがついているんですよね。
ブラウンHCがサンダーの若き名将マーク・デイグノルトHCに対抗できるかが、ニックス優勝の最後のカギとなるでしょう。
まとめ
今回は2025-26シーズン、ニューヨーク・ニックスが現在の体制で優勝することができるのかを検証してきました。
結論は「十分に優勝する力は持っている」ということになりました。
ただ、敵は強力です。
プレーオフで東を制することができても、西からあがってくるのはオクラホマシティ・サンダーやデンバー・ナゲッツ、ウェンバンヤマが爆発した場合のスパーズなど、どこも強力です。
選手はもちろん、マイク・ブラウンHCまで覚醒しないと倒すのは難しいでしょう。
まだシーズンは3分の1を終えようとしているところ。
まだまだ時間はあります。
これからレギュラーシーズンの戦いの中でさらにチーム力をアップしていけば、ニューヨークが52年ぶりのチャンピオンとなることも、夢ではないでしょう。
大都会ニューヨークが熱狂する瞬間を、みてみたいですねえ。
最後までお読みいただき、ありごとうございました。

