おおいに盛り上がったパリオリンピックを終え、世界のバスケットボールファンの注目は、NBA開幕にうつっています。
NBAドラフト、トレード、FA選手の争奪戦をへて、各チームの陣容がまとまってきました。
イースタンカンファレンスでは、フィラデルフィア・76ersとニューヨーク・ニックスが派手な補強をおこない、打倒セルティックスを明確にうちだしています。
ウエスタンカンファレンスでも、興味深い動きで強化を図っているチームが多々あります。
今回はNBAを36年観つづけているわたくしリトルが、強豪の揃うウエスタンカンファレンスの優勝予想を行っていきます。
イースタンカンファレンス編でも優勝候補5チームをあげるのに迷いましたが、ウエスタンカンファレンスは強豪チームが多いため、本当に難しい判断になりました。
それでは、レッツラゴー。
2023-24 ウエスト結果
まずは昨年のウエスタンカンファレンス、レギュラーシーズンベスト5のチームをあげます。
2023-24ウエストレギュラーシーズン順位
1位 オクラホマシティ・サンダー 57勝25敗
2位 デンバー・ナゲッツ 57勝25敗
3位 ミネソタ・ティンバーウルブズ56勝26敗
4位 ロサンゼルス・クリッパーズ 51勝31敗
5位 ダラス・マーベリックス 50勝32敗
オクラホマシティ・サンダー、ミネソタ・ティンバーウルブズの2チームがブレイクをはたした2023-24シーズン。
デンバー・ナゲッツをふくめた3チームのデッドヒートが最終戦までつづく、熱い展開となりましたね。
ただプレーオフを勝ち抜きNBAファイナルの舞台に進んだのは、〝スーパースター″ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングを擁するダラス・マーベリックスでした。
ベスト5のチーム以外でも、強豪チームがそろっているのが、ウエスタンカンファレンス。
シーズン開幕前にブラッドリー・ビールを大型契約で迎えいれ、ケビン・デュラント、デビン・ブッカーとのBIG3で優勝候補にあげられていたフェニックス・サンズは、ケガとケミストリー不足で終盤までなかなか波にのれず、期待外れのシーズンに。
チームとしてはけがに苦しんだものの、エースのザイオン・ウイリアムソンが70試合に出場し、可能性を感じたニューオリンズ・ペリカンズ。
レブロン・ジェームズ擁するロサンゼルス・レイカーズと、スティフィン・カリー擁するゴールデンステイト・ウォリアーズの名門2チームも、まだまだ可能性を残しています。
リトルが選ぶ2024-25ウエスト優勝候補5チーム
強豪がそろうウエスタンカンファレンス、来シーズンの優勝候補5チームを選出しました。
効果的な補強をしたチーム、選手をキープしてケミストリーの構築を進めるチーム、大物選手を獲得したチームなど、様々な方法で優勝を目指している5チームです。
イーストと違って、正直5チームに絞るのは難しいですねえ。
昨シーズンのチーム状況と、夏の補強をみて、わたくしリトルが選んだ5チームは・・・
2024-25優勝候補5チーム(ウエスト編)
①オクラホマシティ・サンダー
②ミネソタ・ティンバーウルブズ
③ダラス・マーベリックス
④サクラメント・キングス
⑤デンバー・ナゲッツ
正直あと3チームほどあげたいチームがあるのですが・・・。
昨シーズンブレイクをはたしたオクラホマシティ・サンダーとミネソタ・ティンバーウルブズは、2024-25シーズンも勢いはつづくと思います。
特にサンダーは思いきった補強を行い、大きく戦力アップしたのではないでしょうか?
デンバー・ナゲッツとダラス・マーベリックスも、誰もが優勝候補にあげる2チームだと思います。
二コラ・ヨキッチとルカ・ドンチッチ。
二人のスーパースターがいるかぎり、優勝候補から外すわけにはいきませんからね。
今回わたくしリトルが選ぶ優勝候補の中で、一番のサプライズは、サクラメント・キングス!
昨シーズンのサンダーやウルブズのように、大きく飛躍するシーズンになるのではないでしょうか?
それでは各チームの状況をみていきましょう。
優勝候補① オクラホマシティ・サンダー
2023-24 シーズン成績
57勝25敗(ウエスト1位)
平均得点 120.1(リーグ全体3位)
平均失点 112.7(リーグ全体11位)
最終結果 カンファレンスセミファイナル敗退
現在もっとも勢いのあるチーム、オクラホマシティ・サンダー(OKC)。
エースのシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)を筆頭に、ジェイレン・ウイリアムズ、チェット・ホルムグレンなど、才能ゆたかな若手の宝庫です。
チームを指揮するのは、39歳のマーク・デイグノルトHC。
2023-24シーズンのコーチ・オブ・ザ・イヤーに輝いた名将は、才能ゆたかな選手たちを見事にまとめあげています。
加えてこれまでのトレードでコツコツとあつめた、大量のドラフト指名権を保有しているのですから、サンダーが失敗する未来は想像できませんね。
東のボストン・セルティックスに対して、西ではオクラホマシティ・サンダーが最も優勝に近いチームといえるでしょう。
この夏、サンダーは地味ながらも的確な補強を行いました。
まずは現地時間6月21日に行われた、シカゴ・ブルズとの間で行われた1対1のトレード。
ブルズ⇨サンダー
アレックス・カルーソ G 196㎝ 30歳
サンダー⇨ブルズ
ジョシュ・ギディー G 203㎝ 21歳
サンダーは2021年のNBAドラフト1巡目全体6位で獲得し、3シーズンにわたり主力としてプレーした大型ポイントガード、ジョシュ・ギディーを放出。
代わりに、ドラフト外から這いあがり2年連続NBAオールディフェンシブチーム入りした30歳のベテラン、アレックス・カルーソをシカゴ・ブルズから獲得しました。
21歳の才能ゆたかな大型ポイントガード、ギディーの放出には賛否ありましたが、カルーソのディフェンス力と3ポイントシュートは、来シーズン確実にサンダーを強くすると思います。
まあギディーが6thマンになることを拒否し、移籍を希望したことから始まったトレードなんですが・・・。
今のサンダーに必要なのは、未来のスーパースターではなく、今優勝に貢献してくれる選手。
リーグ屈指のスタープレイヤーとなったシェイ・ギルジャス・アレキサンダーを中心に優勝を目指すサンダーにとって、アレックス・カルーソは、のどから手がでるほど欲しかった最上級のロールプレイヤーです。
リーグ屈指のペリメーターディフェンダーというだけでなく、昨シーズン3ポイントシュート成功率40.8%を誇るすぐれたシューターでもあります。
サンダーには屈強なペリメーターディフェンダー、ルーゲンツ・ドートがいますが、デイグノルトHCがどういう選手起用をしてくるのか、興味深いですね。
サンダーが次に補強を行ったポジションはセンター。
7月22日、昨シーズンニューヨーク・ニックスの躍進に貢献したビッグマン、アイザイア・ハーテンシュタインを獲得したのです。
ハーテンシュタインは2017年のNBAドラフト2巡目全体43位で指名された213㎝ 113㎏のセンタープレイヤーです。
ドラフトではヒューストン・ロケッツに指名されたものの、1年目は下部組織のGリーグでプレー。
2018-19シーズンにロケッツでNBAデビューしたものの、翌2019-20シーズンには解雇。
その後デンバー・ナゲッツ⇨クリーブランド・キャバリアーズ⇨ロサンゼルス・クリッパーズ⇨ニューヨーク・ニックスとわたり歩き、サンダーがNBA6チーム目となる苦労人です。
今回サンダーがハーテンシュタインを獲得したのには大きな意味があります。
昨シーズンサンダーでセンターをつとめたのは、NBAドラフト2023、1巡目全体2位で指名したチェット・ホルムグレン。
216㎝の身長がありながら、体重は88㎏しかないガリガリ体型のホルムグレンでしたが、圧倒的なスキルの高さとシュート力で、サンダーの躍進におおいに貢献しました。
ただサンダーの1試合平均リバウンド数はNBA全体27位と、インサイドの弱さは明らかでした。
サンダーのチーム編成も特殊で、パワーフォワードで起用されているジェイレン・ウイリアムズは本来シューティングガードの選手。
ハーテンシュタインの獲得はサンダーにとって、チーム編成を大きく変えてしまうかもしれないビッグトレードです。
サンダーがハーテンシュタインと結んだ契約は3年8700万ドル(約140億円 1㌦=160円)。
3ポイントシュートをまったく打たない時代おくれのビッグマンに対して、破格の契約をわたしていることからも、サンダーの期待の大きさがわかります。
ハーテンシュタインを先発センターに固定できれば、ホルムグレンをシュートレンジの広いパワーフォワードとして起用でき、一気にサイズアップが図れますからね。
主力を失うことなくディフェンス力とサイズをアップしたサンダーは、ウエスタンカンファレンスで最も補強に成功したチームだと言えるでしょう。
優勝候補② ミネソタ・ティンバーウルブズ
2023-24 シーズン成績
56勝26敗(ウエスト3位)
平均得点 113.0(リーグ全体18位)
平均失点 106.5(リーグ全体1位)
最終結果 カンファレンスセミファイナル敗退
昨シーズン、オクラホマシティ・サンダーとともに大躍進をみせたミネソタ・ティンバーウルブズ。
アンソニー・エドワーズがエースとして急成長し、ルディ・ゴベアとカール・アンソニー・タウンズのツインタワーも機能したウルブズは、最終戦までウエスト首位の座をサンダー、ナゲッツと争いました。
ベテランポイントガードのマイク・コンリー、NBAオールディフェンシブ2ndチーム入りしたジェイデン・マクダニエルズ、6thマンオブ・ザ・イヤーに輝いたナズ・リードなど、サポートキャストも充実。
プレーオフでは1stラウンドでフェニックス・サンズを4勝0敗のスウィープで下し、勢いを感じさせたものの、カンファレンスセミファイナルではダラス・マーベリックスに最終第7戦で敗れ、シーズンを終えています。
初優勝に向けてウルブズのフロントが選んだ道は、継続路線。
当初サラリーキャップの関係で、カール・アンソニー・タウンズの放出が噂されていましたが、ウルブズのフロントは戦力維持のためタックスの支払いを決断しました。
個人的にうれしいのは、ジョー・イングルズの加入ですね。
いぶし銀の活躍をしていた〝スローモー″ことカイル・アンダーソンがウォリアーズに去ったかわりに、オーランド・マジックからFAとなっていたイングルスを獲得しました。
ジャズファン歴35年のわたくしリトルにとって、マイク・コンリー、ルディ・ゴベア、ジョー・イングルスの元ジャズ三人が再び集結するのは、ちょっとワクワクします。
大きな補強はなかったものの、ウルブズは今シーズンもウエスタンカンファレンスでトップの座を争うでしょう。
優勝候補③ ダラス・マーベリックス
2023-24 シーズン成績
50勝32敗(ウエスト5位)
平均得点 117.9(リーグ全体7位)
平均失点 115.6(リーグ全体20位)
最終結果 ファイナル敗退
ルカ・ドンチッチ&カイリー・アービングの強力コンビで、昨シーズンNBAファイナルに進んだダラス・マーベリックス。
レギュラーシーズン前半はなかなか波に乗れなかったものの、最後の20試合で16勝をあげ、勢いそのままにプレーオフを勝ち進みました。
ドンチッチにとって初めてのNBAファイナルは、ボストン・セルティックスに1勝4敗で完敗。
王者セルティックスには力の差をみせつけられ、悔しいシーズンエンドとなりました。
ドンチッチ&アービングのコンビを結成した2021-22シーズンには、プレーイントーナメントにも進めなかったことを考えると、大成功のシーズンだったといえるでしょう。
しかしドンチッチとアービング頼みのチームの限界を感じたシーズンでもありました。
ファイナル敗退後、ドンチッチ&アービング体制で優勝するために、フロントは勝負をかけました。
ゴールデンステイト・ウォリアーズで4回の優勝に貢献した、クレイ・トンプソンを獲得したのです。
スプラッシュブラザーズを組むステフィン・カリーとのコンビで、2010年代のNBAを席巻した名シューターは、昨シーズンスランプにおちいり、シーズン半ばで先発の座を追われました。
シーズン終盤に先発復帰したものの、最終戦となったプレーインゲームのサクラメント・キングス戦では、32分の出場で無得点。
衰えを感じさせるシーズンになってしまいました。
シーズン終了後、ウォリアーズ側は引き留める動きもみせましたが、チームとクレイの間の溝は埋まらず。
FAとなったクレイは、レイカーズ、マジックなどラブコールを送ってきたチームの中から、ダラス・マーベリックスを選んだのです。
昨シーズンスランプに陥ったといっても、クレイのスタッツを改めてみてみると・・・
2023-24クレイ・トンプソン スタッツ
77試合出場(先発63試合)
17.9得点 3.3リバウンド 2.3アシスト
FG43.2% 3P38.7% FT92.7%
なにも知らずにみると、優秀なシューターのスタッツですね。
3ポイントシュート成功率38.7%、フリースロー成功率92.7%でスランプと言われるとは・・・。
まあクレイの場合、12シーズン(うち2シーズン全休)の通算成績が、19.6得点 FG45.3% 3P41.3%ですから。
あらためてみると、とんでもないシュート成功率ですね。
1試合平均9本の3ポイントシュートを放ちながら、38.7%の確率で決めるシューターは、NBAでもそうそういませんから、マブスにとって大きな補強になることはまちがいありません。
クレイがいるだけで、ディフェンスはマークしないわけにはいきませんから、ルカ・ドンチッチ、カイリー・アービングのドライブがさらに生きてくるはずです。
クレイがマブスのシステムにマッチすれば、一気に優勝に近づく可能性もあると思います。
この夏マブスから去ったのは、6thマンとして活躍したティム・ハーダウェイJr.(⇨ピストンズ)、先発フォワードをつとめたデリック・ジョーンズJr.(⇨クリッパーズ)、そしてジョシュ・グリーン(⇨ホーネッツ)。
反対に加入したのは、ディフェンスに定評のあるフォワード、ナジ・マーシャル(⇦ペリカンズ)と、こちらもディフェンス力を高く評価されているシューティングガード、クエンティン・グライムズ(⇦ピストンズ)。
クレイ・トンプソンを合わせた3人が、期待通りの活躍をみせれば、マブスは確実に強くなると思うのですが、果たして・・・。
正直クレイがまったく合わずに、シーズン途中で空中分解もありえそうではあるんですが・・・。
優勝候補④ サクラメント・キングス
2023-24 シーズン成績
46勝36敗(ウエスト9位)
平均得点 116.6(リーグ全体9位)
平均失点 114.8(リーグ全体17位)
最終結果 プレーイントーナメント第2戦敗退
2022-23シーズン、48勝34敗でウエスタンカンファレンス第3シードと躍進をとげたサクラメント・キングス。
リーグを代表する弱小球団は、なんと17年ぶりのプレーオフ出場を果たしました。
むかえた2023-24シーズン、キングスはケガ人の多さに苦しみながらも、46勝36敗と前年なみの結果を残します。
強豪ひしめくウエスタンカンファレンスの中では第9シードとなり、プレーイントーナメントに進むと、第1戦のウォリアーズには勝利したものの2戦目でペリカンズに敗れ、プレーオフに進むことは叶いませんでした。
キングスのエースは、圧倒的なスピードと得点力をもつポイントガード、ディアロン・フォックスと、ゴール下の強さと3ポイントシュート、抜群の視野の広さを誇るポイントセンター、ドマンタス・サボニスのコンビです。
2人の昨シーズンのスタッツをまとめると・・・
2023-24ディアーロン・フォックス スタッツ
74試合出場(全試合先発)
26.6得点 4.6リバウンド 5.6アシスト
FG46.5% 3P36.9% 2.0スティール
2023-24ドマンタス・サボニス スタッツ
82試合出場(全試合先発)
19.4得点 13.7リバウンド 8.2アシスト
FG59.4% 3P37.9% 0.6ブロック
リーグ屈指のコンビは、優秀なスタッツを残しています。
ディアーロン・フォックスの26.6得点はリーグ8位、2.0スティールはリーグ1位。
ドマンタス・サボニスの13.7リバウンドもリーグ1位のスタッツです。
特筆すべきなのは、センターでありながらリーグ6位の8.2リバウンドを記録しているサボニスの視野の広さ。
まさにポイントセンターですね。
Wエースに加え、6thマンのマリーク・モンクやシューターのキーガン・マレーなど、優秀なプレーヤーがそろうキングスですが、昨シーズン結果をだせなかったため、この夏は大きく動きました。
トロント・ラプターズ、サンアントニオ・スパーズ、シカゴ・ブルズで活躍をつづけてきた35歳のベテラン、デマー・デローザンをサイン&トレードで獲得したのです。
キングスが放出したのは、ハリソン・バーンズとクリス・ドゥアルテ。
2人のスタッツと、デローザンのスタッツを比較すると・・・。
2023-24スタッツ
デマー・デローザン 79試合出場(全試合先発)
24.0得点 4.3リバウンド 5.3アシスト
FG48.0% 3P33.3% FT85.3%
ハリソン・バーンズ 82試合出場(全試合先発)
12.2得点 3.0リバウンド 1.2アシスト
FG47.4% 3P38.7% FT80.1%
クリス・ドゥアルテ 59試合出場(11試合先発)
3.9得点 1.8リバウンド 0.7アシスト
FG38.1% 3P34.6% FT78.8%
スタッツはデローザンが圧倒しています。
ただWエースを支える活躍をつづけてきたバーンズの貢献は大きかったですからねえ。
デローザンのスタッツがそのまま上積みになるわけではないので、予想が難しいところです。
ただそれでも、デローザンの経験は、キングスにとっておおきなプラスになると思います。
35歳という年齢が心配ですが、昨シーズンのプレーを観るかぎり、まだまだ衰えを感じることはありません。
ケガさえなければ、キングスの起爆材として、活躍をみせてくれるのではないでしょうか?
問題は3ポイントシュートがないこと。
デローザンの武器はミッドレンジのジャンパー。
3ポイントシュートの成功率は33.3%と苦手にしています。
司令塔のフォックスも3ポイントシュートを得意とするタイプではないため、シューターのそろうウエスタンカンファレンスのライバルたちにどう対応していくのか?
マイク・ブラウンヘッドコーチの腕のみせどころです。
スコアラーのデローザンを加えたキングスが、どんな化学変化をみせるのか?
新シーズンを楽しみにしましょう。
優勝候補⑤ デンバー・ナゲッツ
2023-24 シーズン成績
57勝25敗(ウエスト2位)
平均得点 114.9(リーグ全体14位)
平均失点 109.6(リーグ全体6位)
最終結果 カンファレンスセミファイナル敗退
2022-23NBAファイナルで圧倒的な力をみせつけ、球団史上はじめてのNBAチャンピオンとなったデンバー・ナゲッツ。
昨シーズンも、レギュラーシーズン最終戦までトップシード争いを繰り広げました。
プレーオフでは、カンファレンスセミファイナル最終第7戦で、ミネソタ・ティンバーウルブズの勢いに飲みこまれてしまいましたが、チャンピオンチームのプライドをみせてくれました。
ナゲッツといえば、現役最強NBAプレイヤー、二コラ・ヨキッチ。
2014年のNBAドラフト2巡目41位でナゲッツに指名されたセルビア人センターは、いまやNBAの顔といえる存在になっています。
昨シーズンのスタッツは・・・
2023-24二コラ・ヨキッチ スタッツ
79試合出場(全試合先発出場)
26.4得点 12.4リバウンド 9.0アシスト
FG58.3% 3P35.9% FT81.7%
とんでもないスタッツですね。
スタッツだけみると、どこのポジションのプレイヤーかわかりません。
ヨキッチがいるかぎり、デンバー・ナゲッツを優勝予想から外すことは難しいのかもしれません。
それでもナゲッツを優勝予想の5番目としたのは、昨シーズンよりも戦力的にきびしいとみているからです。
まずはこの夏の動きをみると、2シーズンにわたりナゲッツの先発シューティングガードをつとめ、優勝にも貢献したケンテイビアス・コールドウェルポープ(KCP)がFAでオーランド・マジックに移籍していきました。
地味ながらもディフェンス力が高く、40%を超える確率で3ポイントシュートを決めつづけてきたKCPを失ったことは、ナゲッツにとって予想以上に大きなダメージになるのではないでしょうか。
KCPの代わりに、みんな大好きラッセル・ウエストブルックを獲得しましたが、35歳となりディフェンス力が落ち、3ポイントも苦手としているため、どれだけ貢献できるかは未知数です。
もう一つナゲッツの懸念点は、ジャマール・マレーの状態。
デンバー・ナゲッツのWエースとして、ヨキッチとともにチームを支えてきたマレーですが、近年ケガに悩まされています。
2020-21シーズンに左前十字じん帯断裂の大ケガを負い、翌2021-22はシーズン全休。
2022-23シーズン見事に復活し、優勝に大きく貢献しましたが、昨シーズンはハムストリングの痛みに悩まされ、レギュラーシーズン23試合を欠場しています。
プレーオフでは全試合に出場し、平均20.6得点をあげたものの、フィールドゴール成功率は40.2%(RS48.1%)、3ポイントシュート成功率は31.5%(RS42.5%)とシュートタッチに苦しみました。
プレーオフ1stラウンドのレイカーズ戦では、2度のクラッチシュートを決めるなど勝負強さはみせたものの、明らかに本調子ではありませんでした。
そしてカナダ代表として出場したパリオリンピックでも、印象的な活躍をみせることはできず。
今オフにデンバー・ナゲッツは、マレーと4年2億800万ドル(約332億8000万円 1㌦=160円)のMAX契約をむすぶと言われています。
この契約が、史上最悪の契約と言われるようにならなければいいのですが・・・。
今回あげた5チームの中で、唯一弱体化している可能性が高いナゲッツですが、チームのコアは不動ですし、若手のマイケル・ポーターJr.やクリス・ブラウンなどの成長も見込めます。
自力のあるチームですから、優勝の可能性は十分あるでしょう。
NBA史上最高のオールラウンドセンター、二コラ・ヨキッチがいるかぎり、あなどることはできませんね。
その他のチーム ロケッツへの期待
今回優勝候補にあげなかったチームにも、強豪がそろうのがウエスタンカンファレンス。
ビッグ3を擁するフェニックス・サンズは、少ないサラリーの中でタイアス・ジョーンズ、モンテ・モリス、メイソン・プラムリーと、よいロールプレイヤーを補強。
すばらしいオフシーズンになったと思いますが、どうしてもケビン・デュラント(KD)&デビン・ブッカーとブラッドリー・ビールが合うとは思えないんですよね。
KD、カイリー・アービング、ジェームズ・ハーデンで空中分解したブルックリン・ネッツの悲劇が頭をよぎってしまいます。
ゴールデンステイト・ウォリアーズは、クレイ・トンプソンが抜けた穴がどうなるのか。
3ポイントシューターとして優秀なバディー・ヒールドを獲得したのは大きいと思います。
ディアンソニー・メルトン、カイル・アンダーソンと優秀なロールプレイヤーも獲得し、悪くない補強をしたとは思いますが・・・。
カイル・アンダーソンとドレイモンド・グリーンが激しく口論する姿が浮かんできちゃいますね(笑)。
レイカーズにもがんばってほしいんですが、正直昨シーズンからの上積みがないですね。
レブロンやADにステップアップは望めませんし、ヘッドコーチは未経験男前のJJ・レディックですし・・・。
とにかく八村塁選手を使ってくれたらいいんですが。
個人的に、最も期待しているのがヒューストン・ロケッツです。
2020-21シーズンにジェームズ・ハーデンがチームを去ってから、3シーズンにわたってリーグの底辺をさまよっていたロケッツですが、昨シーズンは41勝41敗と、勝率5割を記録。
プレーイントーナメントに進むことはかないませんでしたが、若手と補強したベテラン選手がうまく噛み合い、大きく躍進しました。
生え抜きの若手には、爆発的な身体能力をもつ22歳のシューティングガード、ジェイレン・グリーン。
ポテンシャルの高さを感じさせる21歳のパワーフォワード、ジャバリ・スミスJr.。
そして昨シーズン大ブレイクした、22歳のオールラウンドセンター、アルペレン・シェングンと、スター候補がそろっています。
ベテランのフレッド・バンブリート、ディロン・ブルックス、ジェフ・グリーンらも、チームに安定感をもたらしています。
そして今年、2024NBAドラフト1巡目全体3位で指名したポイントガード、リード・シェパードが加わりました。
ケンタッキー大学で活躍した191cmのポイントガードは、優れたシュート力を武器に、サマーリーグで大活躍し、注目を集めています。
3ポイントだけでなく、ドライブ能力も高く、アシストやディフェンスでも違いをみせつけているシェパード。
チームにはバンブリート、グリーンというガードコンビがいるので、シェパードは6thマンになる可能性が高いとは思いますが、できれば先発で使ってほしい選手ですね。
先発に固定されれば、新人王候補ナンバー1だと思います。
シェパードが期待どおり、いやそれ以上の活躍をみせれば、2024-25シーズンはロケッツの大躍進がみられるのかもしれません。
まとめ
今回は2024-25シーズンのウエスタンカンファレンスのチームから、NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルが選ぶ、優勝候補5チームをまとめました。
イースタンカンファレンスよりも強豪チームが多いだけに、予想は難しいですねえ。
今回あげたチームのほかにも、デジャンテ・マレーを加えたニューオリンズ・ペリカンズや、ケガ人が復帰するメンフィス・グリズリーズなど、楽しみなチームがたくさんあります。
ただ「能力の高い選手を集めれば勝てる」というわけではないのが、NBAの面白いところ。
自分の推しチームがどうなっていくのか、予想をしながら10月22日(日本時間23日)のシーズン開幕を待ちましょう。