日本時間12月10日の日曜日、ついに初開催の「NBAインシーズントーナメント」がロサンゼルス・レイカーズの優勝で幕を閉じました。
正直、まだ余韻が残っています。
企画が発表された時は、否定的な声が大半だったインシーズントーナメントでしたが、こんなに盛り上がるイベントに仕上げてくるとは、NBAおそるべし。
アダム・シルバーコミッショナーの、企画力、実行力には本当に驚かされます。
今回は、初開催され大盛況に終わったインシーズントーナメントについて、語っていきます。
それでは、レッツラゴー。
NBAインシーズントーナメントとは
NBAインシーズントーナメントは、NBAコミッショナーのアダム・シルバーが、ヨーロッパのサッカーリーグから着想を得たシーズン中に行われるカップ戦。
全30チームを5チームづつ6つのグループ(東3グループ、西3グループ)に分け(昨シーズンの成績とランダムな抽選)、各チーム4試合づつ対戦。
各グループ1位となった6チームと、各グループで2位となったチームの中で最も勝率のよかった2チーム(各カンファレンス1チームづつ)が、一発勝負のトーナメントに進出。
決勝トーナメントでは勝者が次のステージに進み、敗者は脱落。
準決勝と優勝決定戦は、ラスベガスのTモバイル・アリーナで行われる。
優勝決定戦以外の試合は、すべてレギュラーシーズンの試合とみなされる。
賞金 優勝 各選手に50万ドル
準優勝 各選手に20万ドル
準決勝敗退 各選手に10万ドル
準々決勝敗退 各選手に 5万ドル
2023-24シーズンの労使協定が結ばれた際、話題となっていたインシーズントーナメント。
当初は、「莫大なサラリーもらっているスター選手が、50万ドルの賞金で本気になるか?」と、盛り上がりを危惧する声も多かったのですが、そこは負けず嫌いの集まりNBA。
シーズン序盤からプレーオフのようなマジの熱戦が繰り広げられました。
策士アダム・シルバー、恐るべし。
サッカーのカップ戦と違うのは、決勝戦以外の試合が、レギュラーシーズンの試合とみなされること。
レギュラーシーズンの試合なので、サッカーのように「カップ戦はレギュラーシーズンの試合に出ない選手で」というようなことはありません。
レギュラーシーズンの試合と区別するために、アリーナのコートをインシーズントーナメント専用の鮮やかなデザインにしたのも、秀逸なアイデアでしたね。
各チームが準備したインシーズントーナメント用のユニフォームも、特別感を演出しています。
各チームのコートとユニフォームのデザインは、NBA Rakutenの「WEEKLY NBA」をご覧ください。
インシーズントーナメント グループリーグ組み合わせ
インシーズントーナメントの組み分けは、昨シーズンの成績を元に、抽選で決められています。
昨シーズンの各カンファレンス1位~3位を〝ポッド1″、4位~6位を〝ポッド2″、7位~9位を〝ポッド3″、10位~12位を〝ポッド4″、13位~15位を〝ポッド5″と5つのポッドに分け、それぞれのポッド内で抽選を行い、5チーム×3グループの組み合わせをつくりました。
各グループ1位のチームがトーナメント戦となる、ノックアウトラウンドに進出(6チーム)。
各カンファレンス、グループ2位のチームの中で、最も勝率の良かったチーム(同率の場合は得失点差が大きいチーム)をあわせ、8チームがノックアウトランドに進みます。
イースタンカンファレンス
グループA
1位 インディアナ・ペイサーズ 4勝0敗 +39点 〇
2位 クリーブランド・キャバリアーズ 3勝1敗 +29点
3位 フィラデルフィア・76ers 2勝2敗 + 9点
4位 アトランタ・ホークス 1勝3敗 -32点
5位 デトロイト・ピストンズ 0勝4敗 -45点
グループB
1位 ミルウォーキー・バックス 4勝0敗 +46点 〇
2位 ニューヨーク・ニックス 3勝1敗 +42点 〇
3位 マイアミ・ヒート 2勝2敗 + 4点
4位 シャーロット・ホーネッツ 1勝3敗 -54点
5位 ワシントン・ウィザーズ 0勝4敗 -38点
グループC
1位 ボストン・セルティクス 3勝1敗 +27点 〇
2位 オーランド・マジック 3勝1敗 +22点
3位 ブルックリン・ネッツ 3勝1敗 +20点
4位 トロント・ラプターズ 1勝3敗 -21点
5位 シカゴ・ブルズ 0勝4敗 -48点
ウエスタンカンファレンス
グループA
1位 ロサンゼルス・レイカーズ 4勝0敗 +74点 〇
2位 フェニックス・サンズ 3勝1敗 +34点 〇
3位 ユタ・ジャズ 2勝2敗 -13点
4位 ポートランド・トレイルブレイザーズ1勝3敗 -39点
5位 メンフィス・グリズリーズ 0勝4敗 -56点
グループB
1位 ニューオーリンズ・ペリカンズ 3勝1敗 +33点 〇
2位 ヒューストン・ロケッツ 2勝2敗 +10点
3位 ダラス・マーベリックス 2勝2敗 - 8点
4位 デンバー・ナゲッツ 2勝3敗 -10点
5位 ロサンゼルス・クリッパーズ 1勝3敗 -25点
グループC
1位 サクラメント・キングス 4勝0敗 +30点 〇
2位 ミネソタ・ティンバーウルブズ 3勝1敗 0点
3位 ゴールデンステイト・ウォリアーズ 2勝2敗 + 4点
4位 オクラホマシティ・サンダー 1勝3敗 +24点
5位 サンアントニオ・スパーズ 0勝4敗 -58点
今回得失点差がグループ突破の条件に加わったことが、おもしろかったですね。
通常NBAでは点差がつくと、勝っているチームは攻撃をしないという暗黙のルールがありましたが、得失点差でグループ突破が左右されるため、最後まで手を抜かずに攻撃する姿勢が新鮮でした。
特に最終第4戦、ボストン・セルティックス対シカゴ・ブルズ戦では、この「得失点差」が物議をかもします。
セルティックスは自分たちがグループステージを勝ち抜くためには、少なくとも23点差以上で勝利しなければいけない状態でした。
セルティックスは、第3クオーター途中にリードを35点まで広げ、勝利をほぼ確実なものにします。
通常であれば、相手に敬意を表し、第4クオーターは主力選手を出さずに、いわゆる〝ガベージタイム″となるのですが、得失点差がグループリーグ突破の条件となっているため、第4クオーターも主力を出し続けたセルティクス。
問題となったプレーは、セルティックスのヘッドコーチ、ジョー・マズーラの指示でした。
シカゴ・ブルズのセンター、アンドレ・ドラモンドに故意にファールする、「ハック戦法」で、苦手なフリースローを打たせる作戦に出たのです。
フリースローが苦手なことで知られるドラモンドが、敗退が確実な場面で立て続けにファウルを受け、4本すべてのフリースローを落とします。
ブルズのビリー・ドノバンHCが、マズーラHCに「どういうつもりだ。」と声をかけるなど、緊迫した雰囲気になりましたが、マズーラHCが正直にグループリーグ突破がかかっていることを説明し、その場は収まりました。
ドノバンHCはすぐにドラモンドをベンチに下げましたが、確かにドラモンドにとっては屈辱だったでしょうね。
しかし、私たち日本の部活で戦ってきたものからすると、最後までグループリーグを突破するために全力を出すのは、当たり前だとも思います。
なにしろ、「相手が弱いからと言って手を抜くのは、相手に失礼だ。」と教えられてきましたから。
目の前で192対10の試合を観たこともあります。
試合後、200点取れなかったことで、勝ったチームの選手は監督に怒られていました。
まあ、ここまでいくとどうかと思いますが、必要があれば全力で最後まで戦う姿勢は大事なんじゃないですかね。
今回のインシーズントーナメントが、過剰なリスペクトを考え直すきっかけになれば・・・とも思いますが、皆さんはどう思われますか?
イースタンカンファレンス グループリーグ結果
イースタンカンファレンスは、比較的順当な結果になりました。
グループB(ミルウォーキー・バックス)とグループC(ボストン・セルティックス)はポッド1のチーム。
グループAを4戦全勝で勝ち抜いたインディアナ・ペイサーズはポッド4ですが、今シーズンは絶好調。
12月10日時点で、イースタンカンファレンス5位につけており、アップセットといえるほどの驚きはありませんでしたね。
グループBでバックスに次いで2位だったニューヨーク・ニックスが、得失点差でノックアウトステージへ進んでいます。
ウエスタンカンファレンス グループリーグ結果
ウエスタンカンファレンスは、ちょっと驚きの結果になりました。
ポッド1から勝ち抜いたのは、グループCのサクラメント・キングスのみ。
ただしグループCでは、今シーズン絶好調で12月10日現在リーグ1位のミネソタ・ティンバーウルブズの勝ち抜きが予想されていたため、ある意味意外な結果ともいえます。
グループAはポッド3のロサンゼルス・レイカーズが4戦全勝、得失点差+74と、圧倒的な強さをみせました。
初戦でレイカーズに惜敗し、3勝1敗のグループ2位となったフェニックス・サンズも得失点差でノックアウトステージ進出を決めています。
一番驚いたのは、グループB。
昨シーズンのチャンピオン、デンバー・ナゲッツをはじめ、今シーズン好調のダラス・マーべリックス、BIG4が揃うロサンゼルス・クリッパーズ、今シーズン予想外の躍進をみせているヒューストン・ロケッツと、強豪がそろったグループBを、まさかニューオリンズ・ペリカンズが勝ち抜くとは思いませんでした。
やっぱり元気な時のザイオン・ウイリアムソンは、オールスタークラスですね。
インシーズントーナメント 準々決勝
イースタンカンファレンス準々決勝
×セルティックス 112ー122 ペイサーズ〇
×ニックス 122ー146 バックス〇
ウエスタンカンファレンス準々決勝
〇ペリカンズ 127-117 キングス×
×サンズ 103-106 レイカーズ〇
グループリーグで成績が上だった、ホームコートの3チームが勝利。
ペリカンズだけが、アウェイで勝利しています。
セルティックス有利と言われていたものの、ハリバートンが26得点 13アシスト ターンオーバー0の活躍をみせたペイサーズが勝利。
バックスは完成度の高さをニックスにみせつけ圧勝。
ペリカンズは、ザイオンが10得点に抑えられたものの、ブランドン・イングラムが30得点を記録し、キングス相手にアップセットを達成。
サンズvsレイカーズは、1点を争う大熱戦となりましたが、なんとかレイカーズが3点差で逃げ切ります。
最後の最後に、疑惑の判定もありましたが・・・。
とにかく、レブロン・ジェームズのバスケIQの高さを再確認しました。
インシーズントーナメント 準決勝
準決勝からは、会場をラスベガスのTモバイル・アリーナに移して、行われました。
特別感の演出が、ワクワクをより高めてくれます。
イースタンカンファレンス準決勝
〇ペイサーズ 128ー119 バックス×
ウエスタンカンファレンス準々決勝
×ペリカンズ 89-133 レイカーズ〇
イースタンカンファレンス準決勝は、両チームのエースが爆発。
ペイサーズでは、タイリース・ハリバートンが27得点 7リバウンド 15アシストをあげながら、ターンオーバー0という、完璧なプレーをみせました。
バックスも、ヤニス・アデトクンボが37得点、デイミアン・リラードが24得点をあげ、最後まで食らいついたものの、第4クオーター残り48秒でハリバートンが決めたステップバック3がとどめとなり、ペイサーズが128-119で勝利しています。
ウエスタンカンファレンス準決勝は、ワンサイドゲームに。
原因はなんといっても〝キング″レブロン・ジェームズ。
12月30日で39歳になるレブロンが、わずか22分32秒の出場で30得点 5リバウンド 8アシストを記録する大爆発をみせます。
ペリカンズのWエースは、ザイオン・ウイリアムソンが13得点、ブランドン・イングラムが9得点と、レイカーズのディフェンスの前に沈黙。
44点差でレイカーズが圧勝しました。
インシーズントーナメント 決勝
インシーズントーナメント決勝
×ペイサーズ 109ー123 レイカーズ〇
決勝は残り5分50秒までは3点差の大接戦でしたが、最後の5分で突き放したレイカーズが、見事初代インシーズントーナメントチャンピオンに輝きました。
レイカーズ勝利の決め手は、まずはカチカチディフェンス。
キャム・レディッシュやジャレッド・ヴァンダービルドが、ゲームをコントロールするハリバートンやTJ・マッコネルを抑え込み、ゴール下ではアンソニー・デイビスが立ちはだかりました。
結果、フィールドゴール成功率はレイカーズの53.4%に対して、ペイサーズは36.8%と、大きな差が生まれます。
そして、なんといっても、レイカーズの選手たちの鬼気迫る活躍。
レイカーズで特に活躍した3選手のスタッツをまとめると・・・
レブロン・ジェームズ 24得点 11リバウンド 4アシスト
アンソニー・デイビス 41得点 20リバウンド 5アシスト
オースティン・リーブス 28得点 2リバウンド 3アシスト
前半は、レブロンとベンチから出場したオースティン・リーブスが次々と得点を重ね、後半はアンソニー・デイビスが鬼神のような活躍。
やっぱりレイカーズは、選手が健康だと強いんだなと、再確認できました。
願わくば、ここに八村塁選手の名前が加わってほしかったんですが、残念ながら8分37秒出場の無得点。
ペイサーズのマイルズ・ターナーを身体をはったディフェンスで抑え込むなど、献身的なプレーをみせた八村選手でしたが、ケガ明けな上、ペイサーズがスピードでかき回すタイプの選手が多かったため、出番が限られました。
決勝は、特にアンソニー・デイビスが圧倒的な存在感をみせましたね。
41得点20リバウンドのモンスタースタッツを記録しましたが、インシーズントーナメントの決勝だけはレギュラーシーズン82試合には含まれないため、シーズンスタッツには含まれません。
NBA Rakutenの放送でも言われていましたが、初のインシーズントーナメント決勝で記録した〝幻のスタッツ″ということで、それもまたかっこいいと思います。
決勝はアンソニー・デイビスの攻守にわたる圧倒的な活躍が目立ちましたが、インシーズントーナメントを通じてのMVPには、レブロン・ジェームズが選ばれました。
これはもう文句なしですね。
今回のインシーズントーナメントでの、レブロンの勝負強さには、驚かされました。
とてももうすぐ39歳を迎える選手の動きではありません。
サンズとの2試合は、最後までもつれる接戦でしたが、クラッチタイムでは、常にレブロンがコート上での〝キング″でした。
また、今回インシーズントーナメント全体で、33本試投し、20本決めています。
成功率60.6%!
すでにNBAの歴史で最も長くコートに立ち続けている男が、まだ進化を続けている事実に、驚きを通り越して、笑ってしまいます。
とにかく、少しでも長くレブロンの雄姿を観ていたい!
アンチレイカーズのわたくしリトルでさえ、そう思うのです。
まとめ
今回は、初めて開催されたインシーズントーナメントについてまとめました。
当初開催されることが発表された時は、否定的な声が多かったインシーズントーナメント。
実際に行われると、賞金と名誉をもとめて戦う選手にとっても、その熱い戦いを観ることができるファンにとっても、〝神イベント″でしたね。
時期を11月~12月に設定したのも、NBAに注目を集めるには、一番良かったと思います。
今回の盛り上がりで、プレーオフに向けても各チーム目の色が変わるのではないでしょうか?
4勝しないと勝ち上がれないプレーオフと違い、1発勝負のインシーズントーナメントは、勢いで勝ち上がるチームも出やすい傾向にあると思います。
今回オフェンス全振りのインディアナ・ペイサーズが決勝に進んだのも、インシーズントーナメントの面白さを伝えるのに、とてもよかったんじゃないでしょうか?
やはり、アメリカのエンターテイメントは、想像力、企画力、実行力が違いますね。
新しい取り組みを大胆に取り入れる柔軟性は、日本のプロスポーツでも見習うべきだと思います。
とにかく、本当に楽しかったインシーズントーナメントでした。
現在NBAを視聴するには、NBA Rakutenの契約が必要です。
今シーズンから月額4500円(!)と値上げが敢行されましたが、楽天モバイルの契約で、実質月々1078円の負担で、NBAの全試合を視聴することができます。
わたくしリトルは、携帯の契約はdocomoのまま、楽天モバイル〝最強プランを契約″し、実質1078円でNBAを楽しんでいます。
もちろん携帯の契約を楽天モバイルに変えてもいいと思いますが、あまりにも長い間docomoを利用しているため、なんとなく愛着があるんですよね。
現在楽天モバイルは、通話品質も以前よりよくなっていますし、プラチナバンドの獲得もニュースになっていますから、携帯を楽天モバイル1本にしても、問題ないとは思いますが。
是非皆さんも、楽天モバイルの〝最強プラン″を契約して、NBAの興奮を味わいましょう!