2024-25のレギュラーシーズンMVP候補筆頭に挙げられているシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)が、ついに神様マイケル・ジョーダンを超えてしまいました。
「70試合連続20得点以上」。
2024-25シーズン圧倒的な活躍をみせるSGAの恐ろしさがあらわれていますね。
得点王まちがいなしの26歳は、シュートタッチが悪くても20得点をとれるだけのテクニックと、ケガをしない強さを持ちあわせています。
今回はリーグ首位を走るオクラホマシティ・サンダーのエース、SGAの2024-25シーズンの活躍をふり返り、シーズンMVPの行方をうらなっていきたいと思います。
それでは、レッツラゴー!
SGA 70試合連続20得点以上の大記録
現地時間4月4日に行われたウエスタンカンファレンス2位のヒューストン・ロケッツ戦で、リーグ全体1位を走るオクラホマシティ・サンダーは完敗(111-125)したものの、SGAはこの試合22得点を記録。
11月1日のポートランド・トレイルブレイザーズ戦で30得点をあげてからスタートした20得点以上の連続記録を、70試合とし、神様マイケル・ジョーダンが1990-91シーズンに記録した「69試合連続20得点以上」を超えてしまいました。
1シーズンにおける20得点以上の連続試合数記録としては、SGAの70試合連続は、史上4位の記録です。
1位はウィルト・チェンバレンが2回記録しています。
1961-62シーズンと、1963-64に記録した80試合連続。
3位はオスカー・ロバートソンが1963-64シーズンに記録した76試合連続です。
ウィルト・チェンバレンの1961-62シーズンの1試合平均得点は50.4得点ですから、現在のNBAとはちょっと比較できませんね。
SGAの70試合連続20得点の偉業は、1970年以降では初のことですから、すばらしい記録だと思います。
今シーズンSGAが20得点に到達しなかったのは、10月30日に行われたサンアントニオ・スパーズ戦の1試合のみ。
このスパーズ戦でも18得点を記録していますから、下手したら今シーズン出場した75試合(3試合欠場)すべてで20得点以上を記録していても、おかしくなかったと言えるでしょう。
まだ26歳のSGAは、これからどこまで成長していくのでしょうか?
SGA 2024-25スタッツと特徴
シェイ・ギルジャス・アレキサンダー スタッツ
2024-25シーズン(4/10現在)
76試合 34.2分出場
32.7得点 5.0リバウンド 6.4アシスト 1.7スティール 1.0ブロック
FG51.9% 3P37.5% FT89.8%
通算
462試合 33.1分出場
24.4得点 4.8リバウンド 5.1アシスト 1.4スティール 0.8ブロック
FG50.1% 3P35.5% FT86.2%
2024-25シーズンの得点王まちがいなしのシェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)。
198㎝とポイントガードとしてはサイズのあるSGAは、圧倒的な1on1のテクニックと正確なミドルシュートで得点を量産し、得点王争いでトップを独走してきました。
特にドライブからの多彩なフィニッシュは、NBAの歴史をみても、トップクラスの能力ですね。
iphoneの画面の動きを「ヌルヌル」と表現することがありますが、SGAのドライブをみていても「ヌルヌル」という言葉が出てきてしまうほど、めちゃくちゃスムーズ。
そしてディフェンスとの駆け引きがバツグンに上手く、1on1の中でもディフェンスのほころびを見つけ、オープンになった味方にパスを出す視野の広さも持っています。
198㎝ 88㎏の細い身体ですが、決して当たり負けしない体幹の強さも特徴です。
弱点と言われている3ポイントシュートですが、今シーズンは1試合平均5.7本を試投(自己最高)し、2.1本を沈め、37.5%とまずまずの確率を残していますね。
フリースローの成功率も約90%と高く、本当に欠点のないプレイヤーになりました。
決して派手なダンクをするわけではなく、派手なアクションで会場を盛り上げるわけでもないんですが、SGAのプレーは目の肥えたNBAファンたちを常に関心させています。
SGAはディフェンスでも常に相手の脅威となっており、今シーズンは4月9日現在、1試合平均1.7スティール 1.0ブロックを記録。
身長198㎝に対してウイングスパンは211㎝と、異常なまでに長い手で、常に相手のプレーの先を読み、プレシャーをかけ続けています。
相手チームのエースを守ることも多く、1on1でも、ヘルプなどのチームディフェンスでも、常に相手の脅威となっていますね。
特にルーゲンツ・ドートとSGAのディフェンスコンビは強力です。
この二人にWチームに来られたらと思うと、恐ろしくてたまりませんね(笑)。
2024-25のシーズンMVPは誰だ SGA or ヨキッチ?
2024-25シーズンも大詰めとなり、現在NBAファンたちが注目しているのが、各アワードの受賞者予想。
特に話題となっているのが、シーズンMVPの行方です。
今シーズンのMVP候補は、2人の選手に限られています。
シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(SGA)と二コラ・ヨキッチです。
ここまでは誰も異論はないでしょう。
怪物がはびこるNBAの中でも、SGAとヨキッチの活躍は群をぬいています。
圧倒的な個人成績だけでなく、オクラホマシティ・サンダーをリーグ1位に導いているSGAと、現在シーズントリプルダブルを記録し、歴史的な個人成績を残しているものの、所属するデンバー・ナゲッツはやや苦しんでいる二コラ・ヨキッチ。
正直二人ともシーズンMVPにふさわしい活躍だと思うのですが、はたしてどちらがシーズンMVPに送られるマイケル・ジョーダントロフィーを手にするのでしょうか?
SGA vs ヨキッチ スタッツ比較
まずは今シーズンのSGAとヨキッチのスタッツを比較してみましょう。
2024-25スタッツ(4/9時点)
シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(サンダー)
76試合 34.2分出場
32.7得点 5.0リバウンド 6.4アシスト 1.7スティール 1.0ブロック
FG51.9% 3P37.5% FT89.8%
二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
68試合 36.8分出場
29.8得点 12.8リバウンド 10.2アシスト 1.8スティール 0.6ブロック
FG57.5% 3P41.4%
二人とも恐ろしいスタッツを残していますね。
特にヨキッチの凄さを語るために、2024-25シーズンの主要3部門のリーグトップ3をみてみましょう。
2024-25NBAランキング(4/10時点)
平均得点
1位 シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(サンダー)
32.7
2位 ヤニス・アデトクンボ(バックス)
30.4
3位 二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
29.8
平均リバウンド
1位 ドマンタス・サボニス(キングス)
13.9
2位 カール・アンソニー・タウンズ(ニックス)
12.8
3位 二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
12.8
平均アシスト
1位 トレイ・ヤング(ホークス)
11.6
2位 二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
10.2
3位 タイリース・ハリバートン(ペイサーズ)
9.2
SGAは怪物が集うNBAの中で、得点王をほぼ確実にしています。
そして二コラ・ヨキッチは主要3部門すべてで3位までに入り、シーズントリプルダブルを達成しようとしています。
ちなみにヨキッチは4月9日時点でスティールもNBA全体2位(1.8)を記録しているんです。
化け物ですね。
SGA vs ヨキッチ どちらがMVPをとるべきか
白熱するMVP議論に、NBAを36年間観つづけてきたわたくしリトルが答えを出しましょう。
ずばり、MVPはシェイ・ギルジャス・アレキサンダーが受賞するべきだと思います。
確かにヨキッチはNBA史上最高のオールラウンダーとして、今シーズン究極といえるスタッツを残していますし、チームにおける支配力も群を抜いています。
正直2024-25シーズンでなければ、ほとんどのシーズンでMVPを受賞したでしょう。
しかしそれでも、今シーズンのMVPはSGAがとるべきだと思うのです。
理由① チーム成績
歴代のシーズンMVP受賞者には、個人の活躍だけではなく、チーム成績も考慮される伝統があります。
今シーズンリーグ首位を走るオクラホマシティ・サンダー(66勝14敗)に比べ、デンバー・ナゲッツ(48勝32敗)はややインパクトにかけています。
今シーズンウエスタンカンファレンスは大激戦。
1位のサンダーは飛びぬけている状態で、2位ロケッツ(52勝28敗)、3位レイカーズ(49勝31敗)とつづき、そのあとにナゲッツとクリッパーズが48勝32敗、ウォリアーズとグリズリーズが続いています。
8位のウルブズも46勝33敗のため、残り試合下手をしたらナゲッツはプレーイントーナメントまで落ちてしまう可能性もあるのです。
2016-17シーズン、ラッセル・ウエストブルック(当時サンダー)がシーズントリプルダブルを達成し(31.6得点 10.7リバウンド 10.4アシスト)シーズンMVPを受賞していますが、この時サンダーは47勝35敗でウエスト6位でした。
チームとしてはインパクトを残せなかったものの、55年ぶり史上2回目のシーズントリプルダブルのインパクトが強く、ウエストブルックはMVPを受賞しましたが、正直今年のヨキッチに、そこまでのインパクトはありません。
ウエストブルックがすでに達成していますし「ヨキッチならやるわな」ということもありますし(笑)。
圧倒的なインパクトがなければ、やはりチーム成績が重要視されるでしょう。
今年もっとも勢いがあり注目されたチームといえば、やはりオクラホマシティ・サンダーで間違いないでしょう。
シーズン序盤はイースタンカンファレンスのクリーブランド・キャバリアーズがリーグ首位を走っていましたが、シーズン終盤でやや勢いを失ったため、よりサンダーの強さが際立っています。
2024-25シーズンのレギュラーシーズンで最も注目されたチームを、圧倒的なスタッツで牽引したSGAがMVPレースのトップを走るのは、自然なことだと思います。
理由② 出場試合数
4月10日現在の出場試合数を比べると、SGAは80試合中76試合に出場、ヨキッチは80試合中68試合の出場です。
この8試合の差は意外に大きいと思うのですが、いかがでしょうか?
SGAは、オクラホマシティ・サンダーで最も出場試合数が多く、今シーズンの総出場時間は、リーグ全体で13位です。
1シーズンほぼ健康を保ち、チームで最も試合に出て、自らの活躍でサンダーをリーグ首位に導いているのですから、それは印象がよいですね。
余談ですが、総出場時間1位がミケル・ブリッジズ、2位がジョシュ・ハート、9位がOG・アヌノビーとニックスの選手が上位に入っていて、妙に納得させられました。
対してヨキッチは68試合出場と、アワードの対象となる65試合はすでにクリアしているものの、やや印象は悪くなってしまいますね。
もちろん出場試合数が少なくても、今年のヨキッチの支配的な活躍をみると、例年であれば間違いなくMVPを獲得できるんですが・・・。
今シーズンは、ヨキッチにスタッツは劣るものの、SGAも圧倒的なプレーでオフェンスとディフェンス両面で支配を支配していますからねえ・・・。
8試合の出場試合数の差は、受ける印象が大きく変わってくる気がします。
理由③ MVPの受賞回数
これまで二コラ・ヨキッチは2021年、2022年、2024年とレギュラーシーズンMVPを3回受賞しています。
2023年もヨキッチが受賞する可能性が高いと思いましたが、この年はフィラデルフィア・76ersのジョエル・エンビードが受賞しました。
2022-23シーズンの得点王に輝くなど、エンビードの活躍はすばらしかったのですが、当時はヨキッチをMVPに推す声も多かったです。
エンビードが受賞した理由の一つに「ヨキッチがすでに2回MVPになっていた」ことがあげられると思います。
やはりNBAとしても、新しいスター、まだMVPを手にしていないスターにトロフィーを渡したいんではないでしょうか?
そう考えると昨年3回目のMVPを受賞したヨキッチよりも、これまで長くドアマットチームだったサンダーを、圧倒的な活躍でリーグトップに導いたニュースター、シェイ・ギルジャス・アレキサンダーにMVPトロフィーを渡したいと思うのが、当然の心理だと思うのですが、いかがでしょうか?
まとめ SGAのシーズンだったな
2024-25シーズンのSGAの活躍をふり返り、ヨキッチとのMVPレースについて語ってきました。
こうして振り返ってみると「今シーズンのNBAの顔はSGAだったなあ」と思います。
毎年シーズンを思い返すと、顔となる選手が必ずいます。
1992-93シーズン、圧倒的なスタッツを残したのはマイケル・ジョーダンでしたが、この年の顔となったのはフェニックス・サンズに移籍し、チームをリーグトップの成績に導いたチャールズ・バークレーでした。
個人スタッツはジョーダンに劣るものの、1993年のシーズンMVPはバークレーで間違いありませんでした。
今シーズンも、驚異的なスタッツを残したのはヨキッチでしたが、今年の顔を一人選ぶとすれば、間違いなくSGAでしょう。
MVPは、個人成績が一番すごい選手を選ぶのではなく、リーグにもっともインパクトをあたえた、シーズンの「顔」となる選手に与えられるべき賞だと思うのです。
みなさんの意見はいかがでしょうか?
まあ、こうやっていろいろ理屈をつけて、誰が受賞するのかを予想している時が、ある意味一番楽しいですね。
2024-25シーズンも大詰め、プレーオフの戦いを、存分に楽しみましょう!
