衝撃的なニュースが飛びこんできました。
2025-26シーズン、優勝候補にもあげられているヒューストン・ロケッツの司令塔、フレッド・バンブリートが練習中に膝の前十字靭帯を断裂し、長期離脱することが発表されたのです。
この夏大型補強を行ったロケッツですが、絶対的司令塔の長期離脱の影響は大きいでしょう。
今回はフレッド・バンブリートに代わるヒューストン・ロケッツの新司令塔について、語っていきたいと思います。
ヒューストン・ロケッツの現状
2024-25シーズン、ウエスタンカンファレンスでもっとも躍進したチームは、まちがいなくヒューストン・ロケッツだったといえるでしょう。
前年41勝41敗、ウエスタンカンファレンス11位でプレーインも逃していたロケッツは、2024-25シーズン52勝30敗、ウエスタンカンファレンス第2シードを獲得しプレーオフに進出。
プレーオフ1stラウンドではゴールデンステイト・ウォリアーズと第7戦までもつれる死闘の末、敗れてしまいましたが、明るい未来を確信するシーズンとなりました。
シーズン終了後、ロケッツのフロントは大胆に動きます。
昨シーズンアルペレン・シェングンとともにWエースをつとめた23歳のシューティングガード、ジェイレン・グリーンとディフェンスの要ディロン・ブルックス、プラス今年の1巡目10位指名権+2巡目指名権×5本を出し、フェニックス・サンズからスーパースター、ケビン・デュラントを獲得。
その後も守備力の高いフォワード、ドリアン・フィニー・スミスやベテランセンターのクリント・カペラを獲得するなど、優勝するために精力的な補強を行いました。
雑誌『ダンクシュート』9月号のNBA補強採点では、唯一100点満点の評価を受けたチームとなっています。
豪華戦力を整えたロケッツをまとめるのは、31歳になったベテラン司令塔のフレッド・バンブリート・・・の予定でした。
ロケッツ バンブリートに代わる司令塔は?
昨シーズンのバンブリートは、決して好調ではありませんでした。
2024-25 バンブリート スタッツ
60試合 平均35.2分出場
14.1得点 3.7リバウンド 5.6アシスト 1.6スティール
FG37.8% 3P34.5% FT81.0%
2024-25シーズン、バンブリートは左内転筋の負傷もあり、60試合の出場にとどまります。
3ポイントシュート成功率も自己最低を記録するなど、決して好調なシーズンではありませんでしたが、ロケッツの躍進には欠かせない存在であることを証明したシーズンでもありました。
レギュラーシーズン、バンブリートが出場した試合は41勝19敗と大きく勝ちこしていたものの、欠場した試合は11勝11敗と苦しんでいます。
ウォリアーズとのプレーオフでバンブリートは全7試合に先発し、チームトップの平均40.0分出場。
FG43.0% 3P43.5% FT100%と高いシュート成功率を記録し、アルペレン・シェングン(20.9得点)に次ぐ平均18.7得点をあげ、最後までウォリアーズを苦しめました。
勝負強さを証明したバンブリートは、シーズン終了後にチームオプションになっていた来シーズンの契約を破棄した上で、新たに2年5000万ドルの契約をロケッツと結んでいます。
バンブリートは、7月にNBA選手会の新選手会長に選出されるなど、選手たちからの信頼もあつい選手です。
コート上でもコート外でも、リーダーとして期待されていたバンブリートだったんですがねえ・・・。
ロケッツ 新司令塔候補
バンブリートに代わる司令塔は誰?
今一番注目されている問題でしょう。
ケビン・デュラント、アルペレン・シェングン、アメン・トンプソンなど実力者がそろうチームの司令塔にふさわしいのは誰なのか、いくつかのパターンを考えていきましょう。
司令塔候補① リード・シェパード
2024年のNBAドラフト1巡目全体3位でロケッツに指名されたリード・シェパード。
サマーリーグではハイライトシーンが話題になるなど、大きな期待をあつめたシェパードでしたが、ガードの層が厚いロケッツでは、あまり出番が与えられないルーキーシーズンを過ごします。
シェパードは52試合、平均12.6分の出場にとどまると、4.4得点 1.5リバウンド 1.4アシストと当初の期待を大きく裏切る結果に終わりました。
ただGリーグでは平均30.7得点 4.7リバウンド 7.3アシスト 3ポイント成功率40.5%を記録し、才能の違いを見せつけています。
今季ロケッツの新司令塔にシェパードをあげる声が多いのは当然でしょう。
出場時間さえ与えれば、一気にブレイクするだけの実力は持っていると思います。
わたくしリトルは、ルーキー・オブ・ザ・イヤー予想でリード・シェパードをあげていたくらい、彼の能力に惚れこんでいますから、2024-25シーズンの活躍をおおいに期待しているんです。
NBAの歴代トップポイントガードの一人ジョン・ストックトンも、ルーキー時代は平均18.2分の出場で5.6得点 5.1アシストでした。
4年目の1987-88シーズンに初めてスターターに定着し、前年の7.9得点から14.7得点に平均得点がジャンプアップ。
アシストは前年から5.6本アップさせ、平均13.8本でアシスト王に輝くなど一気にブレイク、その後9年連続のアシスト王に輝いたのは皆さんご存じかと思います。
ストックトンがブレイクしたのは25歳のシーズンですが、シェパードはまだ21歳。
シュート力、パス能力に優れ、華もあるシェパードがロケッツを牽引するほど活躍することができれば、バンブリート抜きでもNBA制覇は現実のものとなるかもしれません。
司令塔候補② アメン・トンプソン
昨シーズン主に先発スモールフォワードとして出場し、2年目にしてNBAオールディフェンシブ1stチーム入りするなど大ブレイクしたアメン・トンプソン。
201㎝と高さもあり、スピードと身体能力もNBAトップクラスのアメンは、ポイントガードからセンターまで、すべてのポジションをカバーできるオールラウンダーです。
昨季バンブリート不在時にはポイントガードもつとめ、的確なパスと力強いドライブを武器にチームに勢いを与えていました。
ペリメーターディフェンスは当然リーグ最強クラス。
ケビン・デュラントが加入し、シェングンも得点力が高いことを考えると、アメンのようなディフェンス力の高いオールラウンダーは最高の相性だといえるでしょう。
ただポイントガードとしての起用となると、アメンには大きな問題があります。
シュート力です。
ドライブからのフィニッシュが多いためフィールドゴール成功率は55.7%と高いものの、3ポイントシュート成功率は27.5%とリーグ最低レベル。
3ポイントシュートが重要視されている現代バスケ、特にポイントガードでは、アメンのシュート力の低さは致命的でしょう。
アメンの良さを最大限に生かすためにも、ポイントガードではなく、シューティングガード、もしくはスモールフォワードでの起用が現実的だと思うのですが、イメイ・ユドカHCはどういう器用を考えているのでしょうか?
司令塔候補③ 大穴ラッセル・ウエストブルック
NBAファンの中で期待をこめて噂されているのが、ラッセル・ウエストブルック(ラス)の獲得です。
9月23日現在、まだ所属チームが決まっていないラス。
昨シーズン、デンバー・ナゲッツでプレーしたラスは、平均13.3得点 4.9リバウンド 6.1アシストとまずまずのスタッツを残したものの、大事な場面でレイアップを外すなど、ネタにされることも多い不安定なシーズンを過ごしました。
かつて4度のシーズントリプルダブルを記録し、シーズンMVPの受賞歴もあることを考えると、衰えを指摘されてもしかたがない状態です。
それでもバンブリート離脱が決定した時に、ラスの獲得を期待する声があがったのは、なんといってもケビン・デュラント(KD)の存在ですね。
2007年のNBAドラフト1巡目全体2位でオクラホマシティ・サンダーに指名されたKDと、2008年のNBAドラフト1巡目全体4位で指名されたラス。
2人はNBA屈指の若手デュオとして、サンダーを強豪に押しあげました。
2012年にはNBAファイナルに進出するも、レブロン、ウェイド、ボッシュのビッグ3擁するマイアミ・ヒートに完敗。
そして2016年のプレーオフ、カンファレンスファイナルまで進んだサンダーは、この年史上最高の73勝9敗を記録したゴールデンステイト・ウォリアーズを3勝1敗と追いつめます。
しかしそこからサンダーは3連敗。
平均30.0得点 8リバウンドをあげたKDと、26.7得点 7.0リバウンド 11.3アシストをあげたラスの奮闘もむなしく、サンダーはまたもあと一歩で優勝を逃してしまったのです。
それでもサンダーの未来は限りなく明るいと思われていました。
当時KDとラスは27歳。
まだまだ若いWエースを擁するサンダーがリーグを制覇する日は近いと誰もが思っていましたから。
ただシーズン終了後にFAとなったケビン・デュラントが選んだのは、ゴールデンステイト・ウォリアーズへの移籍だったのです。
カンファレンスファイナルで負けたばかりのライバルチームにKDが移籍を決めたことに、ラスは激怒。
8年間続いたNBA最強のデュオは、突然解消されてしまいました。
ファンからはKDバッシングが巻き起こり、2人の関係は冷え切ったと噂され続けています。
この夏KDがロケッツに移籍し、ウエストブルックはまだ所属先が決まっていない状況。
ファンがKDとラスのデュオ再結成を望むのは、当然と言えば当然ですね。
ただ11月12日には37歳となるラスは、強豪チームの司令塔としては厳しい状態になっているのは間違いないでしょう。
もともと3ポイントシュートを苦手としているラスは、身体能力の高さを武器に戦って来ましたが、衰えは隠せなくなっています。
正直ロケッツのフロントが、ラスを先発ポイントガードに置くことはないのかもしれません。
ロケッツがこの夏の補強で、選手のサラリーがふくれあがり、ハードキャップギリギリに到達していることも、ラス獲得を難しくしています。
現状はミニマムの選手を獲得することもできず、トレードで選手を出し、サラリーダンプするしかありませんが、開幕前に応じてくれるチームは現れないかもしれません。
それでもリード・シェパードやアメン・トンプソンのバックアップとして、ラスを獲得することはあるのかもしれませんね。
そうなれば、サンダーでの2人の活躍を観てきたわたしたちファンとしては、最高の胸熱展開となるのですが、はたして・・・。
まとめ
今回はフレッド・バンブリート離脱のニュースを受け、新シーズンのロケッツのポイントガードについて考えてきました。
個人的にはリード・シェパードの覚醒に、おおいに期待しています。
NBAの歴史をみても、ベテラン選手がケガをした時に、若手がブレイクすることは多々ありましたから。
この夏ケビン・デュラント、ドリアン・フィニー・スミス、クリント・カペラが加入し、フォワード、センターの層を厚くしたロケッツの中で、ポイントガードは一番層がうすいポジションでした。
それだけバンブリートが信頼されていたともいえるでしょう。
バンブリートの離脱は、ロケッツにとって想定外の大問題です。
このピンチを、若手が成長するチャンスに変えることができれば、ロケッツは本当の優勝候補におどり出るかもしれません。
なにはともあれ、2025-26シーズンの開幕まで残り1か月を切りました。
新シーズンに向けて、ロケッツのフロントとイメイ・ウドカHCがどのような選択をするのか、楽しみにしましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
