マイアミ・ヒートの絶対的エース、ジミー・バトラーの動向が注目されています。
大事な場面、特にプレーオフでは圧倒的な活躍をみせ、何度も強豪チームを震え上がらせてきたジミー・バトラー。
ついたあだ名は「プレーオフジミー」。
ヒートに加入してからの5シーズンで2回のNBAファイナル進出、1回のカンファレンスファイナル進出と、決して戦力が充実しているとはいえないチームに勝利をもたらしてきました。
2021年8月にむすんだ4年1億8400万ドル(約202億4000万円 1㌦=110円 当時)の契約はあと2年残っているものの、2025-26シーズンはプレイヤーオプションになっているジミー。
本人はヒートとの再契約を望んでいるそうですが、まだ球団から延長契約のオファーはとどいていません。
マイアミ・ヒートの球団社長パット・ライリーは、35歳となったジミー・バトラーとの契約をむすぶのか、それともトレードの駒とするのか・・・。
今回は、ジミー・バトラーのこれまでの活躍をふりかえり、ヒートが契約をするべきなのか、放出するべきなのかを、語っていきたいと思います。
ちなみに、ジミー・バトラーの異名(プレーオフジミー、俺勝、コーヒー)の語源となったエピソードや、壮絶な生い立ちについては、以前まとめた記事をごらんください。
結論 ヒートはバトラーをトレードすべき
まず結論からのべると、35年間NBAを観つづけているわたくしリトルの見解は「ヒートはジミー・バトラーをトレードすべき」ということになりました。
マイアミ・ヒートを強豪チームに押し上げた功労者であるジミーですが、あまりにもリスクが大きすぎます。
もちろん、ジミーが「サラリーを減額してでもヒートでプレーしたい!」というのであれば、延長契約すべきですが・・・。
ニューヨーク・ニックスのジェイレン・ブランソンのように、チームのために漢気をみせて、減額契約してくれればいいんですがねえ・・・。
まあ、プロなんで自分の価値を下げるようなことはしないのが普通ですけどね。
わたくしリトルが「ジミーをトレードすべき」という理由は、主に3つあります。
順番に観ていきましょう
①ケガの多さと年齢
今年の9月14日に35歳になったジミー・バトラー。
タフなイメージのあるジミーですが、マイアミに来てからの5シーズン、ケガに苦しめられています。
シーズンごとの出場試合数をまとめると・・・
ジミー・バトラー 出場試合数
2019-20 58試合出場(コロナのため全73試合)
2020-21 52試合出場(コロナのため全72試合)
2021-22 57試合出場(全82試合)
2022-23 64試合出場(全82試合)
2023-24 60試合出場(全82試合)
コロナウイルスの影響で、試合数が少ないシーズンがありますが、それにしても欠場が多いですね。
昨シーズンから、MVPやオールNBAなどアワードの選出条件に「65試合出場」という要件が加わりましたが、ヒートに来てからのジミーは、一度もクリアできていません。
レギュラーシーズンで欠場が多くても、これまではプレーオフで圧倒的な活躍をみせていたため、欠場が多くても目立ちませんでしたが、昨シーズンはついにプレーオフも全休してしまいました。
9月14日に35歳となったジミーは、今後さらに欠場がふえることも予想されます。
球団社長のパット・ライリーは「毎晩プレー可能でない選手に多くの資源を投入するのは難しい」と語っています。
ケガがちの35歳にMAX契約をわたすのは、あまりにもリスクが大きいと思うのですが、いかがでしょうか?
②暴言、トラブルの多さ
結果を出しつづけ、ヒートの絶対的エースとなったジミー・バトラーですが、なにかとお騒がせな一面もあります。
毎朝4時からトレーニングを積むなど、努力をおしまないジミーは、ミネソタ・ティンバーウルブズやフィラデルフィア・76ers時代、チームメイトやフロントとたびたび衝突してきました。
「俺勝」の異名がついた、ウルブズ時代のエピソードは特に有名ですね。
そんなジミーも、マイアミ・ヒートに移籍してからは真のリーダーとして、活躍をつづけてきました。
勝利するために全力を注ぐジミーと、マイアミ・ヒートに受けつがれる「ヒートカルチャー」がみごとに融合したのです。
ただ、ジミーがおとなしくなったわけではありません。
試合中にスポールストラHCと激しい口論になることは珍しいことではありませんし、最近はパット・ライリー球団社長からたびたび教育的指導を受けています。
2022年3月には、マイアミのレジェンド、ユドニス・ハスレムに「試合にも出てないやつは黙ってろ、チアリーダーやろう」と、とんでもない暴言まで吐いているバトラー。
スポールストラHCが指示した作戦が気に入らなかったのか、ジミーが文句を言ったところ、スポールストラが「喧嘩をうってるのか」と反応。
あわてて仲裁に入った当時41歳の大ベテランにむかって、ジミーが放った言葉が「チアリーダーやろう」だったのです。
2021-22シーズン、41歳のハスレムの出場試合数は13試合で平均出場時間は6.4分と、ほぼ戦力にはなっていない状態。
それでも、当時ヒート一筋19シーズン目のレジェンドに対し、「チアリーダーやろう」はあまりにも失礼ですよね。
正直「うまいこと言うな」ともチラっと思ってしまいましたが・・・。
ジミーの言葉が響いたのかはわかりませんが、ハスレムは翌2022-23シーズンを最後に引退しています。
つい最近も、ジミーはパット・ライリーHCから苦言を呈されています。
プレーオフ1回戦で、リーグ1位の勝率をほこるボストン・セルティックスと対戦したヒート。
結果は1勝4敗でヒートが完敗しました。
最も大きな敗因は、エースのジミー・バトラーが1試合もプレーできなかったこと。
プレーオフ出場をかけたフィラデルフィア・76ersとのプレーイントーナメント第1戦で、ジミーは右膝内側側副靭帯(MCL)を損傷し、プレーできない状態になってしまったのです。
シリーズ中もSNSでセルティックスを煽っていたジミーでしたが、敗退後には「俺がプレーしていたら、セルティックスもニックスも倒していた」と動画で語り、物議をかもしました。
これに対し、会見でパット・ライリー球団社長が公開説教を行います。
「彼があの発言をしたとき、『ジミーは煽っているのか?それとも本気で言っているのか?』と思いました。ボストンやニューヨークとのシリーズでコートに立ってプレーしていないのであれば、それらのチームに対する批判を口にすべきではない」と語ったライリー。
バスケットボールには誰よりも真摯にとりくむジミー・バトラーですが、それゆえ激しい暴言やトラブルもつきものになっています。
ショーマンシップもつよく、みんなを楽しませたいという性格もあり、ついついSNSでよけいな投稿をやっちゃうこともあるんですよね。
なにかとトラブルを起こすジミーに、パット・ライリー球団社長やエリック・スポールストラHCが愛想をつかしても、しかたがないのかもしれません。
③高額なサラリー
あくまでも噂ですが、ジミー・バトラーはMAX契約を望んでいるそうです。
これまでのプレーオフでの活躍をみてきたら、当然かとは思いますが、前述したようにジミーは現在35歳。
しかもケガがちの35歳です。
ちなみに現行の契約でジミーが受け取るサラリーは、2024-25シーズンが約4800万ドル(約72億円 1㌦=150円)、プレイヤーオプションとなる2025-26シーズンが約5200万ドル(約78億円)。
現行の契約が満了した時、ジミーは37歳になっています。
地元紙「マイアミ・ヘラルド」が報じた内容によると、ジミーは2年総額1億1300万ドル(約169億5000万円 1㌦=150円)の延長契約を希望しているそうです。
ケガによる欠場が多い高齢の選手に、1年約85億円のサラリーを払うのは、あまりにもリスクが大きすぎますね。
ジミー・バトラーという選手は、レブロン・ジェームズ、ケビン・デュラント、ヤニス・アデトクンボやジェイソン・テイタムのように、常に活躍し、毎試合高いスタッツを残すタイプではありません。
プレーオフの大事な場面で、爆発的な活躍をみせるタイプの選手です。
普段の試合では、消えていることもよくあります。
圧倒的なスタッツを残しながら、大事な場面でヘタレることが多い、テイタムと真逆な感じですね。
プレーオフジミーは、多くの奇跡的なプレーで、マイアミのファンを熱狂させてきました。
ただ、安定した活躍がみこめない、ケガがちな大ベテランに対して出せるサラリーには限界があります。
チーム力維持をシビアに判断してきたパット・ライリー球団社長が、ジミーとの契約についてどう考えるのか・・・。
常に勝利を目指す「ヒートカルチャー」を維持するために、ジミー・バトラーを放出することになっても、わたくしリトルは驚かないでしょう。
ジミー・バトラ―が移籍する可能性のあるチーム
もしジミー・バトラーとマイアミ・ヒートとの延長契約がまとまらなかった場合、来シーズンのプレイヤーオプションを破棄して、他のチームに移籍する可能性があります。
現在ジミー獲得を狙っていると言われている3チームについて、語っていきましょう。
獲得候補① ゴールデンステイト・ウォリアーズ
個人的に一番観てみたいのが、ウォリアーズでのジミー・バトラーの活躍。
35年間ウォリアーズファンを続けてきたわたくしリトルが、最初に「ウォリアーズがジミー獲得をねらっている」というニュースをみたときの感想は「合わねえだろ」でした。
しかしよくよく考えてみると、意外とマッチしそうなんですよね。
この夏チームの功労者、クレイ・トンプソンをダラス・マーベリックスに放出したウォリアーズ。
NBA史上最多6チーム間のサイン&トレードで、クレイの見返りにウォリアーズが獲得したのはシューターのバディ・ヒールドと、オールラウンダーのカイル・アンダーソンでした。
バディ・ヒールドはNBAトップレベルの3ポイントシューター。
NBAで8シーズンを過ごし、3ポイントシュートの成功率は40.0%と高確率でリングを射抜いています。
カイル・アンダーソンは、〝スローモー″の異名をもつオールラウンダー。
NBAの世界では、ひときわ遅い動きながら、頭脳的なプレーでチームの潤滑油として活躍をつづけてきました。
ウォリアーズの戦術にフィットすれば、間違いなく活躍ができる二人ですが、やや小粒感があるもの事実です。
そこで、エースのステフィン・カリーともう一人チームの核になる選手として、ジミー・バトラーが加わるのは、面白いんじゃないでしょうか。
もちろんジミーを獲得するには、見返りも大きいと思われます。
FAで加入するのであればいいのですが、そうはうまくいかないでしょう。
トレードになると、アンドリュー・ウィギンスに加え、昨シーズン大きく成長をみせた、今年22歳になるジョナサン・クミンガの放出は、避けられないかもしれません。
ただウォリアーズは現在36歳のスーパースター、ステフィン・カリーが現役の間に、もう一度優勝することを目標にしています。
優勝をするためには、ある程度未来を犠牲にしてでも、〝今″に賭ける必要があるのです。
一見合わないようにもみえるカリーとジミーですが、優勝するためには全力をつくすところは、共通しています。
二人ともユーモアもあり、人間的な魅力も大きいリーダーです。
プレー的にはかぶりませんし、健康体さえ維持できれば、十分優勝も狙えるチームになるのではないでしょうか?
35年間ゴールデンステイト・ウォリアーズを応援してきたわたくしリトルとしては「未来を捨てて今勝負をかける」という考え方には賛成です。
「カリーとジミーが引退したら、そのあと弱小チームになるじゃないか!」という声もあるとは思いますが、カリーやクレイが加入するまでは、ずっとタンクしていたような弱小チームでしたからね。
また一からチーム造りをするしかないでしょう。
夢はいつか覚めますから。
獲得候補② ブルックリン・ネッツ
現在もっとも可能性が高いと言われているのが、ブルックリン・ネッツです。
現地時間8月31日に「ニューヨークポスト」のブライアン・ルイス記者が報じた記事では「ジミーは『ブルックリンを好んでいる』と語っていた」と報じています。
ただ、これは「ジミーと親しい人物が語った」という内容なので、信ぴょう性があるのかは不明です。
現在絶賛チーム解体中のネッツ。
この夏、ミケル・ブリッジスを放出し、ボーヤン・ボグダノビッチと大量のドラフト指名権を獲得しています。
デニス・シュル―ダ―、ベン・シモンズ、そしてボーヤン・ボグダノビッチらが2024-25シーズンで契約が切れるため、来シーズンは大物を獲得できるだけのキャップスペースが空くんですよね。
ジミー・バトラー+もう一人くらいスター選手を獲得し、ネッツが勝負をかけてくる可能性もあるにはあるんですが・・・。
正直、ジミーが加入したからといって、ネッツが勝てるとは思えません。
勝てないチームにジミーが行くとは思えませんし・・・。
獲得候補③ ヒューストン・ロケッツ
正直一番ハマると思うのが、ヒューストン・ロケッツ。
昨シーズン大ブレイクしたアルペレン・シェングンやジェイレン・グリーン、今シーズンドラフト1巡目全体3位で指名したスーパールーキー、リード・シェパードなど若手有望株を多数かかえ、2024-25シーズンの飛躍が期待されるチームです。
昨年の夏にフレッド・ヴァンブリート、ディロン・ブルックス、ジェフ・グリーンら実績のあるベテランが加入し、チームを改革。
前年(2022-23)の22勝60敗から、41勝41敗へと大躍進をみせました。
スター候補生を多数抱えるロケッツですが、さらなる飛躍を行うためには、チームをまとめる絶対的なリーダーがほしいところ。
ジミー・バトラーは適任だと思うのですが、いかがでしょうか?
新人のリード・シェパードがサマーリーグですばらしいプレーをみせたことで期待が高まっていますが、現状フレッド・ヴァンブリートとジェイレン・グリーンのスターター起用は固いでしょう。
シェパードが期待どおりの活躍をみせるのであれば、ジェイレン・グリーン+αとのトレードで、ジミー・バトラー獲得をねらってくる可能性はあると思います。
イーメイ・ウドカヘッドコーチの元で、リード・シェパードやアルペレン・シェングンら優秀な若手とともに戦うジミー・バトラー。
かなり観てみたい組み合わせだと思うのですが、いかがでしょうか?
まとめ
今回は、今後の動向が注目されているジミー・バトラーについて、語ってきました。
ケガがちとはいっても、数々の奇跡を起こしてきたマイアミ・ヒートの絶対的エースですから、今後延長契約をむすぶ可能性も十分あると思います。
NBAの歴史に名を残すリーダーであることは間違いないですからね。
ただ、バトラーがMAX契約を望むのであれば、パット・ライリー球団社長はシビアな判断を下す可能性が高いと思います。
はたして、マイアミ・ヒートは球団としてどのような判断を下すのか、注目していきましょう。
そして新シーズンのジミーの髪型にも要注目です(笑)。