NBAの2023₋24シーズンも、早くも各チーム約10試合を経過し、盛り上がりをみせています。
ウェンバンヤマやホルムグレンなど、期待のルーキーも活躍をみせ(スクート・ヘンダーソンはちょっと心配ですが)、毎日NBAを観れる幸せを感じているわたくしリトルです。
そんな中、今回は現在「NBAファンからもっとも応援されているチーム」であろうフィラデルフィア・76ersについて、2回にわたり語っていきたいと思います。
第1回は、現在絶好調の76ersのチーム状況を、第2回は76ersの歴史を語る予定です。
ぜひお付き合いください。
それでは、レッツラゴー!
2023₋24シーズンの76ers 好調の理由
2023₋24シーズン、NBAファンから一番応援されているチームは、76ersではないでしょうか?
ジェームズ・ハーデンが「ダレル・モーリーは嘘つきだ」「もうここではプレーしたくない」と、チームへの合流を拒んだところから始まった今シーズン。
開幕前はジェームズ・ハーデンのわがままに振り回され、チーム崩壊の心配もあったフィラデルフィア・76ersでしたが、開幕戦を落とした後は8連勝!
現在イースタンカンファレンス首位をボストン・セルティックスと争っています。
ハーデン問題は、11月1日にクリッパーズとのトレードをまとめ、一件落着。
ハーデンとPJ・タッカーをクリッパーズに送った見返りに、層が薄かったウイングでプレーできるロールプレイヤーが4人も加入し、層が厚みを増しました。
おかげで優勝経験豊富なベテラン、ダニー・グリーンがカットになってしまいましたが・・・。
ここで、イースタンカンファレンス首位を走る76ersの好調の理由を5つにまとめたいと思います。
76ers好調の理由
1.タイリース・マキシーの覚醒
2.ジョエル・エンビードの支配力
3.ヘッドコーチの交代
4.ロールプレイヤーの充実
5.チーム問題を乗り越えた一体感
1.タイリース・マキシーの覚醒
まずは、やはりタイリース・マキシーでしょう。
昨シーズンNBA3年目にして、初めて平均得点20点超えを果たした22歳の若者は、開幕からとんでもない得点力をみせています。
76ersのフロントが、開幕から3試合を終えた時点で、ジェームズ・ハーデンをクリッパーズへトレードしたのは、マキシーの成長に自信を持ったからですね。
マキシーの情報をまとめると・・・
タイリース・マキシー情報まとめ
2000年11月4日生まれ(22歳)
188㎝ 91㎏
ポジション ガード
ケンタッキー大学出身
2022年 NBAドラフト1巡目全体21位(⇨76ers)
2020₋21 8.0得点 1.7リバウンド 2.0アシスト FG46.2% 3P30.1%
2021-22 17.5得点 3.2リバウンド 4.3アシスト FG48.5% 3P42.7%
2022-23 20.3得点 2.9リバウンド 3.5アシスト FG48.1% 3P43.4%
2023-24 28.4得点 5.3リバウンド 7.0アシスト FG49.3% 3P42.9% (10試合終了時点)
2023₋24シーズン最初の「イースタンカンファレンス週間MVP」に輝きました。
今シーズン9試合目のペイサーズ戦では、1試合50得点も記録しています。
今年のMIP(最も成長した選手に贈られる賞)の筆頭候補ですね。
大学時代から圧倒的なドライブ能力は評価されていたものの、3Pシュートの成功率が29.2%と低確率だったため、ドラフトでは1巡目下位指名となったマキシー。
そういえば、今ケンタッキー大学出身のガードが、NBAで大活躍していると話題になっていますね。
ケンタッキー大学出身選手
タイリース・マキシー(フィラデルフィア・76ers)
デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)
シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(オクラホマシティ・サンダー)
ジャマール・マレー(デンバー・ナゲッツ)
タイラー・ヒーロー(マイアミ・ヒート)etc
オールスター級の選手だけでも、これだけのガードがそろっています。
とんでもない大学です。
ちなみにビッグマンでも、アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)、バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)、カール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)がいますから、NBAを目指すならケンタッキーですね(笑)。
話をもどしましょう。
マキシーは、ルーキーシーズンこそ3ポイントシュートの確率が30.1%でしたが、2年目にはなんと42.7%!
3年目の昨シーズンは、43.4%の高確率で決め続け、NBA5位の3Pシュート%を記録しました。
弱点と言われていたアウトサイドシュートを、自らの大きな武器としています。
NBAの世界で生き残るために、凄まじい努力を積み重ねてきたのでしょう。
今シーズン、マキシーが大きく成長できたのは、ジェームズ・ハーデンの影響が大きいようです。
マキシーは、ハーデンのトレードが決定した際、インタビューでこう答えています。
「彼(ハーデン)は僕に、自信を植え付けてくれた。もともと自信はあったけど、彼はそれをさらに高めてくれたんだ。だから彼には感謝しかない。」
「彼(ハーデン)は僕を目にかけてくれたし、このリーグでプロとしてどうあるべきか、それに物事の進め方とか、たくさんのことを教えてくれた。だから彼には感謝しているし、大好きだよ。」
昨シーズンアシスト王に輝く活躍をみせながら、トラブルを起こし76ersを去ったジェームズ・ハーデンですが、一番の功績は、タイリース・マキシーを正しく導き、覚醒させたことかもしれませんね。
2.ジョエル・エンビードの支配力
76ersの大黒柱、ジョエル・エンビード。
昨シーズンはついにNBAシーズMVPに輝き、2年連続得点王の座も手にしています。
まずはエンビードの情報をまとめましょう。
ジョエル・エンビード情報まとめ
1994年3月16日生まれ(29歳)
213㎝ 127㎏
ポジション センター
カンザス大学出身
2014年 NBAドラフト1巡目全体3位(⇨76ers)
2022-23 33.1得点 10.2リバウンド 4.2アシスト 1.7ブロック FG54.8% 3P33.0%
2023-24 33.1得点 11.7リバウンド 5.7アシスト 1.9ブロック FG50.5% 3P32.4%(10試合終了時点)
恐ろしいスタッツですね。
今シーズンのスタッツは、10試合を経過した時点のものですが、シーズンMVPを獲得した昨シーズンのモンスタースタッツをも超える、支配的な活躍をみせています。
得点はもちろんですが、リバウンドやアシスト、ブロックと、オフェンス・ディフェンスすべての能力が突出しています。
現在のNBAでは、デンバー・ナゲッツの二コラ・ヨキッチがトリプルダブルを量産しまくっているので、感覚がマヒしていますが、センタープレイヤーがこれだけオールラウンドな活躍ができるなんて、ほんの10年前までは考えられませんでした。
ルーキーシーズンと、2年目のシーズンは右足の骨折の治療のためプレーできず、「76ersやっちゃったな」と思っていたのですが、まさかここまでの選手になるとは。
2015年にタイムスリップして、あの頃の自分に「エンビード将来MVPとるよ!」と教えてあげたい気分です。
絶対に信じないと思いますが。
得点王、MVPと、個人で受賞できる最高の栄誉を手にしてきたエンビード。
目指すのは、NBAチャンピオンだけですね。
目の色を変えて勝利に徹するエンビードの姿を、NBAファイナルで観たいと、心から思います。
できれば二コラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)とのナンバー1センターをかけたファイナルが観たい!
1994年のNBAファイナル、アキーム・オラジュワン(ヒューストン・ロケッツ)vsパトリック・ユーイング(ニューヨーク・ニックス)を超える、No.1センター決定戦を期待します。
3.ヘッドコーチの交代
76ersが好調な理由第1位は、〝ヘッドコーチの交代″かもしれません。
昨シーズンまでのヘッドコーチは、2008年にポール・ピアース、ケビン・ガーネット、レイ・アレンのBIG3を率いてボストン・セルティックスを優勝に導いた、ドッグ・リバース。
2022年2月8日に、NBAリーグ創設75周年を祝して発表された「偉大なヘッドコーチ15人」にも選出された名将ドッグ・リバースですが、スター選手の才能に頼ったスタイルは、近年批判されることも多くなっていました。
2022-23シーズン、76ersはプレーオフカンファレンスセミファイナルでボストン・セルティックスと対戦。
第5戦を終えた時点で、76ersは3勝2敗と、セルティックスを土俵際まで追い込みます。
しかしあと1勝をあげることができず、3勝4敗で76ersは敗れ去りました。
ここで話題となったのが、ドッグ・リバースHCの勝負弱さ。
プレーオフで自分が率いるチームが3勝した後の試合、なんと10連敗しているのです。
もはや偶然では片づけられません。
「選手頼み」「戦術がない」など、SNS上でも散々叩かれていました。
NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルにとって、ドッグ・リバースはドミニク・ウィルキンスの相棒として、思い入れのある選手だったので、応援しているんですけど・・・。
レギュラーシーズンでドッグ・リバースが率いたチームは、16シーズン連続(セルティックス、クリッパーズ、76ers)で勝ち越しているんですが、大事なプレーオフでどうしても勝てないイメージがついてしまいました。
76ersのフロントは、プレーオフ敗退後にドッグ・リバースを解雇。
そして、「ジョエル・エンビードの全盛期になんとしても優勝したい」と、白羽の矢を立てたのが、ニック・ナースでした。
2018-19シーズンに、トロント・ラプターズを優勝に導いたニック・ナースは、ドッグ・リバースとは全くタイプの違う名将です。
NBAオールスター出場歴もある名ポイントガードだったドッグ・リバースと、プレーヤーとしての実績はなくコーチングを学んできたニック・ナース。
選手を自由にプレーさせ、個々の才能を最大限に引き出すことに重きを置いたドッグ・リバースと、高度な戦術を完璧に遂行することを選手に要求するニック・ナース。
ポジションごとの役割をしっかり決めていたドッグ・リバースと、ポジションレスな戦術のニック・ナース。
正反対と言っても過言ではないコーチの就任に、ファンからは不安の声も聞かれていました。
「プライドの高いエンビードは、ニック・ナースとうまくやっていけるのか・・・。」
しかし、今シーズン10試合を終了した時点で8勝2敗とロケットスタートをきったところをみると、ニック・ナースHCの戦術と、選手たちの相性に問題はないようですね。
昨シーズンは、エンビードとハーデンの調子で勝敗が左右されていましたが、今シーズンはスターパワーに頼るだけでなく、チームとして戦っている印象があります。
これからシーズンが進むにつれ、ニック・ナースHCの引き出しの多さが、大きな武器となっていくでしょう。
4.ロールプレイヤーの充実
エンビード、マキシー以外のプレイヤーも、充実している今シーズンの76ers。
まず話題にあげたいのが、トバイアス・ハリスの復活です。
元々得点能力が高く、平均20得点は可能な選手でしたが、ハーデン&エンビードの得点力に頼っていたドッグ・リバースの元では、スポットシューターとしての役割しか与えられていませんでした。
元来のオールラウンドな能力を発揮できず、ファンから戦犯にされることも多かったハリス。
なんといっても、2019年に、5年1億8000万ドル(約270億円 1㌦⁼150円)の超大型契約を結んでいますから、批判の矛先が向くのも仕方がありません。
年々影がうすくなっていたハリスですが、ヘッドコーチがニック・ナースになったことで、オールラウンドな能力を再び発揮できるようになりました。
昨シーズンと今シーズンのスタッツを比較すると・・・
2022-23 14.7得点 5.7リバウンド 2.5アシスト FG50.1% 3P38.9%
2023-24 19.9得点 6.6リバウンド 2.8アシスト FG57.6% 3P35.5%(10試合終了時点)
別人のようにスタッツが上昇しています。
3ポイントシュートの確率だけは昨年の方がよいですが、昨年は完全に固定砲台化していましたからね。
もったいない使い方をされたものです。
ヘッドコーチがニック・ナースに代わって、一番恩恵を受けているのが、トバイアス・ハリスでしょう。
次にあげたいのが、開幕前にシーズンシャーロット・ホーネッツから移籍してきた、ケリー・ウーブレイJr.です。
昨シーズン、ホーネッツでは1試合平均20.3得点を記録する活躍をみせたものの、左手のじん帯断裂で手術を行ったため48試合しか出場できず。
圧倒的な身体能力とシュート力は、高く評価されているものの、度々バスケットボールIQが低いと指摘されていたウーブレイJr.。
昨シーズン終了後制限なしFAとなりましたが、獲得する球団がなかなか現れず。
最終的に、76ersが1年202万ドル(約3億300万円)の格安契約で獲得しましたが、これが大当たり!
8試合を終えた時点で、ウーブレイJr.は、1試合平均16.3得点 5.1リバウンドと期待以上の活躍で、チームに勢いを与えていました。
しかし2023年11月11日、自宅近くを歩いている時に自動車にはねられたという、衝撃のニュースが飛び込んできます。
ウーブレイJr.は肋骨骨折、腰と右足の打撲で、しばらくチームを離れることになったのです。
幸い今シーズン全休になるような大ケガではなかったものの、チームにとっても、ウーブレイJr.にとっても、痛い事故でした。
相手の車はそのまま逃げたそうですが、絶好調な時にひき逃げにあうとは、なんともついてないですねえ。
とにかく1日も早く復帰して、豪快なプレーとイケメンぶりを、またみせてほしいです。
そのほかにも、ディフェンスと3Pシュートでチームに勢いを与えるディアンソニー・メルトンや、貴重なバックアップセンター、ポール・リード、など、若くて成長が期待される選手も揃っています。
そこに、今回ジェームズ・ハーデンとのトレードで、ベテランの二コラ・バトゥームとロバート・コビントン、マーカス・モリスSr.が加わり、一気に層が厚くなりました。
若手の指導者としても、活躍が期待されます。
また、22歳のケニョン・マーティンJr.も今後の成長が期待できる存在です。
76ersでは、まだほとんど出場していませんが、父譲りの身体能力の高さは大きな魅力です。
なんといっても、お父さんはジェイソン・キッドとのコンビで当時弱小だったニュージャージー・ネッツを2年連続ファイナルに導いた、ケニョン・マーティンですからね。
オールドファンは、つい応援してしまいます。
あっ、ディフェンスカチカチでお馴染みのパトリック・ベバリーも書いとかないと怒られそうですね(笑)。
ハーデンを放出することで、これまで弱点だったウイングの層を厚くすることに成功した76ers。
ニック・ナースHCの戦術が、選手たちをどう生かしていくのか、本当に楽しみなチームになりました。
5.チーム問題を乗り越えた一体感
最後は、やっぱりハーデン問題を乗り越えたことによる一体感でしょう。
今シーズン開幕前、76ersは混乱の中にありました。
ジェームズ・ハーデンが公然とダリル・モーリーGMを「あいつは嘘つきだ」と批判し、76ersではプレーしないことを宣言。
一旦チーム練習に顔は出したものの、その後無断でチームを離れ、プレシーズンマッチに出場することもありませんでした。
チーム崩壊の危機を迎え、「ニック・ナースは貧乏クジひいたな」と言われる状態でしたね。
混乱の中で迎えた開幕戦、強豪ボストン・セルティックスとの試合で、76ersは大接戦を繰り広げます。
最後は力尽き、1点差で敗れたものの、「あれ、シクサーズいけるんじゃね?」と思わせてくれる試合でした。
その後タイリース・マキシーの覚醒もあり2連勝をあげたところで、ついにジェームズ・ハーデン(とPJ・タッカー)をトレードでロサンゼルス・クリッパーズへ放出。
代わりに4人のウイングプレイヤーと、複数の指名権を獲得し、一気に76ersの雰囲気が変わりましたね。
10試合目のインディアナ・ペイサーズ戦に敗れるまで8連勝をあげ、イースタン・カンファレンス首位の座をボストン・セルティックスと争っています。
たとえ、今シーズン優勝できなくても、複数の指名権がありサラリーにも余裕ができた76ersの未来は明るいです。
もう一つ、注目すべき点が、今年で契約が切れてしまう選手がほとんどだということです。
選手達は、優勝を目指すよい雰囲気の中で、来シーズンの契約を勝ちとるため必死でプレーするでしょう。
一人ひとりの必死のプレーが、結果的に勝利につながり、優勝を目指す一体感につながると確信しています。
まとめ
今回は、ジェームズ・ハーデン問題で注目を浴びながらも、順調なスタートを切ったフィラデルフィア・76ersについて語りました。
ジョエル・エンビードは、ハーデンの前にはベン・シモンズ問題にも振り回されてきましたからねえ。
今年こそ、優勝に向かってチーム一丸となって戦ってほしいと思います。
今回は、2023₋24シーズンの76ersについて語りました。
次回は1987年から現在までの、76ersの歴史をまとめたいと思います。
NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルの思い入れの強い、チャールズ・バークレー~アレン・アイバーソン~アンドレ・イグダーラ~ジョエル・エンビード、それぞれのエース時代について熱く語ります。
最後に、面白いサイトを紹介します。
世界中のスポーツの結果とデータを網羅したとんでもないサイト、「Flashscore」です。
もちろんNBAのデータやスタッツも、網羅されています。
試合ごとの個人スタッツは、+/-まで、しっかり確認できるのが、とても便利です。
ちなみに、このブログの一番上、「ハッピーなるブログ NBA」と書いてあるところの下に、「NBA LIVE 速報」のリンクを貼っています。
「NBA LIVE 速報」をタップすると、今日あったNBAの結果が表示され、スタッツを知りたい場合はその試合の部分をタップすれば、詳細なデータを見ることもできます。
ぜひ今後のNBAデータ確認に、利用ください。