2023-24シーズン、1月5日現在リーグトップの成績を残しているのがボストン・セルティックスです。
ミネソタ・ティンバーウルブズとオクラホマシティ・サンダーが予想以上に勝ち続けているウエスタンカンファレンスとは違い、イースタンカンファレンスは順当にセルティックスとミルウォーキー・バックスが1位2位につけています。
昨シーズンカンファレンスファイナルでマイアミ・ヒートに敗れた悔しさを晴らすため、ポルジンギスやドリュー・ホリデーを獲得し、チームをさらに強化したセルティックス。
期待通りの強さをみせていますね。
このまま優勝に向けて、突っ走っていけるのか?
それとも・・・。
今回は、2023-24シーズンのボストン・セルティックスについて、NBAを35年間観つづけてきたわたくしリトルが語っていきたいと思います。
2023-24シーズンのセルティックス
ポール・ピアース、レイ・アレン、ケビン・ガーネットのBIG3を擁し、NBA優勝を勝ちとったのが2007-08シーズン。
そこから15シーズンの間、プレーオフに進めなかったのは2013-14シーズンの1度だけ。
特に2017年にジェイソン・テイタムをドラフト1巡目全体3位で指名してからは、順調にチーム強化が進んでいます。
あと一歩優勝には届かない現状を変えるため、今年の夏セルティックスのフロントは大きく動きました。
セルティックスの〝ハート&ソウル″、ポイントガードのマーカス・スマートを放出し、得点能力の高いビッグマン、クリスタプス・ポルジンギスを獲得したのです。
セルティックスフロントの動きはそれだけでは終わらず、インサイドのディフェンスを支えてきたロバート・ウイリアムズ三世と、昨シーズンNBA6thマン賞を獲得したマルコム・ブログドンを放出し、東京オリンピックで金メダルを獲得したポイントガード、ドリュー・ホリデーを獲得。
チームの大改革によって、先発選手のグレードは上がったものの、ベンチの層は薄くなり、ファンや専門家からは賛否の声があがりました。
シーズンが開幕してからは隙の無い戦いをみせ、リーグ首位を走っているセルティックス。
これまでの戦いは順調すぎるほどです。
今シーズンが、テイタム&ブラウン体制で初優勝する最大のチャンスだと思うのですが、はたして・・・?
2023-24 セルティックス チームスタッツ
セルティックス チームスタッツ2023-24(1月5日現在)
26勝7敗 勝率.788(NBA全体1位)
120.8得点 (NBA全体5位)
110.8失点 (NBA全体5位)
47.3リバウンド(NBA全体1位)
26.1アシスト (NBA全体15位)
6.7スティール (NBA全体27位)
6.4ブロック (NBA全体5位)
FG48.2% (NBA全体10位)
3P37.4% (NBA全体10位)
フリースロー80.6%(NBA全体7位)
現在リーグ首位を走るボストン・セルティックス。
スタッツを見ると、スティール以外は上位に位置しており、弱点が少ないチームであることがわかります。
失点がNBA5位であることをみると、スティールが少ないというのも、無理にギャンブルしてスティールを狙うのではなく、粘り強くディフェンスを行うチームコンセプトなのかもしれません。
全体的に穴のないチームであることがおわかりいただけるかと思います。
リーグ首位であることも納得のスタッツとなっています。
2023-24 セルティックス主力選手
それではここで、今シーズンのセルティックスの主力選手をみていきましょう。
ジェイソン・テイタム
ボストン・セルティックス不動のエースとなったジェイソン・テイタム。
そのオールラウンドな能力は、セルティックスを常勝軍団に引き上げました。
時々大事な場面で急に弱気になりミスを連発する「タツム化現象」を巻き起こすこともありますが・・・
タツム化については、のちほど語りたいと思います。
それではスタッツをみていきましょう。
ジェイソン・テイタム(1月5日現在)
27.0得点 8.5リバウンド 4.5アシスト FG47.4% 3P34.7%
エースとして、十分な働きをみせています。
3ポイントシュート成功率が、これまでのテイタムのシーズンスタッツとしては、最も低いのがやや気になりますが。
テイタムのオールラウンドな活躍と、得点力は、セルティックスの躍進を支えていますね。
正直、ルーキーシーズンにはここまでの選手になるとは思っていませんでしたが、順調に成長しています。
他のスーパースターに比べると、やや地味なイメージはありますが、実力は申し分ありません。
まだ25歳とは思えない多彩なテクニックで、得点を量産するテイタム。
すでにボストン・セルティックスの歴史に残るエースになったと言っていいでしょう。
2017年のNBAドラフトで、セルティックスが獲得していた1巡目全体1位の指名権を、フィラデルフィア・76ersの持つドラフト3位指名権+2019年のドラフト1位指名権とトレードしたのは、結果大成功だったですね。
2017年ドラフト全体1位指名権を得た76ersはマーケル・フルツを指名。
全体2位指名権を持っていたロサンゼルス・レイカーズはロンゾ・ボールを指名しています。
全体3位でセルティックスが指名したテイタムこそが、間違いなくこの年のベストな選手だったと断言していいいでしょう。
1位でそのままテイタムを指名するのではなく、76ersとレイカーズがテイタムを指名しないと確信して、少しでも利益を得るため、指名権のトレードを行う貧欲さが、セルティックスの強さかもしれません。
ジェイレン・ブラウン
テイタムに並ぶセルティックスの2枚看板、ジェイレン・ブラウン。
昨シーズン終了後、5年総額最大3億400万ドル(約437億7600万円 1㌦=144円)のスーパーMAX契約をセルティックスと結びました。
NBAの歴史上、最高金額での契約です。
いやはや、とんでもない時代になったものです。
しかし今シーズンのスタッツは、昨シーズンよりかなり厳しいものになっています。
ジェイレン・ブラウン(1月5日現在)
22.7得点 5.1リバウンド 3.6アシスト FG48.0% 3P34.4%
チームの2番手選手としては、そこそこのスタッツですが、スーパーMAX契約の選手としては物足りない成績です。
ちなみにブラウンの昨シーズンのスタッツは・・・
ジェイレン・ブラウン 2022-23シーズン
26.6得点 6.9リバウンド 3.5アシスト FG49.1% 3P33.5%
こうしてみると、今シーズン得点とリバウンドが大きく下がっています。
ブラウンの場合、試合によって好不調の差が激しいんですよね。
シュートがウソみたいに入る日があれば、まったく入らない日もあります。
まあ、チームの2番手と考えるなら十分な働きをしているとも言えますが、史上最高額スーパーMAX契約の選手と考えると・・・。
昨シーズン、マイアミ・ヒートとのカンファレンスファイナル第7戦、ブラウンは3ポイントシュート9本中8本を外し、8つのターンオーバーを記録。
ヒートに敗れた戦犯にあげられました。
今シーズンは汚名返上することができるのか。
プレーオフでの圧倒的な活躍が期待されます。
クリスタプス・ポルジンギス
今シーズンセルティックスに電撃加入したポルジンギス。
身長221㎝の圧倒的なサイズ、楽々と3ポイントシュートを決めきるシュート力、スキル、スピード、高さを生かした守備力など、バスケに必要な能力をすべて備えている、万能選手です。
ただ、これまでケガが多く、チームのエースとしては失格の烙印をおされてきました。
ニックスではエースとして期待されたものの、ケガによる離脱で見切りをつけられマーベリックスへ放出。
マーベリックスではルカ・ドンチッチといまいちフィットせずウィザーズへ放出。
どちらかというと、ネガティブなイメージでチームを転々としてきたポルジンギスですが、今回のセルティックスには、優勝へのラストピースとして迎え入れられています。
今シーズンのスタッツをみてみましょう。
クリスタプス・ポルジンギス(1月5日現在)
20.6得点 7.3リバウンド 1.7アシスト FG53.5% 3P33.1% 1.8ブロック
期待以上の活躍をみせています。
テイタム、ブラウン以外で平均20得点できる選手がいるのは大きいですね。
リムプロテクト能力にも長けたポルジンギスは、ポートランド・トレイルブレイザーズに放出したロバート・ウイリアムズ三世の穴を補う、守備での活躍もみせています。
このまま健康を維持できれば、本当に優勝のラストピースとなる可能性も高いのではないでしょうか。
健康を維持できれば・・・。
ドリュー・ホリデー
ポルジンギスを獲得するためにマーカス・スマートを放出した際、「スマートがいなくなったら守備力がた落ちやな」「セルティックス、ポイントガードどうするんやろ」と思っていました。
まさか、より守備力も高くて、攻撃力も高いポイントガードを獲得してしまうとは!
ドリュー・ホリデーは東京オリンピックのアメリカ代表チームで、金メダル獲得に大きく貢献した、NBAを代表するポイントガードです。
得点力も高く、守備力はマーカス・スマートにも引けをとりません。
しかし、ここまでのところ、セルティックスでのスタッツをみると、ややおとなしい感じがしてしまいます。
ドリュー・ホリデー(1月5日現在)
12.9得点 6.5リバウンド 4.8アシスト FG45.4% 3P41.9% 0.9スティール
ちなみに昨シーズンのミルウォーキー・バックスでのスタッツは・・・
ドリュー・ホリデー 2022-23シーズン
19.3得点 5.1リバウンド 7.4アシスト FG47.9% 3P38.4% 1.2スティール
セルティックスに加入した今シーズン、ホリデーは平均得点とアシストを大きく落としています。
まあテイタム、ブラウン、ポルジンギスと楽に20点を獲得できる選手が3人もいますからね。
もう一人の先発ガード、デリック・ホワイトも今シーズンは平均17.0得点と得点力を伸ばしているので、ポイントガードであるホリデーが抑えているところもあるのでしょう。
ホリデーが的確なプレーで、他の選手のオフェンスをクリエイトし、全員がスムーズに得点できている印象があります。
ホリデーも3ポイントシュート成功率は、自身初めて40%を超えていますから、チームバランスはとても良いのではないでしょうか?
ホリデーが真価を発揮するのは、プレーオフに入ってからでしょう。
ミルウォーキー・バックスでの優勝経験は、プレーオフの大舞台できっと生きてくると思います。
優勝を知る経験豊富な司令塔は、優勝まであと一歩が続くセルティックスの、最後のピースになれるのか?
楽しみですね。
デリック・ホワイト
上の動画は、昨シーズンのカンファレンスファイナル、対マイアミ・ヒートの第6戦、デリック・ホワイトが劇的なブザービーターを沈めた試合のダイジェストです。
なんだかこのプレーで覚醒した感がありますね。
今シーズンはシューティングガードとして、出場した30試合すべて先発。
ホワイトのスタッツは・・・
デリック・ホワイト(1月5日現在)
17.0得点 3.9リバウンド 5.3アシスト FG49.4% 3P42.2% 1.2スティール
自己最高のシーズンを過ごしているホワイト。
ちなみに昨シーズンのスタッツは・・・
デリック・ホワイト 2022-23シーズン
12.4得点 3.6リバウンド 3.9アシスト FG46.2% 3P38.1% 0.7スティール
今シーズンの躍進ぶりがおわかりいただけるかと思います。
すべての項目が、今シーズン大きく向上していますね。
これは昨シーズンのプレーオフで大きく自信をつけたことと、ドリュー・ホリデーがポイントガードの役目をしっかり果たしてくれることが主な理由だと考えられます。
これだけ得点力の高い選手が揃っている中で、ホワイトがトップスコアラーになる試合も普通にありますから。
ディフェンスも頑張りますし、優勝チームに不可欠なラッキーボーイになる可能性ナンバー1の選手といえるでしょう。
セルティックス 優勝への不安点
2021-22シーズンはNBAファイナルで、当時ドリューホリデーが司令塔を務めていたミルウォーキー・バックスに敗れ、2022-23シーズンはカンファレンスファイナル最終第7戦でジミー・バトラー無双状態のマイアミ・ヒートに敗れ、2シーズン連続であと1歩優勝に届かなかったセルティックス。
今シーズンはここまで圧倒的な安定感をみせてリーグ首位を走っています。
現状優勝候補ナンバー1と言ってもいいとは思いますが、やはり不安もあるのが正直なところ。
今回は、優勝を目指す上での不安点を挙げていきたいと思います。
不安点① ケガがちなポルジンギス
まずはケガの問題です。
現在絶好調なポルジンギスですが、どうしても信用しきれないのが、これまでのケガでの欠場の多さ。
NBA11年目のポルジンギスですが、年間60試合出場したのは3シーズンしかありません。
エースとして期待されたニューヨーク・ニックスから放出されたのも、すべてはこのスぺ体質のせいです。
ちなみにスぺ体質とは、初代ファミコンのソフト「スペランカー」というゲームで、ちょこっと高いところ(段差くらい)から落ちただけでも死んでしまう主人公からできた言葉です。
すぐにケガをして休んでしまう選手のことを言います。
やはり221㎝、109㎏の巨体を支える足には、相当の負荷がかかるのでしょう。
NBAの長く過酷なシーズンに、ポルジンギスの足は耐えられるのか?
プレーオフの舞台で、ポルジンギスが着ているのはユニフォームなのか、スーツなのか?
セルティックスの行方を左右する、一番大きな要因だと思います。
不安点② ベンチ層のうすさ
昨シーズンのセルティックスは、先発選手だけでなく、ベンチメンバーの層の厚さが強みでした。
NBAの6thマン賞を受賞したマルコム・ブログドンを筆頭に、守護神ロバート・ウイリアムズ三世、ハッスルプレーでチームを勢いづけたグラント・ウイリアムズ、高いシュート力を持つマイク・マスカラ、ベテランのブレイク・グリフィンなど、チームのために犠牲を払える実力者が揃っていました。
ただクリスタプス・ポルジンギスとドリュー・ホリデーを獲得したこともあり、上にあげた5人のベンチプレイヤーをすべて放出。
一気にベンチの層が薄くなってしまいました。
今シーズン不安視されていたベンチメンバーでしたが、今のところ3人の活躍が光っています。
昨年まで先発出場していたビッグマン、アル・ホーフォード。
3ポイントシュートを42%の高確率で決めているスモールフォワード、サム・ハウザー。
そして185㎝の小兵ポイントガードながら、強気なプレーでチームにエナジーを与えているペイトン・プリチャード。
特にプリチャードはわたくしリトルが以前から注目していた選手なので、活躍は嬉しいですねえ。
超絶テクニック動画がバズっていたのですが、昨シーズンまでは大事なところで弱気になる、悪い癖がありました。
しかし、今シーズンはふてぶてしいほどの余裕を感じます。
昨シーズンも所属していた選手たちの成長が、セルティックスのベンチを支えていますね。
はたして、好調を維持したままプレーオフまで突っ走っていけるのでしょうか?
不安点③ ジェイソン・テイタムのタツム化
3つ目の不安点は、毎シーズン最後に絶対に話題になる、テイタムの〝タツム化″です。
タツム化とは、ジェイソン・テイタムが大事な試合や大事な場面でヘタレてしまう現象のこと。
SNSや5ちゃんねるなどで、「タツム何してんだ?」「テイタムがタツムになってるな」などと使われています。
テイタムのスペル、「TATUM」をローマ字読みすると「タツム」。
普段の活躍をみせているときは「テイタム」、ヘタレてしまった時は「タツム」と、いつしか呼ばれるようになってしまったのです。
負けられないプレーオフでは、必ずチームのエースが勝負を決める場面が出てきます。
昨シーズン優勝したデンバー・ナゲッツのエース、二コラ・ヨキッチは、大事な場面で何度も試合を支配する圧倒的な存在感をみせましたね。
セルティックスがカンファレンスファイナルで、第8シードから勝ち上がったマイアミ・ヒートに敗れたのも、大事な場面でのエースの差でした。
ヒートのエース、ジミー・バトラーが勝負所で神がかった活躍をみせた一方、セルティックスのエース、テイタムはタツム化してしまいました。
勝負を決する第7戦で、バトラーが28得点する活躍をみせたのに対し、テイタムは14得点と沈黙。
セルティックスは84-103で完敗し、シーズンを終えてしまいました。
大事な場面でのタツム化は、昨シーズンだけではありません。
NBAファイナルに進んだ2021-22シーズンも、敗退が決まった第6戦ではテイタムが13得点と沈黙。
お手本のようなタツム化をみせ、34得点を記録したステフィン・カリーの引き立て役になってしまいました。
レギュラーシーズンでは圧倒的な活躍をみせるテイタムですが、毎年プレーオフの最後はタツムになって終わるのが恒例となってしまっています。
今シーズン、悲願の優勝を達成するためには、テイタムの勝負所での活躍が必須です。
セルティックスのエースとしてチームを救うテイタムの姿をみられるのか、またうなだれるタツムをみせられるのか・・・。
楽しみにしておきましょう。
まとめ
今回は今シーズン絶好調のボストン・セルティックスについて語りました。
色々と不安な点もありますが、今年のセルティックスの強さは本物です。
現状NBAチャンピオンに最も近いチーム、セルティックス。
今年こそはプレーオフを勝ち抜き、チャンピオンリングを手にすることができるのか?
とにかく、怪我なくシーズンを戦い抜いて、プレーオフに挑んでほしいと願っています。
テイタム、頼むぞ!
熱い戦いが続くNBA。
日々の試合速報、みなさんはどこで確認していますか?
当ブログの一番上、「ハッピーなるブログ」のタイトルの下に、「NBA LIVE速報」というリンクがあります。
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選手の貢献度をあらわす「+/-」も、一目でわかるので、とても便利です。
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サッカーや野球はもちろん、ゴルフ、競馬、格闘技、クリケット、カバディ・・・
本当に世界中のスポーツの結果をみることができます。
わたくしリトルは、暇なときなんとなく世界中のスポーツ結果をみるのが、日課になってしまいました(笑)
みなさんもぜひ活用してみてください!