パリオリンピック男子バスケットボールは、王者アメリカ代表の優勝で幕をとじました。
アメリカ代表の優勝は予想していましたが、ここまでドラマチックな戦いになるとは・・・。
素晴らしい戦いをみせてくれた選手たちには、大きな拍手をおくりたいと思います。
決勝でカリーとレブロンのおやすみポーズが観れるなんて、ぜいたくな体験をさせてもらいました。
今回は、みごとに金メダルを獲得した、アメリカ代表の選手たちの活躍をふりかえります。
パリオリンピック アメリカ代表 試合結果まとめ
まずはアメリカ代表の試合結果をまとめましょう。
グループリーグC
アメリカ 110ー84 セルビア
アメリカ 103ー86 南スーダン
アメリカ 104ー83 プエルトリコ
準々決勝
アメリカ 122ー87 ブラジル
準決勝
アメリカ 95ー91 セルビア
決 勝
アメリカ 98ー87 フランス
見事に全勝での優勝をはたしたアメリカ代表。
グループリーグでの3試合は、王者の余裕を感じました。
39歳のレブロン・ジェームズ、コンディション不良で大会前の親善試合を欠場していたケビン・デュラント、若きエース候補アンソニー・エドワーズらが活躍したグループリーグでしたが、ステフィン・カリーのシュートタッチが悪いことが一番大きな不安要素でした。
今となっては、壮大なフリにしか思えませんが(笑)。
日本に勝利して決勝トーナメントに進んだブラジル代表との準々決勝でも、圧倒的な攻撃力をみせたアメリカ代表。
ここでもカリーの3ポイントシュート成功は0(試投数1)。
正直、今回のオリンピックではカリーの爆発はみられないかもと思っていました。
NBAとはボールの大きさも違いますし、3ポイントラインの距離も違いますから、仕方がないことかと思っていましたね。
カリーの爆発がなくても、危なげなく勝っていましたから。
しかしNBAの歴史上ナンバー1シューターであり、一つの時代をつくってきたスーパースターは、スーパースターと呼ばれるゆえんを証明します。
セルビアとの準決勝。
試合開始からセルビアの確率の高い3ポイントシュートと、強度の高いセルビアのディフェンスに苦しむアメリカ代表。
ヨキッチがみずからの得点とすばらしいパスで試合を支配し、セルビアが誇るシューター陣が精度の高い3ポイントシュートを沈め、リードを広げていきました。
激しいディフェンスに苦しむアメリカ代表の中で、一人爆発したのがステフィン・カリーです。
この試合3ポイントシュートを14本中9本成功、36得点を記録したカリーの活躍でなんとか試合をつないだアメリカ代表は、13点ビハインドで迎えた第4クオーター、本気を出したレブロン・ジェームズ、ケビン・デュラント、そしてカリーらの猛攻で怒涛の逆転勝利をかざりました。
ス―パスター軍団の真のパワーを体感できた、貴重な試合でしたね。
そして迎えた地元フランスとの決勝。
NBAの未来をになうビクター・ウェンバンヤマ、ディフェンスマスターのルディ・ゴベア擁するフランスは、地元パリの大声援を受け、アメリカ相手に一歩も引かず向かって来ました。
常にアメリカリードですすんだ決勝でしたが、第4クオーターにフランスが3点差までせまったところで、ステフィン・カリーのラストショーが開演します。
第4クオーター最後の2分12秒で、3ポイントシュート4本をすべて決めきり、アメリカの勝利を決定づけました。
35年間ウォリアーズを応援してきたわたくしリトルは、ついカリーの活躍に注目してしまいすが、39歳となったレブロン・ジェームズやケガで出場が危ぶまれたケビン・デュラントなどもさすがの活躍をみせた今回のアメリカ代表。
デビン・ブッカー、ドリュー・ホリデー、デリック・ホワイト、そしてアンソニー・エドワーズらのペリメーターディフェンスも、相手チームをおおいに苦しめていました。
これまでアメリカの弱点と言われていたインサイドも、ジョエル・エンビード、アンソニー・エドワーズ、バム・アデバヨがそろい、まったく心配いりませんでしたね。
スティーブ・カーHCの判断で出場時間が少なかったタイリース・ハリバートンとジェイソン・テイタムも、くさることなくチームを盛り上げていました。
まあ、テイタムは周りが黙っていませんでしたが・・・。
ハリバートンは心から楽しんでいるようで、かわいかったです(笑)。
とにかく、これまでのオリンピックバスケアメリカ代表の中で、最強のチームといっても過言ではないかと思います。
ライバルチーム、特にセルビアとフランスのレベルの高さが、アメリカ代表の凄みを引き出していました。
バスケの国際大会では、間違いなく一番おもしろい大会になりましたね。
アメリカ代表 採点一覧
まずはNBAを約35年間観つづけてきたわたくしリトルが採点した、アメリカ代表選手の採点一覧をまとめます。
採点は10点満点のサッカー方式です。
平均的な活躍は6.0とします。
完全に独断と偏見ですので、ご了承ください。
順番は、オリンピック開催前の記事「【パリオリンピック】バスケアメリカ代表メンバー スタッツ・基本情報まとめ」で紹介した順番とします。
パリオリンピック アメリカ代表 採点一覧
8.0
ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
7.5
デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)
ケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)
7.0
ドリュー・ホリデー(ミルウォーキー・バックス)
アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)
6.5
ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)
バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)
6.0
タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)
デリック・ホワイト(ボストン・セルティックス)
5.5
ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
パリオリンピック男子バスケットボールで大会ベスト5に選ばれたステフィン・カリーとレブロン・ジェームズを最高評価の8.0とします。
その他の選手についても、採点と理由をまとめていきましょう。
アメリカ代表スタッツ&採点 ポイントガード
④ステフィン・カリー 8.0
ステフィン・カリー 6試合出場(先発6試合)
平均14.8得点 3.2リバウンド 2.5アシスト FG50% 3P47.8%
今回のオリンピックで、〝NBA史上最高のシューター″という肩書きを、全世界の人々に認知させたステフィン・カリー。
まるで映画のラストシーンのような、決勝フランス戦のラスト2分47秒。
フランスが3点差までせまった中、カリーの3ポイントシュート4連発で勝利を確定させたあとの〝おやすみポーズ″には、心底しびれました。
準決勝のセルビア戦でも、チームメイトがセルビアの固い守備に苦しむ中、3ポイント9本を含む36得点と大爆発し、17点差からの大逆転勝利に大きく貢献しています。
MVPに選ばれたのはレブロン・ジェームズでしたが、準決勝・決勝の活躍は、間違いなく歴史に名を残すものでした。
ただ、準決勝、決勝以外の試合では、カリーはひどかった・・・(笑)。
初戦のセルビア戦では3ポイントシュート(3P)を7本中3本決め、11得点をあげましたが、続く南スーダン戦では3Pを6本放ち成功は0の3得点。
3試合目のプエルトリコ戦は3P6本中2本成功の8得点。
決勝トーナメントに入ってもブラジル戦でチームが大勝する中、3Pを1本放つも、成功は0で7得点と、まったく波に乗れず。
最初の4試合では3ポイントシュートを20本放ち5本成功、成功率25.0%とありえないくらいの不調におちいっていました。
もしグループリーグで選手の採点を行っていたら、アメリカ代表の最低点は、カリーでしたね。
NBAとFIBAでは、ボールの大きさやメーカーも違いますし「カリーには合わないんだろうなあ・・・NBAのシーズンに響かなければいいなあ・・・」と思っていました。
それが運命の準決勝、決勝の2試合で3ポイントシュートを26本放ち、17本決める(成功率65.4%)のですから、スーパースターと呼ばれる人は違います。
フランス戦の最後に決めたプルアップ3は、カリーでないと決めれない超絶3ポイントシュート。
打った瞬間は「なんでパスしない?」と一瞬思ってしまったわたくしリトルでしたが、ボールがリングを通過した瞬間、早朝なのに思わず「ウオーッ!」と声をあげてしまいました。
大学時代からカリーの父、デル・カリーのファンだったわたくしリトルは、ステフのデビュー時から、親戚の子を応援するような気持で見守ってきましたが、気が付いたらとんでもない化け物になっていたことを再認識させられた瞬間でしたね。
採点はレブロンと並び、チームトップの8.0とします。
最初の4試合はひどい出来でしたが、カリーがいなくても余裕をもって勝利できる試合でしたから。
アメリカが窮地におちいった準決勝と決勝で、次々に3ポイントシュートを放り込み、チームを勝利に導いたカリーは、真のスーパーヒーローだと思います。
⑨タイリース・ハリバートン 6.0
タイリース・ハリバートン 3試合出場(先発0試合)
平均2.6得点 0リバウンド 0.6アシスト FG60.0% 3P50.0%
今回のパリオリンピックで、もっとも出場時間が少なかったタイリース・ハリバートン。
2023-24シーズンのアシスト王に輝いた、大型(196㎝)ポイントガードは、スター選手がそろうアメリカ代表でどんなプレーをみせてくれるのか、楽しみにしていたんですが・・・。
豪華戦力の中では、なかなか出番が与えられませんでしたね。
閉幕後に「オリンピック期間中に足に軽いケガを負い、MRI検査を受けた」というニュースも飛びこんできました。
今年の1月にハムストリングを負傷し、ボストン・セルティックスとのカンファレンスファイナルでも2試合を欠場していましたから、ちょっと心配です。
ほとんどプレーすることのなかったハリバートンですが、採点は6.0とします。
「なんで全然貢献できなかったのに6.0なんや!」と文句をつける人もいると思いますが、試合に出れなくてもまったくふて腐れることなく、チームを笑顔で盛り上げ、心の底からオリンピックを楽しむハリバートンは、最高のベンチプレイヤーだったと思いますから。
ハリバートンの無邪気な様子をみていると、ジェイレン・ブラウン(セルティックス)を選ばなくて正解だったなと心から思います(笑)。
⑫ドリュー・ホリデー 7.0
ドリュー・ホリデー 5試合出場(先発3試合)
平均7.6得点 1.8リバウンド 3.6アシスト FG55.6% 3P50.0%
東京オリンピックでもアメリカ代表のメンバーに選出され、金メダル獲得に貢献したドリュー・ホリデー。
スーパースター揃いのパリオリンピックアメリカ代表の中では、地味な存在(今年のオールスターに選ばれていないのはホリデーとホワイトのみ)でしたが、やはり圧倒的なディフェンス力は、国際大会でも大きな武器となりました。
6試合のうち3試合で先発出場するなど、スティーブ・カーHCの信頼をしっかり勝ちとっていましたね。
わたしが高校の時監督に「シュートには好不調の波があるけれど、ディフェンスにはない」と言われていましたが、ホリデーのプレーをみていると、納得させられます。
オリンピックでは6試合で27本のシュートを放ち、15本を決める(FG成功率55.6%)など、オフェンス面でも活躍をみせたホリデー。
3ポイントシュートも16本放ち8本を決め、成功率50.0%を記録しています。
決して派手ではありませんが、堅実なプレーで優勝に大きく貢献しました。
ミルウォーキー・バックス、ボストン・セルティックスを優勝に導いた司令塔は、アメリカ代表でも渋い活躍をみせましたね。
採点は7.0と、高評価。
NBA屈指のペリメーターディフェンダーは、オリンピックの舞台でも、普段どおりのプレーで安定感をもたらしました。
アメリカ代表スタッツ&採点 シューティングガード
⑤アンソニー・エドワーズ 7.0
アンソニー・エドワーズ 6試合出場(先発0試合)
平均12.8得点 2.8リバウンド 1.3アシスト FG58.0% 3P48.0%
ミネソタ・ティンバーウルブズの若きエース、アンソニー・エドワーズ(アント)。
昨年のバスケワールドカップではアメリカ代表のエースとして躍動したものの、チームを優勝に導くことはできず悔しい思いをしただけに、オリンピック代表への思いは相当なものだったと思います。
オリンピックが始まる前には、チーム最年少(8月5日に23歳になったばかり)ながら、アメリカ代表の中で「自分がナンバー1オプション」と豪語していたアント。
なんて傲慢な・・・と思われそうですが、はにかみながらの発言だったそうですから、半分ジョーク、半分本気だったのかもしれません。
オリンピック本番では、先発出場はなかったものの、グループリーグの3試合とブラジルとの準々決勝で2ケタ得点を記録するなど、高い得点力をみせつけました。
ただ、アメリカが窮地におちいった準決勝のセルビア戦で活躍できなかったため、やや印象が悪くなってしまいましたね。
決勝のフランス戦では9分33秒と短い出場時間ながら、3ポイントシュートを2本決めるなど、インパクトを残したアント。
特にエバン・フォーニエを完璧に抑え込んだディフェンスは、アメリカに勢いを与えました。
出場時間は短かったものの、ベンチではハリバートンとともに先輩たちをおおいに盛り上げ、チームの雰囲気をよくしていましたね。
代表チームではプレーだけでなく、一丸となって戦うことが必要だと感じさせてくれました。
アントの採点は7.0とします。
準決勝のセルビア戦以外では、能力の高さをみせつけてくれたと思いますし、後輩キャラでチームをおおいに盛り上げてくれましたからね。
4年後のロサンゼルスオリンピックでは、間違いなくアメリカ代表の中心となるであろうアンソニー・エドワーズ。
今回のパリオリンピックで、レブロン、KD、カリーなど、NBAの歴史に名を刻むスーパースターたちと共に戦った経験を生かし、大きく成長してほしいですね!
⑮デビン・ブッカー 7.5
デビン・ブッカー 6試合出場(先発6試合)
平均11.7得点 2.7リバウンド 3.3アシスト FG56.8% 3P56.5%
昨年のバスケワールドカップでアメリカ代表が4位となったあと、パリオリンピックのメンバーについて話題になった際、カイル・クーズマ(ワシントン・ウィザーズ)がXにポストした内容が話題になりました。
「アメリカ代表は、自身の役割を遂行できるNBAのスター選手をロスターに加えた方がいい。ボールを持てば誰だって良いプレイヤーになれるが、数ポゼッションにわたって守備を続けて、3ポイントシュートのためにコーナーで待機することを淡々とできるやつがいるのか?」
クーズマは、ロールプレイヤーがアメリカ代表には足りない、スタープレイヤーを揃えるだけでは世界では勝てないのではないか、ということが言いたかったのでしょう。
このクーズマのポストに「俺がやってやるよ」とコメントしたのが、デビン・ブッカーでした。
いやあ、ここまでブッカーがやってくれるとは思っていませんでしたね。
パリオリンピック全6試合にスタメン出場し、シュート成功率は56.8%。
3ポイントシュートも56.5%と、超高確率で決めています。
平均得点は11.7とやや控えめ。
1試合で70得点を記録したこともある、超点取り屋のブッカーですが、レブロン、KD、カリーらスコアラーがそろうアメリカ代表の中では、ロールプレイヤーに徹していました。
まさにクーズマが言っていたロールプレイヤーを、ブッカーが体現していましたね。
特に印象深かったのは激しいディフェンス。
泥臭いプレーを続け、アメリカ代表の勝利に大きく貢献し続けました。
今回のアメリカ代表でプレーしたことで、一番大きく成長したのがデビン・ブッカーかもしれません。
正直わたくしリトルも、〝ブッカーは点取り屋″というイメージが強く、初戦のセルビア戦のスタメン(カリー ホリデー ブッカー レブロン エンビード)を見たときに「ブッカーよりテイタムじゃないの?」と思っていましたが、その献身的なプレーで、よい意味で期待を裏切ってくれました。
懸命にディフェンスをし、的確なプレーを選択しつづけ、味方にパスを送り、確率の高いシュートを決める。
最高級の選手は、その気になれば最高級のロールプレイヤーにもなれるんですね。
なかなか受け入れるスター選手はいないと思いますが。
勝利のためには自分の役割を全力で全うする、コービー・ブライアントのマンバメンタリティが、ブッカーには受けつかがれているんだと感じました。
採点は7.5とします。
今回のオリンピック、ブッカーがいなければ、アメリカの優勝はなかったかもしれないと思うほど、重要なプレイヤーでした。
もっとも献身的で自己犠牲を払った選手かもしれません。
2024-25シーズンは、フェニックス・サンズもちょっと応援してみようかなと思うほどのプレーをみせてくれました。
次回のロサンゼルスオリンピックでは、ブッカーは31歳。
油ののりきった状態で迎えます。
チームの中心として、ブッカーがどのようなプレーをみせてくれるのか、注目しましょう。
⑧デリック・ホワイト 6.0
デリック・ホワイト 5試合出場(先発0試合)
平均3.8得点 1.4リバウンド 1.6アシスト FG41.2% 3P30.8%
カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)がコンディション不良で代表を離脱し、急遽招集されたデリック・ホワイト。
スター選手がそろう中、ロールプレイヤーとして、ペリメーターディフェンスと3ポイントシュートを期待されていました。
決勝では出番がなかったものの、5試合に出場。
79分間コートに立ち、ディフェンスで違いをつくりました。
シュートタッチは悪く、期待された3ポイントシュートは30.8%と低調な出来でしたが、同じセルティックスでエースをつとめるジェイソン・テイタムよりも、オリンピックを通じて5分間も多く出場しています。
ガードの選手としては突出したブロックショットの能力もいかんなく発揮し、グループリーグの3試合では、短い出場時間ながらそれぞれ1本づつブロックショットを記録。
準々決勝のブラジル戦では、2本のブロックショットを決めました。
あとは3ポイントシュートを決めることができればよかったんですが・・・。
南スーダン戦では3ポイントシュート3本をすべて決めきりましたが、結局オリンピックを通じては13本放ち、決めたのは4本(30.8%)だけでした。
昨シーズン3ポイントシュートを39.6%の高確率で決め続けたホワイトにとっては、残念な結果になりましたね。
それでもオリンピックで金メダルを獲得した経験は自信となり、ホワイトをさらに成長させるでしょう。
こりゃ、セルティックスもっと強くなっちゃうかもしれないなあ。
ホワイトの採点は6.0とします。
それでも12人目に選ばれた選手として、よくやってくれました。
アメリカ代表スタッツ&採点 スモールフォワード
⑥レブロン・ジェームズ 8.0
レブロン・ジェームズ 6試合出場(先発6試合)
平均14.2得点 6.8リバウンド 8.5アシスト FG66.0% 3P30.8%
パリオリンピック男子バスケットボールの大会MVPに選ばれたレブロン・ジェームズ。
平均得点はチーム2位、リバウンドとアシストはチーム1位。
文句なしの活躍で、アメリカの金メダル獲得に大きく貢献しました。
39歳のレブロンが、ドライブから相手を吹っ飛ばして得点する姿は、アメリカ代表の選手たちをおおいに勇気づけましたね。
本当に信じられない選手です。
レブロンの凄いところは、勝利のために自分が何をすればいいのか理解しているところ。
2023-24シーズン、レブロンは3ポイントシュートを1試合平均5.1本放っていましたが、オリンピックでは2.2本しか放っていません。
シュートタッチが悪いこともあったでしょうが、レギュラーシーズンでみられる安易な3ポイントシュートを控え、より確率の高いプレーを選択していました。
ディフェンスも頑張っていましたね。
「大会MVPはカリーが受賞するべきだ」という声もありましたが、ウォリアーズファンのわたくしリトルからみても、レブロンで間違いないと思います。
カリーは準決勝、決勝の爆発力はすごかったものの、最初の4試合はひどかったですから(笑)。
レブロンは大会を通じて最高級のプレーを続けていました。
特に第4クオーター開始時に13点ビハインドを追っていた準決勝のセルビア戦、カリーの爆発もありましたが、第4クオーターのレブロンの気合の入ったドライブやディフェンスがなければ、逆転することは難しかったと思います。
まさに魂のこもったプレーでした。
NBAを約35年間観つづけてきたわたくしリトルも、39歳でこんなに支配的な活躍をする選手はみたことがありません。
そもそも今回のアメリカ代表がこれだけ豪華なメンツになったのは、レブロンが参加を決意したことが大きいと思います。
レブロンが最後に出場するオリンピックなら、自分も出たいと思う選手たちが多かったからこそ、初代ドリームチームにも引けをとらない強力メンバーが集まったのです。
チームの成り立ちからしても、レブロンがMVPを獲得したことは、一番美しい形になったと思いますね。
史上最高の選手(GOAT=Greatest Of All Time)の議論は、現在レブロン・ジェームズ派とマイケル・ジョーダン派に分かれている状態ですが、かなりレブロン派も増えたのではないでしょうか。
NBAを約35年間観つづけてきたわたくしリトルは、あの頃の熱狂の中にいたため、完全にマイケル・ジョーダン派ですが、正直今のレブロンをみていると、わからなくなりました。
どうでもよくなりました(笑)。
それほどまでに39歳のレブロンはエネルギッシュなプレーで、アメリカ代表を頂点に導いてしまいましたから。
今年の12月30日には40歳となるレブロン・ジェームズ。
とにかく怪我無く、モンスター級のプレーをつづけ、人類の進化をみせつけてほしいと思います。
採点はカリーと並ぶ8.0です。
サッカー方式で得点をつけているため、8.0はもう最高級の評価です。
カリーもレブロンも真のスーパースターであることを証明した大会だったと思います。
⑦ケビン・デュラント 7.5
ケビン・デュラント 6試合出場(先発1試合)
平均13.8得点 3.2リバウンド 2.3アシスト FG54.0% 3P51.9%
「オリンピック史上最高のバスケアメリカ代表選手は誰?」という問いに、今回のパリオリンピックで答えが出ました。
ロンドン、リオデジャネイロ、東京に続いて、パリオリンピックでも優勝し、男子バスケットボール史上初の4つ目の金メダルを獲得したケビン・デュラント(KD)です。
オリンピックでの通算得点はKDがぶっちぎりで歴代トップ(518点)。
ちなみに2位はレブロン・ジェームズの358ですから、スコアリングに関しては議論の余地がないでしょう。
スター選手の辞退があいついだリオデジャネイロ(治安の悪さ)や東京(コロナ)の時も、KDは率先してアメリカ代表としてオリンピックに出場し、負けることの許されないアメリカ代表を金メダルに導いてきました。
今回のパリオリンピックでは、コンディション不良のために、大会前の親善試合には1試合も出場せず、ファンを心配させましたが、初戦のセルビア戦でベンチから出てくるとフィールドゴールを9本中8本、うち3ポイントシュートは5本すべて決めきる超絶パフォーマンスをみせ、23得点を記録。
一気にアメリカ代表に勢いをつけました。
初戦のセルビア戦を110-84と圧勝できたのは、KDの働きが大きかったと思います。
その後もベンチから苦しい時に得点をとってくれたKD。
唯一一桁得点(9点)に終わった準決勝のセルビア戦でも、最終盤の苦しい場面で、1on1からプルアップジャンパーを決め、カリーの逆転3ポイントシュートにつなげていました。
パリオリンピックでのフィールドゴール成功率は54.0%、3ポイントシュート成功率は51.9%。
史上最高のオフェンスマシーンと呼ばれる理由がわかりますね。
圧倒的な存在感をみせたレブロン、準決勝と決勝でとんでもないプレーをみせたカリーには及びませんが、アメリカの優勝に大きく貢献したKDの評価は、7.5とします。
4年後KDは39歳。
5個目の金メダル獲得を、私たちは観ることができるのでしょうか?
⑩ジェイソン・テイタム 5.5
ジェイソン・テイタム 4試合出場(先発2試合)
平均5.3得点 5.3リバウンド 1.5アシスト FG38.1% 3P12.5%
今大会もっとも物議をかもしたのが、ジェイソン・テイタムの起用法でしょう。
2023-24シーズン、ボストン・セルティックスのエースとしてチームをNBA優勝に導き、3年連続オールNBA1stチームに選出された、いま油ののりきった26歳のオールラウンダー。
正直、テイタムはスターターで使われると思っていました。
器用なテイタムはロールプレイヤー的な役割をこなせると思ったからです。
しかし初戦のセルビア戦で、テイタムはスターターどころか、ベンチから出てくることさえありませんでした。
スティーブ・カーヘッドコーチは「40分間の試合で10人を超える選手を起用するのは難しい」とテイタムとハリバートンを起用しなかった理由を語っています。
この決断に、多くのNBA関係者が意見をしていましたが、終わってみればわたくしリトルは、正しい判断だったのだろうと思っています。
なんといっても、優勝していますからね。
第2戦の南スーダン戦で先発出場したものの、4得点 5リバウンド 2アシストと大きなインパクトは残せず。
第3戦のプエルトリコ戦も先発し、10得点 10リバウンド 3アシストを記録しましたが、3ポイントシュートは2本放ち成功なし。
余裕のある試合展開の中でインパクトのあるプレーをみせることはできませんでした。
試合に出場できなくてもベンチから笑顔でチームを盛り上げるハリバートンとは対照的に、やや落ち込んだ様子(そう見えているだけかもしれませんが)のテイタムには、なんとなく負のオーラが漂っているようにみえました。
準決勝の大一番セルビア戦でもテイタムを起用しなかったコーチ陣を、ご意見番のチャールズ・バークレーやケンドリック・パーキンスが非難していましたが、それに輪をかけて文句を言っていたのがテイタムの両親。
自身のX(元Twitter)でコーチ陣への不満をぶちまけていました。
周囲が大騒動になる中、テイタムは取材に対して答えています。
「多くの人が僕にメールをくれたり、手を差し伸べてくれた。僕のことを気にかけてくれる人がたくさんいるのが分かったよ。確かに、こういった出来事を次のモチベーションに変えることはできる。でも僕は人間であり、オリンピックのために多くの犠牲を払って全力で努力してきた。だから、こういう状況に向き合うのは辛かった」と語りました。
うーん。
テイタムの気持ちもわかりますが、レブロンやKDとポジションかぶってますからねえ。
本来テイタムに求められていたロールプレイヤー的働きは、デビン・ブッカーが完璧にこなしていましたし。
凡人の僕らからすると、「ハリバートンみたいに、もっと楽しく盛り上げればいいのに・・・」と思いますが、プライドもあると思うし、難しいんでしょうねえ・・・。
採点は、チーム最低の5.5。
ちょっとかわいそうではありますが、父ちゃん母ちゃんのツイートで思いっきり引いちゃいましたから。
テイタムが文句言ったわけではないんですけどね。
アメリカ代表スタッツ&採点 パワーフォワード
⑭アンソニー・デイビス 7.0
アンソニー・デイビス 6試合出場(先発1試合)
平均8.3得点 6.7リバウンド 2.0アシスト FG62.5% 3P50.0%
オリンピックやワールドカップなど、国際大会のたびにアメリカ代表の弱点と言われつづけてきたビッグマン。
しかし今回のパリオリンピックでは、ビッグマンの活躍に救われたといっても過言ではありませんでした。
特にアンソニー・デイビス(AD)のディフェンスにおけるインパクトは、圧倒的でしたね。
決勝のフランス戦では19分51秒の出場時間と短い出場時間ながら、9リバウンド 4ブロックショット 2スティールを記録し、相手に流れを渡しませんでした。
オフェンス面でも、シュート成功率62.5%を記録するなどシュートタッチもよかったのですが、スコアラーぞろいの代表チームでは無理をせずにロールプレイヤー役をはたしています。
パリオリンピックでは6試合のうち先発は1試合のみ。
ほか5試合ではベンチからの出場でしたが、途中交代で出てくるADの安定感はピカイチでした。
ADの採点は7.0とします。
ディフェンス力の高さと、無理をせず味方をいかすプレーに徹したことが、アメリカ代表を確実に強くしたと思います。
今回のアメリカ代表のビッグマンの中では、一番の活躍でしたね。
アメリカ代表スタッツ&採点 センター
⑪ジョエル・エンビード 6.5
ジョエル・エンビード 5試合出場(先発5試合)
平均10.4得点 3.4リバウンド 1.0アシスト FG56.8% 3P54.5%
パリで盛大なブーイングをうけ続けたジョエル・エンビード。
当初フランス代表入りを希望し、マクロン大統領に熱い手紙を送ってまでフランス国籍を取得しながら、最終的にアメリカ代表入りを選択したのですから、フランス国民から盛大なブーイングをうけるのは当然ですね。
まあ、今回の超豪華アメリカ代表の一員になることを選択した、エンビードを責めることはできません。
フランスの観客が、エンビードがボールを持つたびに盛大なブーイングを浴びせながらも、エンビードがシュートを決めると歓声をあげるのが面白かったです(笑)。
オリンピック前の親善試合から、スターターとして出場していたエンビードでしたが、なかなか本来の力を発揮できず。
オリンピック初戦のセルビア戦では、出場した選手の中で最短の11分21秒のプレーで4得点 2リバウンド 2アシストとインパクトを残せず。
2戦目の南スーダン戦では、相手のスピードに対抗するため、エンビードの出場はありませんでした。
「フランス代表を選んどけばよかったのに・・・」と誰もが思いだした中、3試合目のプエルトリコ戦で15得点と本来の得点力を発揮。
続くブラジル戦でも14得点 7リバウンド、3ポイントシュート3本すべて成功するなど、ようやくエンジンがかかってきました。
むかえた準決勝のセルビア戦。
二コラ・ヨキッチを中心としたセルビアにリードされる、苦しい戦いの中、エンビードがMVPセンターの凄みをみせつけます。
26分34秒の出場で、カリーの36得点に次ぐ19得点を記録し、アメリカの大逆転勝利に大きく貢献しました。
決勝のフランス戦では11分7秒の出場で4得点 3リバウンド 2アシストと、本領発揮とはなりませんでしたが、アメリカ代表の一員としてインサイドを支えています。
メダル授与式で盛大なブーイングを浴びながら、観客を笑顔であおっていたエンビードがかっこよかったですね。
チームメイトたちも一緒になって観客をあおっているシーンは、今回のアメリカ代表の雰囲気のよさがあらわれていました。
エンビードの採点は6.5とします。
準決勝セルビア戦での活躍はすばらしかったのですが、決勝でももう少し活躍できているばねえ・・・。
エンビードならもっとできたのではと思っちゃいますので、やや低めの評価になりました。
⑬バム・アデバヨ 6.5
バム・アデバヨ 6試合出場(先発0試合)
平均6.0得点 3.7リバウンド 1.3アシスト FG53.3% 3P33.3%
個人的に、「パリオリンピックの経験をへて成長する選手№1」になるんじゃ?と思っているバム・アデバヨ。
センターとしては206㎝と小柄ながら、抜群のアスレティック能力とディフェンス力で、国際試合でも十分通用することを証明しました。
2試合目の南スーダン戦では、相手のスピードをまったく苦にすることもなく、ベンチから18得点を記録。
2023-24レギュラーシーズンで42本(82試合)しか打っていなかった3ポイントシュートを、南スーダン戦だけで3本打って2本成功させたことも話題になっています。
7リバウンド 2ブロックショット 1スティールとディフェンスでも違いをみせつけました。
特にアンソニー・デイビスとのツインタワーは相性ばっちりで、レイカーズがなんとかして獲得しようとするんじゃ・・・なんて思ってしまいました。
今年の7月に3年総額1億6600万ドル(約267億円 1㌦=160円)でヒートと再契約したばかりなんで、現実的ではないんですが。
準決勝、決勝でインパクトを残すことはできませんでしたが、アメリカ代表にとって、ベンチからアンソニー・デイビスとともにアデバヨが出てくる安心感は大きかったと思います。
ベテランのようにみえて、まだ27歳になったばかりのアデバヨ。
パリオリンピックでの経験で一回り成長した姿を、新シーズンに見せてくれることを期待します。
3ポイントシュートも新たな武器に加えるのかもしれませんね。
アデバヨの採点は6.5とします。
スタッツに現れない活躍もあり、チームに安定感をもたらしたことを評価します。
来シーズンのステップアップに期待しましょう。
まとめ
今回は、パリオリンピックで見事に金メダルを獲得し、バスケットボールの楽しさを再認識させてくれた、アメリカ代表の選手たちの活躍度を採点しました。
今回のアメリカ代表は、チーム一丸となって世界の頂点に立つという目標を実現するために、全力で戦っていましたね。
初代ドリームチームの時にも心からワクワクしましたが、今回のパリでは世界各国のレベルが大幅に上がっているため、純粋にバスケを思いっきり楽しめました。
なんといっても〝キング″レブロン・ジェームズ最後のオリンピックですからね。
ステフィン・カリーやケビン・デュラントなど、NBAの時代を変えてきた選手たちがそろうチームは、まさにドリームチーム。
そんなスーパーチームを苦しめた準決勝のセルビア戦、決勝のフランス戦では、本気のアメリカの凄みをみせつけられました。
またバスケが好きになりましたね。
贅沢を言えば決勝の再放送を、夜中ではなく、多くのこどもたちも観るゴールデンタイムに放送してほしかったんですけどねえ・・・。
日本代表の奮闘もあり、さらにバスケットボール熱が高まっていくでしょう。
オリンピックが終わって、やや燃え尽き症候群ぎみのわたくしリトルですが、2024-25シーズン開幕に向けて、気合を入れていきたいと思います。
よろしくお願いします!