NBAオールスター2024が終わりました。
正直、今年も残念なオールスターでした。
ディフェンスをする気のない棒立ちの選手たちの中で、派手なダンクを決められても、感動は生まれません。
実は、この記事はNBAオールスター2023終了後に書いた記事なのですが、今年もまったく同じ書き出しになってしまいました。
やはり、NBAオールスターは出場者が決まってから当日までが一番ワクワクするイベントですね。
といっても、わたくしリトルは、ドンチッチとヨキッチのいちゃいちゃや、ハリバートンの高確率スリーなど、そこそこ楽しんだんですが。
ただ、あまりにもディフェンスしないため「こんなはずじゃなかった!」と思う人が多かったのもわかります。
というわけで、これまで約35年間NBAを観つづけてきたわたくしリトルが、実際に観て、最高に楽しめたNBAオールスターをランキング形式で7つ選びました。
あの感動を伝えたい!
リトルが選ぶ 面白かったNBAオールスターランキング
まずは、わたくしリトルが独断と偏見で選ぶ、オールスターランキングベスト7をご覧ください。
7位 1990 マイアミ MVP マジック・ジョンソン
6位 1993 ユタ MVP カール・マローン&ジョン・ストックトン
5位 2020 シカゴ MVP カワイ・レナード
4位 2003 アトランタ MVP ケビン・ガーネット
3位 2022 クリーブランド MVP ステフィン・カリー
2位 2001 ワシントンD.C. MVP アレン・アイバーソン
1位 1992 オーランド MVP マジック・ジョンソン
どれも思い出深いオールスターです。
7位 NBAオールスター1990 最高の選手紹介
第7位は、マイアミで開催され、130-113でイースタンカンファレンスが勝利した1990年のオールスターゲーム。
ゲーム最多の22得点を獲得したマジックが、敗れたウエスタンカンファレンスからMVPに選ばれた、珍しいケースでした。
イースタンカンファレンス
G アイザイア・トーマス(デトロイト・ピストンズ)
G マイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ)
F ラリー・バード(ボストン・セルティックス)
F チャールズ・バークレー(フィラデルフィア76ers)
C パトリック・ユーイング(ニューヨーク・ニックス)
G ジョー・デュマース(デトロイト・ピストンズ)
G レジー・ミラー(インディアナ・ペイサーズ)
F ケビン・マクヘイル(ボストン・セルティックス)
F ドミニク・ウィルキンス(アトランタ・ホークス)
F スコッティ・ピッペン(シカゴ・ブルズ)
F デニス・ロッドマン(デトロイト・ピストンズ)
C ロバート・パリッシュ(ボストン・セルティックス)
ウエスタン・カンファレンス
G ジョン・ストックトン(ユタ・ジャズ)
G マジック・ジョンソン(ロサンゼルス・レイカーズ)
F ジェームズ・ウォージー(ロサンゼルス・レイカーズ)
F A.C.グリーン(ロサンゼルス・レイカーズ)
C アキーム・オラジュワン(ヒューストン・ロケッツ)
G ラファイエット・リーバー(デンバー・ナゲッツ)
G クライド・ドレクスラー(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
G ケビン・ジョンソン(フェニックス・サンズ)
G ローランド・ブラックマン(ダラス・マーベリックス
F クリス・マリン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
F トム・チェンバース(フェニックス・サンズ)
C デビッド・ロビンソン(サンアントニオ・スパーズ)
とっても豪華で、ワクワクするメンバーです。
初代ドリームチームに選ばれた12人のうち、大学生で選出されたクリスチャン・レイトナー以外の11人が出場した豪華なオールスターでしたね。
1990年のオールスターは、ファン投票で大きな物議をかもしました。
イースタンカンファレンスのスターターは、今みても、当時のベストメンバー5人が揃う完璧なチームだと思います。
問題はウエスタンカンファレンス。
当時圧倒的な人気を誇ったレイカーズから、スターターに3人が選出されたのです。
マジックとウォージーについては、特に文句はないのですが、問題はA.C.グリーン。
誰が見ても、実力的にはカール・マローンがスターターに選出されるべきでしたが、ユタという地味な土地柄か(ストックトンはスターターに選出されましたが)、まさかのスタメン落ちとなったのです。
ちなみに、1989-90シーズンの成績を比べると・・・
カール・マローン 31.0得点 11.1リバウンド 2.8アシスト
A.C.グリーン 12.9得点 8.7リバウンド 1.1アシスト
さすがに、ここはマローンでしょう。
レイカーズファンの大量投票に非難があつまり、マローンが思いっきりすねていたことを思い出します。
結局、マローンは怪我を理由にオールスターを辞退し、ローランド・ブラックマンが代替出場しました。
ちなみに、試合は特別面白くなかった(笑)のですが、1990年のオールスターを第7位に選んだ理由は、試合前の選手紹介が圧倒的にかっこよかったから。
音楽にあわせて、出場選手のプレーが流れるのですが、30年以上オールスターを観ていますが、これ以上の選手紹介はないですね。
ジョーダンやマジックはもちろんかっこいいんですが、ドミニク・ウィルキンスやトム・チェンバース、クライド・ドレクスラーのダンクシーンが衝撃的でした。
珍しいクリス・マリンのダンクや、若きデニス・ロッドマンの登場シーンも見ものです。
当時、選手紹介の場面だけを繰り返し観たせいで、ビデオテープが擦り切れてしまい、ショックを受けたことを思い出します。
また、あんなかっこいい選手紹介VTRをつくってくれんかなあ?
6位 NBAオールスター1993 ストックトン&マローンMVP
第6位はユタ州ソルトレイクシティで行われ、ジョン・ストックトンとカール・マローンのコンビがMVPを同時受賞した1993年のオールスターです。
135-132で、オーバータイムの末に、ウエスタンカンファレンスが勝利した、大熱戦でした。
イースタンカンファレンス
G アイザイア・トーマス(デトロイト・ピストンズ)
G マイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ)
F スコッティ・ピッペン(シカゴ・ブルズ)
F ラリー・ジョンソン(シャーロット・ホーネッツ)
C シャキール・オニール(オーランド・マジック)
G ジョー・デュマース(デトロイト・ピストンズ)
G マーク・プライス(クリーブランド・キャバリアーズ)
F ラリー・ナンス(クリーブランド・キャバリアーズ)
F デトレフ・シュレンプ(インディアナ・ペイサーズ)
F ドミニク・ウィルキンズ(アトランタ・ホークス)
C パトリック・ユーイング(ニューヨーク・ニックス)
C ブラッド・ドアティ(クリーブランド・キャバリアーズ)
ウエスタンカンファレンス
G ジョン・ストックトン(ユタ・ジャズ)
G クライド・ドレクスラー(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
F チャールズ・バークレー(フェニックス・サンズ)
F カール・マローン(ユタ・ジャズ)
C デビッド・ロビンソン(サンアントニオ・スパーズ)
G ティム・ハーダウェイ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
G テリー・ポーター(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
F ショーン・エリオット(サンアントニオ・スパーズ)
F ダン・マーリー(フェニックス・サンズ)
F ショーン・ケンプ(シアトル・スーパーソニックス)
C ダニー・マニング(ロサンゼルス・クリッパーズ)
C アキーム・オラジュワン(ヒューストン・ロケッツ)
シャックことシャキール・オニールが、ルーキーながらファン投票でスターターに選出。
バッドボーイズのリーダー、アイザイア・トーマスの最後のオールスターでもあります。
1990年のオールスターではスタメンに選ばれず、思いっきりすねていたマローンも、ストックトンと共にファン投票で無事選出されました。
同時代にトップパワーフォワードの座を争っていた、バークレーとマローンが、同じチームで並ぶ姿も貴重です。
二人が同じチームでスターターに選ばれたのは、この1993年だけです。
試合は、とてもオールスターとは思えない、ガチなものになりました。
最終クオーターになって本気になるオールスターは何度もありますが、1993年のオールスターは、なぜか第1クオーターからガチガチのディフェンス合戦に。
まじなトーンでありながら、アイザイアからジョーダンへのロングアリウープパスや、豪快なシャックのダンクなど、ハイライトシーンもあり、NBAの魅力のつまったオールスターゲームでした。
つねに点差が開かない、手に汗握るゲームは、第4クオーター残り32.8秒の時点でウエストの5点リード。
そこから第4クオーター終了までに6回のタイムアウトをとりあう大熱戦は、ジョーダンのアシストからユーイングがジャンパーを沈め、イースタンが土壇場で追いつき、オーバータイムへ。
オーバータイムは、ストックトンの冷静なプレーメイクがひかり、3点差でウエストが勝利。
残り1分28秒で、ストックトンのアシストから3ポイントを決めたバークレーが、カール・マローンと抱き合って喜んでいた姿が、印象的でした。
開催地がユタのソルトレイクシティだったこともあり、ストックトン(9得点15アシスト)&マローン(28得点10リバウンド)がMVPに選ばれたのは納得でしたね。
当時ジャズファンだったわたくしリトルも、大満足のオールスターでした。
5位 NBAオールスター2020 コービーへの追悼
第5位は、シカゴで行われ、静かなる男カワイ・レナードがMVPを獲得した2020年のオールスター。
しかし、この2020年のオールスター、真の主役はコービー・ブライアントと、次女のジアナでした。
2020年1月26日、ヘリコプター事故により突然この世を去った二人と、同乗していた犠牲者に対する追悼が、2020年オールスターを特別なものに変えたのです。
結果は、157ー155の大接戦で、チームレブロンが勝利。
NBAオールスターが初開催された1951年から続いてきた、「イーストvsウエスト」の対戦方式が、「東西それぞれ最多得票の選手がキャプテンとなり、選手をドラフトして戦う形式」に2018年から変わり、その後2022年まで、チームレブロンが5連勝しています。
チームヤニス
G ケンバ・ウォーカー(ボストン・セルティックス)
G トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)
F パスカル・シアカム(トロント・ラプターズ)
F ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)
C ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)
G カイル・ラウリー(トロント・ラプターズ)
G ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)
G ドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)
F クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)
F ブランドン・イングラム(ニューオーリンズ・ペリカンズ)
C バム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)
C ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)
チームレブロン
G ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)
G ジェームズ・ハーデン(ヒューストン・ロケッツ)
F カワイ・レナード(ロサンゼルス・クリッパーズ)
F レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
C アンソニー・デイビス(ロサンゼルス・レイカーズ)
G クリス・ポール(オクラホマシティ・サンダー)
G ラッセル・ウエストブルック(ヒューストン・ロケッツ)
G デイミアン・レナード(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
G ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)
F ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
C 二コラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)
C ドマンタス・サボニス(インディアナ・ペイサーズ)
わたくしリトルは、1988年から毎年オールスターを楽しんできましたが、オールスターほど「面白い」と「つまらない」がはっきりしている試合はありません。
正直、「つまらない」オールスターの方が圧倒的に多いと思います。
特に2010年代になると、ケガをしないことが1番、ディフェンスはまったくしない、アリーウープと3ポイントのお披露目会のようなゲームがつづき、30年以上毎年楽しみしていたわたくしリトルでさえ、「もうオールスターはいいかな。」と思っていました。
ファンからオールスターゲームへの批判が集まる中、2020年、NBAは思いきったルール変更を行います。
オールスターに限り「イラムエンディング」を導入することになったのです。
選手会長のクリス・ポールが提案したと言われています。
イラムエンディングとは、決められた時間が経過した時点で得点の多いチームが勝つ通常のバスケの試合とは違い、決められたターゲットスコアに到達した時点で勝者が決まるフォーマット。
第3クオーターまでは通常通り(1クオーターごとに勝敗を決定し、次のクオーター開始時には0点に戻す)12分間で争い、第4クオーターは3クオーターまでにリードしているチームの総得点に、24点をプラスしたターゲットスコアを設定し、先に到達したチームの勝利となります。
第4クオーターは、残り時間の概念はなくなるのです。
今回は、第3クオーターを終了した時点で、133-124でチームヤニスがリードしていたため、133に24をプラスした、157点がターゲットスコアとなりました。
プラスされる〝24″点は、2020年1月26日にヘリコプター事故で亡くなった、コービー・ブライアントの背番号〝24″に由来します。
2020年のオールスターでは、チームヤニスが全員コービーの背番号24を、チームレブロンが全員娘ジアナの背番号2をつけてプレー。
審判は大変だろうなと思いながらも、愛を感じる粋な演出だったと思います。
「24番をつけたクリス・ミドルトンの後ろ姿が、コービーに見える」とニュースになっていたのを思い出しますね(笑)。
試合は、第1~第3クオーターまでは、例年通りのゆるいディフェンスで、トレイ・ヤングのハーフコートショットや、クリス・ポールの珍しいアリーウープダンクが飛び出すなど、エンターテイメント性の高いものでした。
しかし、ターゲットスコアが157点と設定された第4クオーターに入ると、雰囲気が一変。
9点を追うチームレブロンは、ポール、ハーデン、レナード、レブロン、デイビスの5人。
チームヤニスは、ラウリー、ウォーカー、シアカム、ヤニス、エンビードの5人。
それぞれのクロージングラインナップが、プレーオフの第7戦のような真剣勝負を披露したのです。
特にレブロンのレイアップをチェイスダウンブロックするヤニス、ジェームズ・ハーデンから3ポイントラインの外でテイクチャージしたラウリーにはしびれました。
手に汗握るスリリングな展開は、156-155でチームレブロンがリードした場面で、ゴール下でファウルを受けたデイビスがフリースローの2本目を沈め、チームレブロンが勝利。
随所に真剣勝負を愛した闘争心のかたまり、コービーへの愛を感じられた、素晴らしいオールスターだったと思います。
4位 NBAオールスター2003 ジョーダン最後の雄姿
第4位はアトランタで開催され、マイケル・ジョーダンが最後に出場した2003年のオールスター。
MVPは、ケビンガーネットでしたが、マイケル・ジョーダンのためのオールスターと言ってもいいでしょう。
イースタンカンファレンス
G アレン・アイバーソン(フィラデルフィア・76ers)
G トレイシー・マグレディ(オーランド・マジック)
F マイケル・ジョーダン(ワシントン・ウィザーズ)
F ジャ―メイン・オニール(インディアナ・ペイサーズ)
C ベン・ウォーレス(デトロイト・ピストンズ)
G ジェイソン・キッド(ニュージャージー・ネッツ)
G ポール・ピアース(ボストン・セルティックス)
F ビンス・カーター(トロント・ラプターズ)
F アントワン・ウォーカー(ボストン・セルティックス)
F ジャマール・マッシュバーン(ニューオーリンズ・ホーネッツ)
F ブラッド・ミラー(インディアナ・ペイサーズ)
C ジードルナス・イルガウスカス(クリーブランド・キャバリアーズ)
ウエスタンカンファレンス
G スティーブ・フランシス(ヒューストン・ロケッツ)
G コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)
F ケビン・ガーネット(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
F ティム・ダンカン(サンアントニオ・スパーズ)
C ヤオ・ミン(ヒューストン・ロケッツ)
G ゲイリー・ペイトン(シアトル・スーパーソニックス)
G スティーブ・ナッシュ(ダラス・マーベリックス)
G ステフォン・マーブリー(フェニックス・サンズ)
F ペジャ・ストヤコビッチ(サクラメント・キングス)
F ショーン・マリオン(フェニックス・サンズ)
F ダーク・ノビツキー(ダラス・マーベリックス)
C シャキール・オニール(ロサンゼルス・レイカーズ)
1998年のNBAファイナル、ラストショットを決め、ユニフォームを脱いだジョーダン。
ウィザーズの共同オーナーとなったジョーダンは、低迷するチームの起爆剤となるため、2001年に現役復帰をはたします。
しかし、年齢的な身体能力の衰えは隠せず、2002-03シーズンをもって3度目の引退を決意(それでもラストシーズン1試合平均20.0得点を記録しています)。
ジョーダン最後のオールスターは、ファン投票によるものではなく、コーチ推薦によるものでした。
スターティングメンバ―に選ばれていたアレン・アイバーソンとトレイシー・マグレディは、ジョーダンにスタメンの座をゆずることを提案しましたが、ジョーダンは固辞。
しかし、フォワード登録でスターティングメンバ―に選出されていたノースカロライナ大学の後輩、ビンス・カーターの提案に応じ、スタートから出場します。
ジョーダンは序盤はなかなかシュートが決まらず、ウエストのビッグラインナップ(ガーネット、ダンカン、ヤオ・ミン、シャック)に苦しむ展開。
しかし、イーストも粘りをみせ、試合はオーバータイムに。
そして、オーバータイムに、劇的で、かつ見慣れた光景に、ファンは酔いしれることになります。
120-120同点、残り時間はわずか、右45度でパスを受けたジョーダンがベースラインに向かってドリブルし、高い軌道のフェイダウェイシュートを放つと、ボールは見事にリングの真ん中を射抜き、会場は興奮のるつぼと化したのです。
残り時間は3秒。
誰もがイーストの勝利を確信し、劇的なラストショットに酔いしれていました。
ウエストのタイムアウトの後、ガーネットのインバウンドパスが乱れ、3ポイントラインの外で、体制を崩しながらもシュートを放り投げるコービー。
入るはずのないコービーのシュートに対し、ブロックに飛んだジャ―メイン・オニール。
すかさず右手をあげファウルをコールする審判。
「いや、そこは流せよ!」とテレビに向かって叫びましたね。
コービーは、3本のフリースローのうち2本目を外し、ダブルオーバータイムへ。
結局最後はMVPを獲得したガーネットの活躍で、ウエストの勝利となりました。
劇的なラストショットとはなりませんでしたが、ジョーダンの凄さ、勝負強さを見せつけられたオールスターでした。
3位 NBAオールスター2022 カリー大爆発
第3位はクリーブランドで開催され、ステフィン・カリーが度肝を抜くパフォーマンスでMVPを獲得した2022年のオールスター。
正直、この選出には賛否あるかと思いますが、圧倒的なスターパワーに魅了されたゲームでした。
チームデュラント
G ジャ・モラント(メンフィス・グリズリーズ)
G トレイ・ヤング(アトランタ・ホークス)
F アンドリュー・ウィギンズ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
F ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
C ジョエル・エンビード(フィラデルフィア・76ers)
G ラメロ・ボール(シャーロット・ホーネッツ)
G デジャンテ・マレー(サンアントニオ・スパーズ)
G デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)
G ザック・ラビーン(シカゴ・ブルズ)
F クリス・ミドルトン(ミルウォーキー・バックス)
C カール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
C ルディ・ゴベア(ユタ・ジャズ)
チームレブロン
G ステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
G デマー・デ・ローザン(シカゴ・ブルズ)
F レブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)
F ヤニス・アデトクンボ(ミルウォーキー・バックス)
C 二コラ・ヨキッチ(デンバー・ナゲッツ)
G ルカ・ドンチッチ(ダラス・マーベリックス)
G クリス・ポール(フェニックス・サンズ)
G ダリアス・ガーランド(クリーブランド・キャバリアーズ)
G ドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)
G フレッド・ヴァンブリート(トロント・ラプターズ)
F ジミー・バトラー(マイアミ・ヒート)
C ジャレット・アレン(クリーブランド・キャバリアーズ)
5位であげた2020年のオールスターから始まった、第4クオーターにターゲットポイント(第3クオーターを終えリードしているチームの得点プラス24点)を設定するイラムエンディングは、オールスターをよりエキサイティングなものに変えました。
ただ、あいかわらず第3クオーターまではディフェンスの強度は低く、ダンクや3ポイントの応酬、エンターテイメントに振り切ったオールスターに対する、否定的な意見をもつファンも多いのが現状です。
しかし、エンターテイメントも度が過ぎると、とんでもない興奮を巻き起こします。
ケビン・デュラント、ドレイモンド・グリーン、ジェームズ・ハーデンがケガで欠場、ドノバン・ミッチェルが呼吸器疾患で直前に欠場となり、ややマイナスな雰囲気からはじまったゲームは、一人の選手によって異様な盛り上がりに。
この日、ステフィン・カリーが次々と3ポイントを決めていくと、最初は「また3ポイント打ち放題か」と思っていたわたくしリトルも、次第に「打ったら入るやん」となり、「いや、これすごいことになるぞ」と、テレビに釘付けになっていきます。
前半だけで11本中8本の3ポイントを成功、24得点を記録。
第3クオーターには、ロゴスリーを含む5本連続の3ポイントを成功させるなど、人類史上最高のシューターの力をみせつけます。
シュートを打った瞬間に振り返り、観客にシュートが決まったか確認するパフォーマンス(もちろん成功)まで披露し、クリーブランドのファンのブーイング(キャブスとウォリアーズは4年連続ファイナルで対戦)を大歓声に変えていきました。
結局、ポール・ジョージが保持していた1試合9本成功のオールスター記録を大幅に更新する16本の3ポイントシュートを決めたカリー。
最後は、161-160で迎えた場面(ターゲットスコアは163点)で、レブロンが見事なフェイダウェイを沈め、チームレブロンの勝利で終わりました。
カリー親子の大ファンであるわたくしリトルにとっては、最高のエンターテイメントを楽しめたオールスターゲームでした。
2位 NBAオールスター2001 アイバーソン&マーブリー奇跡の大逆転
第2位はユタ州ソルトレイクシティで2001年に開催され、アレン・アイバーソンがMVPを獲得した2001年のオールスター。
有名なアレン・アイバーソンの名言が試合後に飛び出した、歴史に残る大逆転劇に、心が震えました。
イースタンカンファレンス
G アレン・アイバーソン(フィラデルフィア・76ers)
G トレイシー・マグレディ(オーランド・マジック)
F ビンス・カーター(トロント・ラプターズ)
F アンソニー・メイソン(マイアミ・ヒート)
C アントニオ・デイビス(トロント・ラプターズ)
G ステフォン・マーブリー(ニュージャージー・ネッツ)
G レイ・アレン(ミルウォーキー・バックス)
G ジェリー・スタックハウス(デトロイト・ピストンズ)
G アラン・ヒューストン(ニューヨーク・ニックス)
F グレン・ロビンソン(ミルウォーキー・バックス)
F ラトレル・スプリーウェル(ニューヨーク・ニックス)
C ディケンベ・ムトンボ(アトランタ・ホークス)
ウエスタンカンファレンス
G ジェイソン・キッド(フェニックス・サンズ)
G コービー・ブライアント(ロサンゼルス・レイカーズ)
F クリス・ウェバー(サクラメント・キングス)
F ケビン・ガーネット(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
C ティム・ダンカン(サンアントニオ・スパーズ)
G ゲイリー・ペイトン(シアトル・スーパーソニックス)
G マイケル・フィンリー(ダラス・マーベリックス)
F アントニオ・マクダイス(デンバー・ナゲッツ)
F ラシード・ウォーレス(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
F カール・マローン(ユタ・ジャズ)
C デビッド・ロビンソン(サンアントニオ・スパーズ)
C ブラデ・ディバッツ(サクラメント・キングス)
第6位の1993年オールスター(この時もソルトレイクシティ開催)と同じく、第1クオーターからマジモード全開だった2001年のオールスターゲーム。
ユタ州ソルトレイクシティには、マジモードにさせるパワーがあるのでしょうか?
いや、今年もソルトレイクシティでしたね(苦笑)。
メンバーを見てもわかるように、スピードのあるプレイヤーがそろうイーストに対し、高さとパワーのあるビッグマンがそろうウエストの対決。
ウエストは、12人のうち、206㎝以上のビッグマンが8人揃い、イーストは2人。
選手の実績から見ても、圧倒的にウエスト有利とみられていました。
試合は、大方の予想通りウエストが高さで序盤から圧倒。
第1クオーター、30-17とスタートダッシュを決めると、第3クオーター終了時、89-70とウエストのリードは19点差にまで広がります。
第4クオーターに入っても、残り9分にマイケル・フィンリーが決めた時点で、この日最大21点差までウエストのリードは広がり、勝敗は決まったと誰もが思っていました。
「今年のオールスターはハズレやなあ。」と思いながら観ていた、わたくしリトル。
しかし、ウエストのシュートミスを、イーストのセンター、ディケンベ・ムトンボが確実に奪い取り、カーター、アレン、スタックハウスらが速攻につなげ、流れを変えていきます。
それでも、「エンジンかけるのが遅かったなあ。」と思って観ていました。
ただ、残り5分32秒でスタックハウスが3ポイントを決めた時点で、気づけば100-90と、ウエストのリードは10点。
「もしかして・・・」と思い出してからは、アイバーソンの独壇場でした。
マイボールになると、アイバーソンがどんどんボールをプッシュし、ゴール下に切れ込みファウルを獲得。
イーストの選手たちに、「勝ちにいくぞ!」とプレーで伝えているようでした。
残り1分ちょうどに、コービーがジャンプシュートを決め、ウエストが3点のリード。
「さすがコービ・・・」と言いかけたところで、すかさずマーブリーが3ポイントを決め返し、残り53秒で108-108の同点。
こうなると、NBA1の負けず嫌い、コービー・ブライアントが黙っているはずはなく、残り37秒でジャンパーを決めウエスト2点リード。
やっぱりウエストかと思ったところで、マーブリーが今度はステップバックで3ポイントをヒットし、ついにチームイーストが1点をリードします。
残り時間は28.4秒。
ボールを保持するコービーにファウルをした時点で、残り時間10.9秒。
最後はコービーからパスを受けたダンカンが、フローターぎみにシュートを放ったところを、カーターが必死にブロック。
奇跡の逆転劇に、心がふるえました。
MVPは、イースト最後の25点のうち、1人で15得点をあげたアレン・アイバーソン。
試合終了後のインタビューでアイバーソンの口から、後世に語り継がれるであろう名言が飛び出します。
「人々は俺たちに対して、『サイズがないから勝てない』と言っていた。でも身体の大きさじゃないんだ。ハートの大きさが重要なんだ。第4クォーターに俺たちはこう言っていた。『俺たちにはできないのか? オールスターゲームで19点ビハインドからカムバックすることはできないのか?』ってね」
我が家のトイレに飾ってある、ダイソーの名言日めくりカレンダーには、ウォルト・ディズニーやダライ・ラマ14世と並んで、アレン・アイバーソンの名言が紹介されています。
「大切なのは身体の大きさではなく ハートの大きさだ」
1位 NBAオールスター1992 マジック・ジョンソン一夜限りの復活
第1位は、オーランドで開催された1992年のオールスターです。
わたくしリトルにとって、今後マイケル・ジョーダンを超える選手は現れないと思います。
同じように、今後どんなにすばらしいオールスターゲームがあっても、この1992年のオールスターを超えることはないでしょう。
イースタンカンファレンス
G アイザイア・トーマス(デトロイト・ピストンズ)
G マイケル・ジョーダン(シカゴ・ブルズ)
F スコッティ・ピッペン(シカゴ・ブルズ)
C パトリック・ユーイング(ニューヨーク・ニックス)
G マイケル・アダムス(ワシントン・ブレッツ)
G マーク・プライス(クリーブランド・キャバリアーズ)
G ジョー・デュマース(デトロイト・ピストンズ)
F レジー・ルイス(ボストン・セルティックス)
F デニス・ロッドマン(デトロイト・ピストンズ)
F ケビン・ウィリス(アトランタ・ホークス)
C ブラッド・ドアティ(クリーブランド・キャバリアーズ)
ウエスタンカンファレンス
G マジック・ジョンソン(ロサンゼルス・レイカーズ)
G クライド・ドレクスラー(ポートランド・トレイルブレイザーズ)
F クリス・マリン(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
F カール・マローン(ユタ・ジャズ)
C デビッド・ロビンソン(サンアントニオ・スパーズ)
G ティム・ハーダウェイ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
G ジョン・ストックトン(ユタ・ジャズ)
G ジェフ・ホーナセック(フェニックス・サンズ)
F ダン・マーリー(フェニックス・サンズ)
F ジェームズ・ウォージー(ロサンゼルス・レイカーズ)
F オーティス・ソープ(ヒューストン・ロケッツ)
C アキーム・オラジュワン(ヒューストン・ロケッツ)
C ディケンベ・ムトンボ(デンバー・ナゲッツ)
1992-93シーズン開幕から、病気であることを理由に5試合を欠場していたマジック。
11月7日に、欠場の理由を記者会見で発表します。
「HIVウイルス感染」。
大きな衝撃が、世界に走りました。
当時、「HIV=エイズ」で、助からない病気という知識しかありませんでした。
HIV感染による引退を発表したマジック。
NBAのトップスターが32歳の若さで突然の引退。
もう、あの華麗なプレーが観れなくなるのかと、大学生だったわたくしリトルも、かなり落ち込みました。
アンチレイカーズなのに・・・。
何か大事なものがすっぽり無くなってしまったような、シーズンの始まりでした。
そんな中、1月になると、オールスターファン投票のニュースが、NBA情報誌HOOPに掲載されます。
「マジック・ジョンソン オールスター出場か?」
シーズン開幕後の引退発表だったため、すでにオールスターの投票用紙には、マジック・ジョンソンの名前が印刷してあったのです。
シーズン1試合も出場していないマジックに、多くのファンが投票し、ウエスタンカンファレンスのガード部門2位にあたる65万8,211票を獲得。
当時のデビッド・スターンコミッショナーは粋な決断をします。
すでに引退していたマジックを、ウエスタンカンファレンス13番目の選手として参加させることを、特別に認めたのです。
試合の前には、「エイズが移るんじゃないか」「ほかの選手は嫌がっているんじゃないか」など、ネガティブな憶測が流れましたが、いざオールスター当日、選手紹介の最後に「アービン・マジック・ジョンソン」の名前がコールされると、会場中から大歓声があふれ、マジックも最高の笑顔で答えました。
スタメンを、ティム・ハーダウェイ(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)から譲られたマジック。
スターティングメンバ―全員が、現在バスケットボールの殿堂入りを果たしている、本当のオールスターです。
試合勘がにぶっていることを心配していましたが、マジックは格が違いました。
ゲーム開始からマジックを中心に面白いようにパスがまわり、チームバスケを展開するウエストに、マイケル・ジョーダンやアイザイア・トーマスらの個人技を中心に攻めるイースト。
第1クオーター残り5分26秒まで同点だったものの、そこからドレクスラーの連続得点でウエストが一気に突き放し、44-31とウエストが13点のリードを奪って、第2クオーターへ。
前半を終えた時点で、79-55とウエストのリードは24点に広がり、マジック自身も7本のシュートを打ち6本を決め、前半だけで16得点をあげます。
後半に入ってもウエストのコンビネーションは冴えわたり、第3クオーターを終えた時点で115-83と、32点差まで広がり、早々とウエストの勝利を決定づけます。
第4クオーター残り3分を切ったところで、最後のショーターイムが開演します。
まず2本続けてマジックが3ポイントをヒット!
笑顔のアイザイアから突き飛ばされ、楽しそうなマジック。
3ポイントラインの外で待つクリス・マリンに長いパスを出し、次のターンでは、ゴール下で一瞬フリーになったダン・マーリーへ矢のようなアシスト。
会場のボルテージが一気に上がったところで、伝説の1on1対決が始まります。
まず、トップポイントガードを争ってきた、ライバルであり親友のアイザイア・トーマスがボールを持つと、マジックが挑発。
他の選手はスペースを空け、まるで2人がプレイグラウンドで1on1を楽しんでいるような雰囲気に。
アイザイアは得意のドリブルを見せつけますが、ブザーギリギリで放ったシュートはエアボール。
勝ち誇ったように両手をかかげたマジックに、大歓声があがりました。
速攻からのダンマーリーのダンクを挟んで、再びマジックがしかけます。
ジョーダンがドリブルを始めると、マークについていたドレクスラーの腕をひっぱり、今度はジョーダンとの1on1に挑みます。
会場は総立ちとなり、割れんばかりの歓声。
結果右サイドから放ったジョーダンのシュートは、リングに嫌われ、こちらもマジックの勝利。
そして、夢の舞台はクライマックスへ。
トップ・オブ・ザ・キーからドリブルを開始したマジックは、マークにつくアイザイアをあざ笑うかのようにステップバックし、バランスを崩しながら3ポイントをヒット!!
映画のようなラストシーンに、アリーナにいた全員、テレビを観ていた世界中のファンが、感動し、声をあげた瞬間でした。
残り時間は14秒5でしたが、みんなが交代でマジックに抱きつき、祝福をし、そのままゲームは終了。
まるで壮大な映画のラストシーンのようでした。
ただでさえマジックは笑顔でファンを魅了してきましたが、この時の笑顔は格別でしたね。
勝敗を超越した感動が、そこにはありました。
マジックは試合を通じて25得点9リバウンド。
満場一致でMVPに選ばれたのは、言うまでもありません。
まとめ
今回は、約35年間NBAを観つづけて来たわたくしリトルが、本当に面白かったオールスターについて語りました。
どのゲームも思い出深いのですが、やはり夢の舞台オールスターは、毎回ドキドキわくわくさせてくれます。
始まる前は。
今年(2024年)もそうだったんですが、あまりにもディフェンスしない、ゆるゆるな雰囲気では、感動は生まれないですよね。
試合をみていて、昨年同様、徐々にわくわくがしぼんでいくのを感じました。
昔のオールスターは、現在の選手たちのように、他のチームの選手とSNSなどでつながって、仲がいいということはなかったので、どこかギクシャクして、「あいつには負けない」というプライドが見え隠れしていました。
今はもうみんなお友達の雰囲気で、真剣に戦う雰囲気は皆無です。
まあ、その楽しい雰囲気もほっこりさせられて、嫌いではないんですが。
1位の1992年、マジックの一夜限りの復活の時は、「マジックに打たせてあげよう。」ではなく、「絶対におさえてみせる。」と相手がディフェンスしたからこそ、感動が生まれたのです。
ファンは、選手同士の仲良しシューティング大会を観たいのではありません。
もちろんケガをすることは怖いと思いますが、ある程度はプライドをもって、勝利を目指して戦ってほしいですね。