毎日NBAの全試合が観れる喜びをヒシヒシと感じている今日この頃。
楽天さん、ありがとうございます!
昨シーズンから始まったインシーズントーナメントは、ベスト4が出そろいました。
イースタンカンファレンスからはミルウォーキー・バックスとアトランタ・ホークス。
ウエスタンカンファレンスからはオクラホマシティ・サンダーとヒューストン・ロケッツ。
今勢いのある4チームが、勝ち上がっています。
シーズン序盤は苦しみながらも、ここ最近調子をあげてきたバックスとホークス。
前評判どおりの強さを発揮しているサンダー。
そして予想以上の快進撃をみせているヒューストン・ロケッツ。
今回は、ヒューストン・ロケッツの強さの秘密を語っていきたいと思います。
実は昨シーズンの序盤に、「【ヒューストン・ロケッツまとめ】強豪復活? シェングン バンブリート ブルックス」という記事を書いているのですが、今年のロケッツはさらに勢いを増しています。
なんだか応援したくなるチームなんですよね。
今回は、2024-25シーズンの台風の目になっている、ヒューストン・ロケッツについて語ります。
2024-25ロケッツ チームスタッツ
今シーズンのヒューストン・ロケッツのチームスタッツをまとめます。
記録はすべて12月13日時点のものです。
ロケッツ 2024-25チームスタッツ
17勝8敗 勝率68.0%(ウエスト2位)
112.7得点(リーグ15位)
105.9失点(リーグ3位)
49.4リバウンド(リーグ1位)
22.5アシスト(リーグ28位)
FG44.0%(リーグ26位)
FG試投数93.9(リーグ1位)
3P32.7%(リーグ26位)
3P試投数35.9(リーグ20位)
スタッツをみてみると、今シーズンのヒューストン・ロケッツの強みがみえてきます。
今シーズン、ロケッツが躍進をとげている理由は、ディフェンスです。
昨シーズンリーグ13位だった1試合平均の失点が、今シーズンはリーグ3位になっていることからも、今年のロケッツがディフェンスで大きく進化していることがおわかりでしょう。
ちなみに、2シーズン前の2022-23シーズンは平均失点でリーグ28位、2021-22シーズンはリーグ最下位の30位でしたから、ここ2シーズンのディフェンス力のアップはすさまじいものです。
やはり2023-24シーズンから指揮をとっているヘッドコーチのイメイ・ウドカの影響は大きいですね。
ボストン・セルティックスをNBAファイナルに導いた手腕はほんものでした。
セルティックスでは球団職員の女性と不適切な関係となり、職務停止となったウドカでしたが、ロケッツで見事に復活しています。
オフェンスは、決して確率はよくないものの、リーグ1位の試投数で対応しています。
現在ロケッツには平均2桁得点を記録している選手が7人もいる状態です。
ジェイレン・グリーン(19.2得点)、アルペレン・シェングン(18.8得点)、フレッド・バンブリート(15.6得点)、ディロン・ブルックス(12.6得点)、アメン・トンプソン(11.8得点)、ジャバリ・スミスJr.(11.6得点)、タリ・イーソン(11.2得点)。
突出したスコアラーがいなくても、これだけ得点力の高い選手がそろっていれば、相手はとまどうでしょうね。
グリーンやシェングンは爆発力もありますから、非常におさえこむのが難しいチームだと思います。
2024-25ロケッツ 主力選手
アルペレン・シェングン
アルペレン・シェングン
2002年7月25日生まれ(22歳)
211㎝ 110㎏ センター
センター
2021年ドラフト1巡目全体16位
2024-25スタッツ
25試合出場
18.8得点 10.6リバウンド 5.3アシスト FG47.6% 3P24.3%
トルコ出身、22歳の若きエース、アルペレン・シェングン。
「ベイビー・ヨキッチ」の異名をつけられるほど、多才なビッグマンは、デビューから毎年大きな進化をつづけています。
昨シーズンはMIP(最も成長した選手)の投票で3位の票を集めましたが、シーズン後半のケガによる離脱がなければ、おそらくMIPを受賞していたでしょう。
2023-24シーズン、平均21.1得点 9.3リバウンド 5.0アシストを記録。
NBAトップセンターの一人として認められたシーズンでした。
今シーズン平均得点は昨シーズンより落ちているものの、ディフェンス力が大幅にアップし、チームの勝利に貢献しています。
以前はディフェンスが欠点とみなされていましたが、高いバスケIQを生かした読みと献身的なヘルプディフェンスで、ロケッツの守備力向上の要因となっていますね。
バスケIQの高さはもちろんオフェンスでも発揮され、多才なポストムーブやアッと驚くアシストでチームの攻撃の要となっているシェングン。
今年の開幕前に5年1億8500万ドル(約277億5千万円 1㌦=150円)でロケッツと延長契約を交わしたシェングンは、確実にNBAの世界で、スーパースターへの階段をのぼっています。
ジェイレン・グリーン
ジェイレン・グリーン
2002年2月9日生まれ(22歳)
193㎝ 84㎏ シューティングガード
2021年ドラフト1巡目全体2位
2024-25スタッツ
25試合出場
19.2得点 4.7リバウンド 2.6アシスト FG39.7% 3P32.1%
2021年のNBAドラフト1巡目全体2位で指名されロケッツ入りしたジェイレン・グリーン。
193㎝と小柄ながら、爆発的な身体能力とテクニックでを武器に得点を重ねるスラッシャータイプのシューティングガードです。
昨シーズンは前半なかなか波に乗れず、トレードの噂が出ることもありましたが、シェングンがケガで離脱以降の18試合では、平均24.2得点 6.6リバウンド 4.4アシスト FG45.3% 3P38.1%と大活躍。
特にこの18試合、普段苦手としている3ポイントシュートが絶好調で、1試合平均9.3本を放ちながら、38.1%の確率で決めています。
ちなみにシーズントータルでは、1試合7.4本の3ポイントシュートを試投し、成功率は33.2%ですから、シェングン不在の間、どれだけ調子がよかったのか、おわかりいただけるでしょう。
シーズン終盤の活躍で評価を上げたグリーンは、シェングンと同様今シーズン開幕前に3年1億600万ドル(約159億円 1㌦=150円)の延長契約を結びました。
ただ今シーズンのジェイレン・グリーンは、これまで指摘されてきた調子の波の大きさが、より際立っています。
1人で41得点をあげチームを勝利に導く試合もありましたが、何もインパクトを残せず1ケタ得点に終わる試合も増えている状況。
シュート成功率はキャリア最低(FG39.6% 3P32.4%)と、好調ロケッツの中で一人苦しんでいます。
はたしてここから、昨シーズンのように評価をくつがえす活躍をみせることができるのか?
グリーンが再び爆発をみせることができたなら、ロケッツはステップアップし、優勝も夢ではなくなるかもしれませんが・・・。
アメン・トンプソン
アメン・トンプソン
2003年1月30日生まれ(21歳)
201㎝ 91㎏ スモールフォワード
2023年ドラフト1巡目全体4位
2024-25スタッツ
25試合出場
11.8得点 7.0リバウンド 2.0アシスト FG55.2% 3P30.0%
今シーズンのロケッツ躍進のキーマン、アメン・トンプソン。
スタッツが昨シーズンから大きく伸びたわけではありませんが、圧倒的なディフェンス力と万能性で、チームへの貢献度は計り知れないものになっています。
大学時代はポイントガードでプレーしていたものの、NBAではシューティングガードやスモールフォワードの控えとして、主にディフェンスで相手チームの脅威となっているアメン・トンプソン。
201㎝の高さと、スピード、パワー、瞬発力、しつこさ、すべてを兼ねそなえたペリメーターディフェンダーですね。
2024年10月-11月のNBA月間最優秀守備選手賞の候補にも、ロケッツからタリ・イーソンとともに名前があがっていました。
結局月間最優秀守備選手賞にかがやいたのは、怪物ビクター・ウェンバンヤマでしたが・・・。
今シーズンはオフェンスでの貢献も光っているトンプソン。
大事な場面できっちり得点することもできています。
昨シーズン成功率が13.8%と壊滅的だった3ポイントシュートは、今シーズン30.0%とやや改善。
今後アウトサイドシュートの精度を上げることができれば、攻守に万能な選手として、強豪チームから引く手あまたの選手になると思うのですが、果たして・・・。
現時点では、双子の弟アサー・トンプソン(デトロイト・ピストンズ)を大きくリードしているアメン・トンプソン。
健康を維持し、ロケッツの勝利のために、貢献を続けて行ってほしいと思います。
ジャバリ・スミスJr.
ジャバリ・スミスJr.
2003年5月13日生まれ(21歳)
211㎝ 100㎏ パワーフォワード
2022年ドラフト1巡目全体3位
2024-25スタッツ
25試合出場
11.6得点 6.8リバウンド 0.9アシスト FG43.6% 3P35.2%
2022年のNBAドラフト1巡目全体3位で指名され、ロケッツ入りしたジャバリ・スミスJr.。
当時は№1ピックの噂もありましたが、全体1位でオーランド・マジックに指名されたのはパオロ・バンケロでした。
圧倒的な活躍でマジックのエースとなったバンケロとは対照的に、NBAでの2シーズンでは平均13.3得点と期待からはほど遠い状況のスミスJr.。
今シーズンは24試合を終えた時点(12月4日)で、得点、リバウンド、アシストともに過去最低のスタッツとなっているものの、ロケッツのパワーフォワードとして、全試合に先発出場しています。
ただ2022年のNBAドラフト、17位でロケッツに指名された203㎝のパワーフォワード、タリ・イーソンが今シーズンは平均22.9分の出場で、11.3得点 6.5リバウンド 2.1スティール 1.0ブロックと攻守に活躍しており、スミスJr.の先発の座も安泰ではありません。
211㎝の身長と美しいシュートフォームから、ラプターズやヒートで活躍したクリス・ボッシュと比較されることも多いスミスJr.。
そのポテンシャルは計り知れないものがあります。
ロールプレイヤーで終わる選手だとは思えないのですが、はたして・・・。
フレッド・バンブリート
フレッド・バンブリート
1994年2月25日生まれ(30歳)
183㎝ 89㎏ ポイントガード
ドラフト外
2024-25スタッツ
23試合出場
15.6得点 4.1リバウンド 5.9アシスト FG38.5% 3P31.6%
昨シーズン開幕前に、ディロン・ブルックスとともにヒューストン・ロケッツに加わったフレッド・バンブリート。
3年総額1億3000万ドル(約187億2000万円 当時1㌦=144円)のMAX契約は、当時大きな話題になりました。
ドラフト外からはいあがり、トロント・ラプターズの司令塔の座をつかみとり、2022年にはオールスターにも出場しているバンブリート。
183㎝と小柄ながら得点力が高く、対人ディフェンスも強いバンブリートは、若いロケッツのリーダーとして期待されていました。
しかし当時のロケッツは3シーズンにわたり、リーグの最下位を争っていたNBAのお荷物チーム。
「バンブリートにMAX出すとは・・・」と、ロケッツのフロントを批判する声や、「金にめがくらんで勝つことをあきらめたのか・・・」とバンブリートを批判する声にあふれていました。
むかえた2023-24シーズン、ロケッツは若手とベテランが融合し、41勝41敗と、前年の22勝60敗から大きな成長をみせました。
バンブリート自身は、平均得点は17.4と控えめだったものの、平均アシストは自身最高の8.1を記録し、若手の力を引き出すことに成功しています。
ロケッツのフロントが期待していたとおり、チーム力アップに大きく貢献した1年目でした。
今シーズンは12月13日時点で平均15.6得点 5.9アシストと、大きくスタッツを落としているバンブリートですが、30歳のベテランポイントガードは、自身のスタッツよりもチームの勝利を優先しているのでしょう。
チームの勝利のために最善のプレーができるポイントガードがいるチームは強い!
もう少し3ポイントシュートの確率は上げてほしいと思いますが・・・。
バンブリートの本領が発揮されるのは、プレーオフでしょうね。
プレーオフ経験のない若手選手たちをまとめあげ、勝利に導くことが、MAX契約を結んだ司令塔の仕事だと思います。
ディロン・ブルックス
ディロン・ブルックス
1996年1月22日生まれ(28歳)
198㎝ 102㎏ スモールフォワード
2017年ドラフト2巡目全体45位
2024-25スタッツ
25試合出場
12.6得点 3.7リバウンド 1.6アシスト FG42.4% 3P38.1%
「たぐいまれなるシュート力を持つ男」ディロン・ブルックス。
正直NBAの世界では、特別シュート力が高い方ではないのですが、バスケワールドカップの時に、日本のアナウンサーがそう言っちゃいましたからねえ(笑)。
ただ、昨シーズンロケッツに加わってからは、3ポイントシュート成功率で自身最高の35.9%を記録。
今シーズンは25試合を終えた時点で38.1%と、さらに高い3ポイントシュート成功率を記録しています。
「たぐいまれ」というにはまだまだ物足りないものの、ブルックスのシュート力とディフェンス力が大きな武器になっているのは事実です。
2017年のNBAドラフト2巡目45位でヒューストン・ロケッツに指名されたディロン・ブルックス。
指名権の移動でメンフィス・グリズリーズでデビューすると、下位指名ながら1年目から闘志あふれるプレーで先発の座をつかみとり、6シーズンにわたって活躍を続けてきました。
ただ闘志が行きすぎて相手選手とトラブルになることも多く、特にレブロン・ジェームズに対する敬意のない態度は、物議をかもします。
シュートが入らなくても乱発する悪癖もあり、2023年のプレーオフ敗退後、グリズリーズのフロントは「いかなる状況においても(ブルックスと)再契約はしない」と強い言葉で決別を宣言しました。
プレーする場を失ったブルックスに対し、4年8000万ドル(115億2000万円 当時1㌦=144円)という破格の契約を提示したのが、前年22勝60敗だったヒューストン・ロケッツ。
若いスター候補生がそろうロケッツの中で、ブルックスの激しいディフェンスと、乱発をひかえ確率の上がった3ポイントシュートは、大きな武器になっています。
特にしつこいまでのディフェンスは、チーム全体のシステムを変えてしまったほどの影響力です。
もちろん、イメイ・ウドカHCの手腕もありますが、現在NBA2位のディフェンスレーティングを誇るロケッツのディフェンスにおいて、ブルックスの貢献ははかり知れないものがあります。
ベテランの経験と激しいディフェンスで、若きロケッツをどこまでひっぱっていけるのか。
ダーティープレイヤーと呼ばれたブルックスが、チームを強豪へと導けるのか、注目です。
グリーンかシェングンか問題
好調を維持しているロケッツですが、たびたびファンの間で議論されているのが「グリーンかシェングンか問題」です。
現在ロケッツには明確にエースといえる、絶対的なプレイヤーはいません。
あえていえば、シューティングガードのジェイレン・グリーンと、センターのアルペレン・シェングンが候補となります。
2021年のドラフト1巡目全体2位のジェイレン・グリーンと16位のアルペレン・シェングン。
得点力が高く、チームの勝利に貢献できる2人ですが、あまり相性がいいとは言えないんですよね。
昨シーズン終盤、シェングンがケガで離脱してしまったのですが、離脱前と後のグリーンのスタッツを比べると・・・
ジェイレン・グリーン2023-24スタッツ
【シェングン離脱前】 64試合出場
18.4得点 4.8リバウンド 3.3アシスト FG41.2% 3P31.4%
【シェングン離脱後】 16試合出場
24.2得点 6.6リバウンド 4.3アシスト FG45.3% 3P38.1%
シェングンがいないときの方が、グリーンがいきいきとプレーしているのが、おわかりいただけるかと思います。
まあチームの主力がいないときに、より一層がんばらねばと思うのは当然かと思いますが、シェングン離脱後のグリーンは、明らかにプレーの質が違いました。
評論家やファンが、グリーンとシェングンどちらかをロケッツのエースにするために、一人をトレードするべきと言うのもわかります。
できれば生え抜きの二人でチームを支えていってもらいたいのですがねえ・・・。
ただどちらか一人をチームに残すとなった場合は、わたくしリトルはシェングンを選びます。
得点力の高いガードはNBAでは珍しい存在ではありませんが、シェングンほど多才なビッグマンは、なかなかいませんから。
今シーズンは弱点と言われていたディフェンスでも相手の脅威となっているシェングンは、いまやロケッツに欠かせない選手となっています。
とにかく観ていて楽しい選手です。
あっと驚くアシストパスや、変幻自在のポストプレーで敵を翻弄する姿は、まさに「ベイビーヨキッチ」。
まだ22歳という若さを考えると、これからの成長もおおいに期待できます。
3ポイントシュートの成功率が向上してくれば、言うことなしなんですがねえ。
まとめ
今回は2024-25シーズン、台風の目になっているヒューストン・ロケッツについて語りました。
各チームにスーパースターがそろうウエスタンカンファレンスにおいて、チーム力で戦うロケッツが奮闘しているのが、なんだか嬉しく感じます。
チーム全体でオールスターに出場したのは、フレッド・バンブリートの1回だけですからね。
若手とベテランが融合し、ディフェンスを武器に、どこまで群雄割拠のウエスタンカンファレンスを戦い抜いていくのか。
あとは、今年のドラフト1巡目全体3位で指名したポイントガード、リード・シェパードの覚醒を期待したいですね。
ポテンシャルは無限大だと思います。
シュートのうまいジェイソン・ウイリアムズみたいになってほしんですけどねえ・・・。
今シーズンのヒューストン・ロケッツの戦いに注目しましょう。