2024-25のNBAシーズンも中盤にさしかかり、連日熱戦がくりひろげられています。
〝キング″レブロン・ジェームズや、〝NBA史上最高のシューター″ステフィン・カリー、〝オフェンスマシーン″ケビン・デュラントらベテラン勢。
二コラ・ヨキッチ、ヤニス・アデトクンボ、ルカ・ドンチッチなどのヨーロッパ勢。
その他にも、ジェイソン・テイタムやシェイ・ギルジャス・アレキサンダー、アンソニー・エドワーズなど、多くのスター選手たちが超人的なプレーで、私たちNBAファンを楽しませてくれています。
NBA Rakutenに加入していれば、全試合を観戦することもできますし、本当にいい時代になりました。
NBAを36年間観つづけているわたくしリトルも、NBAの楽しさを満喫している一人ですが、ふと考えることがあります。
「僕がNBAに夢中になった、マイケル・ジョーダンが君臨する時代のNBAと、現在のNBA。どっちが面白いんだろうか・・・」
今回は、バルセロナオリンピックで初代ドリームチームが世界に衝撃をあたえた直後の1992-93シーズンと、現在のNBAの面白さをいろいろな視点で比べてみたいと思います。
レッツラゴー!
比較対象は1992-93シーズンのNBA
現在のNBAは、フルシーズンを戦った直近のシーズン、2023-24シーズンを対象とします。
ジョーダン時代の対象は、どのシーズンにしようか迷いましたが、バルセロナオリンピックで初代ドリームチームが世界中に衝撃をあたえた直後のシーズン、1992-93シーズンとします。
1992-93シーズンは、シカゴ・ブルズが初期の3ピートを達成した年です。
ジョーダンは3年連続のファイナルMVP、7年連続のオールNBA1stチーム、6年連続のNBAオールディフェンシブ1stチームに選出され、7年連続得点王、3度目のスティール王に輝くなど、バスケ界の神として君臨していました。
シーズン終了後に1度目の引退をし、大リーグに挑戦することになる節目の年でもあります。
また、昨年怪物ビクター・ウェンバンヤマがドラフト1位指名されたように、1992年のNBAドラフトでは、怪物シャキール・オニールが1位指名され、衝撃的なデビューをかざっています。
プレーのタイプは違いますが、同じセンターで、特別な才能をもつ二人の新人があたえたインパクトは、どちらも絶大でした。
強烈な新人が現れたというインパクトが似ている点も、1992-93シーズンを比較対象にあげた一因です。
ジョーダン時代のNBAの特徴
1992-93シーズンのNBAの特徴は、なんといってもディフェンスの激しさです。
まだディフェンスのハンドチェックも禁止になっておらず、現在のように圧倒的にオフェンスが有利なルールではありませんでした。
インサイドでもガチガチの肉弾戦がみられ、緊迫感はハンパなかったですね。
特にニューヨーク・ニックスのディフェンスの激しさは、1990年代のNBAを象徴しています。
パトリック・ユーイングを中心に、アンソニー・メイソン、チャールズ・オークレーら筋骨隆々なインサイドプレイヤーがそろうニックスは、1992-93シーズンのNBAでリーグ№1となる1試合平均95.4失点。
完全に相手を肉弾戦でおさえこんでいました。
現在のルールでは、確実にファールだらけになってしまいそうですが・・・。
マイケル・ジョーダンの存在も、1990年代のシーズンを語るうえではかかせないでしょう。
レブロン・ジェームズとともに、史上最高の選手(GOAT=Greatest Of All Time)の選手と語られるマイケル・ジョーダン。
正直1990年代のNBAを直接観てきたファンにとって、GOATはマイケル・ジョーダン一択となるでしょう。
それほどまでに、ジョーダンの輝きは特別でした。
一つひとつのプレーが絵になってしまうんですよね。
ハンドチェック禁止前のディフェンス圧倒的有利な中で、1992-93シーズン、リーグトップとなる平均32.6得点をあげているのですから、訳がわかりません。
ジョーダン時代と現在のNBAを比較すると、テクニック面でも戦術面でも現在のNBAの方がが大きくリードしていると思います。
ただ、当時のジョーダンが現在のNBAで戦ったとしても、その支配力は変わらないでしょう。
尋常ではない負けずぎらいですからね(笑)。
当時の全世界のスポーツ選手の中で、間違いなく№1のスーパースターはマイケル・ジョーダンでした。
そのジョーダンを倒すべく、戦いを挑んでいくライバルチームのスター選手たち。
今思いだすだけでも、当時のワクワクがよみがえってきます。
2023-24 vs 1992-93 スタッツ比較
まずはリーグスタッツ(NBA全チームの平均値)から、その時代の傾向をさぐっていきましょう。
2023-24リーグスタッツ(全30チーム)
114.2得点 43.5リバウンド 26.7アシスト 7.5スティール 5.1ブロック 13.6ターンオーバー 18.7ファウル
FG47.4% 3P36.6% 3P試投数35.1本
1992-93リーグスタッツ(全27チーム)
105.3得点 43.1リバウンド 24.7アシスト 8.6スティール 5.2ブロック 15.9ターンオーバー 23.2ファウル
FG 47.3% 3P33.6% 3P試投数9.0本
両者を比べた時に、数字が高いところを赤字にしています。
フィールドゴールパーセンテージはほぼ変わりませんね。
衝撃的なのは3ポイントシュートの試投数の違い。
1992-93シーズン、1試合平均で35.1本の3ポイントシュートを1つのチームが試投しているのですが、1992-93シーズンはわずか9.0本しか試投していません。
その上成功率も2023-24の方が3%高いのですから、シュート力の差は歴然です。
全シュートの中での3ポイントシュートの割合をみてみると、2023-24シーズンが39.5%で約4割。
対して1992-93シーズンはわずか15%で1割5分と、その差は歴然です。
約30年の間の、NBA選手のシュート力の進化はすさまじいものがありますね。
シュート力の向上に合わせて、チーム戦術も大きく変わっています。
1990年代は、確率の高いインサイドでのシュートを確実に決めることが基本でしたが、現在は隙あれば3ポイントシュートを打つのがセオリー。
100回のポゼッションで、2点シュートを50%で決めると、100得点することができます。
同じく100回のポゼッションで3点シュートを35%で決めると、105得点することができ、2点シュートよりも5得点多くなるのです。
いかにフリーで3ポイントシュートを打つことができるかが、現在のNBAの戦術の基本となっています。
観ていて楽しいんですが、90年代のインサイドでの肉弾戦にワクワクしていた世代としては、ちょっと物足りない気もしてしまうんですよね・・・。
オフェンスとは逆に、ディフェンス面は主に90年代の方がスタッツが高い傾向にあります。
特にターンオーバーを犯してしまった数と、ファウルの数の違いは歴然としています。
インサイドでの肉弾戦が主だった90年代の戦術では、身体接触も多く、ファウルやターンオーバーも必然的に増えてしまっていました。
現在の3ポイントシュート主体のバスケは、効率を重視し、選手のシュート力が上がった結果出来上がったものなのです。
ただ、現在のNBAは3ポイントシュートに頼りすぎなところもありますねえ。
90年代のニックスとヒートのような、インサイドでのバチバチの肉弾戦も観てみたいと思うのですが、よくばりすぎでしょうか・・・。
2023-24 vs 1992-93 スター選手比較
ここでは現在活躍しているスター選手と、1992-93シーズンのスター選手を比較してみましょう。
まずは2024年のNBAオールスター先発出場選手から。
NBAオールスター2024 出場選出
イースト
タイリース・ハリバートン(ペイサーズ)
デイミアン・リラード(バックス)
ジェイソン・テイタム(セルティックス)
ヤニス・アデトクンボ(バックス)
ジョエル・エンビード(76ers)※ ケガのため欠場
ウエスト
ルカ・ドンチッチ(マーベリックス)
シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(サンダー)
ケビン・デュラント(サンズ)
レブロン・ジェームズ(レイカーズ)
二コラ・ヨキッチ(ナゲッツ)
現在のNBAを牽引するスター選手たちがそろっています。
注目すべきところは、ヤニス・アデトクンボ(ギリシャ)、ルカ・ドンチッチ(スロベニア)シェイ・ギルジャス・アレキサンダー(カナダ)、二コラ・ヨキッチ(セルビア)と、アメリカ人でない選手が4人も入っていることですね。
世界中のバスケットボール選手がNBAを目標に戦っているのが現在の状況です。
スターターに選出された選手以外にも、ステフィン・カリーやアンソニー・エドワーズら人気と実力を兼ねそなえたスター選手がたくさん揃っているのが、現在のNBAの特徴といえるでしょう。
次に1993年のNBAオールスター出場選手をみてみましょう。
NBAオールスター1993 ファン投票選出
イースト
アイザイア・トーマス(ピストンズ)
マイケル・ジョーダン(ブルズ)
スコッティ・ピッペン(ブルズ)
ラリー・ジョンソン(ホーネッツ)
シャキール・オニール(マジック)
ウエスト
ジョン・ストックトン(ジャズ)
クライド・ドレクスラー(トレイルブレイザーズ)
チャールズ・バークレー(サンズ)
カール・マローン(ジャズ)
デビッド・ロビンソン(スパーズ)
1993年のNBAオールスターにも、歴史に残るスーパースターがそろっています。
全員アメリカ国籍の選手ということが、時代を反映していますね。
ただ、この年のオールスターは、新旧交代を感じさせるオールスターでもありました。
ルーキーのシャックが、ファン投票でパトリック・ユーイングをかわしてスターターに選出されていますし、2年目のラリー・ジョンソンも初めてにして唯一のオールスター先発出場(リザーブでは1995年にも出場)をはたしています。
イーストのフォワードは、前年まではチャールズ・バークレーの定位置でしたが、シーズン開幕前にフィラデルフィア・76ersからウエスタンカンファレンスのフェニックス・サンズに移籍したため、ナイキの「グランマCM」で話題になっていたラリー・ジョンソンが票をあつめたのです。
こうして現在と1990年代のメンバーを比べてみると、スター選手の層の厚さはあまり差がないと思います。
もちろんスポーツは日々進化していますから、バスケットボールのスキルを比べると、圧倒的に現在の方が優れていると思いますが・・・。
とにかく1990年代のスター選手には、華がありました。
ジョーダンのような主人公感の強いバスケットボール選手は、もう二度と現れないでしょう。
そしてジョーダンの強力なライバルとして立ちはだかった、悪の総帥アイザイア・トーマスやこのシーズンファイナルで戦うことになるチャールズ・バークレー。
史上最高のデュオ、ジョン・ストックトン&カール・マローンに、クライド〝ザ・グライド″ドレクスラー。
キャラの立ちまくったライバルたちのおかげで、マイケル・ジョーダンのすごさがより際立っていた時代でしたね。
どこのチームが優勝するかわからない、現在のNBAも面白いのですが、圧倒的なスーパースター、マイケル・ジョーダン擁する王者シカゴ・ブルズを、全チームが倒すべく戦っていた、1990年代のワクワク感は、今では味わえないものです。
NBA Rakutenを契約すれば、NBAの全試合を視聴でき、インターネットで毎日NBAニュースを見ることができる現在とは違い、当時は雑誌や週に2回ほど放送されるNHKのBS放送でしか情報を得ることができませんでしたから、より夢中になって情報をかきあつめていました。
週に2回ほどNHKが選んだ試合をみれるだけでしたから、放送されたものはすべてビデオに録り、くり返し観ていましたね。
今に比べると入ってくる情報は100分の1にも満たないものでしたが、その分一つひとつのエピソードを鮮明に覚えています。
古くからのNBAファンに「昔はよかった」「今のNBAは面白くない」と言う人がいますが、あまりにもすべてが簡単に手に入る状況になると、興味がうすくなってしまうのかもしれません。
スター選手は、正直甲乙つけがたいというのが結論です。
初代ドリームチームのメンバーがレジェンドだというのはもちろんですが、現在のNBAのスター選手たちも史上最高のメンバーがそろっていると思います。
30年後には、レブロンKDはもちろん、ヨキッチやドンチッチ、アデトクンボなども、レジェンドとして語られているでしょう。
ジョーダンが引退してからのNBAでは、今が一番スター選手が輝いている時代と言えるのではないでしょうか?
結論 どちらも最高に面白いとしか言いようがない
正直、答えを出さなければと思いながらも「どちらも面白い」としか言いようがないんですよね。
自分の青春時代、バスケ部で汗を流しながら、ビデオに撮ったNBAの試合をくりかえし観ていた時のワクワクを、現在のNBAで超えることはできません。
ただ、現在のNBAのレベルはとんでもないところまで上がっています。
どの試合を観ても、ハイレベルで興奮させられます。
ジョーダン時代は、どうしようもない弱いチームもありましたからね。
すべての試合を観れる、毎日ニュースがスマホで簡単に読めることも、ジョーダン時代には考えられなかったことです。
36年間NBAを観つづけてきた、わたくしリトルが言いたいことは、とにかくNBAを観ようということです。
ジョーダン時代にNBAに夢中になっていた仲間たちは、ほとんどが今のNBAから離れてしまっています。
なんともったいない。
反対に、今のNBAファンたちにも、ジョーダン時代の動画をぜひ観てほしいと思います。
NBAはいつの時代もそれなりに面白いのですが、1990年代のNBAと2014年から現在にかけてのNBAの面白さは、格別だと思うのです。
なんといっても日本人がNBAの舞台でプレーするなんて、当時は夢のまた夢でしたから。
八村塁選手、河村勇輝選手を応援できる喜びを感じながら、スーパースターたちの超人的プレーを楽しみましょう!