いよいよNBAの2023₋24開幕!
今年も「ダンクシュート増刊 2023-24season NBA COMPLETE GUIDE」を購入し、各チームの戦力予想など行っているリトルです。
何気なくコンプリートガイドの表紙をみて、まず一番気になったのが、中央にドーンと構えるレブロン・・・ではなく、レブロンの下に小さく仏様のように写っているジミー・バトラー。
話題になったおしゃれ鬼太郎ヘアーで中央に陣取っています。
編集さん、わかっていますねえ(笑)。
「いや、そこはレブロンじゃなくてヨキッチだろ!」とかツッコミも入れながら、ふと気づきました。
「違和感なく、2人も日本人選手がいるなあ・・・。」
今では当たり前になっている、渡邊雄太選手と、八村塁選手の活躍ですが、ふと冷静に考えると、物凄いことです。
今回は、日本人2人目のNBAプレーヤーとして、6シーズン目に挑む、渡邊雄太選手について語ります!
レッツラゴー!
2023₋24 サンズ渡邊雄太選手の誕生
2023₋24シーズン、渡邊雄太選手は初めて保証付きの2年契約を結び、フェニックス・サンズの一員として、NBA6シーズン目を迎えました。
これがどれだけ凄いことか、おわかりいただけるでしょうか?
NBA選手の登録人数は、15人×30チーム=450人。
たったの450人です。
その450人の中で、毎年多くのルーキーが加わり、多くの活躍できなかった者たちが去っていきます。
NBA選手全体での、選手としての寿命は平均4.5年だそうです。
高校や大学でスーパースターともてはやされた、多くの選手たちが、若くして夢破れ、去っていくのがNBAの舞台なのです。
最も厳しいプロリーグと呼ばれるNBAで、渡邊選手は実力を証明しつづけ、6シーズン目にして、ついに保証付きの契約を勝ちとりました。
しかも、所属するフェニックス・サンズは、優勝候補にあげられる強豪。
あっと驚くトレードを次々とまとめ、開幕の時点では最も注目されているチームです。
デビン・ブッカー、ケビン・デュラント、ブラッドリー・ビールの新ビッグ3は、破壊的な攻撃力を持っています。
ただ、バスケットボールは1on1が強い選手を集めたら勝てる、単純なスポーツではありません。
スーパースターの脇で、チームが勝利するためにもくもくと仕事をこなす、ロールプレイヤーの働きが、重要になります。
〝チームに勝利をもたらすロールプレイヤー″として、サンズのフロントが目をつけたのが、渡邊雄太選手だったのです。
結果、サンズは2年総額500万ドル(約7億4000万円 1㌦=148円)で、渡邊雄太選手と契約しました。
渡邊選手獲得を目指したチームは全部で10チームほどあったそうです。
サンズよりもサラリーのいいチームもあったようですが、渡邊選手が選んだのは、ブルックリン・ネッツで共にプレーしたケビン・デュラントがいる、フェニックス・サンズでした。
これまで、なんとかNBAのチームに契約を結んでもらおうと必死に努力を続けてきた渡邊雄太選手が、NBAの複数のチームから求められる存在となったことに、感動してしまいますね。
さっそく開幕戦から、貴重な働きをみせてくれました。
フェニックス・サンズの現状
NBAを約35年間観つづけてきたわたくしリトルは、正直今年のフェニックス・サンズのビッグ3体制には懐疑的でした。
「【2023-24】サンズの新BIG3が失敗する4つの理由 KD・ブック・ビール」という記事まで書いてしまいました。
この記事の中で、サンズの選手層の薄さを指摘したのですが、その後サンズはまた大きなトレードを行いました。
ポートランド・トレイルブレイザーズのスーパースター、デイミアン・リラードが絡む三角トレードに、サンズも参加したのです。
フェニックス・サンズ獲得
ユスフ・ヌルキッチ(⇦ブレイザーズ)
グレイソン・アレン(⇦バックス)
ナシール・リトル(⇦ブレイザーズ)
キーオン・ジョンソン(ブレイザーズ】
フェニックス・サンズ放出
ディアンドレ・エイトン(⇨ブレイザーズ)
トゥマニ・カマラ(⇨ブレイザーズ)
能力はあるものの、チームに対する不満が募り、やる気のないプレーに終始する試合もあった、ディアンドレ・エイトンを放出。
ケガは多いものの熱いセンター、ユスフ・ヌルキッチと、バックスで3&Dとして実績のあるグレイソン・アレン、その他ブレイザーズからは、若手2人を獲得しました。
特にグレイソン・アレンの獲得は大きかったですね。
プレシーズンマッチでも、自分に求められる仕事をきっちりとこなしていました。
エイトンを放出することによって、「層の薄さ」という欠点が、かなり解消されたと思います。
と同時に、渡邊雄太選手の出場時間にも影響が出てこないか心配ですが・・・。
ただ、プレシーズンマッチと開幕戦を観る限り、しっかりプレータイムはもらえそうですけどね。
昨年までサンズを指揮し、チームを強豪に押し上げたモンティ・ウイリアムズHC(ヘッドコーチ)が去り、2020年にレイカーズを優勝に導いたフランク・ボーゲルHCが就任したサンズ。
巨大戦力を得たチームを、ボーゲルHCがどのように指揮するのか、非常にたのしみなチームです。
渡邊雄太選手がサンズで活躍できる理由
今回のテーマ、「渡邊雄太選手はサンズで活躍できるのか?」の問いには、「できる!」と答えます。
日本人びいきではなく、1人のNBA選手として見ても、現在のサンズにはかなりフィットすると考えられます。
渡邊選手がサンズで活躍できる理由を3つあげると・・・
1.チームにオフェンス能力の高いスター選手が3人いる
サンズには、デビン・ブッカーという、圧倒的なオフェンス能力を持ったシューティングガードがいました。
そこに昨年、トレードで最高のオフェンスマシーン、ケビン・デュラントが加入。
強力なデュオに加え、今年のオフに、ワシントン・ウィザーズのエースで、楽々と1試合30得点を記録するブラッドリー・ビールを獲得したのです。
ビッグ3の存在は、相手チームにとって恐怖ですね。
3人とも、アウトサイドシュートも、1on1からのドライブも得意な万能型の選手。
相手チームは、ダブルチームで止めるしかありませんが、そうすると、他の誰かがフリーになります。
ビッグ3の選手をフリーにしないよう、相手チームも作戦を立ててくるため、他の2人の選手の働きが重要になりますよね。
そこで、昨シーズンキャッチ&シュートで放った3ポイントシュートを、46%の高確率で決めた渡邊選手の出番です。
ブルックリン・ネッツでも、ダブルチームを受けたケビン・デュラントから、渡邊選手にパスが渡り、3ポイントを決める場面を何度も観てきました。
サンズでは、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールと、圧倒的な1on1能力を持ちながら、パスも上手いスター選手がもう2人いるため、パスの出どころも増えますから、渡邊選手にとって非常にプレーしやすい環境といえるでしょう。
2.サンズはディフェンス力が弱点
圧倒的なオフェンス能力を持ったスター選手が集まったフェニックス・サンズですが、問題はディフェンス力。
ブッカーやデュラントも、ディフェンスが悪い選手はないのですが、やはり強みはオフェンス。
プレシーズンマッチを観る限り、ディフェンスはサンズの弱点といえるでしょう。
先発スモールフォワードが予想されるジョシュ・オコーギーや、バックスから移籍したグレイソン・アレンなど、ディフェンス能力が高い選手はいるものの、2人とも193㎝と高さが足りないという弱点があります。
206㎝と高さがあり、ウイングプレイヤーにもマッチできる渡邊選手は、サンズでは欠かせない選手になる可能性が高いと思います。
3.フランク・ボーゲルHCの存在
今年からモンティ・ウイリアムズHC(ヘッドコーチ)に代わって指揮をとることになった、フランク・ボーゲル。
ボーゲルは他チームの多くのコーチとは違い、バスケットボールプレイヤーとしての実績はありません。
高校生まではバスケットボールの選手として汗を流していましたが、大学からは学生マネージャーを経て、コーチとして戦術を学びました。
ボストン・セルティックスのビデオコーディネーターに始まり、アシスタントコーチを務め、フィラデルフィア・76ersのアシスタントコーチ、ロサンゼルス・レイカーズやワシントン・ウィザーズのスカウトなど、多くのチーム、職種でNBAに関わる仕事を続けます。
2007年にボーゲルは、ジム・オブライエンHCのもと、アシスタントコーチとしてインディアナ・ペイサーズに招かれます。
すると2010-11シーズン、17勝27敗となった時点でペイサーズの不振を受け、オブライエンHCが解雇。
白羽の矢が立ったのは、ヘッドコーチ経験のない、ボーゲルでした。
見事チームを立て直し、プレーオフに導いたボーゲルは、若き名将として約6シーズンをペイサーズのHCとして過ごしました。
その後オーランド・マジックを経て、2019-20シーズン、ロサンゼルス・レイカーズのHCとしてチームを優勝に導いたのです。
当時のレイカーズは、現在と同じくレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビス、絶対的な二人のエースがいました。
2人のエースのまわりに、守備の固い3&Dのケンテイビアス・コールドウェルポープや、ダニー・グリーン。
ディフェンス力の高いガード、ベテランのレイジョン・ロンドと、若手のアレックス・カルーソなどを配置し、勝利を築き上げていきました。
スーパースターを中心に、ディフェンス力の高いプレーヤーを配置するボーゲルの戦術に、渡邊雄太選手は必ずはまると思います。
3&Dで、高さもあり、ガードの選手にもマッチアップできる渡邊選手は、明るい性格でもチームの雰囲気をよくしていますよね。
ポジティブで明るい雰囲気づくりを行うフランク・ボーゲルのチーム造りにおいて、渡邊選手は欠かせない選手になるでしょう。
渡邊雄太選手のスタッツと活躍を振り返る
ここで、渡邊雄太選手の過去5シーズンの活躍を振り返ります。
2018-19(メンフィス・グリズリーズ)15試合出場
11.6分出場 2.6得点 2.1リバウンド 0.5アシスト FG29.4% 3P12.5%
2019-20(メンフィス・グリズリーズ)18試合出場
5.8分出場 2.0得点 1.1リバウンド 0.3アシスト FG44.1% 3P37.5%
2020-21(トロント・ラプターズ) 50試合出場
14.5分出場 4.4得点 3.2リバウンド 0.8アシスト FG43.9% 3P40.0%
2021-22(トロント・ラプターズ) 38試合出場
11.7分出場 4.3得点 2.4リバウンド 0.6アシスト FG40.6% 3P34.2%
2022-23(ブルックリン・ネッツ) 58試合出場
16.0分出場 5.6得点 2.4リバウンド 0.8アシスト FG49.1% 3P44.4%
2018年10月27日、メンフィス・グリズリーズの一員として、NBAの試合に初出場してから5シーズンを戦い抜いてきた渡邊雄太選手。
ちなみに、NBAデビュー戦の相手は、フェニックス・サンズでした。
スポーツ新聞の1面に、「渡邊雄太NBAデビュー」の記事が掲載されているのを見たときの感動は、いまでも覚えています。
2way契約の1年目は、15試合の出場で平均11.6分プレー。
主にガベージタイムでのプレーでしたが、日本人がNBAのコートに立っていることに、毎回震えていましたね。
1年目からディフェンスは評価されていましたが、「シュートに難あり」という評価でした。
2年目もグリズリーズとの2way契約でしたが、ジャレン・ジャクソンJr.やルーキーのブランドン・クラークなど、パワーフォワードの層が厚くなったこともあり、平均5.8分出場とプレータイムが半減します。
しかし、下部リーグのメンフィス・ハッスルでは、格の違いをみせつけ、1試合40得点するなど、平均17.2得点5.7リバウンドを記録。
オールNBAGリーグチームに選出されました。
3年目はトロントラプターズのトレーニングキャンプに参加。
無保証の状態の中、厳しいロスター入りの争いを制し、2way契約を勝ちとります。
ラプターズでの1年目は、ディフェンスに加え、3ポイントシュートでもチームに貢献。
新型コロナウイルスの影響で、2way選手の出場制限が特例で撤廃されたこともあり、50試合に出場。
2021年4月16日のオーランド・マジック戦では、初の20点オーバーとなる、1試合21得点 6リバウンド 2アシスト 1ブロックの大活躍をみせるなど、存在感を発揮します。
そして、2021年4月19日、渡邊雄太選手はついにトロント・ラプターズとの本契約を結んだのです。
渡邊選手が左手で契約書にサインする姿には、ジーンときましたね。
渡邊選手には、いつも感動させられっぱなしです。
2021-22シーズンも、ラプターズで活躍をみせていましたが、1月に新型コロナウイルスに感染してからは調子を落とし、プレータイムも減少します。
シーズン終了後には、ファンから惜しまれつつも、ラプターズを去ることとなりました。
2022-23シーズン、ブルックリン・ネッツと無保証のキャンプ契約を結び、プレシーズンマッチに参加。
立場的には最も低い状態から、見事ロスター入りを勝ちとります。
レギュラーシーズンに入ると、一時はNBAトップとなる「3ポイント成功率」を記録する大活躍。
ケビン・デュラント、カイリー・アービングといったスーパースターの脇で、オープンスリーをきっちりと決め、懸命なディフェンスでも貢献しました。
しかし、2月にカイリー・アービング(⇨ダラス・マーベリックス)、ケビン・デュラント(⇨フェニックス・サンズ)が立て続けにトレードでネッツを去ると、渡邊選手の出場時間は激減。
バスケワールドカップでもアメリカ代表として活躍した、ミケル・ブリッジスやキャメロン・ジョンソンなど、トレードによって、大量の優秀な3&D(3ポイントとディフェンスが得意な選手)が加入したことによるものでした。
シーズン前半はMIP級の活躍をみせた渡邊選手でしたが、後半はベンチを温める日が続き、渡邊選手にとってはつらかったとおもいます。
私たちファンも、「試合に出れば必ず活躍してくれるのに・・・」と歯がゆい思いがありました。
ただし、KDやカイリーと一緒にプレーした期間は、間違いなくブルックリン・ネッツのクロージングラインナップの一人でした。
クロージングラインナップとは、チームが勝利するために、試合の最後にコートに立つ5人です。
スターティングラインナップは、組み合わせや作戦を考えコーチが選びますが、クロージングラインナップは、勝利するためにチームのベストの5人が選ばれます。
チームが勝利するために、最後の瞬間にコートに立つ日本人が出てくるなんて・・・。
もう、夢みたいなことです。
わたくしリトルがNBAに夢中になっていた約30年前に、「将来日本人選手がNBAで、クロージングラインナップで活躍するらしいよ。」と聞いたとしても、「うそつけ~!」と言って、大笑いしながら寿司を食うぐらい、まるで信じなかったでしょうね(笑)
まとめ
今回は、NBA6シーズン目に入った渡邊雄太選手について語りました。
昨年、ブルックリン・ネッツで大きく飛躍した渡邊選手。
飛躍の原動力となったのは、新しい家族の影響もあると思います。
毎年無保証の契約の中で、孤独で過酷なサバイバルを勝ち残ってきた渡邊選手に、やすらぎの場ができたのは大きいと思います。
奥様が、元アナウンサーという職業柄、心無い人たちからの辛辣なメッセージを目にすることもありました(何がわかんねん!)
2人の若い夫婦の戦いを、こころから応援しましょう。
きっと今年も私たち日本の、いや、世界中のファンを、ワクワクさせる活躍をみせてくれると思います。
信じています。
がんばれ、渡邊雄太選手!
全身全霊で応援します!!