【八村塁vsカワイ・レナード】対決シリーズ特別編 塁はレナードになれるのか?

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2023年のNBAプレーオフ。

例年以上に盛り上がっていますね。

ジミー・バトラーが牽引するマイアミ・ヒートの快進撃。

前年王者のゴールデンステイト・ウォリアーズの復活。

そしてなにより、プレーイントーナメントを勝ち抜いたレイカーズが、今年のプレーオフを特別なものにしてくれています。

レイカーズといえば、レブロン・ジェームズ&アンソニー・デイビスのスーパースターコンビですが、今年のプレーオフで、もう一人注目を集めている選手がいます。

日本の誇り、我らが八村塁選手です!

ウエスタンカンファレンス1回戦メンフィス・グリズリーズとの第1戦で、八村選手は29得点の大活躍。

2戦目も20得点と活躍し、レイカーズの救世主となるかと思われましたが、その後はプレータイムが伸びず。

ゴールデンステイト・ウォリアーズとのカンファレンスセミファイナルでも、出場時間は限られていますが、確率高くシュートを決め続けています。

ディフェンスローテーションなど、課題も多い八村選手ですが、ポテンシャルは誰もが認めるところです。

5月7日のワイドナショーでは、かなりの時間を割いて、NBA、八村塁選手を特集してくれました。

熱く語ってくれた麒麟田村さん、本当にありがとう!

それはさておき・・・

八村選手を語る上で、よく名前があがるのが、NBA最高の2wayプレイヤーと言われるカワイ・レナード(現ロサンゼルス・クリッパーズ)。

今回は、「対決シリーズ特別編」として、日本の誇り八村塁選手が、カワイ・レナードに近づく選手になれるのか、検証したいと思います。

目次

八村塁vsカワイ・レナード 4年目までの成績

当然ですが、現在の二人を比べると、比較にならないほどの差があります。

そのため、今回は〝対決シリーズ特別編″として、八村塁選手がカワイ・レナードに近づく選手となれるのか、検証していきたいと思います。

ちなみに、〝対決シリーズ特別編″は、ステフィン・カリーvsデル・カリーの親子対決に続き、2回目です。

サンアントニオ・スパーズ(2014)とトロント・ラプターズ(2019)で2度NBAチャンピオンに輝き、どちらもNBAファイナルMVPに輝いたカワイ・レナード。

健康でありさえすれば、現在もNBAのスーパースターです。

かたや八村塁選手は、まだ何も勝ちとっていません。

ただ、誰もが認めるポテンシャルをもち、限りない可能性を秘めた未来のスター候補です。

日本の誇りである八村塁選手が、NBAを代表するスーパースター、カワイ・レナード級の選手に成長できるのか?

今回は、現在NBA4年目のプレーオフを戦う八村塁選手と、〝スーパースター″カワイ・レナードの4年目までの成績を比較し、勝者を決定します。

八村塁 4年目までの成績

八村塁 レギュラーシーズン成績(2019-20~)
1年目 48試合 13.5得点 6.1リバウンド 1.8アシスト
2年目 57試合 13.8得点 5.5リバウンド 1.4アシスト
3年目 42試合 11.3得点 3.8リバウンド 1.1アシスト
4年目 63試合 11.2得点 4.5リバウンド 0.9アシスト

TOTAL 12.5得点 5.0リバウンド 1.3アシスト

八村塁 プレーオフ成績
2年目 5試合 14.8得点 7.2リバウンド 1.0アシスト 
4年目 9試合 13.2得点 3.9 リバウンド 0.7アシスト


TOTAL  13.8得点 5.1リバウンド 0.8アシスト  

2019年のNBAドラフト1巡目全体9位でワシントン・ウィザーズに指名された八村選手。

開幕戦からスターターとして出場すると、14得点10リバウンドのダブルダブルを記録。

12月2日のロサンゼルス・クリッパーズ戦では、今回の対戦相手カワイ・レナードや、ポール・ジョージを相手に、30得点をあげ、周囲を驚かせました(試合は125-150で敗れましたが)。

順調にみえたルーキーシーズンでしたが、12月16日に行われたデトロイト・ピストンズ戦で鼠径部を負傷。

手術を受け24試合を欠場します。

2020年2月4日のゴールデンステイト・ウォリアーズ戦で復帰すると、11得点 8リバウンドを記録し、ファンを安心させました。

オールスターウイークエンドに行われるライジングスター・チャレンジにも出場し、チームワールドの一員として、14得点を記録。

「日本人がNBAの舞台で活躍する」という、壮大な夢を、かなえてくれた1年目でした。

結局、NBAオールルーキーセカンドチームに選出され、夢のような1年目が終わりました。

2年目の2010-11シーズン、結膜炎のためシーズン開始から1週間は欠場となったものの、57試合すべてスターターで出場(コロナのため、72試合の短縮シーズン)。

ワシントン・ウィザーズの不動のパワーフォワードとして、地位を確立しました。

初めてのプレーオフにも進出。

シーズンオフには、東京オリンピックに、日本代表として渡邊雄太選手らとともに出場。

残念ながら日本は1勝もあげることはできませんでしたが、エースとしてチームを牽引しました。

すべてが順調と思われた3年目の開幕前、八村選手は「個人的な理由」で、トレーニングキャンプに参加せず。

開幕後もチームに合流できない時期が続きます。

一部報道では、SNS上での人種差別的な攻撃による、メンタルヘルスの問題と言われています。

チームは、ペナルティを課すことなく、八村選手の復帰を待ちました。

2022年1月9日のオーランド・マジック戦で復帰し、6得点 3リバウンド 1アシストを記録。

ようやく元気な姿を見ることができ、ほっとしたのを覚えています。

以降、レイカーズからトレードで加入した、カイル・クーズマの成長もあり、42試合のうちスターターは13試合のみ。

ブランクのためか、スタッツを大きく落とすことになった1年でした。

NBA4年目となる、2022-23シーズン開幕前に、各チームで主力となっている、ドラフト同期の選手が延長契約を結ぶ中、ウィザーズから延長契約はなく、トレードの噂が出てきます。

開幕から、ヘッドコーチのウェス・アンセルドJr.は、八村選手ではなく、ディフェンスに定評のあるデニ・アブディヤをスターターで起用。

八村選手の出場時間は伸びず(1試合平均出場時間24.3分)、チームも低迷。

本人もファンもストレスのたまるシーズンでしたが、2023年1月23日、驚きの展開をみせます。

レブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビス擁する名門、ロサンゼルス・レイカーズへの移籍です。

アンチ・レイカーズであった、わたくしリトルも、初めて黄色いユニフォームの八村塁選手を観た時は、感動しました。

タレント豊富でありながらオールスターの時点でウエスタンカンファレンス13位と低迷していたレイカーズに、確実に勢いを与えたと思います。

レイカーズは、ポイントガードのディアンジェロ・ラッセルや、ディフェンダーのジャレット・ヴァンダービルトも獲得。

3月を10勝5敗、4月を4勝1敗と、ラストスパートに成功し、ウエスタンカンファレンス7位でプレーイントーナメントに進出。

ミネソタ・ティンバーウルブズを延長で下し、プレーオフに滑り込みました。

プレーオフ1回戦で、ウエスタンカンファレンス2位のメンフィス・グリズリーズを倒し、現在ゴールデンステイト・ウォリアーズと戦うチームで、出場時間は短いものの、大きなインパクトをみせている八村選手。

レギュラーシーズンよりも、より緊張感の高いプレーオフで成績がアップしているのも、八村選手の勝負強さをあらわしています。

ウォリアーズ対策で、ディフェンスと身体能力に秀でたヴァンダービルトが先発で起用されているものの、今後の展開によっては、八村選手がプレーオフで大きく飛躍することも考えられます。

日本人選手が、プレーオフの舞台で活躍するという、35年間NBAを観つづけてきたわたくしリトルとしては、考えられないような現実を、もっと多くの人に知ってもらいたいですね。

カワイ・レナード 4年目までの成績

カワイ・レナード レギュラーシーズン成績(2011-12~)
1年目 64試合  7.9得点 5.1リバウンド 1.1アシスト
2年目 58試合 11.9得点 6.0リバウンド 1.6アシスト
3年目 66試合 12.8得点 6.2リバウンド 2.0アシスト
4年目 64試合 16.5得点 7.2リバウンド 2.5アシスト

TOTAL 12.3得点 6.1リバウンド 1.8アシスト

カワイ・レナード プレーオフ成績
1年目 14試合  8.6得点 5.9リバウンド 0.6アシスト 
2年目 21試合 13.2得点 3.9 リバウンド 0.7アシスト
3年目 23試合 14.3得点 6.7リバウンド 1.7アシスト
4年目 7試合 20.3得点 7.4リバウンド 2.6アシスト 

TOTAL 13.5得点 7.4リバウンド 1.3アシスト

2011年のNBAドラフト1巡目全体15位でインディアナ・ペイサーズに指名されたカワイ・レナード。

NBAがロックアウトで開幕がのびる間に、すでに主力として活躍していたジョージ・ヒルとのトレードで、サンアントニオ・スパーズに移籍し、NBAデビューします。

当時のスパーズは、ティム・ダンカン、トニー・パーカー、マニュ・ジノビリのビッグスリーを中心に、リーグ有数の強豪チーム。

名将グレッグ・ポポビッチのもと、1998-99、2002-03、2004-05、2006-07シーズン、4度のNBAチャンピオンに輝いていました。

しかし、主力のケガや、守備の要であったブルース・ボーエンの引退、チームの大黒柱であるティム・ダンカンの衰えが指摘されるようになり、スパーズはプレーオフで勝ち抜くだけの勢いを失っていました。

そんな中、カワイ・レナードに期待されたのは、ディフェンス。

201㎝と、スモールフォワードとしては平均的な身長ながら、驚異的な221㎝のウイングスパンと、大きな手のひらを生かし、相手のエースを抑え込むディフェンダーとして、強豪チームのスターターの座をつかみました。

ルーキーシーズンに、オールルーキーファーストチームに選出される活躍、2年目には平均得点を二桁に乗せる成長をみせます。

3年目には、手の骨折のため16試合を欠場しながらも、圧倒的なディフェンスと確実なオフェンス(FG 52.2%)でスパーズの勝利に貢献。

プレーオフでも勢いは衰えず、NBAファイナルに進出すると、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュの「スリー・キングス」を擁するマイアミ・ヒートと対決します。

レナードは、NBA最強選手、レブロン・ジェームズとマッチアップしながら、1試合平均17.8得点 6.4リバウンド 2.0アシスト 1.6スティール 1.2ブロックを記録。

サンアントニオ・スパーズは当時の最強チーム、マイアミ・ヒートを4勝1敗で破り優勝、レナードは3年目にしてNBAファイナルMVPに輝きました。

4年目の2014-15シーズンには、右手のじん帯損傷などで64試合の出場にとどまったものの、得点力が大きくアップし、ティム・ダンカンからサンアントニオ・スパーズのエースを受け継ぎます。

得意のディフェンスではさらにステップアップし、NBAのスティール王に輝きます(2.3スティール)。

NBA最優秀守備選手賞を獲得する栄誉に輝くと、当然のようにNBAオールディフェンシブチームのファーストチームにも選出されました。

こうして振り返ってみると、「こんなに若い時からすごかったんだ・・・。」とあらためて驚かされます。

ちなみに、5年目の2015-16シーズンには、オールNBAファーストチームに選出され、オールスターにも初選出。

スーパースターへの階段を確実に上って行きました。

結論:カワイ・レナードの圧勝 ただ、勝負はこれから!

NBAデビューしてから、4年目までのスタッツを比べると、八村選手もレナードも、そこまで大きな差はみられません。

しかし、3年目のシーズンに、NBAファイナルMVP、4年目には最優秀守備選手賞とスティール王に輝くなど、強豪サンアントニオ・スパーズの主力として活躍したカワイ・レナードの圧勝といっていいでしょう。

1年目のスタッツは、圧倒的に八村選手がリードしていましたが、レナードは、毎年着実に成長していきました。

反対に、八村選手はケガやチーム事情もあり、成績が頭打ちになってしまっています。

しかし、まだNBA4年目の25歳。

出場時間さえ与えられれば、大きく成長するポテンシャルは持っていると思います。

近い将来、MIP候補になるような活躍をみせてくれるかもしれません。

カワイ・レナードのタイトル・受賞歴

NBAでの4年間で、八村塁選手が勝ち取ったタイトル・受賞歴はまだありません。

オール・ルーキー・セカンドチームには選ばれていますが。

ここでは、カワイ・レナードが現在までのNBA12シーズンで勝ちとってきたタイトル・受賞歴をまとめます。

カワイ・レナードタイトル・受賞歴
NBAチャンピオン ×2回(2014サンアントニオ・スパーズ・2019トロント・ラプターズ)
ファイナルMVP ×2回(2014、2019)
オールNBAファーストチーム ×3回(2016、17、21)
オールNBAセカンドチーム ×2回(2019、20)
NBAオールディフェンシブファーストチーム ×3回(2015-17)
NBAオールディフェンシブセカンドチーム ×4回(2014、19-21)
NBA最優秀守備選手賞 ×2回(2015、16)
NBAスティール王 (2015)
NBAオールスター ×5回(2016、17、19-21)
NBAオールスターMVP (2020)
NBA75周年記念チーム (2021)

レナードは、これだけ多くのものをつかみ取ってきました。

なによりも、2度のNBAチャンピオンとファイナルMVPが輝いていますね。

いまや、NBAの歴史に名を残すスーパースターとして認知されています。

ここ最近はケガに苦しんでいますが、試合に出れば、圧倒的な支配力をもつ、ロサンゼルス・クリッパーズのエースです。

八村塁選手がルーキーの時に、多くの選手やアナリストが、「レナードと重なる」と語っていました。

確実なミドルショット、力強いカットインプレーは、両者通じるところがあります。

しかし、大きな違いは、ディフェンス力。

圧倒的なディフェンス力をもつレナードに対し、八村選手は現在のプレーオフでも、簡単にマークを振り切られる場面がみられるのです。

フィジカルで勝負してくる相手に対しては、しっかりとディフェンスできるものの、スピードのある選手に対しては、もろさをみせることがある八村選手。

チームディフェンスにおいても、ローテーションでのミスもみられます。

ただ、これらのディフェンスの評価は、カワイ・レナードというモンスターを基準に考えた場合の評価です。

努力家の八村選手は、きっと自分の弱点を克服していくでしょう。

まとめ ありがとう八村塁!

八村塁vsカワイ・レナードの対決は、カワイ・レナードの圧勝となりました。

しかし、八村塁選手が目指すのは、カワイ・レナードではありませんよね。

現在、ロサンゼルス・レイカーズの一員として、NBAチャンピオンを目指し、プレーオフを戦っている八村選手。

まずは、チームの勝利のために、全力をつくしてほしいと思います。

今年のプレーオフでの経験が、これからのバスケットボール人生を大きく変えるものになるかもしれません。

なんといっても、G.O.A.T(グレーテスト・オブ・オール・タイム 史上最高の選手)の一人、レブロン・ジェームズと共に戦う、奇跡のようなシーズンを送っているのですから。

今後の八村塁選手の、大きな飛躍を期待しています。

最後に、今回の記事をまとめていて、ふと思ったことは、「自分をはじめ、日本のファンは、贅沢になってるなあ。」でした。

八村塁選手や、渡邊雄太選手が、あたりまえにNBAの世界で活躍する現在、私たちファンが、ちょっと贅沢になりすぎているように感じたのです。

思い出すのは、2004年11月3日、フェニックス・サンズvsアトランタ・ホークスの開幕戦。

日本人選手「田臥雄太」が、サンズの大量リードで勝負が決した中、第4クオーターにパンツの紐を結びながら登場。

その時のドキドキとワクワクは、今でも覚えています。

この試合で、田臥雄太選手は、3ポイントシュートを含む7得点、1アシストを記録。

サンズは112-82で勝利しました。

結局田臥選手は、NBAレギュラーシーズンに4試合出場。

得点は初戦で記録した7得点のみでしたが、NBAと日本の距離を、一気に縮めてくれた存在でした。

八村塁選手も、渡邊雄太選手も、田臥雄太選手の活躍があってこその現在だと思います。

渡邊選手にいたっては、同じ「雄太」ですからね。

とにかく、渡邊選手、そして八村選手には、思いっきりNBAの世界を、心から楽しんでほしいです。

カワイ・レナードのような、スーパースターを目指すのが、ゴールではありません。

八村塁として、チームが勝利するために、全力でバスケを楽しみ、全力を出し尽くしてほしいと思います。

その結果、NBAチャンピオンを獲得するようなことになれば、NBAを35年間観つづけてきた、わたくしリトルは、心から喜びの涙を流すでしょう。

とにかく、思いっきりバスケを楽しみ、私たちファンを楽しませてください。

ありがとう、八村塁!

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