人間離れした身体能力、サイズ、テクニック、シュート力をもつ選手たちが、世界中から集まるNBAの世界。
そんな世界最高峰のバスケリーグ「NBA」の中で、ごくまれにスーパースターと呼ばれる超人が現れます。
古くはラリー・バード、マジック・ジョンソン、マイケル・ジョーダンetc。
現役選手ではレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリー、そしてKDことケビン・デュラント。
センター並みのサイズを持ち、圧倒的なテクニックとシュート力を武器に得点を量産するデュラントは、NBA史上最強のスコアラーとも言われています。
その実力は誰もが認めるところですが、どうもネガティブなイメージで語られることが多いのがケビン・デュラントという選手。
今回はデュラントのNBAでの活躍と、悪役イメージがついてしまった移籍騒動について、語っていきます。
ケビン・デュラント プロフィール
まずはケビン・デュラント(KD)のプロフィールをまとめましょう。
ケビン・デュラント プロフィール
生年月日 1988年9月25日生まれ 35歳
出身地 ワシントンD.C.
身長 208cm
体重 109㎏
今季年俸 4765万ドル(2023-24シーズン)
ドラフト 2007年1巡目全体2位(シアトル・スーパーソニックス)
所属 2007-08 シアトル・スーパーソニックス
2008-16 オクラホマシティ・サンダー
2016-19 ゴールデンステイト・ウォリアーズ
2019-22 ブルックリン・ネッツ
2022-現在 フェニックス・サンズ
受賞歴 NBA優勝(2017 2018 ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
ファイナルMVP(2017 2018)
シーズンMVP(2014 オクラホマシティ・サンダー)
オールNBA1stチーム×6(2010-14 18)
オールNBA2ndチーム×4(2016 17 19 22)
NBAオールスター×13(2010-19 21-23)
NBAオールスターMVP(2012-19)
NBA得点王×4(2010-12 14)
NBA新人王(2008)
NBA75周年チーム(2021)
オリンピック優勝×3(2012ロンドン 2016リオ 2021東京)
世界選手権優勝(2010トルコ)
ケビン・デュラント プロフィール
生年月日 1988年9月25日生まれ 35歳
出身地 ワシントンD.C.
身長 208cm
体重 109㎏
今季年俸 4765万ドル
ドラフト 2007年1巡目全体2位(シアトル・スーパーソニックス)
所属
2007-08 シアトル・スーパーソニックス
2008-16 オクラホマシティ・サンダー
2016-19 ゴールデンステイト・ウォリアーズ
2019-22 ブルックリン・ネッツ
2022-現在 フェニックス・サンズ
受賞歴
NBA優勝(2017 2018 ゴールデンステイト・ウォリアーズ)
ファイナルMVP(2017 2018)
シーズンMVP(2014 オクラホマシティ・サンダー)
オールNBA1stチーム×6(2010-14 18)
オールNBA2ndチーム×4(2016 17 19 22)
NBAオールスター×13(2010-19 21-23)
NBAオールスターMVP(2012-19)
NBA得点王×4(2010-12 14)
NBA新人王(2008)
NBA75周年チーム(2021)
オリンピック優勝×3(2012ロンドン 2016リオ 2021東京)
世界選手権優勝(2010トルコ)
受賞歴がメチャメチャ長くなってしまいました。
シーズンMVP、ファイナルMVP、オールスターMVPすべてを受賞。
4度の得点王にも輝いています。
2021年にNBA75周年を記念し、歴代の選手の中から76人(2選手が投票で同票となったため)が選出された「NBA75周年チーム」にも当然のように選ばれています。
NBAだけではとどまらず、アメリカ代表としても大活躍。
2010年にはトルコで行われたバスケ世界選手権(現バスケワールドカップ)に出場し、大会MVPを受賞。
オリンピックではロンドン、リオデジャネイロ、東京と、アメリカ代表が3大会連続優勝する原動力となりました。
現在のNBAを代表するスーパースターですね。
2023-24シーズンのケビン・デュラントとサンズの現状
今シーズンのケビン・デュラント(KD)のスタッツをまとめてみましょう。
2023-24シーズン KDスタッツ(1月11日現在)
29.6得点 6.4リバウンド 5.9アシスト FG52.5% 3P47.4%
35歳になった現在も、すさまじいスタッツをたたき出しています。
現在所属しているフェニックス・サンズでは、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールとBIG3を形成。
得点力の高いオールスター選手3人が先発メンバーに並ぶ豪華なチーム編成です。
ただし、今シーズンからサンズに加入したブラッドリー・ビールは、ケガで欠場が多く、1月11日現在37試合中13試合しか出場できておらず、平均得点も16.4得点にとどまっています。
正直、オールスター選手にサラリーを集中させたサンズは、スターがケガをしたら、あとに残るのはミニマム契約の選手ばかり。
デビン・ブッカー(平均26.1得点 4.8リバウンド 7.8アシスト)とKDは、圧倒的な得点力をみせていますが、2人のスターパワーで勝利を重ねることができるほど、現在のNBAは甘くありません。
1月11日現在19勝18敗、ウエスタンカンファレンス8位と、当初の期待値にはほど遠い結果となっています。
2020-21シーズンにサンズに加入し、チームを強豪に押し上げた〝ポイントゴッド″クリス・ポールを、ビールとのトレードで放出したことが悔やまれますね。
KD、ブッカー、ポールのBIG3での戦いを、もう少し見たかった思いもあります。
シーズンも折り返しに近づいてきた中、所属チームが期待通りの成績をあげていないと、必ず出てくるのが「KDが所属チームに不満」というニュース。
年末にお馴染みのNBAインサイダー、エイドリアン・ウォジナロウスキー記者が、「フェニックスにいる人々、組織の周りにいる人々と話をすると、彼らはデュラントが不満を持っていると感じている。」とのコメントを出しました。
いや、デュラント何も言ってないんかーい!
とツッコミたくなりましたが、まあ、現状不満に思っているのは間違いないでしょう。
なにしろ、サンズがブラッドリー・ビールを獲得するためにまとめたトレードの内容は・・・
フェニックス・サンズ獲得
ブラッドリー・ビール
ジョーダン・グッドウィン
アイザイア・トッド
ワシントン・ウィザーズ獲得
クリス・ポール
ランドリー・シャメット
ドラフト1巡目指名権×4(2024 26 28 30)
ドラフト2巡目指名権×6(2024 25 26 27 28 30 )
ほぼ未来を捨てて、〝今″勝つためのトレードでした。
ちなみに2023年2月にサンズがKDを獲得した4チーム間トレードでも、サンズは大量の指名権を放出しています。
フェニックス・サンズ獲得
ケビン・デュラント
TJ・ウォーレン
フェニックス・サンズ放出
ミケル・ブリッジス
キャメロン・ジョンソン
ジェイ・クラウダ―
ドラフト1巡目指名権×4(2023 25 27 29)
ドラフト2巡目指名権(2028)
2つのトレードによって、2023年から2030年までのドラフト1巡目指名権をすべて放出しています。
KDとビール、2人のオールスター選手を獲得するために、大きな未来への希望を失ってしまったのです。
ミケル・ブリッジス、キャメロン・ジョンソン、2人の若いワールドカップメンバーも放出したことを考えると、サンズの決断は、疑問符だらけになってしまいますねえ。
サンズのBIG3の今シーズンのサラリーは、ケビン・デュラント(4765万ドル)、デビン・ブッカー(3602万ドル)、ブラッドリー・ビール(4674万ドル)。
今シーズンのNBAチームのサラリーキャップは、1億3602万1000ドルですから、3人でほぼサラリー・キャップを埋めてしまっている状況です。
ユスフ・ヌルキッチの1688万ドルを合わせると、4人だけで合計1億4729万ドルと、それだけでサラリー・キャップをオーバー。
そりゃあ、他の選手はミニマムだらけになるのも仕方ないですね。
チームがテコ入れしようとしても、トレードの駒になる選手がいない状態です。
ビールにはトレード拒否権までついていますし。
つまり、サンズは現状のBIG3体制で突き進むしかないのです。
ちなみに、ビール獲得が決まった時に書いた記事をごらんください。
今のところ、大方の予想が的中しています。
ケビン・デュラントが〝バスライダー″と呼ばれる理由
NBAファンが集うSNSなどで、KDのことを〝バスライダー″と呼ぶ人がいます。
これは、NBAレジェンドで、現在は辛口コメンテーターとして有名な、チャールズ・バークレーの発言に由来しています。
歴代最高クラスのスコアラーであるケビン・デュラントに対し、バークレーはテレビ番組で「デュラントの(ウォリアーズでの)2度の優勝は自分で勝ちとったものではない。」と主張。
デュラントが9シーズンプレーしたオクラホマシティ・サンダーから、当時王朝を築いていたゴールデンステイト・ウォリアーズへFAで移籍したことを批判したのです。
ウォリアーズを優勝に向かう〝バス″、デュラントを〝バスの乗客″に例え、「彼はただバスに乗った(バスライダー)だけだ。」とこき下ろしました。
正直、「バークレー上手いこと言うなあ・・・」と感心したのですが、もちろんKDも黙っていませんでした。
KDはインスタグラムで、バークレーの現役時代の画像を数枚アップすると、「あなたは、大物とプレーしてこなかったの?」とコメントをアップします。
アップされた画像は、新人時代のバークレーがレジェンドのジュリアス・アービングやモーリス・チークスと共に写る姿や、アキーム・オラジュワンとクライド・ドレクスラー、オラジュワンとスコッティ・ピッペン、レジェンド級のチームメイトと共に戦っているバークレーの姿などでした。
ケビン・デュラントのSNSの使い方は、一級品ですね。
よくよく考えたら、ベテランになったバークレーは、フェニックス・サンズでエースを務めたあとは、優勝リングを求めて、オラジュワン&ドレクスラーのコンビで2連覇を果たしたヒューストン・ロケッツに移籍していますから、確かにバスライダーなんですよね。
まあ、バークレーのバスライダーはこの1回だけですし、「優勝できなかった」ところが、KDとの大きな違いですが。
ケビン・デュラントの活躍と移籍騒動を振り返る
KDは、これまで3度の移籍をおこなって来ました。
ここでは、所属してきた4チームでの活躍と、移籍騒動を振り返ります。
KD オクラホマシティ・サンダー(シアトル・スーパーソニックス)での活躍
KDは2007年のNBAドラフト2位(1位はグレッグ・オデン)で、当時弱小チームだったシアトル・スーパーソニックスに指名され、1年目から平均20点超えを果たし、エースに君臨。
当然のように新人王を獲得します。
オーナーがチームを売却し、シアトルからオクラホマシティに本拠地が移った2年目からもKDの活躍は続き、3年目のシーズンには21歳と197日で、NBA史上最年少の得点王(平均30.1得点)となりました。
チームも、2008年ドラフトで指名したラッセル・ウエストブルック、2009年指名したジェームズ・ハーデンが加わると、強豪チームへと変貌していきます。
今考えても、サンダーの3年連続のドラフト指名は、歴史に残る大成功ですね。
NBA入りして5年目の2011-12シーズンには、KDの3年連続得点王となる活躍もあり、サンダーはNBAファイナルに進出。
残念ながらレブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュのビッグ3を擁するマイアミ・ヒートに敗れ、優勝には手が届きませんでしたが、若きスーパースターが揃うオクラホマシティ・サンダーには、明るい未来しか見えませんでした。
シーズン終了後に、契約が難航していたジェームズ・ハーデンをヒューストン・ロケッツへ放出したものの、2012-13シーズン、サンダーはNBA最高勝率を記録。
優勝を期待されましたが、プレーオフ1回戦でウエストブルックが右膝に重傷を負い離脱。
バンクーバー・グリズリーズに敗れ、2回戦で姿を消してしまいました。
2013-14シーズン、KDは圧倒的な活躍で、初のシーズンMVPを獲得。
しかしサンダーはカンファレンスファイナルまで進んだものの、サンアントニオ・スパーズに2勝4敗で敗れてしまいます。
2014-15シーズンはKDのケガによる離脱もあり、プレーオフを逃してしまいました。
そして運命の2015-16シーズン。
ヘッドコーチにビリー・ドノバンを迎え、心機一転迎えたシーズンで、ケガから復帰したKDは躍動します。
平均28.2得点 8.2リバウンド 5.0アシストを記録し、チームを牽引。
サンダーは55勝27敗、ウエスタンカンファレンス3位でプレーオフに進みます。
1stラウンドでマーベリックスを一蹴すると、カンファレンスセミファイナルでシーズン67勝15敗を記録したサンアントニオ・スパーズと対戦。
スパーズとのシリーズで、KDが平均28.5得点、ウエストブルックは平均25.2得点を記録。
圧倒的不利とみられていましたが、4勝2敗でサンダーは勝利し、カンファレンスファイナルに進出します。
カンファレンスファイナルの相手は、このシーズンNBA史上最高の73勝9敗を記録したゴールデンステイト・ウォリアーズ。
ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンの若きビッグ3を中心に、圧倒的な攻撃力で勝利を重ねた前年のチャンピオンです。
歴代最強チームの一つにあげられるウォリアーズ相手に、サンダーの選手たちは最高のプレーを披露します。
サンダーは初戦で勝利し、ホームコートアドバンテージを奪うと、第3戦、第4戦に勝利し、3勝1敗とウォリアーズを崖っぷちに追い込みました。
デュラントは第1戦から26得点、29得点、33得点、26得点と、圧倒的な得点力でチームを牽引。
誰もがオクラホマシティ・サンダーのアップセットを確信していました。
しかし、KDはスプラッシュブラザーズの恐ろしさを知ることとなります。
ファイナル進出をかけた第5戦、KDが40得点、ウエストブルックが31得点を記録したものの、111-120でウォリアーズに敗れると、続く第6戦にも101-108で敗戦。
試合時間残り5分で7点をリードしながらの逆転負けでした。
3勝3敗で迎えた最終第7戦では、前半を6点リードで終えたものの、第3クオーターに12-29とウォリアーズに大きくリードを奪われ、88-96でサンダーは敗れ去ってしまいます。
最終戦でもKDは27得点を記録したものの、カリーに36得点の大爆発を許し、クレイ・トンプソンにも21点を奪われ、サンダーは3勝1敗から、まさかの3連敗を喫してしまいました。
KDの落胆ぶりは相当なもので、「僕らはすべてに勝ちたかった。」「試合後、チームはロッカールームで落ち込んでいた。僕らみんなが怒っていた。僕らはファイナルでタイトルを競うチャンスが欲しかったんだ。だからつらいよ。」と語っています。
まさかのウォリアーズへの移籍
2016年のシーズンを終えると、KDの去就に注目が集まります。
この夏にフリーエージェントとなるKDでしたが、多くのNBAファンや記者は、サンダーに残留するだろうと予想していました。
ヤングコアが揃い、最強のウォリアーズを追い詰めたサンダーは、今後もウォリアーズ最大のライバルになると考えられていたからです。
ケビン・デュラントの得点力と、ラッセル・ウエストブルックのオールラウンドな能力があれば、ウォリアーズのスプラッシュブラザーズと対等に戦えると、多くの人々が考えていました。
わたくしリトルも、KDの残留を確信していましたが、結果はゴールデンステイト・ウォリアーズへの移籍。
ニュースを知った時、思わず声をあげてしまいました。
後にデュラントが語った移籍の理由として、ウォリアーズのNBAファイナル第7戦での戦いをみて感銘を受けたことをあげています。
ファイナルでウォリアーズは、レブロン・ジェームズ、カイリー・アービング、ケビン・ラブのビッグ3を擁するクリーブランド・キャバリアーズを3勝1敗と追い詰めながら、そこから3連敗しチャンピオンに手が届きませんでした。
まるで、カンファレンスファイナルでのサンダーのように。
ウォリアーズが最後に力尽きた第7戦を観ていた時に、KDは代理人のリッチ・クレイマンにこう言ったそうです。
「素晴らしい。このチームに行けるかな。」
ウォリアーズの洗練されたチームバスケの中に自分が入れば、ワイドオープンな3ポイントシュートや、レイアップが自由自在に打てると考えたそうです。
ウォリアーズはファイナルで敗れたことで、積極的な戦力強化を図ることになり、歴代最強チームにもう一人のスーパースターが加わることとなったのです。
NBAを約35年間観つづけてきたわたくしリトルは、クリス・マリンの時代から35年間、ゴールデンステイト・ウォリアーズを応援し続けてきました。
弱小と言われ続けた時代が続き、スプラッシュブラザーズの活躍で優勝をした時には、涙がでるほど喜びました。
キャブスにファイナルで大逆転を許し、敗退が決まった時は本当に悔しかったのですが、KD獲得のニュースを見た率直な感想は、「いらんなー。」でした。
ファイナルでは敗れたものの、すでにウォリアーズは完成された魅力いっぱいのチームでしたから。
正直、ウォリアーズのライバルとして立ちふさがるオクラホマシティ・サンダーのケビン・デュラントが見たかった。
多くのNBAファンも、そう思っていたのでしょう。
オクラホマシティのファンはもちろん、全米からブーイングが鳴り響いていました。
KDにとって、救いだったのが移籍を発表した夏に、リオデジャネイロオリンピックがあったことですね。
批判を受けながらも、アメリカ代表として圧倒的な得点力を披露し、金メダル獲得の原動力となったKDの姿に、ブーイングを繰り返していたアメリカ国民もややトーンダウンしたように感じました。
KD ゴールデンステイト・ウォリアーズでの活躍
ウォリアーズ加入後は、行く先々でブーイングを浴びながらも、圧巻のプレーをみせたKD。
1年目の2016-17シーズンは、カリー(25.3得点)に次ぐ平均25.1得点を記録。
ウォリアーズの複雑なオフェンスシステムにも難なくフィットし、自身の決断が間違っていなかったことをプレーで証明します。
2月11日、移籍後初めてサンダーの本拠地「チェサピークアリーナ」に乗り込んだ時は、地鳴りのようなブーイングが響き渡る中、チームハイの34点を叩き出し、ウォリアーズを勝利に導きました。
この試合、KDはウエストブルックやアンドレ・ロバ―ソンら元チームメイトと、白熱したトラッシュトークを繰り広げ、サンダーファンからの怒りを買っていましたね。
結局KD移籍1年目のシーズン、ウォリアーズはリーグトップの67勝15敗で終え、プレーオフでは無敗でファイナルに進みます。
NBAファイナルの相手は、前年と同じクリーブランド・キャバリアーズ。
好勝負が期待されましたが、KDが加わったウォリアーズの強さは圧倒的でした。
KDは1試合平均35.2得点 8.2リバウンド 5.4アシスト FG55.6% 3P47.4% FT92.7%と、非の打ち所がないプレーをみせ、ファイナルMVPを獲得。
4勝1敗でキャブスを下し、ウォリアーズはNBAチャンピオンに返り咲きました。
ウォリアーズファンは喜んだものの、あまりの強さに、再度KDへのバッシングが起きていましたね。
KD加入後2年目の2017-18シーズンは、主力のケガが重なり、レギュラーシーズンは58勝24敗、ヒューストン・ロケッツ(65勝17敗)の後塵を拝します。
しかしプレーオフではチャンピオンチームの風格をとりもどし、難なくカンファレンスファイナルに進出。
カンファレンスファイナルの相手は、リーグトップの成績を残したヒューストン・ロケッツ。
この年得点王のジェームズ・ハーデンと、〝ポイントゴッド″クリス・ポールの強力バックコートコンビ擁するロケッツに、2勝3敗と追い込まれたものの、最後の2試合に連勝し、苦しみながらもNBAファイナル進出を決めました。
NBAファイナルの相手は、4年連続の対戦となるクリーブランド・キャバリアーズ。
前年の借りを返すため、レブロン、ラブを中心に挑んできたキャブスでしたが、シーズン前にカイリー・アービングがボストン・セルティックスへ去ったこともあり、チーム力は低下していました。
ファイナルは4勝0敗のスウィープで、ウォリアーズが勝利。
ファイナルMVPは、2年連続でKDが受賞しました。
KD加入後3年目の2018-19シーズン、シーズン序盤からKDとドレイモンド・グリーンの確執が噂になります。
11月12日のクリッパーズ戦、試合終盤ラストプレーで、KDがボールを要求するのを無視して、一人で敵陣に突っ込み、ターンオーバーを許したドレイモンドに詰め寄るKD。
ロッカールームでも口論は続き、ドレイモンドは来年FAとなるKDの契約についてまで持ち出し、暴言を吐いたそうです。
ドレイモンド悪いヤツやなー。
レギュラーシーズンを57勝25敗のウエスタンカンファレンス1位で終えたウォリアーズ。
プレーオフでも50得点を記録するなど大活躍のKDでしたが、ヒューストン・ロケッツとのカンファレンスセミファイナル第5戦で、右ふくらはぎを損傷。
KDは離脱を余儀なくされ、その後9試合を欠場します。
KDが離脱している間も、ウォリアーズは好調を維持。
ロケッツに続きカンファレンスファイナルでポートランド・トレイルブレイザーズにも勝利(4勝0敗)。
トロント・ラプターズとのNBAファイナルに進みました。
KDが復帰したのは、1勝3敗とウォリアーズが追い詰められたNBAファイナル第5戦。
ケガの痛みが残る状況で強行出場したKDは、第1クオーターで11得点し、チームを鼓舞します。
しかし、第2クオーターが始まってわずか2分、ドライブを試みた際に右アキレス腱を断裂。
この試合に、ウォリアーズは勝利したものの、第6戦で敗戦し、KDのウォリアーズでの戦いは不本意な形で終わってしまいました。
納得のブルックリン・ネッツへの移籍
シーズン終了後、KDはブルックリン・ネッツへの移籍を決断。
KDの3度の移籍の中で、唯一誰もが納得する形での移籍となりました。
移籍の発表を受け、ウォリアーズの球団が、KDの背番号「35」を永久欠番にすることを発表したことからも、円満な別離だったことがわかります。
ブルックリン・ネッツは、アキレス腱断裂の重傷を負い1年目は全休となるKDと、4年1億6400万ドルの大型契約を結ぶと、カイリー・アービングの獲得にも成功。
KDが復帰する2020-21シーズンでの優勝に、目標を定めました。
KD ブルックリン・ネッツでの活躍
1年目はアキレス腱断裂後のリハビリを行い、コロナ感染もあって全休。
2年目の2020-21シーズン、開幕から復帰したKDは依然と変わらない圧倒的なプレーでチームを牽引します。
もう一人のエース、カイリー・アービングが個人的な事情で、何度かチームを無断で離脱する問題行動を起こしますが、1月にロケッツからジェームズ・ハーデンを獲得するなど、フロントが優勝に向けて強化を図り、48勝24敗(コロナのため短縮シーズン)イースタンカンファレンス2位でプレーオフに進みました。
1stラウンドではボストン・セルティックス相手にビッグ3が躍動。
第4戦では、KDが42得点、カイリーが39得点、ハーデンが23得点 18アシスト(!)を記録する大活躍でセルティックスを圧倒。
4勝1敗でセルティックスを粉砕し、カイリーに盛大なブーイングを浴びせたボストンファンを沈黙させました。
続くカンファレンスセミファイナルでは、怪物ヤニス・アデトクンポ擁するミルウォーキー・バックスと対戦。
第1戦でハーデンが、第4戦でカイリーがケガをするアクシデントがありましたが、KDの活躍で勝負は最終第7戦へ。
第4クオーター残り6秒でネッツが2点を追う場面。
右45度でインバウンドパスを受けたKDは、ディフェンスのPJ・タッカーをドリブルで押し込み、振り向きざまにフェイダウェイ3ポイントシュートを放ちます。
ボールは見事にネットを通過。
ブルックリン・ネッツのホームコート、バークレイズセンターの観客は総立ちとなり、大歓声に包まれました。
誰もがネッツの逆転勝ちを確信しましたが、映像を確認するとKDのつま先がわずかに3ポイントラインにかかっており、2ポイントの判定で試合はオーバータイムへ。
オーバータイムでバックスに敗れてしまいましたが、この試合KDは48得点を記録。
スーパースターの恐ろしさをみせつけました。
ビッグ3が開幕から揃い、優勝が期待された2021-22シーズン。
開幕前にネッツはデュラントと4年1億9800万ドルの長期大型契約を結び、デュラント中心のチームで優勝を目指す意思を明確にします。
しかしシーズンが開幕すると、カイリー・アービングのワクチン未接種問題が起き、チームを離脱。
1月にはKDがケガで離脱すると、もう一人のお騒がせ男ジェームズ・ハーデンが移籍を希望してしまいます。
結局フィラデルフィア・76ersでメンタルの問題で欠場を続けていたベン・シモンズらとのトレードでハーデンは去っていきました。
44勝38敗、イースタンカンファレンス7位でプレーオフに進んだものの、前年圧倒したボストン・セルティックスにスウィープされ、シーズンを終えてしまいます。
オフには自身3度目のオリンピックとなる、東京オリンピックにアメリカ代表として出場。
圧倒的な得点力でアメリカ代表を牽引し、またも金メダル獲得に大きく貢献しました。
KD サンズへの移籍希望騒動
2021-22シーズンを失意の中終えると、KDはネッツのフロントへ自身のトレードを要求。
マイアミ・ヒートかフェニックス・サンズへトレードするよう、チームへ圧力をかけます。
しかし、ネッツも巨額な契約が残るスーパースターを簡単に放出するわけにはいかず、2022-23シーズン開幕までにトレードがまとまることはありませんでした。
「ネッツは最初、俺の放出を拒んだ。」と後のインタビューで不満を訴えたKD。
いや、そりゃ拒むだろう・・・。
ただ、「トレードを実現させるために試合を欠場するつもりはなかった。」というKDは、2022-23シーズンが開幕すると例年どおり大活躍。
12連勝を記録するなど、ネッツの快進撃を強力に牽引しました。
しかし2023年2月9日、ケビン・デュラントはついに4チーム間トレードでサンズへ移籍。
直前の2月6日に、カイリー・アービングのダラス・マーベリックスへの移籍も発表されていたため、問題児二人がブルックリン・ネッツを崩壊させたイメージがありました。
このシーズンネッツに加入し、大活躍をみせていた渡邊雄太選手が、カイリー、KDと絶妙にマッチしていたため、プレーオフに進む姿をみたかったんですがねえ。
ブルックリン・ネッツと長期の大型契約を結んでいながら、自己中心的な移籍希望を繰り返したケビン・デュラントには、完全に悪役イメージがついてしまいました。
KD フェニックス・サンズ入り~
2022-23シーズン2月にサンズに移籍したKDは、ケガもありレギュラーシーズン8試合の出場にとどまります。
サンズは生え抜きエースのデビン・ブッカー、クリス・ポールを中心に、優秀なロールプレイヤーが揃う強豪チーム。
45勝37敗を記録し、プレーオフに進みます。
プレーオフでKDは復活。
1stラウンドでロサンゼルス・クリッパーズを4勝1杯で下したものの、クリス・ポールのケガによる離脱もあり、カンファレンスセミファイナルでデンバー・ナゲッツに2勝4敗で敗れ、シーズンを終えました。
そしてシーズン終了後に、サンズはドラフト指名権とクリス・ポールらを放出し、ブラッドリー・ビールを獲得したのです。
まとめ
今回は歴史に残るスーパースターであり、悪役でもあるケビン・デュラントについて語りました。
はたしてKDはフェニックス・サンズを優勝に導けるのか?
また、あらたなバスを探してしまうのか?
今シーズンの前半は、ビッグ3がケガで揃わない試合が多かったサンズ。
ブラッドリー・ビールが復活し、やっと戦力が整ったサンズの、後半での巻き返しを期待します。
ブラッドリー・ビール、デビン・ブッカー、そしてケビン・デュラント。
3人のスーパースターが揃えばもしかして・・・
渡邊雄太選手の復活にも期待したいと思います。
サンズは今のメンバーで勝負するしかないですから!
今後のサンズ、そしてKDの動きに要注目ですね。