いよいよ待ちに待ったFIBAバスケットボール・ワールドカップ2023が、開催されました。
今回のワールドカップは、フィリピン、日本、インドネシアの共催で行われるため、開催国枠で出場しているわが日本。
ドイツ、フィンランド、オーストラリアと、強豪ぞろいの恐ろしいグループに入ってしまいました。
2023年8月21日に発表された、W杯出場国のパワーランキングトップ10では・・・
1位 アメリカ
2位 オーストラリア
3位 フランス
4位 ドイツ
5位 カナダ
6位 スペイン
7位 スロベニア
8位 フィンランド
9位 リトアニア
10位 イタリア
なんと、3チームともトップ10入りしています。
まさに死の組(日本にとってですが)。
開催国なのに、なんでこんな強豪ぞろいの組に・・・と嘆いても、どうしようもありません。
1戦目(8/25)に戦うドイツは、親善試合でアメリカ代表に敗れはしたものの、第3クオーターで一時16点をリードするなど、大健闘していましたし、3戦目(8/29)に戦うオーストラリアは、親善試合で日本が全く歯が立たなかったフランスに勝利しています。
正直、W杯本番でドイツとオーストラリアに勝利することは難しいでしょう。
となると、目指すはフィンランドからの1勝(8/27)。
しかし、日本の前にはフィンランドの絶対的エースが立ちふさがるでしょう。
ユタ・ジャズのエースであり、フィンランドの英雄、ラウリ・マルカネンです。
今回は、マルカネンについて、語っていきたいと思います。
レッツラゴー!
ラウリ・マルカネン プロフィール
ラウリ・マルカネン プロフィール
【誕生日】 1997年5月22日生まれ 26歳
【出身地】 フィンランド ヴァンター
【出身大学】 アリゾナ大学
【身長・体重】 213㎝ 109㎏
【ドラフト】 1巡目全体7位指名(ミネソタ・ティンバーウルブズ)
【所属チーム】 シカゴ・ブルズ➡クリーブランド・キャバリアーズ➡ユタ・ジャズ
【背番号】 23
【ポジション】 パワーフォワード
【受賞歴】 NBAルーキーファーストチーム(2018)
NBAオールスター出場(2023)
MIP賞受賞(2023)
213㎝の長身ながら、広いシュートレンジと多才なスコアリング能力を持つ、異色のビッグマンです。
第2のダーク・ノビツキーとも言われるマルカネンは、すでにフィンランドの英雄と呼ばれています。
フィンランド第4の都市、ヴァンターで生まれ育ったマルカネンは、バスケットボールフィンランド代表だった父の教えを受け、子供のころから注目される存在でした。
地元ヴァンターに隣接する都市、ヘルシンキのバスケットボールアカデミーで活躍すると、NBAを目指してアメリカのアリゾナ大学に進みます。
アリゾナ大学では1年間のみプレーし、37試合に出場。
1年生ながら全試合に先発出場すると、1試合平均15.6得点 7.2リバウンドを記録。
マルカネンはオールアメリカン3rdチームに選出され、「最も優れたシューティング7フッター」と、評価を高めました。
アリゾナ大学で1年のみプレーした後、NBAドラフトに挑むことを宣言。
2017年のNBAドラフト1巡目全体7位でミネソタ・ティンバーウルブズに指名されると、当日に超大型トレードに巻き込まれ、シカゴ・ブルズに入団します。
ミネソタ ⇒ シカゴ
ザック・ラビーン
クリス・ダン
ラウリ・マルカネン
シカゴ ⇒ ミネソタ
ジミー・バトラー
ジャスティン・パットン
今考えると、本当に大きなトレードだったんですね。
こうして、ラウリ・マルカネンはNBAの世界に飛びこみました。
ラウリ・マルカネン シカゴ・ブルズ時代
マルカネン ブルズ時代スタッツ
【2017-18】15.2得点 7.5リバウンド 1.2アシスト FG43.4% 3P36.2% FT84.3%
【2018-19】18.7得点 9.0リバウンド 1.4アシスト FG43.0% 3P36.1% FT87.2%
【2019-20】14.7得点 6.3リバウンド 1.5アシスト FG42.5% 3P34.4% FT82.4%
【2020-21】13.6得点 5.3リバウンド 0.9アシスト FG48.0% 3P40.2% FT82.6%
シカゴ・ブルズでのルーキーシーズン、68試合に出場。
すべての試合で先発出場すると、15.2得点、7.5リバウンドと期待どおりのスタッツを残し、「スピードがない」「手が短く、リバウンドは弱い」といった、NBAでの活躍を疑問視する声を、黙らせました。
NBAデビューして、わずか41試合目で3ポイントを100本成功し、史上最短記録を更新。
マルカネンが更新するまでの記録は、ステフィン・カリーの〝58試合目での3ポイント100本成功″だったため、大きく記録を更新し、周囲を驚かせました。
ルーキーシーズン、所属するシカゴ・ブルズは27勝55敗でプレーオフを逃したものの、個人としてはオールルーキー1stチームに選出されるなど、期待に応えるものでした。
【2017-18】オールルーキー1stチーム
ベン・シモンズ(フィラデルフィア・76ers)
ドノバン・ミッチェル(ユタ・ジャズ)
ジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)
カイル・クーズマ(ロサンゼルス・レイカーズ)
ラウリ・マルカネン(シカゴ・ブルズ)
ルーキー・オブ・ザ・イヤーは、ベン・シモンズが獲得。
その後のシモンズのトラブルを考えると、なんだかせつない気持ちになっちゃいますね。
とにかく、1年目から高いシュート力を武器に、活躍をみせたマルカネン。
ブルズを率いる、フレッド・ホイバーグHCの戦術ともマッチし、大きな可能性を感じるルーキーシーズンでした。
フレッド・ホイバーグHCは現在、富永啓生が所属するネブラスカ大学を率いています。
ホイバーグHCは、自身もシカゴ・ブルズなどで活躍したシューターだったこともあり、シューターを活用する戦術を得意とするコーチです。
オフボールスクリーンを多用し、シューターを生かす戦術は、マルカネンの機動力とシュート力、そしてシューターとしては類まれな高さを、十分に生かすものでした。
しかし、NBA2年目の途中に、成績不振とリーダーシップの欠如を理由に、ホイバーグHCが解任されると、マルカネンの役割は、3ポイントに限られるようになり、機動力を生かす機会もなくなっていきます。
固定砲台となったマルカネンは、徐々に期待値を下回る選手とみられるようになり、4年間プレーしたシカゴ・ブルズから、3チーム間トレードでクリーブランド・キャバリアーズに放出。
マルッカネンが所属した4年間、シカゴブルズは27勝55敗、22勝60敗、22勝43敗(短縮シーズン)、31勝41敗(短縮シーズン)と、一度もプレーオフに進むことはありませんでした。
ラウリ・マルカネン クリーブランド・キャバリアーズ時代
マルカネン キャブス時代 スタッツ
【2021-22】14.8得点 5.7リバウンド 1.3アシスト FG44.5% 3P35.8% FT86.8%
マルカネンが移籍したキャブスには、211㎝のセンター、ジャレット・アレンがいました。
そして、全米の学生ナンバー1センター、南カリフォルニア大学の213㎝、エバン・モーブリーも、2021年のNBAドラフト全体3位でキャブスが指名。
ここに213㎝のマルカネンが加わることとなり、ヘッドコーチのJB・ビッカースタッフが誰を6thマンとして起用するのか、シーズン前には議論が交わされていました。
しかし、いざシーズンが開幕すると、センターにアレン、パワーフォワードにはモーブリーを起用。
そして、なんとマルカネンはスモールフォワードで先発し、時代に逆行するトリプルタワーが結成されたのです。
2015年にステフィン・カリー、クレイ・トンプソンのスプラッシュブラザーズを中心としたゴールデンステイト・ウォリアーズが優勝し、その後5年連続ファイナルに進出する王朝を築くと、アウトサイド中心のスモールボール戦術がリーグを席巻します。
かつては守備の要だったビッグマンは、現代のNBAではスピードでミスマッチをつかれるディフェンスの穴とされていました。
最近はツインタワーを採用するチームも少なくなった中、キャブスは211㎝以上の3人を同時に先発させる奇策に出たのです。
トリプルタワーの結果、キャブスは44勝38敗と勝ち越し、イースタンカンファレンス8位。
3年連続勝率3割前後と、低迷していたキャブスにとっては、大躍進といってもよいシーズンとなりました。
マルカネン自身も、予想以上にトリプルタワーが成功し、勝利を重ねたことで、スタッツは大きく変わらなかったものの、自信を高めたシーズンになったと思います。
残念ながらプレーイントーナメントで、ブルックリン・ネッツ、アトランタ・ホークスに連敗し、プレーオフ出場とはなりませんでしたが、キャブスの復活を印象付けるシーズンとなりました。
キャブスのフロントは、大きな手ごたえをつかみ、一気に勝負に出ます。
5シーズンに渡って、強豪ユタ・ジャズのエースとして活躍していたNBA屈指のスコアラー、ドノバン・ミッチェルの獲得に動いたのです。
キャブス ➡ ジャズ
ラウリ・マルカネン
コリン・セクストン
オチャイ・アバジ(ルーキー)
2025年ドラフト1巡目指名権
2027年ドラフト1巡目指名権
2029年ドラフト1巡目指名権
2026年ドラフト指名交換権
2028年ドラフト指名交換権
ジャズ ➡ キャブス
ドノバン・ミッチェル
オールスター選手であり、強豪チームのエースシューティングガード、ドノバン・ミッチェル獲得のための、駒の一つとなったマルカネン。
キャブスのエース候補として期待されながら、2021年11月に左膝半月板断裂により、2021-22シーズンは11試合の出場にとどまったコリン・セクストンとともに、ユタ・ジャズへの移籍が決まりました。
このトレードが決まった時の評価は、キャブスが得をしたという報道が多かったですね。
マルカネンの評価は、〝まずまずのロールプレイヤー″という扱いでした。
ジャズは、マルカネンを再びトレードの駒として考えているのではないか・・・と考える記者も多かったようです。
こうして、ジャズとラウリ・マルカネンにとって、運命のトレードが行われたのです。
ラウリ・マルカネン ユタ・ジャズでエースとして開花
マルカネン ジャズ時代 スタッツ
【2022-23】25.6得点 8.6リバウンド 1.9アシスト FG49.9% 3P39.1% FT87.5%
キャブスとジャズのトレードが発表された時、マルカネンは今回のバスケワールドカップへの出場権をかけた、ヨーロッパ予選を戦っていました。
トレードにショックを受けながらも、フィンランド代表では絶対的なエースセンターとして、圧倒的な力を見せつけるマルカネン。
得意の3ポイントだけでなく、ドライブやゴール下へのカットプレーからの力強いダンクなど、完全なエースムーブで、フィンランドのワールドカップ出場に大きく貢献しました。
フィンランド代表での大活躍によって、マルカネンは自信を深めたのか、NBAのシーズンにおいても、〝まずまずのロールプレイヤー″から〝絶対的エース″へと変貌をとげます。
オフェンスの要ドノバン・ミッチェルと、ディフェンスの要ルディ・ゴベアを放出し、再建期に入るとみられたユタ・ジャズでしたが、意外なスタートダッシュをみせ、一時NBA全体1位の勝率を記録し、ファンを驚かせました。
中心となったのは、パワーフォワードとして、オールラウンドな活躍をみせたラウリ・マルカネン。
3ポイントシュートだけでなく、ドライブからのダンクなど、オールラウンドに活躍し、1試合平均25.6得点を記録します。
残念ながら、ユタ・ジャズは最終的に37勝45敗と負け越し、プレーイントーナメントへの出場は叶いませんでしたが、今後に大きな期待を抱かせるシーズンとなりました。
2022-23シーズンMIP(最も成長した選手に贈られる賞)に選ばれたのは、圧倒的な支持を集めた、ラウリ・マルカネンでした。
地元ユタで行われた2023年のオールスターにも出場。
ファン投票でスターターに選出されていたザイオン・ウイリアムソン(ニューオーリンズ・ペリカンズ)がケガで欠場となったため、代役としてマルカネンがオールスターのスターティングメンバ―として、ホームコートで大歓声を浴びました。
1年前まで、典型的なロールプレイヤーとみられていたマルカネンは、ジャズの未来を背負う絶対的なエースへと変貌をとげたのです。
まとめ 日本代表がフィンランドを倒すために
今回は、2023年バスケワールドカップで、日本代表の運命を決めると言っても過言ではない、フィンランド戦のキーマン、ラウリ・マルカネンについて語りました。
日本の今大会の目標は、アジア1位の座を獲得し、パリオリンピックの出場権を獲得することです。
アジア1位となるためには、なんとか1次リーグで1勝をもぎとり、順位決定戦2試合を勝つ必要があります。
正直、ドイツ、オーストラリアに勝つことはまず厳しいでしょう(全力で日本を応援しますが・・・)。
フィンランドもかなり厳しい相手ですが、そうも言ってられません。
なんとかチームディフェンスでマルカネンのペースを狂わせ、しっかりリバウンドを奪い(これが難しいんですよね)、渡邊雄太、富永啓生、富樫勇樹、河村勇輝らの3ポイントを高確率で決めるしか、勝ち筋はないと思います。
大変厳しい戦いですが、ぜひ沖縄の会場から、日本中のテレビの前から応援し、日本代表が奇跡を起こすことを願いたいと思います。
とにかく、8月25日(金)の開幕から、決勝が行われる9月10日まで、思う存分楽しみたいと思います。
みなさんも、世界のバスケを楽しみましょう!
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1話41分、全5話で、当時のNBAの盛り上がりから、ドリームチーム結成の経緯、当時非公開だった紅白戦の様子、そしてドリームチームが世界に与えた影響など、とても興味深い内容になっています。
今のNBAも楽しいけど、1990年代のNBAは熱かったなあ・・・と感じてもらえるはずです。
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