2025年のNBAオールスターが近づいてきました。
現地時間1月10日(日本時間9日)には、ファン投票の第2回途中結果も発表され、イーストではヤニス・アデトクンボ、ウエストでは二コラ・ヨキッチがそれぞれカンファレンストップの票をあつめています。
NBAを36年間観つづけてきたわたくしリトルは、オールスター前のワクワクが大好きなんですよね。
ただ、ここ数年のオールスター本戦は、終了後にガッカリすることが多くなっていました。
そんな中、今年のNBAオールスターは、大胆なフォーマット改革が行われ、話題になっています。
今回はNBAオールスター2025の新フォーマットを説明し「なぜNBAオールスターのフォーマットを大改革しなければならなかったか」を解説していきます。
NBAオールスター2025 日程
NBAオールスター2025、本戦は日本時間の2月17日(月)午前9時30分開始予定です。
ちなみに、オールスターウイークエンドに行われる主なイベントの予定は・・・
2月15日(土)11:00~
NBAライジングスターズ2025
2月16日(日)10:00~
NBAオールスターサタデー2025(スキルズチャレンジ 3ポイントコンテスト スラムダンクコンテスト)
2月17日(月)9:30~
NBAオールスターゲーム2025
現地時間の日曜日にオールスター本戦が行われるため、日本では月曜日になってしまうのが、毎年なんとも歯がゆいのですが、しかたないですね。
NBAオールスター2025 新フォーマット解説
現地時間12月17日、NBAと選手会は2025年2月16日(日本時間17日)にゴールデンステイト・ウォリアーズの本拠地チェイスセンターで開催される「NBAオールスターゲーム2025」の新フォーマットを発表し、ファンや関係者に驚きを与えました。
新しいフォーマットの主な変更点をまとめると・・・
- これまで1試合のフルゲームで行われていたオールスターゲームを、4チーム3試合のミニトーナメント戦とする。
- 東西12名づつ選出されたNBAオールスターをドラフトによって8人づつの3チームに分ける。
- 前日に行われるライジングスターズのトーナメント優勝チームが加わり、4チームでのミニトーナメントを行う。
- 試合形式は、40得点を先取したチームの勝利。
- NBAオールスターゲームに出場する4チームは、総額180万ドル(約2億8260万円 1㌦=157円)の賞金をめぐって戦う。優勝チームの選手はそれぞれ12万5000ドル(約1962万5000円)、準優勝のチームの選手はそれぞれ5万ドル(約785万円)、3位と4位のチームの選手はそれぞれ2万5000ドル(約392万5000円)を手にする。
東西12名づつ選出されたNBAオールスターをドラフトするのは、NBAアナリストで、元NBAのスターであるシャキール・オニール、チャールズ・バークレー、ケニー・スミスの3人。
3人はそれぞれのチームのGM(ゼネラルマネージャー)として、それぞれ8選手を指名し、チーム作りを行います。
「チーム・シャック」「チーム・チャールズ」「チーム・ケニー」に加えるライジングスターズ優勝チームは、WNBAのレジェンド、キャンディス・パーカーがGMを務める「チーム・キャンディス」。
各チームのヘッドコーチは、2月3日時点での東西両カンファレンスの首位のコーチ陣が務め、ヘッドコーチがオールスターの3チームのうち2チーム、アシスタントコーチが残りの1チームと、ライジングスターズを勝ち抜いたチームを指揮します。
NBAはこれまで東西対抗で行っていたオールスター戦を、東西のファン投票1位選手がドラフト指名する形式にしたり、第4クオーターをイラムエンディング(決められたターゲットスコアに達したチームの勝利となるフォーマット)にしたり、試行錯誤を続けてきましたが、ここまでの大胆なフォーマット変更は初めてですね。
1試合40点先取で試合終了となると、近年のオールスターの得点を考えると10分程度で終わってしまうことになります。
さすがに、勝ち抜き方式となれば、少しは意地をみせてディフェンスもすると思うので、10分で終わることはないと思いますが、どうなるのでしょうか?
オールスター2025 フォーマット大改革の理由
みなさんは「NBAオールスター」と聞いて、どんな場面を思い出しますか?
私のように古くからのファンであれば、HIVウイルスによってNBAを引退したマジック・ジョンソンが一夜の復活で魔法をかけた、1992年のオールスターを思い出す人が多いでしょう。
また、第4クオーター残り約9分の時点で21点差をつけられていたチームイーストが、アレン・アイバーソン、ステフォン・マーブリー、ディケンベ・ムトンボらの大活躍で劇的な逆転勝利をあげた2001年のオールスターも印象に残っていると思います。
スター選手たちがプレーを楽しみながらも、そこにいたるドラマや、勝負がかかった最終盤にみせるプライドが、観るものの胸を熱くしてくれていました。
しかしここ数年のオールスターは、毎年がっかりさせられっぱなしです。
ディフェンスをする気はまったくなく、お遊びで放つディープスリーと、派手なダンクのオンパレード。
真剣勝負の中で飛び出すダンクには興奮させられますが、ディフェンスしない中でダンクの連発をみせられても・・・。
コース料理のメインでステーキが出たらうれしいものですが、前菜からすべてステーキがでてきても・・・いや、それはまあうれしいか(笑)。
ここ数年のNBAオールスターの試合結果をまとめると・・・
NBAオールスター 試合結果
2021 チームレブロン 170-150 チームデュラント
2022 チームレブロン 163-160 チームデュラント
2023 チームヤニス 184-175 チームレブロン
2024 チームイースト 211-186 チームウエスト
昨年のオールスター戦では、ついに200点超えを記録。
試合のダイジェストを観てもわかるとおり、ディフェンスは全員まったくする気がありませんでした。
ケガを心配して、今のようにディフェンスをしない、なあなあの試合になっていると思うのですが・・・。
もちろん以前から、オールスターは真剣勝負ではなかったものの、現在のようにタラタラ歩いてディフェンスするようなことはありませんでした。
〝究極の負けずぎらい″マイケル・ジョーダンやコービー・ブライアントの現役時代は、お祭りの雰囲気の中にも、勝負に対するプライドがありましたからねえ。
そのプライドによって、いくつもの名シーンが生まれました。
ここ数年のNBAオールスターには、勝負に対するプライドよりも、「ケガなく安全に」「自分たちが楽しむ」という気持ちが強くなりすぎているのではないでしょうか。
選手たちがお遊びでバスケットボールを楽しむオールスターを観て、ファンの心は離れていきました。
個人的にはステフィン・カリーが16本の3ポイントシュートを決め、MVPをとった2022年のオールスターは、エンタメにふり切っていて楽しめたのですが、ここ数年のオールスター後のファンの盛り下がりは、みすごせないレベルです。
選手のドラフトや、イラムエンディングなど、NBAはなんとかオールスターに真剣勝負の要素をもちこもうと試行錯誤したものの、選手の意識改革はおこなえず。
昨年(2024年)のオールスターでは、ついに211-186と、200点を超える大味な試合となってしまいました。
「史上最低のオールスター」と呼ばれた、2024年のオールスターを経て、NBAが今年発表したのが、ミニゲームのトーナメント方式だったのです。
もはやバスケットボールのルールからは逸脱した、40点先取のミニゲームは「いいかげんに少しは真剣に勝負してくれ」という、NBAから選手へのメッセージだと思います。
フォーマット変更への選手の反応
今回の大胆なフォーマット変更に対し、様々な反応がみられています。
ファンからの反応は、比較的肯定的な意見が多いようです。
中には「40点先取なんて、もはやバスケットボールではない」といった意見もみられますが、「NBAがオールスターを盛り上げるために試行錯誤するすがたを評価する」という意見が多数のようですね。
とにかくワクワクするオールスター戦を、満喫したいのです。
選手たちからは、不満の声があがっています。
ケビン・デュラント
「本当に最悪だよ。ひどいね。オールスターゲームのフォーマット変更は本当にひどいと思う。以前のようにイーストとウエストに分けて試合をするべきだ。オールスターウイークエンドで何か新しいことをしようとしているのは分かるけど、伝統を大切にすべきだと思う。この新しいフォーマットがどうなるか観てみよう。自分がまちがっているかもしれないしね」
デビン・ブッカー
「東西に分かれて、自分のチームのユニフォームを着て戦うのがいい。まあ、どちらでもいいんだけどね」
アンソニー・デイビス
「(今回の変更は)あまり気に入ってないけど、今年どうなるのか見ていこう」
デイミアン・リラード
「この先どうなっていくのか見ていかないといけないね。何を企てているのかは理解している。日曜日(オールスターゲーム本戦)の試合でまた新たに競争を作り出したいんだろう。そうすることで、もっとエンターテイメント性を高める方法を見つけようとしているのさ」
「当然おれは創造性を好んでいる。日曜日にプレーできるのは特別なことなんだ。トッププレイヤーたちだからこそできる。誰にでもあの経験ができるわけじゃない。なんで変えるんだ?と感じている自分もいる」
ニュースに出ている選手の声をまとめると、ほとんどが今回のフォーマット変更に否定的な声ばかりです。
選手たちにしてみれば、これまで自分たちがプレーしてきたオールスターゲームにダメ出しをされたように感じるのでしょう。
1951年3月2日に第1回のNBAオールスターがボストンガーデンで開催され、今年で73回目(1999年はロックアウトのため開催されず)。
歴史ある試合が、ミニゲームに変わってしまうのですから、反発も大きいと思います。
ただ、なぜフォーマットをここまで大きく変えなければいけなかったのかを、選手はしっかり考えてほしいです。
たしかにオールスターでケガをしてしまっては、チームにとっても莫大なサラリーをもらっている選手にとっても、大きなダメージがあります。
それでも日々の練習の中でも、もっと真剣にプレーしているでしょうからねえ。
せめて勝負師としてのプライドを、ファンにも見せてほしいと思うのです。
ライジングスターズのフォーマット
オールスターウイークエンドの初日に行われるライジングスターズ。
以前はNBA1年目の「ルーキーチーム」と2年目の「ソフォモアチーム」が戦ったり、1年目と2年目の選手をアメリカ出身の「チームUSA」と海外出身の「チームWORLD」で戦うなど、趣向を凝らしてきました。
現在はNBAのルーキー、2年目のソフォモアの選手合計21名で3チーム(各チーム7名)をつくり、Gリーグ選抜の7名をくわえた4チームで1dayトーナメントを行っています。
ライジングスターズの選手選考はファン投票ではなく、各チームのアシスタントコーチが1年目と2年目の選手から優れた選手を推薦し、NBAが最終的なロスターを決定する形式です。
昨年は1試合40点先取で戦い、勝った2チームが決勝で25得点選手の試合を行いました。
そう、今年のオールスターの形式は、一足先にライジングスターズでお試しされていたのです。
今回は1dayトーナメントの優勝チームがオールスター本戦で戦う権利をゲットできるため、例年以上に白熱した試合になるでしょう。
河村勇輝選手出場の可能性
NBAオールスターゲーム2025は、わたしたち日本のNBAファンにとって、特別な試合になるかもしれません。
なんといっても、我らが河村勇輝選手が、オールスターの舞台に立つかもしれませんから。
もちろん東西12名づつの、NBAオールスターに選ばれるわけではありません。
今年の活躍では、河村選手はもちろん八村塁選手も選出されることはないでしょう。
しかし、ライジングスターズで優勝したチームが、オールスターのトーナメントに参加することになったため、河村勇輝選手のオールスター出場の可能性がでてきたのです。
ただ、Gリーグ選抜7人の中に入るのは、いくら人気の高い河村選手でも難しいかもしれませんね。
Gリーグで戦う選手の中にも、将来のスター候補生はたくさんいますから。
もし河村選手が選出されてライジングスターズに出場したら、河村フィーバーは全米に広がるかもしれません。
ちなみにGリーグの選手のみで行われる「Gリーグオールスター」のファン投票では、1月4日に発表された第1回途中結果で河村勇輝選手は全体1位の票をあつめています。
Gリーグオールスターに選出されることは間違いないと思いますが、ぜひライジングスターズに参加する7名にも選ばれてほしいですね。
もしライジングスターズで河村選手が大活躍し、アップセットをおこしてオールスター本戦にも出場しちゃったりしたら・・・
モラントやJJJ(ジャレン・ジャクソンJr.)の反応が楽しみです(笑)。
まとめ
今回は2025年2月16日(日本時間2月17日 月曜日)に迫ったNBAオールスターゲームについてまとめました。
まったく新しいフォーマットを採用した、はじめてのオールスターは、世界中の注目をあつめています。
賛否渦巻く今回の大改革は、オールスターの興奮をふたたびもたらせてくれるのか?
新しい取り組みを行うNBAに注目していきましょう。
そして河村勇輝選手の出場に向けて、日本からひたすらみんなで祈りましょう(笑)。
オールスターのみなさん。
お願いだから勝利のために戦ってください。
僕たちNBAファンだけでなく、観るものすべてを魅了する戦いをみせてください。
頼みますよ!