日本時間の1月24日に発表された、NBAオールスター2025のスターター。
前回はウエスタンカンファレンスのスターター5人を紹介しましたが、今回はイースタンカンファレンスの5人を紹介します。
ファン投票で全体1位となったヤニス・アデトクンボをはじめ、若手の実力派がそろったイーストの5人について、NBAを36年間観つづけているわたくしリトルが語ります。
さっそく、レッツラゴー!
ヤニス・アデトクンボ
ヤニス・アデトクンボ
パワーフォワード
背番号 34
生年月日 1994年12月6日生まれ(30歳)
出身地 アテネ ギリシャ
身長体重 211cm 110㎏
今季年俸 4879万ドル
ドラフト 2013年1巡目15位
2024-25シーズンスタッツ
36試合出場 31.3得点 12.0リバウンド 6.0アシスト
FG60.3% 3P15.4%
NBAオールスター2025のファン投票、両リーグでもっとも票をあつめたのが、ミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボでした。
ちょっと意外に思ったのは、僕だけでしょうか?
211㎝ 110㎏の巨体ながら、超人的な身体能力をほこるパワーフォワードは、スピードとパワーを存分に活かしたドライブを武器に、今シーズンも平均30得点をらくらくと超えています。
リバウンドも強く、個人成績はMVPクラスですが、今シーズンは所属するミルウォーキー・バックスが開幕から大苦戦。
開幕戦は勝利したものの、第2戦から6連敗するなど、一時はリーグ最下位に沈み、ヘッドコーチのドック・リバースが盛大にたたかれていました。
それでも徐々に勝利を重ね、インシーズン・トーナメント(エミレーツNBAカップ)では、見事優勝を果たしています。
ヤニスはオクラホマシティ・サンダーとの決勝戦で、26得点 19リバウンド 10アシストのトリプルダブルを達成し、MVPに選出されました。
現在イースタンカンファレンス4位まで順位を上げてきたバックスは、台風の目になっていくかもしれません。
実力的にはオールスターに選ばれて当然なんですが、バックスというやや地味なチームで、ギリシャ出身のアデトクンボがここまで人気が高いのには驚きです。
実力主義のアメリカらしい結果ですね。
ナイジェリアで生活していた両親が貧しさに耐えきれず、不法移民としてギリシャにわたり、そこで生まれたヤニスや弟のタナシスが貧しさの中でバスケットボールと出会い、NBAプレイヤーとして成長したドラマは「ライズ~コートに輝いた希望」という伝記映画にもなっています。
ディズニープラスで観ることができるので、ぜひご覧ください。
壮絶な幼少期をへてNBAのトッププレイヤーに成長したヤニスが、ファン投票でリーグ1位になるなんて、胸が熱くなります。
2021年にバックスをNBAチャンピオンに導き、みずからもファイナルMVPに輝いたモンスターは、オールスターの舞台でどんなプレーをみせてくれるのか、期待しましょう。
ドノバン・ミッチェル
ドノバン・ミッチェル
シューティングガード
背番号 45
生年月日 1996年9月7日生まれ(28歳)
出身地 ニューヨーク州 エルムスフォード
出身校 ルイビル大学
身長体重 191cm 98㎏
今季年俸 3541万ドル
ドラフト 2017年1巡目13位
2024-25シーズンスタッツ
42試合出場 23.5得点 4.5リバウンド 4.5アシスト
FG44.5% 3P39.8%
1月24日現在リーグトップの36勝7敗(勝率.837)を記録しているクリーブランド・キャバリアーズのエース、ドノバン・ミッチェル。
抜群の身体能力を武器に、豪快なダンクや3ポイントシュートで得点を重ねる、NBA8年目のシューティングガードです。
ミッチェル個人のスタッツをみると、1月24日現在1試合平均23.2得点と、ルーキーシーズンに次ぐ低い平均得点になっています。
今シーズンのキャブスは、平均21.2得点のPGダリアス・ガーランド、平均18.6得点のPFエバン・モーブリー、平均14.1得点のCジャレッド・アレンと、得点力の高いスターターに加え、ベンチから出てくるタイ・ジェロームやキャリス・ルバートも平均2桁得点を記録するなど、どこからも点がとれるという層の厚さが強みです。
ミッチェルは自身のエゴをセーブし、メンバーの力を引き出し、チームの勝利のために戦っています。
ディフェンスにも一切手を抜かず、常に全力で勝負するミッチェル。
なんとも心強いエースになったものです。
ユタ・ジャズ時代から応援しているわたくしリトルとしては、今回のオールスター先発は、本当にうれしいですね。
オールスターの舞台では、ぜひ能力を開放して、とんでもないアクロバティックなダンクをみせてほしいと思います。
2018年のスラムダンクコンテスト優勝者ですから!
ジェイソン・テイタム
ジェイソン・テイタム
パワーフォワード
背番号 0
生年月日 1998年3月3日生まれ(26歳)
出身地 ミズーリ州セントルイス
出身校 デューク大学
身長体重 203cm 95㎏
今季年俸 3485万ドル
ドラフト 2017年1巡目3位
2024-25シーズンスタッツ
42試合出場 27.2得点 9.1リバウンド 5.5アシスト
FG45.7% 3P35.4%
昨シーズン圧倒的な強さでNBAチャンピオンに輝いたボストン・セルティックスのエース、ジェイソン・テイタム。
あらゆるテクニックを駆使し、得点をかさねるスコアラーです。
3年連続でオールNBA1stチームに選出されるなど、実力は申し分ないものの、やや勝負弱いイメージがあるのも事実。
昨年のパリオリンピックでは、チームUSAに選出され金メダルを獲得したものの、2試合で出番なしに終わるなど、不完全燃焼に終わりました。
ほとんど出番がなかったタイリース・ハリバートンが笑顔でベンチを盛り上げていたのに対し、明らかに不満げだったテイタムは、批判の対象となっていましたね。
それでも今シーズンは得点、リバウンド、アシストすべてでチームトップのスタッツを記録し、セルティックスを牽引しているテイタム。
名門ボストン・セルティックスの歴史に名を刻む大エースといっても過言ではないでしょう。
ベテランプレイヤーのような風格のあるテイタムですが、まだ26歳の若手プレイヤーです。
すでにおそろしいほどの完成度をもつテイタム。
これからどこまで成長していくのか、本当に末恐ろしいプレイヤーです。
1月24日現在ボストン・セルティックスは31勝14敗と、イースタンカンファレンス2位につけています。
ただ昨シーズンのような圧倒的な強さは感じられません。
NBA連覇をめざすには、テイタムのさらなる活躍が不可欠です。
今年のオールスターは、4チーム(うち1チームはライジングスターズ優勝チーム)によるミニトーナメント。
テイタムにはパリオリンピックでの屈辱をはらす活躍で、チームを勝利に導いてほしいですね。
ジェイレン・ブランソン
ジェイレン・ブランソン
ポイントガード
背番号 11
生年月日 1996年8月31日生まれ(28歳)
出身地 ニュージャージー州 ニューブランズウィック
出身校 ビラノバ大学
身長体重 188cm 86㎏
今季年俸 2496万ドル
ドラフト 2018年2巡目33位
2024-25シーズンスタッツ
44試合出場 26.0得点 3.0リバウンド 7.3アシスト
FG48.6% 3P39.1%
ニューヨーク・ニックスの小さな大エース、ジェイレン・ブランソン。
今シーズンも鋭いドライブとシュート力を武器に、大都市ニューヨークで暴れています。
シーズン前に大型トレードを連発し、ミケル・ブリッジズ、カール・アンソニー・タウンズと二人のスター選手を加えたニックスは、開幕当初はうまくかみ合わなかったものの、12月半ばから9連勝をかざり、現在イースタンカンファレンス3位と、1973年以来3度目の優勝に向けて、いい位置につけています。
得点力のあるブリッジズとタウンズが加わったものの、チームで最も得点しているのは、188㎝のポイントガード、ジェイレン・ブランソン。
前年の1試合平均28.7得点からは大きく落としていますが、アシストは自己最高を記録しており、チームメイトを信頼して勝利のためにプレーしていることがわかりますね。
抜群の勝負強さで、何度もチームを勝利に導いてきたブランソンは、長年ドアマットと化していたニックスを、強豪チームに変貌させています。
ダラス・マーベリックスの6thマンとして4シーズンを過ごしたのち、2022年の夏ニューヨーク・ニックスに移籍したブランソンは、4年1億400万ドル(当時約148億7200万円 1㌦=143円)の大型契約を結びました。
前年のサラリー約180万ドル(約2億5740万円)から、翌年には2773万ドル(約39億6549万円)にジャンプアップ。
マブスではエースのルカ・ドンチッチをバックアップする6thマンとして活躍していたものの、スターとは言えない小さな攻撃型ポイントガードに大金をかけたニックスに、批判の声が集まっていました。
しかしいざ2022-23が始まるとブランソンは大活躍。
前年の1試合平均16.3得点を大きく超える、平均24.0得点を記録し、周囲の疑念の目を希望に変えました。
翌2023-24シーズンはさらに得点力をアップさせ、平均28.7得点を記録。
初めてオールスターに出場し、オールNBA2ndチームにも選出される飛躍のシーズンとなりました。
ブランソンの実力が本物であると確信したニックスのフロントは、シーズン終了後に本気で優勝を狙うため、2つの大型トレードにふみきりました。
ニューヨーク・ニックス獲得
ミケル・ブリッジズ
ドラフト2巡目指名権×1
ブルックリン・ネッツ獲得
ボーヤン・ボグダノビッチ
ドラフト1巡目指名権×5
ドラフト2巡目指名権×1
ドラフト指名権スワップ権×1
※実際にはサンズとロケッツも絡んでいますが、省略しています
ニューヨーク・ニックス獲得
カール・アンソニー・タウンズ
ミネソタ・ティンバーウルブズ獲得
ジュリアス・ランドル
ドンテ・ディビンチェンゾ
ドラフト1巡目指名権×1
※実際にはシャーロット・ホーネッツも絡んでいますが、省略しています
大量にドラフト指名権を放出し、未来と引き換えにオールラウンドな活躍が期待できるミケル・ブリッジズを獲得したブルックリン・ネッツとのトレード。
そして5シーズンに渡り、チームの主力として活躍し、3度オールスターにも選出されたランドルと、昨シーズンシューターとして大ブレークしたディビンチェンゾと引き換えに、得点力の高いセンター、タウンズを獲得したウルブズとのトレード。
2つの超大型トレードは、ブランソンの活躍がなければありえなかったものでしょう。
ブランソン自身も強化をはかるチームの意気にこたえて、格安で延長契約を行うなど、優勝にむけて一丸となっています。
ニックスは現在28歳のブランソンが全盛期のうちに優勝するため、未来のドラフト指名権を捨ててまで、今に賭けたのです。
はたして、ニックスはこの賭けに勝利することができるのか?
それとも身動きできなくなり、かつて長く続いた弱小ドアマット時代にもどるのか?
ブランソンのリーダーシップとプレーに、ニックスの未来はかかっています。
カール・アンソニー・タウンズ
カール・アンソニー・タウンズ
センター
背番号 32
生年月日 1995年11月15日生まれ(29歳)
出身地 ニュージャージー州 エディソン
出身大学 ケンタッキー大学
身長体重 213cm 112㎏
今季年俸 4921万ドル
ドラフト 2015年1巡目1位
2024-25シーズンスタッツ
40試合出場 25.1得点 13.9リバウンド 3.5アシスト
FG54.5% 3P43.3%
ジェイレン・ブランソンのところでも取り上げましたが、今シーズンニックスに移籍し、大活躍を続けているカール・アンソニー・タウンズ。
213㎝ 112㎏の巨体からは想像できないシュート力とスピードで得点を重ねるオフェンシブセンターです。
今シーズンのタウンズは、得点力だけではなく、リバウンドでも存在感を発揮。
1月24日の時点での1試合平均13.9リバウンドは、ドマンタス・サボニス(1試合平均14.4リバウンド)に次ぐ、リーグ2位の記録です。
昨シーズンのタウンズが、1試合平均8.3リバウンドだったことを考えると、今シーズンのリバウンド数は驚異的といってよいでしょう。
得意の3ポイントシュートは自己最高ペースの成功率43.3%を記録。
3ポイントシュートの試投数が減っている(5.3→4.9)のは、ブランソンやブリッジズなど、優秀なシューターが揃っているからですね。
ブリッジズはやや調子悪いですが・・・。
昨シーズン終了後、大ブレイクしたアイザイア・ハーテンスタインがオクラホマシティ・サンダーにFAで移籍し、スターティングセンターとして期待されたミッチェル・ロビンソンが左足首の故障のため離脱となり、ニックスにとってセンターの獲得は最大の問題となります。
当初はユタ・ジャズのウォーカー・ケスラーや、アトランタ・ホークスのクリント・カペラ獲得をうわさされていましたが、ニックスがゲットしたのは、まさかのカール・アンソニー・タウンズ。
多くのファンや関係者がひっくり返るほど驚いたと思います。
タウンズを獲得するためウルブズに放出したのは、ニックス加入後3回オールスターに選出され、オールNBA入りもはたしているパワーフォワード、ジュリアス・ランドルと、シボドーHCの下で大ブレイクしたビラノバカルテットの一人、ドンテ・ディビンチェンゾ。
活躍を続けていたスター選手2人の放出には賛否両論ありましたが、シーズン半ばを過ぎた現在、トレードの勝者がニックスであることは明白でしょう。
昨シーズンウエスタンカンファレンスで旋風をまきおこしたミネソタ・ティンバーウルブズは、1月24日現在23勝21敗と苦しんでいます。
タウンズの抜けた穴は、ランドルやディビンチェンゾでは到底埋めることができていませんね。
逆にいえば、ニックスはすばらしいトレードをまとめたと言えます。
2000年~2010年代にかけて、さまざまなマイナスムーブを続けてきたニックスとは思えません。
カール・アンソニー・タウンズがラストピースなり、ニューヨークを52年ぶりの優勝に導くことができるのか?
トム・シボドーHCの手腕が問われます。
初めてイースタンカンファレンスで選出された今年のオールスター。
ニックスファンだけでなく、ウルブズファンからも盛大な歓声をおくられるでしょう。
まとめ
今回はNBAオールスター2025のスターターに選出されたチームイーストの選手についてまとめました。
スーパースターがそろったウエストに比べると、やや地味なイメージのあるイーストの5人。
ただベテランぞろいのウエストに比べ、イーストは今ノリにのっている若手実力派がそろっています。
正直スター選手がウエスタンカンファレンスに集まっている現状はありますが、地味でも能力の高い選手はイーストにもたくさんいます。
オールスターの舞台では、イーストの実力派選手たちに意地をみせてほしいですね。
今回のオールスターは初めてミニトーナメントで行われます。
今回発表されたスターター10人にくわえ、1月30日に発表されるリザーブ選手14人、あわせて24人を8人づつ3チームに分け、ライジングスターズ優勝チームを加えた4チームでのミニトーナメント。
1試合40点先取で行われますが、はたして盛り上がりをみせるのか、注目されています。
近年ケガを恐れてか、ディフェンスをしないゆるい試合がつづいたオールスターゲーム。
NBAはテコ入れのために、ミニトーナメントを取り入れ、新たな魅力あるオールスターを目指しています。
反対意見も多くあがっていますが、より魅力的なオールスターを模索するNBAの前向きな姿勢を、わたくしリトルは応援したいと思います。

